最終更新: nano69_264 2009年06月21日(日) 09:24:24履歴
692 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2009/05/11(月) 01:15:22 ID:dWZs5dtI
693 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2009/05/11(月) 01:16:04 ID:dWZs5dtI
694 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2009/05/11(月) 01:16:59 ID:dWZs5dtI
695 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2009/05/11(月) 01:17:42 ID:dWZs5dtI
696 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2009/05/11(月) 01:18:14 ID:dWZs5dtI
ティアナは、模擬戦でなのはさんに撃墜された。
そしてティアナは、なのはの過去の事件に関して知った。
ああ、そうか。あの、白い悪……もとい、無敵の高町なのはさんにもそんな時期があったのか。
自分を省みず無茶をして、そんな自分を反省して、そしてティアナやスバルが同じ轍を踏まないように教導してくれている。
そのなのはさんに気付けなかった自分わティアナは本当に反省していた。
「いいんだよ」
そう、なのはさんは言ってくれるのだけれど。
「私だって悪かったんだから。ティアナにきちんと説明するべきだった」
「なのはさん……」
「ごめんね、ティアナ」
「なのはさんっ!」
涙を流すことを恥ずかしいと思えず、なのはさんに抱きしめられるようにして泣きついて。
頭のどこか、妙に冷静なその部分では
「スバルが羨ましがるかな?」
と考えていたりして。
その二人を遠くから眺めているのは、はやてとフェイト。そしてはやての横にいつもいるリイン。
「良かったですね。雨降って地固まるです」
嬉しそうなリインとは正反対に浮かない顔の二人。
「どうしたですか?」
「……ん……リインは、あのこと知らへんかったんやね」
「あの……こと?」
はやてが力無く笑うと、黙っていたフェイトも力無く頷く。
「いや、シャーリーもうまいこと誤魔化したなぁ、思てな……」
フェイトが妙な微笑みではやてを見る。
「あれは、ティアナやスバルには言えないよ……」
「フェイトちゃん。エリオとキャロにもな……」
「二人に知られたら……私家出する。そうなったら探さないでね、はやて」
「そのときは、私も一緒やよ、フェイトちゃん」
あの時……
正体不明敵に撃墜されたなのはは、すぐに病院に運び込まれた。
ヴィータからの連絡を受けて駆けつけたフェイト、はやてとヴォルケンリッターは、忙しく立ち働く看護婦たちを見た。
そして、青ざめた顔で病室前に座っているヴィータを。
「あ、はやて」
「ヴィータ、どしたんや」
「助けてよ、はやて。なのはが……なのはが……」
その横を忙しく走り回る看護婦たち。
「患者の容態は? なのはちゃんはどうなっているんです?」
シャマルの言葉も耳に入らないかのように、看護婦たちは入れ替わり立ち替わり病室の出入りを繰り返している。
「あの、すいません。なのはちゃんの容態は……」
「質問に答えろ!」
業を煮やしたシグナムが、一人の看護婦をやや強引に引き留めた。
はやては立ち止まった看護婦の持っているトレイに気付いた。
それは紛れもない……
食事だった。
「食事……?」
病室の扉が開く。
「食べるもの持ってくるの! 血が、血が足りないの!!」
覗き込む一同。
「じゃんじゃん持ってくるの! 食べれば直るの!!」
なのはが看護婦の持ってきた食事を次々と平らげていた。
「こんなのじゃ治るものも治らないの! 肉! 肉! 肉! とにかく肉なの!!」
顔を見合わせる一同。フェイトだけは、じっと病室の中を見ている。
「はやて……」
「えっと……ヴィータ、これは……」
「なのはのご飯代……あたし、お財布持ってきてねーんだ……」
「それで青ざめとったん?」
「だって、無銭飲食なんかしたら、管理局クビになるじゃんか」
「……それはそやけどな……」
「あの……食べるものはあたしらが何とかするから。フェイトちゃんはなのはちゃんを見ていて」
「うん。わかったよ。あ、はやて」
