[105] バカ sage 2007/09/27(木) 21:47:43 ID:M4cqvfNb
[106] バカ sage 2007/09/27(木) 21:49:26 ID:M4cqvfNb
[107] バカ sage 2007/09/27(木) 21:51:10 ID:M4cqvfNb
[108] バカ sage 2007/09/27(木) 21:52:53 ID:M4cqvfNb
[109] バカ sage 2007/09/27(木) 21:54:33 ID:M4cqvfNb
[110] バカ sage 2007/09/27(木) 21:56:19 ID:M4cqvfNb
[111] バカ sage 2007/09/27(木) 21:58:02 ID:M4cqvfNb
[112] バカ sage 2007/09/27(木) 21:59:02 ID:M4cqvfNb

ここは、時空管理局データベース、無限書庫。
そこにある3人がいた。
もっとも、その内2人は何かに夢中になっており、もう1人がすぐ後ろにいることに、全く
気付いていないのだが。
「なのは、ユーノ、あのさ…」
揃って楽しそうに何かを見ていた2人は、後ろからかけられたフェイトの声に振り返った。
また、見てるんだ…
2人が見ていた何かを認識し、やっぱり…、と心の中で溜息を吐いた。
「フェイトちゃん、どうしたの?…あ、フェイトちゃんも見たい!?」
満面の笑みで尋ねてくるなのはに、足が下がりそうになるが、なんとか耐え、フ
ェイトは、返事をする。
「そ、そうじゃなくてね…」

「あいつ、本当に大丈夫か?」
「うーん…不安やけど、ここはフェイトちゃんに任せてみるしかあらへん」
はやてとヴィータ、それにシグナムは後ろで棚に隠れながら様子を伺っていた。
ここでなんとか断らなければ、幾度となく味わったなのはとユーノの長時間一方的お話タイ
ムに突入してしまう。
「なのは、それはフェイトも何回も見てるよ」
息を吸い、喋ろうとしたフェイトを、ユーノの言葉が止めた。
自分の考えとユーノの言葉は、違うのだが、とりあえず危機から逃れたことに安堵して息を
吐く。
だが、ユーノもそんなに甘くなかった。
「最近のは、こっちだから…」
立ち上がったユーノは、棚に並べられた本の背表紙を眺め、1冊を手に取った。
「これは、フェイトもまだ見てないはずだよ」
「うん!ほら、見て見て!」
開いた本をなのはは、フェイトに突き出す。
それと同時にはやて、ヴィータ、シグナムは、溜息を吐いて、散っていった。
開かれた本、正確にはアルバムの中身は、ヴィヴィオ、ヴィヴィオ、ヴィヴィオ。
2人の前に重ねられたアルバムに詰められた写真と同じように、どこをどう見ても、全てヴ
ィヴィオの写真である。
「これは、運動会の時のアルバム、その1でね」
白目を剥きかけているフェイトに気付かず、なのはは喋り続ける。
というか「その1」ってどういうことだ。
「これは、運動会の朝、まだ寝てるヴィヴィオでね。顔を洗うヴィヴィオで、朝食を食べる
ヴィヴィオ!」

それは、運動会の朝といつもの朝とで、一体何が違うのか、フェイトには、分かる気が全く
しなかった。

はーるーかーそらひびいてるーいのーりはーきーせきにーーー
「これは、行進の時の写真で…フェイトちゃん、聞いてる?」
「え?あ、うん、聞いてるよ…」
現実から逃げようと、頭の中で持ち歌を響かせていたフェイトは、全てヴィヴィオの行進の
写真で埋まった2ページを楽しそうに説明していたなのはの訝しげな声に、現実から戻って
しまった。

どうすればいいの…この親バカ…いや、バカ親は…

六課が解散し、ヴィヴィオが正式に高町の姓を得た。
俗に言うシングルマザーとなったなのはに力を貸したのは、ユーノだった。
周りは、10年間、親友を越える絆を持ちながら親友から抜け出せていなかった2人が、1
歩進むのを期待し、見守っていた。
ヴィヴィオもすぐにユーノに懐き、パパと呼び始め、誰も不安など抱かなかった。
2人が恋人を飛び越えて、夫婦・親の顔となったことに苦笑したが、こそこそと「2人はい
つ結婚する」かなど、噂をしていた。
そして、皆、ヴィヴィオがどんな風に成長していくか楽しみに思っていた。
だが、余計なほどその経過を知ることになる。
2人に見せられる写真や映像によって…
更に2人の行動は、皆の予想の斜め上を突き抜け始める。
授業中のヴィヴィオを撮影するなんて可愛く思えるほどに…

