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K-018

レイ(&ラウ)について考える


レイ・ザ・バレル・・・「クローンで、生まれつきテロメアが短いので、あまり未来はない」ということが放映中に示されただけの、謎が多い彼について、考えてみることにします。

公式のインタビューで、放映終了後に示されたことは「クローンなので、コーディネイターではなく、ナチュラルです。オリジナルのアル・ダ・フラガの息子であるムウも、特殊能力(空間認識能力)を持っているので、そういった優れた能力を排出する家系だったのでしょう」となっています。

だから、レイ=(遺伝子的には)ナチュラル・・・なのですが。
ただ、放映中の表現だけから考えると、「クローニングのついでにコーディ化をした存在と考えても構わないんじゃ?」とも思えるんですよね。クローンだということ自体は、動かせない事実だとしても。

アルとラウは全く似ていませんが、息子のムウとは似ているので、アルの若い頃はああいう美形だったと考えても良いはずです。現実に、若い頃とは似ても似つかない人になる人もいますよね(笑)。ただ、当初の45話(内部資料)設定では、10歳時の顔がアルそっくりな坊ちゃんになってます・・・そんな顔だったら阿鼻叫喚の嵐だったんで、つくづくその時点で顔が出なくて良かった。・・・だって、みんなが仮面の下に思い描いた顔は、ムウと似た顔だったはずなんですから。(ムウと双子だと思ってたしな)

しかし、ラウとレイが全然似てない点は解せません。同じ15歳程度の時点で、顔も体格も髪質も全く違っているんですから。
レイを助け出した時のラウは15歳程度なのにデュランダルと同じ位の背丈=すでに成長しきって180cm位&ウエーブ系髪質&目が大きめ柔和系美形顔。なのに、レイは168cm&ストレート系髪質&基本的な目つきがクール系美形顔。レイがコーディ化されてるんじゃないとしたら、この差はいったい・・・

一応、世間での誤解を訂正する為に書いておきますが・・・一卵性の双子だからって、全部が全部、そっくりそのまま外見上うり二つに育つかどうか、というのは微妙です。
環境によって、年数が経てば経つほど、本人達が意識すれば、外見的に似なくなってくる組も存在します。

ただ・・・15歳程度でここまで違ってくるというのは、極端な場合なんですよ・・・・・・成長速度がこうも違う・・・レイが異常というより、ラウの成長が早すぎるっぽいですが。
ラウとムウの小さい頃の対面時に「同じ背丈」っていう点が、後付と整合性取れなくて破綻してるので、その延長から考えれば、ラウの成長速度が極端に速かったという線でしょうけど。(ラウはムウより3歳年下です)

で、「成長速度が速い」という点なんですが・・・これを「老化が早い」と結びつけても良いものかどうか?

というのも、「ラウの外見は全然老化してなかった」という事実が存在しますので。
目元しか隠されていませんでしたが、常に写っていた口元とかに皺など一切存在しません。シャワーシーン後の手とかも、普通の青年のそれであって・・・全く通常の外見です。外見的にではなく、内面的にボロボロだったら・・・もっとあり得ませんよね・・・・・・だって、MS乗りなんて一番体を酷使する仕事が、老人の内面になってしまった人が出来るものですか。(確か、MS乗りって、20代まで位の仕事という設定じゃなかったっけ?)

それに、ラウは単に「出来損ないのクローン」と言っただけで、「老化が早い」なんぞと喋ったことはありません。
ただ、レイは「人より早く老化し」と言っちゃってるんで、この点をどう取るかという・・・うーん、「寿命が短い」という点を誤解してしまった説に一票(笑)。
「寿命が短い」という事自体は、設定上受け入れるとしても・・・あの薬を飲んでいるから、老化が早くなるのを押さえられるって線を考えて良いかもしれませんけど・・・薬と発作の因果関係の描写がホントにてんでバラバラなので、この点は解釈の仕方にもよりますね。

