はげみになるもの

↑もし、よい記事だったと感じるものがありましたら、このボタンを押して、拍手を下さると嬉しいです。

コメントは、なるべく一通りの記事をご覧になってからお送り下さい。また、個々の記事に対するご意見の場合、記事番号を添えて下さると助かります。
web拍手の説明
最近更新したページ
2007-10-31
2007-09-06
2007-07-07
2007-03-31
2007-01-23
2007-01-18
2007-01-12
2007-01-04
2006-12-16
2006-12-14
2006-12-10
2006-11-19
2006-10-03
Wiki内検索

K-021

議長の考え、運命プランについて再び


ガンダムSEED DESTINYというのは、虚構のお話です。
うちで話題にしている「コーディネイター」「クローン」についての描写は、現実の延長として考えた場合、「どうして人型巨大ロボットが、有用な兵器となりうるのか」と同じ位、絶対あり得ない「虚構の設定」の上に成り立っています。

アストレイで「能力が出なかったコーディだっている」という事をもって「コーディ技術だって完璧じゃない」と語られるようですが、「現実に遺伝子弄った場合の予測結果を色々考えた場合」、そんな程度の失敗は、失敗とは言いません。それ位しか弊害がないと描かれている設定は、やっぱり「ほぼ完璧に近い技術」と言って差し支えないのです。

で、今回は議長の運命プランについて、また少しフォローしてみます。

運命プランの結果、ナチュラルはコーディネイターが高い地位を占めることに不満を持つだろうという推測、これはその通りだと思います。
これを解消する為には……ナチュラルとコーディが一緒の職場にいなければよい、完全別離状態だと、不満も持たない、持ちにくいはずです。 しかしこの考えは、以前から私が主張している「議長はコーディの未来の為にナチュラルとの融和を考えていたはず」という考えとは真逆の考えとなっています。
ですが、あの世界の住民の思考がどう考えても我々とは違う以上、この考えでも不満を持たない人種かもしれない、という推測も成り立ちます。何が正しくて、何が間違っているのか、誰にもわかりません。ただ、そんな説もあり得るかもしれないのです。

そもそも、いくら能力があっても、教育を受ける機会がない限り、発揮されないものです。コーディネイターだからって、最初から何でも出来る訳ではありません。
そして、適切な教育を受ける機会というのは、これまでは金があるナチュラルとコーディネイターにしか保証されていなかった世界だと思いますが、議長の運命プランでは、親の金があるなしに関わらず、適切な教育を受けられると思います。
議長が悪役として考えた場合、こんなプランであるわけはないです。でも、議長が「真に(多少理想主義的でも)人類の一部ではなく全体の幸福を考える人」だったら、こういうプランであるという推測は十分成り立ちます。

現実問題として……例えば、ヴァイオリニストやフィギュアスケーター等になる人は、殆ど絶対確実に、親がある一定の金を持っていて、その教育に情熱があるという前提でない限り無理ですよね? ごく小さい頃から、そのほかのすべてのことを犠牲にしてまで練習して、それでも認められるのは一握り。才能があるから、努力したから認められたのだというのは当然ですが、それ以前のスタートラインに立つことすら、一般の人は出来ません。
(あと、確かコーディはこの分野、芸術系は優れていない設定だったから、ナチュラルの分野です、これは)

で、別にそういった特殊な芸術系でなくても……かなりメリット大きいと思うんですけど。………だから、両者得意な分野を知ることが出来て、「同じ人間なんだという意識を持てる」……という、楽観的な考えは、主張してはダメなのでしょうか。

社会的に地位の低い職業に適正だとされた人は、不満を持たないのか、という問題は……それは、「どれだけ努力をしてもそういう能力しか持たない人」という形のはずですから、仕方がないと考えます。
努力次第で別の職業の可能性があるのに、その職業とされてしまうことは基本的にないような気がします。それに、同じ職業のまま、ということもないのでは? ハローワークプランとして考えるならば、資質があってその能力に達していれば、ジョブチェンジ出来そうです。……本編では「努力が無駄だ」というプランという話じゃなかったですし。

