454 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU [sage] 投稿日:2008/05/24(土) 02:56:21 ID:cBYPj5bO
455 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU [sage] 投稿日:2008/05/24(土) 02:57:19 ID:cBYPj5bO
456 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU [sage] 投稿日:2008/05/24(土) 02:58:31 ID:cBYPj5bO
457 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU [sage] 投稿日:2008/05/24(土) 02:59:30 ID:cBYPj5bO


「フェイトさんっ……フェイトさんっ!」

 私の名を呼びながら、遮二無二腰を振る少年。
 稚拙な性戯なのだろうけれど、私にはそんなことはどうでもいい。いや、稚拙かどうかの判断すら付かない。
それほど、私の異性との経験は乏しい。ほとんど無に近いと言ってもいいだろう。
 それでも私は、少年の身体の温もりを存分に味わっていたかった。
 肌が触れた部分で、彼の身体の熱を感じたかった。
 唇で、彼の上気した顔の熱を奪いたかった。
 膣内で、彼のペニスの温もりを感じたかった。
 身体全体が、彼の体温を欲していた。
 別に、性交である必然性などないのだろう。
 だけど、彼は少年だった。年上の女性の身体に埋もれることのできる、健康な少年だった。
 私は、彼に愛されることに歓びを感じていた。

 まるで愛撫される女の子のように喘ぎながら、彼は仰け反っていた。
 私は、彼の喉から胸元にかけて舌を這わせる。少年の汗の味を舌に乗せたまま、胸元をくすぐる。
 悶えるような、クスクス笑いのような声に耳を楽しませながら、私はそのまま舌を降ろしていく。
 胸元から臍へ、そこからさらに下へ。
 堅くそそり立つように私の身体に押し当てられていたそれに舌が触れたとき聞こえたのは、拒絶と悲鳴を合わせた声。
だけどその中には確かに期待と嬌声が混じっている。
 私は躊躇せず、彼のベニスに舌を絡めた。
 この技術も、きっと稚拙なのだろう。私が覚えているのは、無闇に突き込まれたことだけ。抵抗もできないまま、ただ口内を汚されただけ。
 その稚拙な技術でも、彼には関係ないようだった。彼の経験も私と似たようなもの……妹のような少女との親愛の意味の方が強いキス。
身体をぎこちなくまさぐり合っては互いに勝手に果てる、自慰行為のような疑似性交……その程度の経験なのだろうから。
 生臭さは気にならない。感覚を遮断していればいいだけのことだから。
 痛みも臭さもなにもかも、嫌な感覚は全て遮断してしまう技を私は覚えている。いや、覚えさせられていた。
 だから、前置きも無しに口内に流れ込んできた精子を、私は素直に受け入れる。口内で止め、喉に飲み込む。
 予想通り、一度出したくらいではペニスの堅さも大きさも変化はしなかった。
 私は姿勢を変え、開いた足を彼に向けて横たわる。彼の視線が、私の秘部に痛いほど注がれているのがわかる。
  
「フェイトさん…」
「来なさい、エリオ」

 エリオに貫かれた瞬間、私が感じたのは痛みと歓びだった。
 肉体は痛みを。精神は歓びを。
 微々たる痛みと大きな歓び。
 私の身体はまだ、たやすく男を受け入れるようにはなっていない。あまりにも経験不足な身体なのだ。
 それでも、精神の歓びは肉体の痛みを打ち消していく。私の身体の上で腰を振り、私を貫くエリオが愛しかった。
 私の身体を知る、二人目の男が。




 使い魔の嘆きなど聞こえない。聞いてはならない。
 聞いてしまえば理解できるから。
 理解すれば大事なモノを失ってしまうから。
 大事なモノは幻想だと実は気付いているから。

 幻想は、いつも母親の姿で現れる。

「フェイト。お客さんよ。いつものようにね」

 使い魔の嘆きなど聞こえない。
 だってあの人は、母さんに必要な人だから。
 母さんに援助をしてくれる人だから。
 母さんには、援助が必要だから。

「やあ、フェイトちゃん、今日も可愛いね」

 大人の男は、不気味だと思った。
 気持ち悪いことをされるから。痛いことをされるから。
 触られるから。飲まされるから。掴まれるから。吸われるから。舐められるから。引っ張られるから。貫かれるから。

