744 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2012/01/30(月) 19:04:46 ID:dW8qUh8s [2/12]
745 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2012/01/30(月) 19:05:23 ID:dW8qUh8s [3/12]
746 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2012/01/30(月) 19:06:00 ID:dW8qUh8s [4/12]
747 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2012/01/30(月) 19:06:36 ID:dW8qUh8s [5/12]
748 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2012/01/30(月) 19:07:10 ID:dW8qUh8s [6/12]
749 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2012/01/30(月) 19:07:44 ID:dW8qUh8s [7/12]
750 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2012/01/30(月) 19:08:16 ID:dW8qUh8s [8/12]
751 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2012/01/30(月) 19:08:49 ID:dW8qUh8s [9/12]
752 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2012/01/30(月) 19:09:25 ID:dW8qUh8s [10/12]
753 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2 [sage] 投稿日:2012/01/30(月) 19:09:55 ID:dW8qUh8s [11/12]

 まずい。とアインハルトは思った。
 ここは過去の世界。
 さらに、ここはミッドチルダではない。
 そのうえ、若い頃の高町なのは達がいるのだ。
 過去の世界の人間と出会うのは避けるべきだと、ヴィヴィオとの話し合いでもそう結論している。
 だからアインハルトはとりあえず隠れようと思った。

 が、しかし。

「ねえ、待って!」

 何故か追いかけてくる小さいなのはさん。
 貴女は森の熊さんですか。
 いや、熊さんなら殴り飛ばせばいいのだけれど、なのはさんは殴り飛ばせない。
 熊さんの847倍は危険(推定)だ。つまり熊847頭分。
 つまりはなんとかして振り切るしかない。しかも、いつの間にかヴィヴィオともはぐれている。
 そして子供とは言ってもさすがはなのはさん。そう簡単には振り切れそうにない。
 ここは、多少強引な手段でも使うしかないのか。

「待ちなさい!」

「待ってください」

 なんか、声が増えたような気がする。
 ちらり、と振り向くアインハルト。

(追っ手が増えてるーーーっ!?)

 増えているのだ。
 小さい頃のフェイトさん、はやてさん。ヴィータさんもいる。知らない人もいるけれど、きっと関係者だろう。
 熊さんどころか森の生物勢揃い。
 なに、このシルバニアファミリー達は。
 危険度的にはマフィアのファミリーだけれども。

(ど、どうしましょう)

「にゃあ」(姐さん姐さん、ここはワイにごっつぅええアイデアがあるんやけど)

「ティオ? なにか良い案があるのですか?」

「にゃあ」(チャカ突きつけて、動くなワレェ、舐めとったらドタマ風穴開けたんど、言うたったら、ええねん)

「なるほど。俗に言うホールドアップですか」

 デバイスを構え、相手の戦意を削ぐ。
 自分の場合は、拳を突きつけるということか。
 それで相手が諦めてくれればよいが。

「とにかく、このまま逃げ続けるよりはマシです。やってみる価値はあるでしょう」

 アインハルトは地上へと降りる。
 逃げ切るには不向きだが、待ち伏せするには起伏の激しい地面のほうが有利だ。
 多数相手にホールドアップは無意味。つまりは一人だけおびき寄せるべきなのだ。

「にゃあ」(姐さん、ここは一つ、容赦無しで行くべきでっせ。イモ引いたらあきまへんで)

「ええ。わかっていますよ、ティオ」

 大木の陰に隠れるアインハルト。
 追跡者達は散開し、個別でアインハルトを探し始めていた。
 その内の一つがゆっくりとアインハルトに近づいてくる。

「近づいてきましたね」

「にゃあ」(姐さん、気ぃ落ち着けるんでっせ。向こうがアホ面晒してきたところにきっついパチキ、カマしたるんやっ)

「来ます……」

 近づいてくる気配。
 アインハルトは拳を固める。拳は近接武器だ。相手を充分に引きつけなければ脅すことも出来ない。
 慎重に距離を測る。

「四間、三間半、三間。まだまだ…。よーし…二間半。二間! 今です!」

 木の陰から飛び出るアインハルト。
 そこにいたのは小さななのはさん!
 拳を突き出すアインハルト。

「動かないでください」

 驚愕の表情で固まるなのは。
 突きつけられる拳……の上には……

「にゃあああ」

 ティオが乗っていた。

「ティオ!?」

「え、ネコさん?」

(し、しまった。焦ったあげくティオを突き出してしまいました!)

「えーと」

 なのはは悩む。
 それはそうだろう。追いかけていた相手から突然ネコを突きつけられたのだ。
 それも、「動かないでください」とのコメント付きで。

(これは一体どうすれば良いんだろう)

 ネコをどうしろというのだろう。
 確かに可愛いけれど。
 まさか、このネコを可愛がれと。
 動くなと言われているのだ。ホールドアップされているのだ。
 もしかすると、彼女の次元世界の風習なのだろうか。

(!!)

 そうだ。自分とフェイトのことを考えればいい。
 戦って互いの心を知った自分たち。
 デバイスを向けあい、魔力を尽くして戦った相手。
 ならば、愛玩動物を向けられた自分はどうすればいいか。

(ユーノ君!)

 なのはは念話で語りかける。

(なのは!? どうしたんだい?)

(お願い、すぐこっちに来て)

(それはいいけれど……)

(フェレットの姿でね)

(え?)

