◆File.04 【賽殺し編】 其の参

『!!!』
『あつい!』
『違う…これは 羽入と同じ力の気配?』
「……」
『お母さんなのだ』
『やっぱりお母さんが カケラを宿しているのだ』
「カケラは…」
「カケラは私の母の中にあった!」
「この世界じゃ 母が8代目のオヤシロさまの生まれ変わりだったの」
「私…どうしていいかわからない…」
「…わからない」
「え?」
「何の…話をしてるの?」
「…でしょうね」
「私が最初に見た顔は 母じゃなくてあんただった気がするもの」
「私たちは 一番最初のあの世界で」
「鷹野に腹を割かれて死ぬ運命を 受け入れるべきだったと言いたいの!?」
「やめてっ!!」
「あんたは自虐に酔って 心地良いかもしれないけど」
「私には不愉快だわ!」
「あんな運命に屈服したくない!」
「もっともっと 素晴らしい人生の為に どこまでも戦っていこうって言って」
「あなたと100年にも及ぶ 旅路を共にしたはず!」
「その果てに…そんなこと言い出すなんて めちゃくちゃだわ!!」
「…そしてカケラも その母に紛れ込んでいた…」
「…っ!」
「…そうよ」
「……」
「仮に この世界に生きることを選んだとして」
「…あなたはどうなるの!?」
「あんたは消えてしまうってことじゃない!」
「それでいいの!?」
「……!」
「この…世界のこと…」
「そう…圭一の罪がない訳ね」
「だから引っ越しもしない」
「…つまり」
「この世界は すべての人間にとって理想の世界ってこと?」
「…真っ白な世界」
「…貴重な機会…」
「羽入 あんたは娘に討たれたって言ったわね」
「私が 自分の人生を選ぶ為に 母殺しを繰り返すことをどう思うの!?」
「…まさか!?」
「あんたはどうなの!?」
「あんたを討った娘の気持ちを考えた事はある!?」
「死んだ方は気楽よね」
「でもね 殺した方はその十字架を背をってずっと生きていくのよ!!」
「娘にあんたを殺させたから」
「先年もの間 あんたの子孫たちが あんたの十字架を背負い続けた!」
「あんたは死ぬべきじゃなかった」
「生きて戦うべきじゃなかったの!」
「…っ!」
「……」
「つまり…」
「選択を保留するという 第三の選択肢はないってことか…」
「わかったわ 羽入」
「私 戦ってみる…この選択と!」
「私 あなたの力があったから 自分の人生を何度もやりなおせると勘違いしてきた」
「何かにちょっとでもつまづいたら…」
「やり直せばいいやって簡単に考えていた」
「この世界は そんな私に人生の重さを教えてくれたんだと思う」
「私 一生懸命悩むよ!」
「いっぱい いっぱい悩んで 本当に本当に素敵な世界を掴み取るから!」
「…だから…」
「…ありがとう…」
「…羽入…」
「…羽入…?」
「ねぇ…返事…してよ」
「……」
「……羽入」
「…み」
「…ここは?」
「…先生」
「い…入江…!」
「みー」
「ここは診療所ですか?」
「ボクの…お母さんは…?」
「…死んでいるのですか…?」
「みー…」
「……」
「羽入…いる?」
「羽入?」
「……っ」
「よかった」
「目覚めて あんたが見つからない世界は ほんとに心細いんだから」
「羽入…あの世界は?」
「…夢だったの?」
「それとも…現実…?」
「私がさっきまでいた あの世界は何?」
「夢なの?」
「…そう」
「やっぱり…夢なんかじゃなかったんだ」
「じゃあ…私は…この手で…」
「お母さんを…!」
「…っ」
「あぁぁ…」
「…くっ」
「……」
「…あっ!」
「は…羽入!!」
「あ…!」
「悟史は…来ないのですか?」
「…その1ヶ月の間」
「夢を見ていた気がしますです」
「そこは とっても不思議な世界だった気がします」
「ここと同じ雛見沢なのですが」
「いろいろなところが違っていました」
「まず 圭一がいませんのです」
「それは 圭一がてっぽうの事件を起こしていない世界だからなのですよ」
「圭一が あれだけ後悔した事件がない世界」
「それだけじゃないのです」
「魅音もレナもそして沙都子も みんなが とても幸せな世界」
「…そして」
「ボクがここにいるという事は」
「その世界と この世界を天秤に掛け」
「こっちの世界を選んだからだと思います」
「…そう…なのです」
「……あ」
「ど…どうしてなのですか?」
「本当に…みんなそう思うのですか?」
「あれだけ悩み 苦しんだのに…その罪がない事になっている」
「綺麗な世界を選べる選択肢を自ら拒否するというのですか…?」
「どうしてですか?」
「罪なく生きる事は 罪なのでしょうか…」
「でも 温室で育つのと 野原で育つのを選べと言われたら」
「みー?」
「人ならざる存在…?」
「……?」
「……」
「では こっちのグーを選びますのです」
「えへ」
「あーん」
「んん」
「おいしいのですよ にぱー☆」
「二択の勝負に勝ったので とても嬉しいのです」
「勝利の美酒はおいしいのですよ」
「みー?」
「あっ!」
「…っ」
「……っ!!」
『本当は夢じゃない…』
『でも 選んだ以上 現実はここで』
『向こうは もはや夢でしかない』
『二つの手の中身がもたらす未来の どちらが得かを悩むのは』
『箱の中身に干渉できる 人ならざる存在の仕事だ』
『私は 人の身でありながら』
『中途半端に神の世界に足を踏み入れたが為に』
『大切なものを 幾つも誤解してきたのではないだろうか』
『…くす』
『私は 魔女などもうやめてしまわなくてはならない』
『今こそ ベルンカステルの魔女ではなくて…』
『古手梨花に戻らなくては』
「……」
「つまり」
「交通事故には気をつけようってことなのです」
「にぱー☆」
「そうね」
「私もそれでいいんじゃないかと思うわ」
「ありがとう」
「いろいろよ」
「そうそう」
「退院したら まずは両親のお墓参りに行く」
「今 わかったわ」
「こちらの世界へ戻るなら 母を殺せという意味」
「私はこれまで 何の罪も感じずにこの世界を選び続け」
「母を殺し続けてきた…」
「あんたは…それを私に気付かせたかったんじゃないの?」
「あんたが私に感じている罪の一つ」
「私が 両親を敬わなくなってしまったこと」
「そう…」

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