[324]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/05/23(火) 00:58:02 ID:RxcXip+X
[325]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/05/23(火) 00:58:49 ID:RxcXip+X

「なのはちゃーん、フェイトちゃーん。ちょう、遅いよー」
「はやてちゃん、足が治ってから元気良すぎ…っとと」ぜいぜいと息を切らせてやってくるなのはちゃん。何もないところで足を引っ掛けて転びそうになってる。
「なのは、大丈夫?はやて。そんなに急がなくても飛行機が出るのはまだ2時間後だよ」なのはちゃんとは対照的にしっかりした足取りであたしの後を追ってくるフェイトちゃん。

どうして、あたし達が空港にいるかというと、1週間前、アメリカにロストロギアらしき反応があると言うことで、地球がホームのあたし達にリンディさん経由で指令が下ったことが始まり。
いつもなら、心配やと言ってヴォルケンのみんなもついてくる所やけど、別ルートからの任務があるし、すぐ合流できるからとリンディさんの説得でしぶしぶあたしたちよりも一足先に西海岸の方へ旅だったんよ。
案の定最後までヴィータがぐずって離れんかったけど、仕事やからと何とか納得してくれたから、がんばったご褒美に、仕事が終わったら一杯遊んであげんとな。

 カウンターでチェックインを済ませて、飛行機の見えるロビーに出た私たち。
「わー、おっきー」目を輝かせて飛行機を見つめるなのはちゃん、
「フェイトちゃん、どうしたの?」と、満面の笑みで聞いた。
「なのは、これが飛ぶんだよね・・・本当に大丈夫なのかな?」好奇心をあらわにしながらも、少し怖がっているフェイトちゃん。
飛行機って初めて見るんかな?それやったら、疑問を持つのも無理無いか。…ヴォルケンのみんなは大丈夫やったんやろか。
「アースラでも飛ぶんだもん。大丈夫だって」なのはちゃん、それはちょっとちゃうと思うで。
フェイトちゃんもそう思ったんか、微妙な笑みをなのはちゃんに向けている。
「ちょっとおなかすいたし、カフェにでも行こか」あたしは、なのはちゃん達の手を引き、レストラン街に向かった。

2.離陸直前の一騒動〜ヴォルケンズ+1〜

「うわぁ〜。シグナム、ちょっと見てみろよ。地面が小さく見えるぜ」ヴィータが窓際の席ではしゃいでいる。
「ったく、お前というやつは…。もう少し静かに出来んのか?」あきれ顔のシグナム。だが、内心ヴィータ以上にわくわくしているように見えるのは気のせいなのか?
「なんだか、不思議な感じよね。いつも空を飛び回っているのに、こんな乗り物…」急いでシャマルの口を押さえる。
「口がすぎるぞ、シャマル。魔法が一般的でない社会であまりうかつなことを言うものではない」シャマルは少しシュンとなって、人差し指をつきあわせていじけた。
「あんた達はいつも騒がしいねぇ」真後ろの席から、聞き慣れた声が聞こえた。
「む、なんでお前がここにいる」驚いて聞き返すと、むっとした表情で少し機嫌を損ねたような声をした使い魔の女が答えた。
「なんでとはまた、ご挨拶だねぇ。ちゃんと、指令書に名前が書いてあるだろ?」シャマルが鞄の中から一枚の紙切れを取り出し、頷いた。
「まさか、あんた達。完全に眼中になかったとか…」私を含めた全員が肩をびくつかせる。
「い、いや。そ、そんなことはないぞ。ただ、我々は出来るだけ主と一緒に行動できるように直談判を…」横で、ヴィータがそうだそうだ等と声を上げている。
そんな私たちを見て、肩を落とすアルフ。
「だから、親離れできてないっていうんだ。あんた達は。あんまり、はやてはやてってまとわりついてると、はやては誰とも結ばれずに年をとるぞ」少し痛いところをつかれた気がする。
「それにさ、ここは他の場所より安全だし、何より、私のご主人様となのはが付いてるんだから安心だろ?」得意そうに話すアルフ。
「それは…そんなことより、アルフは、フェイトと離れて不安じゃないのかよ」何かを認めたくないのか、ヴィータが不機嫌そうに口を開く。
アルフは、分かってないなと言う風なジェスチャーをして、
「そりゃ、ちょっとは不安だけど、私とフェイトは固い絆で結ばれてるからね。いざとなったら、念話で呼び合えばいいんだし」と言った。
…念話のことをすっかり失念していた。それは他の皆も同じようで、あ、と言ったきり誰もしゃべらなくなっていた。
得意げに胸を張るアルフ。思わず耳が出て、必死に隠す姿が少し愛らしいと思ってしまった。この、地球生活においての先輩に皆しばらく従うことになるんだろうか…
こちらに向かって、キャビンアテンダントが歩いてきた。
「お客様。申し訳ございませんが、これから重要事項の説明がございますので、お静かにお願いいたします」全員、怒られてしまった。

 シートベルト着用の指示が出て、救命胴衣の着用法や緊急時の対処法などの説明ビデオを見ているうちに滑走路に着く。
"こんなことしなくても、私らは脱出できるけどな"ヴィータの念話が聞こえてきた。
"まあ、郷に入れば郷に従えと言うことだ" こっちのことわざにえらく堪能になったなとシグナムに返すと、お前には言われたくないと返ってきた。何か気に入らないことがあったんだろうか…
飛行機のエンジン音が高鳴り、機体が動き出す。さらにエンジン音が上がり、風景が素早く流れ出すとともに、体がシートに押しつけられる。
ヴィータは窓にかぶりつき、シグナムも体を乗り出さんばかりの勢いで外を見ている。後ろのご婦人がくすくすと忍び笑いをしていた。
少し恥ずかしいぞ、シグナム。
シャマルも控えめに、二人の隙間から景色のおこぼれを頂戴してほほえんでいる。
やはりというか、なんというか自ら空を飛び回るときと違って、何か妙な高揚感があるな。
「素直に、わくわくするっていっちゃいなよ。ザフィーラ」と、後ろのアルフが少しおどけた声で私を冷やかした。
こうして、不安な道中が幕を切って落とされた

著者:9スレ324

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メンバーのみ編集できます