「公式種小説では・・・」と反論される方がいるかと思いますが、「小説に書いてある、設定&心理描写などが真実である」とは言えません。
デスティニープランの件などもそうなのですが、あれらは「小説家の個人的な見解による二次創作」と考えるべきなのです。というより、種小説5巻の作者の後書きで、それが強調されています。
映像表現されていることと矛盾している点、創造主である監督や脚本家の意見とも矛盾している点、現実の延長として考えると矛盾する点、すでに設定として出されている物とも矛盾していることがある点・・・なので、私の場合、小説は設定として尊重するという立場をとりません。少なくとも、メンデル関係の事象は、すべて・・・(キラの制作過程も含め)あの小説に記載されていることはありえません。


さて、「テロメアが短い」と「老化が早い」のか「単に寿命が短い」のか・・・現実には因果関係が不明です。
確かに、羊のドリーはこのような説明をされてますし、高齢羊特有の病気で亡くなった為に「=老化が早い」という認識になったのですが・・・・・・

ただ、牛の体細胞クローンの場合・・・テロメアが短くなってしまった(18歳の高齢牛と同程度の長さ)牛でも、とりあえず「5年間の経過観察結果においては」正常に発育しています。・・・つまり、「短いと生後まもなくから老化する」ってわけじゃないという事でしょうね。

一方では、テロメアが通常の長さで、精子のテロメア長も通常で、産仔も通常通りに生まれている・・・体細胞クローン牛がすでに存在しています。

羊のドリーと、牛の体細胞クローンは、単純な比較は出来ません。種が違う上に、作り方が微妙に違うので、同じ条件とは言えないからです。それを、そのまま人間に応用出来るかというのも不明です。

でも、「クローンといえば羊のドリーしか知らないようなスタッフが、クローンなんて扱うな!」とは言いたくなります。
コーディネイターという架空の謎技術に、設定の穴があっても仕方ないかと思っても・・・「現実に存在するクローン技術」を出すなら、それ相応の現実を盛り込むべきです。コーディネイター技術が存在する世界で、クローン技術が成功しないなんてあり得ません。
臓器移植目的や、死後成り代わる為の意識注入技術描写のある場合には、悲劇的存在とされるのもわかるけど・・・「子供としてのクローン」をこんな形で、失敗するのが当たり前だという形で出すなんて・・・愚の骨頂。
(もっとも、「他のSF物のごときクローン」の描き方をしたら、それこそもっとメチャクチャに叩きますけどね。コーディが一応現実の延長線上の技術となってるんですし)

SF世界のクローンは、「培養液で生まれ」「そっくり同じ姿形」でなければなりません。
しかし、現実のクローンは、「代理母から生まれ」「一卵性双生児と同程度の相違」です。

だから・・・代理母かどうかという点はともかく(人工子宮の気がする)・・・現実の延長線上である設定の種世界のクローンは、「一卵性双生児と同じ権利がある」んです。
(「種世界の設定に沿った話」を考えるならば、SF世界のクローンと混同して欲しくない。パラレルと割り切って楽しめる物もあるので、全否定する訳じゃありませんけど。アストレイはなんかSF世界に行ってしまってるようですが・・・私はあれを本編と切り離してるので、考慮しません)

そうそう、猫のクローンが、オリジナルと全く違う模様を持つ・・・クローン牛も、同じ体の模様になるわけではない・・・という点は、胎内の環境によるらしいです。人間の一卵性双生児にしても、「指紋は違う」んですけど。(似ている組もありますが、全く同一なんてのはありません)

だから、こんな点から見ても、アル・ダ・フラガが完全なクローンを求めて「人工子宮を使用したクローニング」を依頼した説が妥当だろう、と。
クローンに使用するのは世界初だったから、代理母を使った技術では起こりえなかった「テロメアが短くなってしまう&育つと謎発作が起きる異常」が起きてしまった、と考えればいいと思います。
あ、ラウとレイの育った人工子宮の環境が異なっていれば、あれ位の差は当たり前にあり得るのかもしれないな・・・うーん、なにぶん今の現実では、人間の場合は、同じ環境で生育した天然クローンしか実在しないので、そこを類推するのは難しいかも。
(そもそも、最初から似てない双子の場合、二卵性だと考えますしねぇ・・・わざわざ数十万円もかけて、遺伝子特質を調べるなんてやりません)