フェイトははやてに一枚のカードを渡す。
「これ使って」
「これ、フェイトちゃんのクレジットカードやん」
「いいの、なのはのためなら」
「一応、借りとく」
駆けていくはやての後ろ姿を見送ると、フェイトは病室に入り、なのはのベッドの横に置かれた椅子に座る。
なのははフェイトに気付くと目で挨拶して、食事をとる手は休めない。
「ごめ……もが……食べたら……治るの……」
「うん。シャマルにリンカーコア抜かれた時もそうだったよね」
ちなみにそれはなのはとフェイト、クロノにエイミィ、リンディだけの秘密だった。今日までは。
「だけど、あんまり無茶食べしたら、身体を壊すよ。リンカーコアを抜かれた時は、身体は何ともなかったんだから」
「いいの……もぐっ……12時間もあればジェット機だって直るの……もぐっ……大泥棒さんが言ってたの……まくまく……」
「なのはは、時々変な人と知り合いだね」
「大丈夫だよ……ばくっ……フェイトちゃん……もぐっ……」
そうこうしているうちに、シグナムが食料を持ってくる。
「高町。テスタロッサ。とりあえず、すぐに食べられるものだ。あとは、主が病院の厨房を借りて料理している」
「もぐっもぐっ……はむっはむっ……こくっこくっ」
なのはの動きが止まる。
慌てるシグナムとヴィータだが、フェイトは慌てず騒がず、炭酸を抜いてあるコーラを差し出した。
ゴフゴフと飲みきるなのは。
「シグナム、バケツ一杯の砂糖水を準備しておいてください」
「なに?」
「バケツ一杯の砂糖水です。できれば砂糖ではなく果糖がベストですが。さすがにすぐには準備できないでしょう」
「わかった。できるだけ上質の砂糖を手配しよう」
その後、シャマルとザフィーラの助けを借りて大量の薬膳料理を病室に運んだはやては、砂糖水の手配と準備を終えたシグナムと病室前で合流する。
「主。アレはいったい」
「……聞いた話やけど、昔、なのはちゃんのお父さんが仕事で大怪我したことがあってな」
「はい」
「全く同じ方法で治したんやて」
「……主」
「ん?」
「高町は地球人ですよね? 主と同じ」
「……最近、自信があらへん」
少し間をおいて、ザフィーラが言う。
「しかし、乱暴ではあるが、回復方法としてはさほど間違っていないだろう。回復に必要なものを身体が欲しているということだからな」
頭を抱えているシャマル。
ザフィーラは続ける。
「必要とするものを摂る。難しく考えすぎることもあるまい」
ますます頭を抱えるシャマル。
「はやて?」
病室からフェイトが顔を出した。
「ちょっと来てくれるかな。なのはが呼んでいるんだ」
「なんやろか?」
はやてが中に入ると、ちょうどなのはが料理を食べ終えそうなところ。
はやてを招き入れたフェイトが後ろ手に病室のドアを閉める。
「何で閉めるの?」
「さあ。なのはが閉めて欲しいって」
「内緒話なん?」
病室前に残されたヴォルケンたちは、邪魔になると言うことで看護婦たちに追い立てられ、ロビーでコーヒーを飲んでいた。
「まあ、食べることで元気になると言うのは、珍しいことでもないだろうな」
「戦でも、食事は士気に関わるしな」
「はやてちゃんの薬膳なら、効果あるでしょうしね」
「テスタロッサは以前にも高町の世話をしていたはずだ。彼女がいれば間違いないだろう」
「なあ、旨い飯で元気になったら、次は何だ?」
「……そうだな……兵士ならば……」
飯の次は女、と言うのが定番だろうが、さすがにヴィータの前では言いづらい。それに、シグナム自身としても好きではない話題だ。
ザフィーラも視線を外し、シャマルは知らないふりをしている。
「なあ、シグナム」
「……ああ、そうだな。睡眠……かな」
「そっか。よく寝ることか」
「そうだ」
間違いではない。睡眠も重要だ、とシグナムは自分に言い聞かせる。
「はやてちゃん、遅いわね」
「そういえば、テスタロッサも出てこないな」
「あたし、ちょっと見てくる」
ヴィータが行って数十分後。
「三人とも出てこないな」
「私、見てきます」
シャマルが行って数十分後。
「どうなってるんだ。えーい、私が行ってくる」
ザフィーラ一人が残されて数十分後。
「……何をやっているんだ、皆は……」
歩き出しかけ、その鋭敏な耳に何かの音が聞こえる。
…………飯の次は女…………
「……恐るべし、高町」
翌朝、しくしくと泣きながら病室から出てくるシャマルとシグナム、そしてはやて。
妙に嬉しそうに出て来るフェイトとヴィータ。
ザフィーラは無言で、人数分の缶コーヒーを手渡すのだった。