夢いっぱい、希望に溢れている、日本の中〜上流家庭の中高生から見ると、議長のプランは、単なる可能性を狭める管理プランとしか思えない、自分が誰からも馬鹿にされるような職業が適正だとされたら耐えられない……という話になると思いますが、そこまでネガティブにとらえなくても……と思います。

希望の職業に就きたいと思う際に必要な基礎学力は、小さい頃からの家庭環境で大幅に違ってきてしまいますから。「公立小学校の勉強だけ」or「私立(国立)小学校」or「公立+補習塾」or「公立+受験塾(下位or中位or上位or難関)」の小学生の学力って、全然違う上に…その差が後の進路に大きく響きます。
で、そういった親の事情に関係なく、適切な教育を受けられるプランなら理想的ではないでしょうか。これまでの特権階級は猛反発するプランだとしても。


さて、ナチュラルとコーディが一緒に過ごすという点で見ると、オーブがそういう国だったわけですが、あれが何故うまく行っていたかということを考えてみると……あの国は、おそらく、「コーディネイターの働ける場を極端に制限していた」「コーディネイターはコーディネイターだけの学校に通っていた」というのが、実際の現実の延長から考えると自然です。
……その考えを進めれば、「運命プランの結果、ナチュラルはコーディネイターが同じ職場に来て高い地位を占めることに不満を持つ」のは当然です。
ただ、オーブがそういう社会体制じゃないとしたら、世界的にうまくいくかもしれない、という考えになっても、良いのでは。あのオーブという国は、不可解な点が多すぎて、考察不能に近い国なんですけどね……カガリがコーディ蔑視的発言をしている点もありますし、そもそもどれ位の割合でコーディがいるのかという点すら明かされていませんし。


で、自説をまとめると……
「議長は、このままコーディ同士で結婚してたら未来がないから、ナチュラルと結婚するようにし向けるナチュラル回帰をはかっていた」「それをスムーズに受け入れさせる為に、同じ人間という意識を持てるプランとして運命プランを提案」という感じになります。

あのコーディの世界は、第3世代が生まれる確率が「婚姻統制を強いてもかなり低い」らしい(種時代のラクスの発言から考えると)ので、第3世代は、いくら頑張ってもコーディ同士だと子供が作れない程度になってる気がします。つまり、純粋なコーディの子供(第4世代)というのは、多分存在出来ません。

コーディ同士に行き詰まって破綻することが確定したら、多分プラント政府は婚姻統制を方針転換して、ナチュラルとの通婚を強制するでしょう。でも、政府自体がそういう発想に転換出来るかも疑問ですし、プライドの高いコーディ達もそれをよしとするかどうか。……それを拒んで、コーディという種族が滅びるという道が一番可能性が高くなってしまいます。

それを防ぐために、議長はこの段階で「運命プラン」を提案して、意識改革をしようとした。

その結果、世界がどういう事になるかといえば………通婚が当たり前になって、純系コーディがいなくなる世代(50年後くらいかな)になれば、「コーディの血が入ってる人」が高い地位を占めることになるでしょう。ただ……それを妬むというのは、現実の金持ちを恨んで僻むことと似たようなものなので、言ってもしょうがないようなものだと思います。(コーディ自体、そうなのですが)


ですから、議長の語っているのは理想論ということは否定しませんが……しかし、現実の我々とは極端に頭の構造が違うんだから、そういうのが受け入れられる人種だったかもしれないよ、あの世界の人々は、ということは主張します。

とりあえず、世界の人々の対立意識を悪化させこそすれ、改善のための努力は何一つ取っていない、ラクスやカガリが世界の中心になっているような結末ですから、あの世界のコーディネイターは、子孫を残すことは出来ませんね。(それ以前に、また全面戦争して今度こそ滅びるんでしょうけど……)

(2006/6/1)

考察もどき一覧に戻る
2006年07月24日(月) 19:16:05 Modified by reyz




スマートフォン版で見る