(お願い)

(わ、わかったよ)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 なのはが逃亡者と対峙しているとの報告を受け、はやてとフェイトは現場に急いだ。
 そこで二人が見た者は……

「……なのは?」

「二人とも、ちょお説明してくれへんかな?」

 ネコとフェレットを向け合ったまま微動だにしない、なのはとアインハルトだった。

(わからないけれど、きっとこれはこの人の世界の風習なんだ)

(このフェレットはユーノ司書長ですよね……なのはさんの魔法の師匠、これは一体どんなコンビネーションなんでしょう……
下手に動くことが出来ません……)

「きゅー」(なのは、一体いつまでこうしていればいいのかな)

「にゃあ」(す、凄いプレッシャーや、このワイが、動かれへんやとぉっ!?)

 はやてとフェイトは首を傾げている。

「ねえ、これなんだと思う? はやて」

「うーん、ペット自慢?」

「……そっか。わかったよ、はやて」

「え。フェイトちゃん、何がわかったん?」

「アルフ呼んでくるね」

「え、ええ!?」

 後にはやてはその時のことをこう語る。

「ああ、この子はレヴィのオリジナルやねんなあ、と確信したんはそん時や」

 そしてアルフと、何故か一緒にやってくるザフィーラ。

「主はやて、なにやらペット自慢と聞きましたが」

「……いや、ザフィーラ、本気にしたん?」

「……まさかとは思いましたが、どちらにしろ、用心は必要かと」

「まあ、それはそやな」

 一方、フェイトは狼状態のアルフを持ち上げようとして四苦八苦している。

「フェイト、無理じゃないかな?」

「大丈夫だよ、アルフ。私は、なのはのおかげで強くなったから」

「うん。それは精神の話だよね。肉体的物理的な話じゃないよね」

「……アルフ、子犬フォームお願い」

「そうだよね、うん、わかってたよ」

 子犬を高々と差し上げるフェイト。そして誇らしげになのはに並ぶ。

「なのは、助太刀に来たよ」

「フェイトちゃん!」

「……ユーノ、あんたも大変だねぇ」

「アルフもね……」

(……フェイトさんにアルフさんまで!? アルフさんはフェイトさんの忠実かつ強力な使い魔。やはりこれは何らかのコンビネーション!?)

「にゃあ」(な、なんやて!? 二組やと!? あ、姐さん、ここはヴィヴィの姉御とクリ坊に助ってもらうしか!!!)

「ザフィーラ、子犬フォームお願いや」

「御意」

 はやてがなのはを挟むようにしてフェイトの反対側に立つ。

「なんや、楽しそうやから、私も混ぜてな?」

(はやてさんまで!? しかも、ザフィーラさんと!? ど、どうしましょう!?)

 高まる緊張は魔力の塊となり、周囲に警戒を呼び掛ける。
 そして、全ての魔導師がこの場に注目せざるを得なくなり、集いはじめる!!

 まずは……

「うおおおおおっっ!!!」

「トーマ、駄目だよ!」

「いや、いくらなんでも、三対一なんて見てられない! 例え管理局三大魔女が相手でも!!」

「でも、トーマ、戦ってる訳じゃないみたいだよ?」

「え……あれ、これは」

「ペット自慢大会?」

「でも使い魔さんもいるし、なのはさんはユーノさんを連れているよ? ……パートナー自慢かな?」

「だったら……俺にはリリィがいる!」

「え、トーマ……」

「何処に出しても恥ずかしくない、俺のパートナーだ!」

「トーマ……そんな……照れるよ」

「おおおおおっ!!」

「え、ちょっと、トーマ!」

 リリィを抱え上げて、現場に到達するトーマ。
 俗に言う駅弁スタイルになっているが、当人達にはわかっていない。
 勿論、なのはたちも良い子なのでわかっていない。
 アインハルトも清く正しい子なのでわかっていないことは言うまでもない!! 闇討ちはするけれど清く正しい子だ!!

「にゃあ!」(な、なんやて!? 駅弁スタイルやとぉ!!??)

「きゅー」(駅弁だって!?)

 二人ほどわかっていたりする。

 そして、この場に駆けつけるのはトーマたちだけではない。

「リニス! 来なさい!」

「プレシア? 私を……私を必要としてくれるのですか……」

「……プレシア。忘れたの? 私の使い魔はリニス、貴女一人よ」

「ああ……プレシア……」

「さあ、こっちに来て、私の手を取って」

「はい……あの……」

「わかってるわ、リニス。最初は優しく……ね……」

「いえ、私はプレシアなら……いくら激しくても、嬉しいです」

「まあ。良い子ね、それじゃあ……」

「はい」

 プレシアがリニスの背後に回る。
 その手がリニスの腰に触れ……

「え、プレシア、いきなり私を持ち上げ……いや、それはさすがに、年齢を……」

 グキッ

「え、今、何か腰からグキッて音が、プレシア? プレシアーーーーーーっっ!!!???」

 消失していく二人。

「よし、我らも主に続くぞ! ヴィータ!」

「え、あたしに何しろって……」

「このネコミミと尻尾と肉球グロープをつけろ!」

「おい」



「お姉ちゃん!」

「ええ、行くわよ、姉妹百合の力見せてあげる!」

「いや待って、それなんか違う」

「照れなくてもいいって。お父さまが何のために私たちを姉妹にしたと思ってるのよ」

「いやいや、って、ええええ、そんな理由なの!?」



「ボクだって、可愛いぞ!」

「ええ、レヴィは可愛いですね」

「どさくさに紛れて何を言い出すか、シュテル」

「王も可愛いですよ?」

「ば、馬鹿者!! 我を煽てても何も出ぬぞ」

「ディアーチェはシュテルとそのような関係に……」

「ま、待て、ユーリ。誤解するな、これは……」

 拡大していく騒ぎを、離れたところからぽつんと見ている聖王様一人。

「……どうすればいいかな、クリス」

(……) ← もうどうにでもなれのポーズ



  終われ


著者:野狗 ◆NOC.S1z/i2

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メンバーのみ編集できます