13 名前:借り暮らしのスカリエッティ [sage] 投稿日:2010/07/11(日) 16:54:57 ID:5bDhq6EQ [2/7]

借り暮らしのスカリエッティ


 ナンバーズの女の子たちにはちょっとした疑問があった。
 それは自分たちが生活しているこの研究所についてだ。


「ねえねえドクター、いっこ聞いていいッスか?」

「おやウェンディ、どうしたんだい?」

「実は前から気になってる事があるッス」

「ほほう?」


 アホの子要員たるウェンディが改まって一体何を聞きたいのか、無限の欲望ことスカリエッティは首を傾げて聞き返す。
 そしてウェンディはこう問うた。


「うちの基地で使ってる水道とか電気とかガスって一体どうなってるんスか?」


 と。
 なにゆえウェンディはこのような質問をするのだろうか。
 スカリエッティの基地にはちゃんとガスも水道も電気も通っている。
 しかし施設内のどこにも発電機はないし、近くに水源もない。
 では一体どこから来ているというのか。
 施設内の構造を知る者なら少なからず疑問に思うところではあった。
 そんなウェンディの問いに、スカリエッティは幾分の間を以ってこう答える。


「簡単なことさウェンディ、これはよそから引いてきたものなんだ」

「よそから?」

「そう、よそから」


 実はだね、と言い、彼はこう続けた。


「借りてるというか、拝借しているというか、つまりは……」

「つまりは?」

「ぶっちゃけて言うと外の町からパクってます」

「パクってるんッスか!?」

「うんそうだよ」

「てか……セコいッスね」

「ははは! 倹約と言って欲しいね」

「ガスも電気も町から勝手に引いてるッスか?」

「もちろんさ。あ、でも一つだけ違うな」

「何がッスか?」

「浴場で使う水の量は多いから普通の水道とは違う場所から引いているんだ」

「どこからッスか?」

「なんと山向こうの温泉だ」

「うちのお風呂温泉だったんッスか!?」


 と、嬉しそうにはしゃぐウェンディだが、そんな彼女にスカリエッティはこう付け加えた。


「ただし残り湯だけどね」


 ああ、そういえばやたら陰毛やらなんやらが湯船に浮いてたなー、と思い返すウェンディ。
 日常に付きまとっていた謎が一つ解け、乙女はこうのたまった。


「お湯くらいケチってんじゃねーッスよ!」


 叫びと共にウェンディの放った鉄拳はスカリエッティの顔に深々と命中した。
 そして誰が考えようか。
 よもやこのケガが原因でスカリエッティはJS事件においてフェイトに遅れを取ったなどと……


終幕。


著者:ザ・シガー

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メンバーのみ編集できます