◆第21話 「雛見沢症候群」

『学校を休んだ私を心配して みんなが来てくれた』
『そして私が命を狙われているという話を信じて 一緒に戦ってくれるという』
『だから私はすべてを話す――』
「この村には「雛見沢症候群」と呼ばれる風土病がありますです」
「村人はみんな知りませんです」
「わかったのは戦時中」
「雛見沢出身の兵士が次々と錯乱事件を起こしたからなのです」
「その病になると疑心暗鬼に囚われ」
「極度の被害妄想により 周りが悪人に見えて見方を殺し」
「最後に首を掻き毟る異常な自殺をする…
「そしてこの病気を発見した医者により」
「雛見沢出身者特有の風土病であることがわかったのです」
「更にこの病気は雛見沢に住むすべての村人が感染していて」
「村を離れたり ストレスを溜めて人を疑うことで」
「発症すると考えられているのです」
『…ある世界で 圭一が数日村を離れただけで発症してしまったように』
「このことは古代鬼ヶ淵の時代から 雛見沢に伝わる伝承からもわかります」
「例えば「村を閉ざし余所者を近付けない」というオヤシロさまの教えは」
「村人が発症したり 新たに感染者が増えることを防いでいたと読み解けるし」
「またあの拷問部屋による残酷な儀式の風習は」
「その教えを 強固に守らせようとした抑止力だった」
「つまり オヤシロさまの教義を守る限り この風土病と共存していけるのです」
「それは治療法が確立してないため 村人の不安をあおるだけだから」
「けど この奇病を解明し 治療薬の開発も進められています」
「その研究施設が入江診療所」
「入江とそのスタッフは 極秘に派遣されてきた研究者たちなのです」
「それは 東京と呼ばれる秘密の組織からなのです」
「詳しくはわからないのですが 「東京」は日本の政財界の長老たちで構成され」
「政府に関与出来る強い力と莫大な資金を持っているようなのです」
「当初 雛見沢症候群は細菌兵器として 活用出来ないかと目論まれましたが」
「所長である入江は軍事的利用より治療薬を熱心に研究し」
「その力を持って入江診療所――通称 入江機関が設立されました」
「L5…つまり重い症状も注射で抑えることが出来るまでに成果をあげました」
「そして富竹は年4回「東京」から派遣される連絡員で」
「彼は研究の査定や予算を調整し研究の報告を受ける役だったのです」
「また 鷹野は研究の進行管理と機密保持」
「つまり奇病が発覚するような事態の隠蔽が最大の任務でした」
「そのための存在が山狗と呼ばれる鷹野の部下」
「拉致や傍受 情報操作を専門としる実行部隊なのです」
「山狗は何年も前に研究を頓挫させるダム計画を中止させようと」
「大臣の孫を誘拐する事件を起こしました」
「園崎家がやったと思われる事件も彼らの仕業かもしれません」
「さっきボクは雛見沢を離れたら病気になると言いましたが」
「入江の研究によると本当は――」
「「女王感染者」であるボクの側を離れると 病気を発症するらしいのです」
「古手家は代々 病原菌の親分格を体内に受け継いできた家計」
「そして女王蜂のようにある種のフェロモンを発して 雛見沢症候群の発症を防ぐ」
「それを感染者(雛見沢の人)は本能的に知っていて」
「古手家の女性を大切にしているのかもしれないのです」
「そのために山狗は女王であるボクの警護を最大の任務としています」
『そう 私が死ねば…』
『雛見沢二千人 全員が末期症状を起こし 恐ろしい被害妄想に包まれ』
『村は生きるために殺し合う地獄になってしまう…!!!』
「ボクの死は村の死…」
「それにどんなメリットがあるかわからないけど」
「何者かがその危険を冒してでも ボクを殺そうとしているのです…!!!」
「こんな話 信じられなくて当然なのですよ…」
『いくらデマ好きの大石でもすぐには信じられず 疑うだろう』
『みんな…』
「はい」
「ボクもそう思っていました」
「実は大石が鷹野の死体は偽造の可能性があると言ってます」
「だとすれば鷹野が富竹を殺した可能性が極めて高いです」
「鷹野が犯人なら山狗も敵になります」
「でも山狗の小此木は入江が黒幕だと言ってました」
「――ですが 大石にはまだすべて話していないので」
「彼は「東京」のことも「山狗」のことも知りません」
「はい」
「大石が鷹野の死体を確かめて岐阜から帰ってきたら――」
「もしもし古手なのです」
「大石…!今どこにいるのですか?」
「では…」
『鷹野が富竹を殺した――!!!』
『こんなこと大石が味方じゃなければ絶対にわからなかった!!』
「……大石」
「ボクは大石にすべてを話す決心がつきましたです」
「はい」
「はい」
「鷹野の死体は偽装でした!」
『百年を経てようやくわかった』
『鷹野が富竹を殺し 次に私を殺そうとしている!!』
『なぜ鷹野が私を殺す必要があるのかわからない』
『だけど』
『今の私にはみんなが 仲間がいる!』
『これで大石が来てくれれば』
『私の運命は変わる…!!!』

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