で、こういったことを考えると、以前に関連項目ですでに述べていますが、「子供としてのクローン」を作ることが何故禁忌だったのか、本気でわからないんです。

今実際の現実で、「子供としてのクローン」を認めるわけにいかないと言ってるのは、次のような理由からです。

  • 1人を作るのに、何十、何百もの犠牲が出て初めて成功する。
→現在の成功率の低さからはそうなのですが、この種世界ではラウを作る時にそれ程犠牲があったとは思えない。何故なら「依頼されたその年にすぐラウが生まれている」ので、技術的問題はなかったはず。

  • どうしてもオリジナルの人物と比べて育てられる。そのためアイデンティティのぐらつきが起こる。子供は親の付属物ではないのに、それが普通の親子よりももっと起こりやすい。
→コーディネイターが存在する世界観で、こういった話を持ち出すのはおかしいです。コーディネイターこそ、親の欲の為にアクセサリーのごとき感覚で命を弄んでいますから。というか、この点は別にクローンじゃなくても親の意識がそうなら同じ事だし。

  • 親の遺伝子、精子と卵子、二人の遺伝子を引き継いでこそ・・・命を弄ぶのは・・・・・・
→いや、コーディが存在する世界観で・・・

  • 移植目的のクローンは認められるものではない。子供としてのクローンを欲したと言っても、本当はどちらか区別が付かない。だから一律に禁止。
→まぁ、法律上の解釈ではそうなるのかもしれません。しかし、子供としてのクローンを望んでいるとわかっているユーレン・ヒビキが、「クローンは禁止です」と反対してる理由にはならない。

なので、どう考えても、ユーレンが反対した理由として妥当なのは、「アル・ダ・フラガが、子供としてのクローンを、将来意識を注入して成り代わる存在として育てることを欲している」から、という話になりそうなんですよね。(それなら「己の死も金で買おうとした」というラウの言葉に、ぴったり当てはまるし)

あの時点では「意識を注入して成り代わる技術」が完成されてないとしても構わないんです。そういう理論がすでに存在して、もうすぐ実現可能だとアルがわかっていれば。そして、種死の連合の洗脳技術を見ると、どうも成功可能な技術っぽいです。

反対したけど結局押し切られて、その運命に陥りそうな子供をつくるのは非人道的? いや、コーディを作る研究者、その前もこれから先も、大量の命を廃棄している研究者が何を言ってるんだか。一人の犠牲で大量の研究資金が入るなら安いものだろ?

ホントにこの一言に尽きるんですよね、「コーディを作るのがOKな世界観の癖に」と。

うーん、ラウ・ル・クルーゼ・・・あ、違った、ラウ・ラ・フラガとして育てられていたのに、実は入れ物として意識を消される運命だった、と知った時には、そりゃ憎悪するよなぁ・・・


で、本来これを書こうと思っていたのに脱線してしまったけど・・・レイって、天才なんでしょうか、それとも秀才でしょうか?

天才と秀才、定義上の問題があるんですが・・・とりあえず「すごい潜在能力があった」という点は確かですね。

「努力に勝る天才無し」・・・努力が出来るというのも一種の才能なので、努力が出来て結果を出すことが出来るという点で、コーディネイターと同じような能力がある・・・だからコーディと比べて「天然の天才」って言えるかもしれませんが。(+コーディ化されていたとしても、コーディでも努力の差によって結果が違ってくるわけなので、そんじょそこらのコーディより遙かに上の能力を持っていた、と)

「努力をしている」描写ってあったか? 何もしないでも何でも出来る天才っぽいじゃないか? と言われるかもしれませんが、この点は違います。まぁ、本編中だと射撃訓練位(しかも、アスランの方がうまいと見せつける為の(苦笑))しか描写されてませんでしたが、スーツCD6のドラマを聴くとわかります。