元犯罪者達が徒党を組み、管理局に復讐を企てたことがあった。
勿論、エース・オブ・エース、高町なのはも駆り出され、ヴィータと共に空を制していた。
だが、ヴィータはなのはの動きに違和感を感じていた。
そわそわしながら大威力の砲撃を味方すれすれで放つなど、普段のなのはとは思えない。
勿論、味方に当たらないように計算されているのだが。
そして、管理局に形勢が傾いた頃、ヴィータは、なのはの姿が消えたことに気付いた。
あのなのはが撃墜されるはずがない、と周りを見渡すとなのはを発見した。
既に小さくなった後姿のなのはを。
「何処行くんだよ!」
何か気付いたことがあるのか、それとも不確定要素が具現化したのか。

だが…
「ごめんね!もうヴィヴィオの授業参観の時間なの!」
その言葉に呆然とするヴィータを置いて、なのはの背中は空に消えた。
エースを欠いて、崩れた陣形を立て直す為、ヴィータは、駆け付けたシグナムと共に、獅子
奮迅の活躍を見せ、表彰されることなった。

ジェイル・スカリエッティの裁判が行われた際、ある理由で裁判が滞った。
スカリエッティが利用したロストロギア、ジュエルシードとレリック、更に聖王のゆりかご
の資料が、無限書庫から届かなかったからである。
急いで無限書庫に連絡取った局員に返ってきた答えは、「司書長が娘の正装を買いに行く約
束があると言って帰宅してしまいまして」というもの。
この件を被告人であるスカリエッティに好き放題言われ、管理局は恥をかくことなってしま
った。

他にもなのはが、3提督との会合を「今日は、ヴィヴィオと初めて会った日だったの!」と
ドタキャンをかましたり、ユーノが上層部に提出を求められていた資料を、ヴィヴィオの成
長日誌を置くスペースを確保する為、捨ててしまったりと、目も当てられない愚行に及んで
いた。
管理局では、2人を解雇するという意見も出たが、なのはとユーノの力は、大きく、特にユ
ーノがいなくなれば無限書庫は、動かなくなり、元の放置状態に戻ってしまう為、それは、
出来なかった。
だからと言って、本人に伝えても「ヴィヴィオが可愛いから仕方ないの!」という、理解不
能な返答しか返ってこなかった。

故に上層部は、なのはとユーノと親しいフェイトやはやてに、どうにかするように命令を出
したのである。
毎日のように送られてくるヴィヴィオの写真や会う度に、見せられる成長日誌に困っていた。
フェイトやはやてもどうにかしようとしたのだが、どうにもこうにもならないのである。

今回もフェイトが、直接言おうと2人の元へ向かったのだが、
「ほら、こっちの写真、ヴィヴィオ、頬っぺたにご飯粒付けて可愛いいだろ?」
なのはとユーノのマシンガントークにフェイトはぐったりとしてしまっている。

先程までは、今、ユーノが指差している運動会アルバムその2が終われば、開放されると思
って、耐えていたのだが、ふと目をやった棚にその3の存在に気付き、全てを諦めてしまっ
た。
だが、天の助けがフェイトに舞い降りた。
「フェイトー、なんか管理局の人が来て、フェイトを呼んでるんだけど」
自分の使い魔アルフの声に、フェイトは光を見出だした。
「あ、うん。今、行くね。…じゃあ、ごめんね。なのは、ユーノ」
「うん、またね、フェイトちゃん。また、今度、写真沢山見せてあげるね」
一応、謝罪を述べるフェイトは、なのはの言葉に頭が少し痛んだが、なんとか取り繕って、
2人の元を後にし、アルフと並んだ。
「ありがとう、アルフ。嘘、なんだよね?」
「うん」
フェイトの言葉にアルフは、ふふ、と笑って答えた。
「アルフも大変?」
フェイトの質問にアルフは、大袈裟に盛大に溜息を吐いた。
「大変も大変!」
聞こえるかと思うくらいの鼻息を噴射して、アルフは話す。
「もう大切な資料かと思ったら、ヴィヴィオの写真だったり、論述会の誘いなんて、受けて
おいて、その日になると、ヴィヴィオがどうたらこうたら言ってドタキャン。問い合わせの
電話がこっちにかかってくるし…管理局は管理局で、私達に文句言うし、どうすればいいん
だい、本当に!」
言いたい放題吐き出すアルフをフェイトは、苦笑しながら見ていた。

