※関連 5スパゲッティー 871-875(鞘師編) 6スパゲッティー 513-516(鈴木編) 7スパゲッティー 185-189(譜久村編) 7スパゲッティー 438-440(飯窪氏編) 9スパゲッティー 475−478(佐藤編) 11スパゲッティー 28-30(石田編) 12スパゲッティー 153‐156(工藤編)


嬉しかった。だけど、不安だった。 
どうして私ひとりだけだったんだろう? 
勿論、研修生になったのは“この日”を待ち焦がれてたからだけど、先輩達に交じってあんなパフォーマンスが出来るのかな? 
・・・って、期待も不安も一緒に感じてくれるひとは誰も居ない。 
頑張らなきゃって思う気持ちと大丈夫かなって思う気持ちが入り混じって、泣きそうでキツクて辛くて、研修生のときとは違う 
厳しいレッスンでも心が折れそうになったことが何度もあった。 

そんなとき、私の心に入ってきたのが生田さんだった。 

生田さんは、思っているよりもずっと周りをよく見ている。 
生田さんは、誰よりもさり気なく気を遣ってくれる。 
生田さんは、自分の感情を誰よりも真っ直ぐに出して、それを躊躇いも無く行動に移せる。 
だから、同期の居ない私を気軽に遊びに連れて行ってくれたりしたんだと思う。 
だから、イベントで泣いちゃった私を抱き締めて頭を撫でてくれたり出来るんだと思う。 
でも、ね。 
“生田さん”がどんどん私の心に沁みこんでいったのはいつからだったのかな? 


怖かった。自分が、モーニング娘。になったことが。 
加入が決まって、一番に考えたことは、これからは歌って踊るだけじゃダメだってこと。 
コンサートもイベントもトークがあるし、握手会だって「ありがとうございます」って言うだけじゃファンの方に喜んで貰えないし、 
決まったことだけを繰り返す訳にもいかないのは本当によく判る。 
覚えなきゃいけないことがたくさんあるのに、それに加えてもっともっと頭を使わなきゃいけないことがたくさんあるのを知って、 
途方に暮れてしまったのを覚えている。 

そんなとき、行くべき道を示してくれたのが道重さんだった。 

道重さんは、誰よりも先を見ることが出来る。 
道重さんは、自分だけじゃなくて周りのことも凄くよく見えている。 
道重さんは、自分を追い込んで先へ進む努力をするのにそれを見せることは無い。 
イベントで先輩達に厳しく注意してたときも、言うべきことはしっかり言って、その後はきっちり切り替えられる程に頭が良いと思った。 
加入当時から、(他の人もだけど)ちょくちょくブログや新聞社のサイトで取り上げて私を“モーニング娘。”として印象付けてくれたりもした。 
だから、かな? 
“道重さん”の華奢な背中が広く大きく見えることがあるのは。 


掛け替えのない尊敬するリーダーと先輩だから、見えないものが見えたのかもしれない。 
普段は全く素振りも見せないくせに、ふと気が付くと熱く絡み合う二人の視線に気が付いたのはいつからだっただろう? 
それに気が付いたときは、何だかとっても納得してる自分が居た。 
それと同時に、胸の奥がチリチリって微かに痛むのも感じた。 
この痛みは、誰に向けたものなのかな? 
生田さんかな? 
道重さんかな? 

子ども扱いされることも結構あるし、本当に歳は子どもだけれど、この心迄は子どもじゃ無いと思う。 
だから、胸の奥の痛みにも気付いた・・・筈。 
だけど、これは嫉妬なんかじゃない。 
ただ、尊敬する大切なひと達と並んで歩んでいけない自分が歯痒いだけ。 

私は、歌うことしか出来ない。 
だから、大切なひと達の為に、自分の精一杯を込めて歌う。 
まだまだ歌で支えることが出来るほどの歌は歌えないけど、いつの日か、私の歌が届いて欲しいと思ってる。 
優しく見守ってくれてるモーニング娘。のメンバーに。 
温かく応援してくれてるファンの方々に。 
そして、これからモーニング娘。を知ろうとしてくれてるたくさんの方々に。 


「ねぇねぇ小田ちゃん、はるなんとあゆみん、何で慌てて行っちゃったんだろ?」 
「佐藤さんを追いかけてったんじゃないですか?」 
「そうなんだけどさぁ、まーちゃん、道重さんと生田さん探しに行っただけじゃん」 
「迷ったり何かあったりしたら困っちゃうじゃないですか」 
「でもさぁ、ここ、ウチらの会社だよ」 
「・・・そうですね」 
「よぉーく知ってる場所なのに、幾らまーちゃんでも何かするかなぁ?」 
「・・・・・・」 
「何か心配だなぁ。ハルも行こっかなぁ?」 
「だ、大丈夫ですよ。飯窪さんと石田さんにも考えがあるんですって」 
「そうかなぁ?」 
「そうですよ!」 
「でもさぁ、まーちゃんを一番上手く扱えるのはハルだしさぁ」 
「まぁまぁ、ここは飯窪さん達に・・・」 

そう、尊敬するおふたりだけど、こればっかりは困っちゃうんだよねぇ・・・。 
前に、飯窪さんと石田さんに 
「小田ちゃんなら解ってくれるよね!」 
って、協力を求められたことには正直驚いたんだけど、あの熱い視線を見てると物凄く納得する自分が居て、協力することに 
思わず頷いちゃったんだけど、さ。 
こんなに頻繁に佐藤さんや工藤さんに気付かれてるのを見ると、本ッ当に尊敬がガラガラ音を立てて崩れていくんだよね・・・。 

いつもは佐藤さんや工藤さんを何とか誤魔化して気を逸らす飯窪さんと石田さんだけど、偶に失敗して佐藤さんが駆け出しちゃうときがある。 
そんなとき、残った工藤さんのフォローを必死でするのは、私。 
なまじ「まーちゃんよりハルの方が大人だから!」って言い張る工藤さんだから、扱いがとっても難しい。 
9期さん達は、頭を抱えてたり溜息吐いてたり我関せずで知らんぷりしてたりするけど。 
正直、このフォローには誰も立ち入れないし関われないのも分かるから、私が頭を絞って汗をかくしか無いしねぇ。 


生田さん、道重さん。 
お願いですから“尊敬するリーダーと先輩”のままで居てくれませんか・・・・・・? 
みんなが見えないところでは、おふたりの邪魔をするつもりはありませんから。
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