[115] 114 time heals(1/6) sage 2007/11/18(日) 15:05:44 ID:MhqtY60U
[116] 114 time heals(2/6) sage 2007/11/18(日) 15:07:34 ID:MhqtY60U
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[120] 114 time heals(6/6) sage 2007/11/18(日) 15:16:01 ID:MhqtY60U

クラナガンの中心街、ショッピングモールの間を壮年の女性が歩いていく。
身なりもきちんとしており、社会的に成功しているのがわかる。

そんな彼女の足元にボールが転がってきた。
彼女が足を止め、ボールを拾うと、そのボールを追いかけるように
小さな女の子がこちらに向かって走り寄り、ペコリと頭を下げた。
「ボールを拾ってくれてありがとうございます」
その女の子は縁に不思議な文様が描かれたローブを着ており、非常に愛らしかった。
女の子には連れがいた。
それは人ではなく、次元世界では、非常に珍しい竜の子らであった。
女性は微笑すると、「はい」と言ってボールを渡した。
そうして言葉をつづけた「めずらしいわね。竜の子を連れているなんて」
女の子はこういった「そうなの?私の生まれた所はたくさんいるの」
「今日はどうしてここに?」
「パパとママが大切な人に合いに来たんだって、今は管理局の人と向こうで話をするから、
少しの間、みんなと遊んでもらってなさいって」
隣にいた竜たちが「キュクルー」と鳴いた。
「竜の子供たち?実物を見るのははじめて。お嬢さん、遠くの世界からミッドチルダに来たの?」
「うん」
そうして女の子と女性はとりとめの無い会話をした。
女の子はアルザスという遠い世界で生まれ、母親と暮らしていること
父親は管理局の本局で仕事をして、たまに家に帰ってくること。

女性も話した、次元世界で多くの会社を経営する富豪であること。
多くの孤児院を運営して、子供たちを育てていること。
今の仕事は、亡き夫から受け継いだこと。

「おばちゃん、すごいんだね・・・どうしたの?」
女の子と話しているうちに、女性は泣いていた。
「ううん、何でもないのよ」
「ママが言ってた。“泣いている人がいたら、話を聞いて優しくしてあげなさい、
そしてその人のためになることを精一杯してあげなさい”って」

「・・・ありがとう。あなたの両親が戻ってくるまで・・・」
そうして女性は静かに語り始めた
「今から10年以上前、おばさんにもね、あなたと同じくらいの年の男の子がいたの
あなたは女の子だけど、雰囲気がとてもよく似ていて」
「私とお父さんとその男の子と家族3人で暮らしてて、本当に楽しかった。
でもね、ある日、男の子は連れていかれちゃったの」
「何かあったの?」
「その男の子は私たちの本当の子供じゃなかったの連れて行った人たちに、
私たちの子供じゃない。そう言われて、その時、離れたくないといって泣いていたその子の手を離してしまったの」
「パパとママと離れ離れになっちゃうなんて、かわいそう」
「本当は私も離れたくなかった。本当は・・・後悔・・・して」
「・・・(スッ)」
女の子は無言で泣いている女性の足にやさしく自分の手をまわした。
身長差があるため女の子なりに精一杯のハグだった。
「おばちゃん、その男の子に会いに行こう。男の子も会いたいと思っているよ。
私もお手伝いする!!」
「ありがとう。本当にありがとう・・・でももういいの。その言葉だけで十分よ」

たぶんあの子は私たち許してくれない。夫も亡くなる前に
(あの子を・・・「エリオ」を死んだ息子の代わりとしてではなく、
「あの子自身」として見てやれば良かった)
そういっていた。悔やんでも、悔やんでも、私たちにはあの子に謝る資格さえ無いのだから。
「お嬢さん、話を聞いてくれてありがとう。ところであなたのお名前は?」
「とても長いんだけど、ミア・ル・ルシエ・モンディアルっていうの。」
モンディアル?まさか
「あっ、パパ、ママ!」
女の子と竜たちが駆け足で寄った先に二人の若い男女がたっていた。
男性の方は管理局の青色の仕官制服に身を通した、長身の立派な青年であった。
赤髪に精悍な顔立ち。
女性の方はピンクのセミロングの似合う美人であり、女の子と同じく珍しい文様のローブをまとっていた。

青年と女性はお互いに誰なのか、すぐにわかった。
女性が申し訳なさそうに、顔をうつむかせると青年がゆっくり歩み寄り
優しくこういった
「ただいま、“かあさん”」
彼女は顔を上げ、涙を流しながら青年を抱きしめこう言った
「おかえりなさい“エリオ”」




著者:38スレ114

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