[154] 名無しさん@ピンキー sage 2007/09/12(水) 03:21:00 ID:zcbccoM8
[155] フェイトさん sage 2007/09/12(水) 03:24:10 ID:zcbccoM8
[156] フェイトさん sage 2007/09/12(水) 03:27:58 ID:zcbccoM8
[157] フェイトさん sage 2007/09/12(水) 03:30:36 ID:zcbccoM8



 暴走フェイトさん

―ははは、はははははははは、はーはっはっはー
震えた。
この男、ジェイル・スカリエッティの言葉にフェイトは震えた。
そう、正に狂喜乱舞。
スカリエッティは言った。
「ナンバーズに子供仕込んだ(意訳)」と。
その子供は生まれながらにして、スカリエッティの記憶を持っている。
そうなれば、直接的な性行為で仕込んだわけではないだろう。
ならば、遺伝子を利用した可能性がある。
その技術を応用すれば…すれば…すれば!!!
私 と なのは の 子供 を 作れる !!!
―落ち着け、落ち着くのよ、フェイト・ハスタロッサ・テラオウン…違った
 落ち着くのよ、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン
最優先は事件の解決。
スカリエッティは恐らく裁判にかけられる。
隙を見計らって誘拐。
技術をこちらに流せば、逃がすと交渉する。
―完璧、完璧だ。
 私となのはの子供の為に!!
エリオとキャロが「戦って」と叫んでいたのも耳に入らず、
フェイトはスカリエッティをホームランにした。

なんとかかんとか事件は解決。
今は、その事後処理に負われている機動六課。
フェイトは、何時何処で拉致を敢行するか模索していた。
だが、なかなかいい隙を発見することが出来ない。
それはそうである。
スカリエッティは、その辺の犯罪者とは、やらかしたことが違うのだ。
拘置から裁判、裁判から禁固、もしくは処刑まで厳重な管理体制が敷かれている。
―こうなったら…!
フェイトは、席を外し、電話をかけた。

「どうしたんだ?」
相手はキョ…クロノ。
「お兄ちゃん、私の言う通りにしてくれたら例の写真をネガごと渡すよ」
単刀直入に切り出す。
電話の向こうでは、写真の言葉にクロノが「うっ」と声を漏らした。


間髪入れずフェイトは続ける。
「断れば写真をエイミィや母さんはもちろん、お兄ちゃんを知っている全ての人に送る」
クロノは震えていた。
あの写真をバラまかることは、社会的な死を意味する。
母、リンディ・ハラオウンに見られることは、精神的な死を意味する。
妻、エイミィ・ハラオウンに見られることは、肉体的な死を意味する。
「分かった、それでどうすればいい?」
フェイトは、ニヤリと笑った。

「ジェイル・スカリエッティ、聞きたいことがある」
作戦は成功し、今、フェイトはスカリエッティに質問を行っている。
管理局は、スカリエッティが拉致された、ということで大騒ぎになっている。
「おやおや、こんな事を仕出かして一体何を知りたいんだい?」
まさか、このプロジェクトFの残滓がこんなことを仕出かすとは、流石に思っていなかったが
彼女は自分の望み、欲望の為だけに動いている、という事実に口元を緩めた。
「ナンバーズを孕ませた方法を教えなさい。答えるなら貴方を逃亡させることを約束します」
「くくく、ははは」
思わず笑った。
法を司る者の台詞では、決してない。
目的は分からない。
誰か、既成事実を作りたい男でもいるのだろうか…
面白い、非常に面白い。
「いいでしょう、教えますよ」

「この技術には、精子や卵子の類は必要ありません」
―キターーーーーーーーーーーー!!!
スカリエッティの視線も気にせずフェイトは力強くガッツポーズを作った。
「それで、リンカーコアが云々、遺伝子が云々」
スカリエッティの言葉を一字一句逃さず、フェイトはメモし続けた。
―名前は何にしようかな。 2人の名前を取ってフェのは、とか!なイト、とか!!
完全に有頂天のフェイトは、フュージョンでもしたのかのようなセンスの無い名前を頭に浮かべていた。
―男の子でも女の子でもきっと可愛い子が生まれるんだろうなぁ
 私となのはの子供だもん。
妄想でよだれまで垂らし始めたフェイトに、スカリエッティも流石に退いた。


「ありがとう、スカリエッティ」
満面の笑みで謝礼を述べると、約束通り拘束を解いた。
早く去った方がいい。
管理局が迫ってくるのもあるが、何よりも未だ妄想の中で
花を咲かして笑っているこの女が恐ろしく不気味だったからだ。
しかし、ここで科学者の性が出てしまう。
どうしてそうなるのか理論を説明したくなってしまうのだ。
それがフェイトを、そして自分をも地獄に落とすことを知るよしも無かった。
「こ、この方法は男性のY染色体を利用するというのがポイントでね」
フェイトの妄想が止まった。
―この男は、今なんと言った?
 男性の?Y染色体?は?はぁ?はぁぁぁぁぁぁぁ???
―何かマズイことを言ったのか…?
明らかに変わった空気にスカリエッティは、焦りの表情を浮かべた。
重苦しい空気の中、フェイトが口を開いた。
「…女の子同士では?」
「無理」
フェイトの夢は、崩れ去った。
たかが2文字に打ちのめされ、orzとなるフェイト。
―糠喜びさせやがって…この野郎…
フェイトの周りにバチバチと電撃が飛び散る。
「わ、私はもう行かせてもらう」
非常にマズイと感じたスカリエッティは、脱兎の如く逃げ出した。
だが、次の瞬間、フェイトが目の前に現れる。
『Homer hit out of the park』
バルディッシュの声。
次の瞬間、世界のホームラン王、王貞治も真っ青の特大のホームランをフェイトは、放った。
スカリエッティは瞬く間に、小さくなり、そして消えた。

「…そ、そんなぁ…」
絶望の風に晒されフェイトは、気を失った。


「う…」
「あ、フェイトちゃん!」
目を開いていくと愛するなのはが見えた。
―私のなのは…
「おはよう、なのは」
暢気なフェイトになのはは、溜息を着いた。
「おはよう、じゃないよぉ。心配したんだからね。なんであんな場所で倒れていたの?」
フェイトにゆっくりと記憶が戻る。


―そうか、私は…
再び、絶望に打たれる。
あれほどやったというのに全ては無駄だったのだ。
「とりあえずスカリエッティは見付かったから安心して。
理由は分からないけど、本局の外壁に頭から突き刺さってたらしいの。
生きてはいるけど、記憶を失っててちょっと大変な状況みたい」
「そう」
気の無い返事を返すフェイト。
まだ元気が出てないのか、となのはは心配になる。
「フェイトちゃん」
なのはの声に視線を上げると、すぐそこになのはの笑顔があった。
「元気出して」
―こ、ここ、これは…キスシーン!?
またも不埒な妄想を始めるフェイトだったが、なのははすぐに離れて、ガックリした。
「ヴィヴィオも無事に帰ってきたんだし、元気出してね」
そう告げたなのはの顔は、美しくフェイトはドキッとした。
そして、久し振りに素直な笑顔を浮かべた。
―なのはと一緒に生きていければ、私はそれでいい。


「それで、ね…?」
綺麗に終わらせろよ、と思ったフェイトだったが、顔を赤く染め、
指先を弄りながら照れるなのはに再びドキッとした。
「私ね…誰にも言ってないんだけど…ね」
―こ、ここ、これは愛の告白!?
またも妄想に突入するフェイトだったが、照れているなのはの言葉が全てを砕いた。

「ユーノ君の子供、妊娠しちゃった」






バキッ





著者:28スレ154

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