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K-016

ギルタリの関係、婚姻統制について


ギルバートとタリアの関係について、はっきりした描写が出たのは5話と29話です。

29話・・・本編の約10年前、ギルバートは恋人だったタリアに、「子供が欲しいから、婚姻統制に従うの。あなたとは別れるわ」とあっさり振られる。
.・・・いや、あっさりというかなんというか・・・・・・このタリア、すごく鬼畜な真似をしてくださってます。
ギルバートとタリアは、夜景の綺麗な橋の袂近く(ベイブリッジとかそういう感じだなぁ)で別れ話をするのですが・・・・去っていくタリアを見送るギルバートの目の前に、横から現れてタリアの肩を抱いて寄り添う、コートの男が出現!
.・・・・・・わ、別れを切り出したその場に、次の男を呼んで待機させておくか、普通?! 以前からその男のことを知っていて、タリアを渡さないとギルバートが啖呵切ったことがある、と・・・そういう話ならわかるけど・・・・・多分、そうじゃない。
こんな真似されても、まだタリアを恨みもせず一途に思い続けていた・・・というキャラなら、それはそれでいいのだが・・・・・・


5話・・・デュランダルはバスローブ、タリアは素っ裸でシーツを纏っているという描写が出てきます。・・・これがあるかないかで、かなり見方が180度違ってくると思うのですが。

「相手は子供を持ちたいという希望だったから、別れなければならなかった。だけど、彼女に受け入れられないとしても、まだ好きだという気持ちだけは止められない!」という路線ならともかく、「相手には家庭があるのに、艦で出会ったらすぐさま抱き合ったような愛人関係」・・・・・・って、おいおい!

かなり重要なことなのに、最後までタリアの夫の詳細、今現在の生死すら不明のまま終わりましたし、未亡人or離婚してるとすれば、恋人で問題ないという解釈も出来ます。しかしそうすると、今度はデュランダルが何でこんなにタリアを好きなのに、結婚出来ないのかがわからない。
1人子供生んでも、婚姻統制の定めからは解放されないってこと? 離婚か死別しても、次の相手は相性の良い相手じゃない限り結婚が許されないって事? 
.・・・いや、(この時点の)タリアはデュランダルを好きじゃない、デュランダルなんかよりも息子が、息子との幸せの方がずっと大事だった。だから離婚or死別した夫の代わりの人と結婚するのも嫌だったが、議長とよりを戻す気もなかった・・・のか?

.・・・・・・しかし、それにしては、何故この時点で体の関係になるんだ・・・少なくともミネルバ艦長に決まる前あたりから愛人関係が続いていたから、と見るのが普通だ。だから「グラディスなんぞに言われなくてもわかってる!」と別の艦の艦長に言われたんだろうから。この言葉に含まれる意味は、「議長の愛人だから、最新鋭艦のミネルバの艦長が、グラディスなんぞに決まったんだろう!」っていう所だろうな。

.・・・タリアの息子がコーディとしては珍しい病気で、莫大な手術費用などがかかってしまうけど、それまでの地位の給与だけじゃ、それを治療する為の費用を捻出することが出来なかった、だからデュランダルと関係を持ったとかそういう可能性かも? 「私と関係を持てば、君にそれ相応の地位と給与を与えるよ」という誘い方をしたのかもしれない・・・心は手に入らなくても、体だけの関係・・・うーん、やっぱり爛れてる(苦笑)。
.・・・・・・そういうことじゃない限り、タリアの行動は意味不明。


ふと気づきましたが、デュランダルは何故、結婚していなかったんだろう?
ええと・・・今現代日本では晩婚化が進んでいますし、30過ぎて独身でもおかしいことはありません。
ですが、このプラント社会・・・・・・「婚姻統制」などという政策を掲げているので、あの世代以降の人々は出来るだけ早く結婚するべきだと奨励されているはずの世界なのですよ。

  • タリアが10年前程度の時期に結婚を決めて、20歳そこそこで子供を産んでいる。
  • それくらい若く(少なくとも25歳程度までには)結婚して子供を産み育てない限り、コーディネイターの人口は社会を維持出来る程度まで増えない(コーディの人口はどれ位、の項目参照)

一般人だったら、結婚が嫌だと逃げても・・・別に構いません。
でも、最高評議会議長という国のトップに選出された人が、婚姻統制という最重要な施策を無視して独身でよい、というのは・・・おかしいですよね。

まさか・・・デュランダルの遺伝子タイプに適合する婚姻統制可能者の数が少なく、しかも若い時に「結婚する気になれない・・・」と逃げていたせいで、婚姻統制可能者が全員他の人と結婚した後だった。だから、結婚しないでも良かったという落ち・・・かな。


さて、他の項目でも述べていますが、この婚姻統制という施策・・・なぜこんな政策をプラントは取ってしまったのでしょうか?