「はやてもヴィータもシグナムも酷いよ」
現在、作戦会議中。
フェイトは、昨日、自分をほったらかしで帰った3人を恨めしい目で見ている。
「い、いやぁ、仕事があったんよ」
はやては、頭を掻きながら苦しい言い訳をしていた。
「そ、それよりこの問題をどうやって解決するか考えなあかん…」
逃げるように話題を本題へ戻す。
「なーんか、私らが減俸って話もちらちら聞こえてんだけど」
パリパリと噛んだ煎餅をオレンジジュースで流し込み、ヴィータが告げた。
八神家は5人いるので、大したマイナスにはならないし、フェイトだって母と兄がいる。
それに19になってプレゼントを上げる彼氏もいないので、貯えは十二分にある。
それでも、親バカ2人のせいで、自分達が減俸を受けるのも気に食わない。

既になのはとユーノは、減俸を受けているが、2人共貯金も充分にある。
ただ、ヴィヴィオの洋服やらおもちゃやらを馬鹿みたいに買い漁っているが。

「なのはちゃん達は、3人で幸せな一時ってのを過ごしとるんかなー」
何が悲しくて、自分達はこんな会議をしなければ、いけないのか。
はやては、呟くとオレンジジュースを一気に飲み干した。

結局、具体的な解決策は何も見付からないまま、解散となり、フェイトは1人、マイカーで自
宅への帰路を走っていた。
本当にどうしたものかと思う。
あの2人には。
「?」
とぼとぼと力の抜けた足取りで自室の前に着くと、そこに2つの影を確認した。
「えっと…」
その影の正体は、体操座りをしたなのはとユーノ。
その顔に生気は無い。
「どうしたの?」
見たことのない落ち込んだ顔の2人に尋ねたが、何も返答が無い。
「と、とりあえず中に入ったら?」
カギを開けながら喋りかけるが、2人に反応は全く無い。
あまりの生気の無さに、生き霊と呼ばれるものではないかと、目を擦ってみるが、なのはも
ユーノも確かにそこに実体として存在していた。
「ヴィヴィオは?」
これならば反応するだろうと思い、声に出した名前。
その思惑通り2人は、ビクっと反応した。
「ヴィヴィオ、ヴィヴィオ、ナンデ…」
ぶつぶつと呟くのは、愛しい娘の名前。
異様な様子にフェイトは一歩後退する。
「ヴィヴィオがどうかしたの?」
「ヴィヴィオ、ヴィヴィオ、ヴィヴィオ、ヴィヴィオ」
フェイトに問いは無視され、2人はぶつぶつ呟くのみ。
…ブチ
「ヴィヴィオ、ヴィヴィオ、ヴィヴィヴィヴィヴィヴィーーー!!」
放れたのは、電撃。
痺れを切らしたフェイトは、2人を痺れさせた。
電撃が体を走り、動けなくなった2人をフェイトは引きずりながら部屋に入った。
「で、どうしたの?」
2人を正座させたフェイトは、理由を尋ねた。
「…」
バチバチバチバチ
「んぎゃ!…今日、ヴィヴィオの学校、遠足だったんだけど…」
膝に電撃を食らったユーノは、仕方なく喋り始めた。
カシャカシャ
「今日は、晴天に恵まれ……遠足日和となりまして……」
カシャカシャ
「えぇ、…保護者の方、気持ちは分かりますが、写真撮影は下がって行われるようお願いし
ます」
カシャカシャ
「えーと、そこの方…」
カシャカシャ

「あなた達ですよ!ユーノ・スクライア司書長と高町なのは教導官!!」
「「え?」」
挨拶をする校長より前に出て、ヴィヴィオの写真を撮っていたなのはとユーノは、名前を呼
ばれて、ようやく振り返った。
保護者と生徒達からくすくすと漏れる笑い声にヴィヴィオは、頬を染め、顔を下げた。
すみません、と頭を下げて、退いていった2人。

「ヴィヴィオのお父さんとお母さん、面白いね」
歩きながら友達に言われた言葉に、ヴィヴィオは、溜息を吐く。
「でも、無限書庫司書長とエース・オブ・エースなんでしょ?凄いなぁ」
そんな羨望もヴィヴィオには関係無かった。
ヴィヴィオは、最近、気付いた。
自分の親(と言っても正式にはなのはだけだが)が明らかに異質であることを。
魔力や地位のことではない。
異常なほどの愛情のことである。
再び、溜息を吐いて、ヴィヴィオは横で自分の写真を撮っている2人を見た。
にんまりと笑って手を振る2人に三度、溜息を吐くのであった。