著者:野狗 ◆NOC.S1z/i2
693 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2009/05/11(月) 01:16:04 ID:dWZs5dtI
694 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2009/05/11(月) 01:16:59 ID:dWZs5dtI
695 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2009/05/11(月) 01:17:42 ID:dWZs5dtI
696 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2009/05/11(月) 01:18:14 ID:dWZs5dtI
ティアナは、模擬戦でなのはさんに撃墜された。
そしてティアナは、なのはの過去の事件に関して知った。
ああ、そうか。あの、白い悪……もとい、無敵の高町なのはさんにもそんな時期があったのか。
自分を省みず無茶をして、そんな自分を反省して、そしてティアナやスバルが同じ轍を踏まないように教導してくれている。
そのなのはさんに気付けなかった自分わティアナは本当に反省していた。
「いいんだよ」
そう、なのはさんは言ってくれるのだけれど。
「私だって悪かったんだから。ティアナにきちんと説明するべきだった」
「なのはさん……」
「ごめんね、ティアナ」
「なのはさんっ!」
涙を流すことを恥ずかしいと思えず、なのはさんに抱きしめられるようにして泣きついて。
頭のどこか、妙に冷静なその部分では
「スバルが羨ましがるかな?」
と考えていたりして。
その二人を遠くから眺めているのは、はやてとフェイト。そしてはやての横にいつもいるリイン。
「良かったですね。雨降って地固まるです」
嬉しそうなリインとは正反対に浮かない顔の二人。
「どうしたですか?」
「……ん……リインは、あのこと知らへんかったんやね」
「あの……こと?」
はやてが力無く笑うと、黙っていたフェイトも力無く頷く。
「いや、シャーリーもうまいこと誤魔化したなぁ、思てな……」
フェイトが妙な微笑みではやてを見る。
「あれは、ティアナやスバルには言えないよ……」
「フェイトちゃん。エリオとキャロにもな……」
「二人に知られたら……私家出する。そうなったら探さないでね、はやて」
「そのときは、私も一緒やよ、フェイトちゃん」
あの時……
正体不明敵に撃墜されたなのはは、すぐに病院に運び込まれた。
ヴィータからの連絡を受けて駆けつけたフェイト、はやてとヴォルケンリッターは、忙しく立ち働く看護婦たちを見た。
そして、青ざめた顔で病室前に座っているヴィータを。
「あ、はやて」
「ヴィータ、どしたんや」
「助けてよ、はやて。なのはが……なのはが……」
その横を忙しく走り回る看護婦たち。
「患者の容態は? なのはちゃんはどうなっているんです?」
シャマルの言葉も耳に入らないかのように、看護婦たちは入れ替わり立ち替わり病室の出入りを繰り返している。
「あの、すいません。なのはちゃんの容態は……」
「質問に答えろ!」
業を煮やしたシグナムが、一人の看護婦をやや強引に引き留めた。
はやては立ち止まった看護婦の持っているトレイに気付いた。
それは紛れもない……
食事だった。
「食事……?」
病室の扉が開く。
「食べるもの持ってくるの! 血が、血が足りないの!!」
覗き込む一同。
「じゃんじゃん持ってくるの! 食べれば直るの!!」
なのはが看護婦の持ってきた食事を次々と平らげていた。
「こんなのじゃ治るものも治らないの! 肉! 肉! 肉! とにかく肉なの!!」
顔を見合わせる一同。フェイトだけは、じっと病室の中を見ている。
「はやて……」
「えっと……ヴィータ、これは……」
「なのはのご飯代……あたし、お財布持ってきてねーんだ……」
「それで青ざめとったん?」
「だって、無銭飲食なんかしたら、管理局クビになるじゃんか」
「……それはそやけどな……」
「あの……食べるものはあたしらが何とかするから。フェイトちゃんはなのはちゃんを見ていて」
「うん。わかったよ。あ、はやて」
フェイトははやてに一枚のカードを渡す。
「これ使って」
「これ、フェイトちゃんのクレジットカードやん」
「いいの、なのはのためなら」
「一応、借りとく」
駆けていくはやての後ろ姿を見送ると、フェイトは病室に入り、なのはのベッドの横に置かれた椅子に座る。