特に、「女性が自分の子供を産み育てたい」というだけならば、遺伝子的相性の善い人と結婚までする必要はありません。
その相性の良い相手から、「精子だけもらって人工授精」をすればよいだけです。


その前に、おそらく普通の人が勘違いしているらしい言葉を、少しだけ簡単に説明。
「人工授精」と「体外受精」は別のものです。そして、体外受精の一区分として「顕微授精」があります。

「人工授精」は、自然に一番近い状態の妊娠過程となります。女性の排卵される時期をコントロールした(タイミングを計った)上で、それに合わせて採取済みの精液を中に送り込むだけ。
一方「体外受精」は、排卵時期をコントロールしつつ、それに合わせて卵を体外に取り出します。そして、取り出した卵を精液と混ぜて受精させ、受精卵となったものをまた体内に戻します。そしてうまく着床して妊娠継続出来れば成功。
「顕微授精」は、精子の状態が極悪い時などに行うもので、状態の良いものをきちんと選んで卵子に送り込み、受精確率を高めるというもので、その後は体外受精と同じ。

で、第一世代コーディネイターは、体外受精・・・もしかすると、コーディネイトしやすくする為、最初から解析済みの卵子と精子を使った方が楽だというなら、顕微授精(精子を競争させて受精を偶然の手にゆだねるのではなく、あらかじめ最適だとわかっている精子を使用)した上で、出来た受精卵に対してコーディネイター化を行い、母親の体内に戻し、妊娠させるという過程を取っているはずです。
現実の体外受精の統計から言うと、着床&妊娠継続出来る確率は、実はとっても低いんですけどねぇ・・・普通は、流産なんていう状態より遙か前に関門があるんですけど・・・


とりあえず、つまり・・・「タリアが恋人として愛している相手ではなく、誰の子でも良いから欲しかった」というならば、普通は、今実際の現実世界でならば、「恋人とそのまま結婚した上で、他の男(相性の良い相手)の精子を使って、人工授精で子供を授かる(非配偶者間人工授精:AID)」という選択肢で、何の問題もないはずなのです。

なのに、何故あの世界、プラント社会ではそれが出来ないのかと言えば・・・・・・それとは、逆のことを考えてみると、わかりやすいかもしれません。

「ギルバートが、自分の子供を自分の手で育てたかった」という場合、男性側が自分の子を育てたいという場合は・・・どうでしょう?

タリアには、ギルバートの子供を生むことが出来ません。「相性の良い相手は、受精、着床ともに問題ない相手」という設定があるようなので、もしもギルバートと相性の良い相手の卵子をもらい、体外受精で受精卵にしたとしても、それをタリアの体内で育てることは、おそらく出来ないのです。つまり、ギルバートと相性の良い相手が妊娠出産するしか、ギルバートが子供を授かることは出来ません。
しかし、「必ず生んだ後は手放さなければならない子供」を代理母として育てても良いと思う女性が、それ程世の中に存在するでしょうか?
そして、それが認められるならば、タリアの方も相性の良い相手の為に、代理母としての役割を果たさなければなりません。例えば、第1子は自分のものだが、第2子は相手に渡ると取り決めをしたとしても・・・その時、母体の健康に気を使う確率が同じだと言えるでしょうか? おそらく、すべての人がきちんと役目を果たせるとは思えません。

代理母の役割でしか子供を産むことが出来ないというならば、それよりは「きちんと相性の良い相手と結婚して、二人の子供を授かった方が幸せのはず」だから、婚姻統制という仕組みを作り出したと考えられます。

.・・・・・・ようやく、自分でこの設定に納得いきました。それまでは、ここまでつっこんで考えなかった(タリア側でしか考えてなかった)ので、何故婚姻統制なのかちっともわからなかったんですが・・・そう、男性側の問題を考えれば、理解出来るんです。


女性は、子供を産む為の道具ではありません・・・が、そのような道具になる位なら、決まった相手と結婚した方が幸せだと強制される世界、恋人とは絶対に結婚出来ない世界・・・・・・というのも、悲しいものですね。

(2006/4/28)

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2006年04月28日(金) 23:32:45 Modified by reyz




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