カシャカシャ
「えー、皆さん分かっていると思いますが…家に帰るまでが…」
カシャカシャ
「遠足です…あの…保護者の方…」
カシャカシャ
出発の時と同じ展開に、校長が再び、名前を叫ぼうとした瞬間、違う声が響く。
「ママ!パパ!」
その声の正体は、光。
次の瞬間、光が解け、中から10歳ほどの少女が姿を現す。
何が起きたか分からない教師、生徒、保護者は完全に呆けている。
「ヴィヴィオ!」
その中で唯一、何が起こったか理解したなのはが声を上げる。
「あれが…」
その声にユーノが反応する。
話だけは、なのはから聞いていた。
10歳ほどの姿になったヴィヴィオと戦ったことを。
カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ
ユーノは、迷わずシャッターボタンを連打した。
娘の成長した姿を一足先に記録出来ることにユーノは、感激していた。
なのはと同じようにサイドポニーなんだ。いやぁ、可愛いなぁ。でも、あのBJ(みたいな
もの)は、可愛くないなぁ。ヴィヴィオには、なのはのBJみたいな白い清純派のBJが似
合うはずだ。そうだ、今日は帰ったらなのはと一緒にヴィヴィオのBJをデザインしよう。
それにしても可愛いなぁ。

そんなことを考えながら、シャッターを連打しつ続けた。
もっと近くで撮りたい、と近付くユーノをヴィヴィオは、鋭い視線で見ていた。
なのはもユーノの横に着き、近付いていく。
突如、成長し、有り得ない魔力を発する女の子とその写真を撮り続ける無限書庫司書長とエース・オブ・エースという
不気味な状況に他の者は一歩動けなかった。
「いやぁ、可愛いなぁ、いでっ」
カメラとヴィヴィオとの距離が突然、0になり、カメラは、木っ端微塵となった。
カメラがあった場所にあるのは、ヴィヴィオの拳。
なのはとユーノは、漸くヴィヴィオが怒っているのに気付いた。
「いくらすごくても、周りに迷惑かけたら意味ないよ。ヴィヴィオの言ってること間違って
る?」
「ぬぶぇ!」
こんな状況でも、怒っててもヴィヴィオは、可愛いなと考えていたユーノの機微に気付き、
その瞬間、ユーノは、ヴィヴィオの拳を受け、校舎の壁にめり込んだ。
「!ユーノく…!?バインド!?」
バインドに絡められ、動けないなのは。
何処かで見たことのある状況になのはは、冷や汗をかく。
「ママ、見ててね」
そう囁いたヴィヴィオが上げた右腕に、星が集まっていく。
壁にめり込んだユーノは、予備のカメラを手に取った。
「それでも、僕は、写真を取りたいんだ!」
収束砲を放つヴィヴィオを写真に収めないわけには、いかない。
「少し、頭冷やしてね…スターライト…」
「うおぉぉぉぉぉ!」
カシャカシャカシャカシャ
「ブレイカー!」

星はユーノを飲み込んで校舎を薙ぎ倒していった。
末恐ろしい娘に汗を滝の如く流すなのはだったが、自分が知っているシチュエーションでは
、自分はターゲットには、ならない為、安心していた。
「次は、なのはママの番だね…」
「れ、れれ、レイジングハート!」
焦ったなのはは、レイジングハートを起動させようとするが
「なんで!?」
レイジングハートは、反応を示さない。
レイジングハートも怒っていた。
なのはがなかなか仕事を頑張らない為、最近、自分がやったことは、カメラのメモリーの予備とバッテリーの予備の仕
事だけである。

「スターライトブレイカー」
もはや、なのにに思考させる暇を与えず、ヴィヴィオは、なのはに星を放った。

「そ、それで、ヴィヴィオは今何処にいるの?」
混沌とした状況なんだろうな、と考えながらフェイトは聞いた。
一体何処に10歳の娘に説教される親がいるというのだ。
「ヴィヴィオは、家にいるの…でも、入れてくれないの…」
扉に近付こうとすれば、向こう側からとんでもないチャージ音が聞こえてきるらしい。
娘に閉め出される親もそうそういない。
「ヴィヴィオ…ヴィヴィオー!」
「ヴィヴィオーヴィヴィオー!うわーーーん!!」
「うわーーーーん!」
「…私はもう寝るから」
突如、泣き出した2人にフェイトは頭を抱えて、ベッドルームに向かった。
「もう放っておこう…」


「「うわーーーん、ヴィヴィオーーー!!!」」
「うるさい!」
バチバチバチバチ
「「ギャーーー!」」

END


著者:31スレ104

このページへのコメント

なのはとユーノが悪い。
ヴィヴオの物凄いチャージ音って…。

0
Posted by 海坊主 2012年10月01日(月) 02:13:14 返信

仲直りするパターンが見たいです

0
Posted by 金子 2010年09月02日(木) 19:33:27 返信

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