成年後見★羅針盤 - 認知症の基礎知識

まず最初に


 認知症とは、ひとつの病名ではありません。
ある病気が原因で起こるさまざまな症状のことを総称して「認知症」と呼んでいます。

認知症の中核症状


 認知症の基本的な症状群は以下のようになります。
どのような症状を認知症と呼ぶか? ということです。
1 記憶障害 認知症特有の物忘れ。
2 見当識障害 今いる場所や現在の日時、曜日などが分からなくなる。
3 判断力低下 順序立てて行動することができなくなる。
4 言語障害(失語) うまく言葉が出てこなくなる。
5 失行 ボタンの掛け違えなど。
6 失認 知っているはずの人やものなどが分からなくなる。

認知症の周辺症状


 中核症状に伴って起こる本人の行動や心理を周辺症状と呼びます。
他に、問題行動や行動障害、精神症状などと呼ぶこともあります。

●代表的な周辺症状
1 異食なんでも口に入れてしまう(失認)
2 過食食べたことを忘れてしまう(記憶障害)
3 うついくつかの中核症状が原因になって起こる。
4 不眠いくつかの中核症状が原因になって起こる。
5 幻覚実際にはないものが見えます(見当識障害、その他)
6 妄想もの盗られ妄想が代表的です。(記憶障害の理由付けとして)
7 暴力行為幻覚や妄想が原因かもしれません。
8 徘徊記憶障害や見当識障害を原因として。
 

認知症状が現れる代表的な病気


 それでは、認知症の中核症状を引き起こす病気には、どんなものがあるでしょう。
以下が、現在、認知症の三大原因と呼ばれている病気です。
1アルツハイマー病記憶障害、意欲低下などが主な症状で、徐々に進行する。脳に萎縮などが見られるのが特徴。
2脳血管性認知症単純な物忘れからはじまり、歩行異常などが表れる
3レビー小体病リアルな幻視体験が特徴。

 その他、以下のような病気もよく知られています。
4前頭側頭型認知症アルツハイマー型の中でも、脳の前頭葉や側頭葉に萎縮の見られるもの。反社会的な行動が目立つ。ピック病など
5若年性認知症65歳未満で発症した認知症のこと。医学的な病名ではない。

 その他、認知症状の原因となる病気は、70種以上もあると言われています。



認知症の見分け方


 認知症の代表的な症状として、もの忘れがあります。
もの忘れは誰にでも経験があるはず。
それでは、認知症のもの忘れと、ふつうのもの忘れはどうやって見分けるのでしょうか。

1ふつうのもの忘れ認知症の記憶障害
2見に行った映画の内容の一部を忘れてしまう。映画に行ったこと自体を忘れてしまう。
3ヒントを与えると思い出す。ヒントを与えても思い出さない。
4もの忘れを自覚している。もの忘れを自覚していない。
5進行しない。もの忘れの度合いがひどくなってゆく。
6一般的な知識を忘れる。自分の経験したことを忘れる。
7日時の認識は正常。日時の認識に混乱がある。
8性格はいままでと変わりない。怒りっぽくなり、意欲が低下する。

 ※ ただし、一般的な話です。認知症は、その人の生き方や性格と密接に関係しているので、必ずしも上の表の通りにあてはまるわけではありません。あくまでも目安とご理解ください。