アカデミー時代のドラマなのですが、この中でレイは「すっごく分かり易くまとめてあって、習っていないことまで独自の視点でキチンと書いた」ノートを持っています。
こういうノートって、「頭が良いキャラ」につきものの表現なのですが・・・でも、一度読んだだけですべてを理解出来る「天才」の場合、「ノートをとる必要はない」んですよね。少なくとも「人にわかりやすい形で」ノートを書く必要はないんです。メモとして走り書きするとかはあるでしょうけど。
ノートを提出しないとダメという教科の場合には、天才だろうがノートをきちんと書く必要があるでしょうが、このドラマの場合、単に「記述式テストが出来るかどうか」が問題のようなので、ノートをきちんと書く必要性がない。こういうノートをとるのは、「秀才型」のキャラです。

しかし、秀才っていってもねぇ・・・そんじょそこらの秀才じゃないんで、一般人の目から見れば「天才」に見えるキャラですね。文武両道だしなぁ・・・たとえザフトの赤服のレベルが種死時には低い(苦笑)と叩かれようが、レイ自体は、種に出ている全キャラ中で最高レベルの能力を発揮しています。あ、もちろん、ラウも同じように・・・それ以上にすごいです。
だから、実在の有名人物と比較して・・・似てるかも、と思ったのは、イギリスの元首相ウィンストン・チャーチル。彼は、優れた政治家であると同時に、ノーベル文学賞を取ったようなすごい人ですが・・・士官学校入学時に150位くらいの低位置だったのが、父親に喝を入れられて、卒業時には10位以内なってます。これは、天才型というより秀才型っぽいですし、政治家として着実に仕事をこなしている点も・・・天才って、イメージとして「着実に仕事をこなす」とは思えないですから。理想は「天才的能力がありつつも、周囲と調和して物事を着実にこなす」という形なんだけど・・・それを天才とは言わないらしいし(笑)。
「天才は人と違っている、変わっている」というのが当たり前のイメージ。レオナルド・ダ・ヴィンチとかは天才ですけど、変わってますもんねぇ・・・。


種世界のコーディネイターは、みんな元々が美形顔で身体能力が高く病気に強いという点はともかく、「生まれながらに何でも出来る天才」って訳じゃないです。
「潜在能力が(ナチュラルの一般人と比べて)段違いにすごい」状態が人工的に作り出されてますが、能力を磨く努力無しにそれは発揮されない。

では、種世界で「イメージとしての天才」ってのは誰かといえば・・・そりゃ、キラ・ヤマトなのでしょう。
好きなことしかしない、地道に仕事をこなすなんて考えない、努力無しに何でも出来る。

本を一度読んだだけで完璧に内容を理解して活用出来る能力とか、一を聞いて十に到達出来る発想とか、そういう「現実にいる凄まじい能力を持った人々の長所のみ」を与えられていれば、努力なんて意識なく、最高レベルになるのでしょう・・・それが「成功体」。

うーん、でもやっぱり嫌だなぁ、こういう天才は(苦笑)。

元々の潜在能力の高低がある以上、能力が低いよりは高いキャラの方が好きです。
といっても、種の場合、ナチュラルでもメインキャラはことごとく能力がダントツに高いキャラばかりなので、凡人はいないんですけど。凡人の代表と言われているカズイ(途中でAAを降りたキラの友人その4)にしたって、「同じ年齢で同じ学校に通っていた」点から考えると、どう見ても我々一般人より能力が上(笑)。

.・・・ま、実は何を一番言いたかったのかといえば・・・公式系のコンテンツで、アスランファンという設定のキャラが、「ナチュラルの癖に」なんてレイを貶めたのは許せない、ということだけですが。・・・・・・しくしくしく。

(2006/5/12)

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2006年05月13日(土) 06:28:50 Modified by reyz




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