 犯されるから。

「違うよ、アルフ。私は私の意志でやってるんだ。母さんのためだから」

 男は貫く。フェイトを押しつぶすように腰を使う。小さな身体を軋ませ、フェイトは我が身が砕けるのかと錯覚する。
 破瓜の血が流れたのは最初だけ。しかし、無理矢理に広げられた穴からは毎回のように血が流れる。慣れるわけなど無かった。
 抱かれていると言う表現は妥当ではない。少女を蹂躙する男が、好き勝手に精を放っているだけ。
 それを性交と呼ぶのは、加害者側だけだろう。もっとも、ここには被害者は一人しかいない。残る全ては皆加害者なのだから。
 ならば絶対多数の論理で、これは「性交」だった。

 ある日、母親の哄笑が響いた。
 嘲りと呆れ、憎しみと非情。負の感情だけを延々とたたえた笑みが、フェイトに向けられていた。

「まがい物が……ハハハッ、まがい物が……子供を? アハハハハハハッ!」

 無論、その言葉自体はフェイトに向けられた物ではない。フェイトの診断結果を知ったプレシアの哄笑だった。
 フェイトは、妊娠していたのだ。
 プレシアは考えていた。フェイト自身には尖兵としての利用価値はまだまだある。使い捨てる事のできる、
それでいて忠実な魔導師など探しても見つかるモノではない。その意味ではフェイトは貴重な存在なのだ。
 そして、援助者もそろそろ切り捨てる時期に来ていたのは確かだった。


 フェイトは即座に説得された。いや、プレシアの言葉には絶対服従のフェイトに対して、説得というのもおかしいだろう。
 それは、単なる命令だった。

「子供は捨てて、その存在は忘れなさい」

 フェイトはその言いつけに従い、アルフにも同じ事を命じた。子供のことは忘れろと。
 ただ、忘れる前に一つだけ尋ねる。
 子供はどこへ行くのか、と。
 プレシアは答えた。
 子供を産ませた男が引き取るのだと。
 その男が既婚者であること。男の妻は子供を産めないからであること。だからある意味養子を迎えるのは歓迎だということ。
 それらの事実はフェイトに伝えられず、ただ、男が引き取ったとだけ伝えた。
 しかし、プレシアは二つのことを知らなかった。
 男の名を、フェイトが寝物語に聞き出していたこと。そして男が、本名を伝えるほど愚かだったこと。
 フェイトはその名前を自分だけの秘密にしていた。アルフにすらその名前は明かしていない。

 フェイトは、その男には二度と会うことはなかった。
 勿論、フェイトの産んだ子供にも会うことはなかった。

 しかし、産んだ子供のクローンには出会った。

 名は、エリオ・モンディアル。

 初見でフェイトは驚いた。素性を聞いて、確信した。ただし、エリオには事実を伝えなかった。
 ただ、一人の少年として、引き取った。




 精を出し尽くしたエリオが、フェイトの豊満な乳房の上に倒れるようにのしかかる。
   
「大好きです。愛してます。フェイトさん…」

 フェイトはエリオの顔を両手で捧げるようにして持ち上げた。

「ありがとう、エリオ。私も貴方のことが好き。保護者としてではなく、一人の男として、愛しているよ」
「あの、僕…」
「うん。いいよ。何度でも。エリオの気が済むまで、私の身体を好きにしていいんだよ」
「フェイトさん、僕とけっこ…」

 言いかけたエリオの唇をフェイトは強引に自らの唇で塞ぐ。

「そんなことは考えなくていいよ。最後にエリオが他の人を選んでも、私は何も言わないから。
だから、安心して。責任なんて考えなくていい。今はただ、エリオに抱いていて欲しいだけ」

 禁忌だとしても、それはそれで構わない。
 自分自身が、そしてエリオ自身が禁忌の技術の成果なのだ。
 禁忌に禁忌を重ねていけば、それはどこかで俗性を得るだろう。普遍性を得るだろう。
 クローンでも子供は産める。それは自分が証明した。なら、クローン同士だとどうなのか。
 そして、クローンの子孫はさらに子孫を作れるのか。

 再びエリオのペニスに手を伸ばしながら、フェイトは確信していた。
 きっと、受胎する。
 きっと、男の子が生まれる。

 きっと、自分にとっては三人目の男。




著者:野狗 ◆gaqfQ/QUaU

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