なのははフェイトに気付くと目で挨拶して、食事をとる手は休めない。
「ごめ……もが……食べたら……治るの……」
「うん。シャマルにリンカーコア抜かれた時もそうだったよね」
ちなみにそれはなのはとフェイト、クロノにエイミィ、リンディだけの秘密だった。今日までは。
「だけど、あんまり無茶食べしたら、身体を壊すよ。リンカーコアを抜かれた時は、身体は何ともなかったんだから」
「いいの……もぐっ……12時間もあればジェット機だって直るの……もぐっ……大泥棒さんが言ってたの……まくまく……」
「なのはは、時々変な人と知り合いだね」
「大丈夫だよ……ばくっ……フェイトちゃん……もぐっ……」
そうこうしているうちに、シグナムが食料を持ってくる。
「高町。テスタロッサ。とりあえず、すぐに食べられるものだ。あとは、主が病院の厨房を借りて料理している」
「もぐっもぐっ……はむっはむっ……こくっこくっ」
なのはの動きが止まる。
慌てるシグナムとヴィータだが、フェイトは慌てず騒がず、炭酸を抜いてあるコーラを差し出した。
ゴフゴフと飲みきるなのは。
「シグナム、バケツ一杯の砂糖水を準備しておいてください」
「なに?」
「バケツ一杯の砂糖水です。できれば砂糖ではなく果糖がベストですが。さすがにすぐには準備できないでしょう」
「わかった。できるだけ上質の砂糖を手配しよう」
その後、シャマルとザフィーラの助けを借りて大量の薬膳料理を病室に運んだはやては、砂糖水の手配と準備を終えたシグナムと病室前で合流する。
「主。アレはいったい」
「……聞いた話やけど、昔、なのはちゃんのお父さんが仕事で大怪我したことがあってな」
「はい」
「全く同じ方法で治したんやて」
「……主」
「ん?」
「高町は地球人ですよね? 主と同じ」
「……最近、自信があらへん」
少し間をおいて、ザフィーラが言う。
「しかし、乱暴ではあるが、回復方法としてはさほど間違っていないだろう。回復に必要なものを身体が欲しているということだからな」
頭を抱えているシャマル。
ザフィーラは続ける。
「必要とするものを摂る。難しく考えすぎることもあるまい」
ますます頭を抱えるシャマル。
「はやて?」
病室からフェイトが顔を出した。
「ちょっと来てくれるかな。なのはが呼んでいるんだ」
「なんやろか?」
はやてが中に入ると、ちょうどなのはが料理を食べ終えそうなところ。
はやてを招き入れたフェイトが後ろ手に病室のドアを閉める。
「何で閉めるの?」
「さあ。なのはが閉めて欲しいって」
「内緒話なん?」
病室前に残されたヴォルケンたちは、邪魔になると言うことで看護婦たちに追い立てられ、ロビーでコーヒーを飲んでいた。
「まあ、食べることで元気になると言うのは、珍しいことでもないだろうな」
「戦でも、食事は士気に関わるしな」
「はやてちゃんの薬膳なら、効果あるでしょうしね」
「テスタロッサは以前にも高町の世話をしていたはずだ。彼女がいれば間違いないだろう」
「なあ、旨い飯で元気になったら、次は何だ?」
「……そうだな……兵士ならば……」
飯の次は女、と言うのが定番だろうが、さすがにヴィータの前では言いづらい。それに、シグナム自身としても好きではない話題だ。
ザフィーラも視線を外し、シャマルは知らないふりをしている。
「なあ、シグナム」
「……ああ、そうだな。睡眠……かな」
「そっか。よく寝ることか」
「そうだ」
間違いではない。睡眠も重要だ、とシグナムは自分に言い聞かせる。
「はやてちゃん、遅いわね」
「そういえば、テスタロッサも出てこないな」
「あたし、ちょっと見てくる」
ヴィータが行って数十分後。
「三人とも出てこないな」
「私、見てきます」
シャマルが行って数十分後。
「どうなってるんだ。えーい、私が行ってくる」
ザフィーラ一人が残されて数十分後。
「……何をやっているんだ、皆は……」
歩き出しかけ、その鋭敏な耳に何かの音が聞こえる。
…………飯の次は女…………
「……恐るべし、高町」
翌朝、しくしくと泣きながら病室から出てくるシャマルとシグナム、そしてはやて。
妙に嬉しそうに出て来るフェイトとヴィータ。
ザフィーラは無言で、人数分の缶コーヒーを手渡すのだった。
著者:野狗 ◆NOC.S1z/i2
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- 漫画/アニメ
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