石で炉床を組みそのまわりで食事をし酒を酌み交わす。そんなカウボーイ・カウガールに憧れる、焚き火大好きオトナ達のよもやま話

      ゆらぐ炎を愛し「焚き火」だいすき人間の集団なのです!


※札幌ファイヤープレイス協会についてお問い合わせは:fujikuratakayuki@gmail.com

序章:偉大な文化「焚き火」

 昔焚き火は、庭先でするものだった。落ち葉焚きは秋の風物詩。子供たちは濡れた新聞紙にさつまいもを包み、煙たい火をあげる落ち葉の山に放り込む。
お手伝いをする中で火の怖さやありがたさを学んでいった。燃えた後の灰は畑の良い肥料になった。

 高度成長期、みんなこぞってキャンプに行くのがブームになる。当然起こったのが初心者による焚き火のマナー問題。いつの間にか焚き火は悪者にされてしまった。それがきっかけで焚き火台やネイチャーストーブも生まれたけれど。

 そして現在、デジタル時代のもっとも贅沢な遊びはやっぱり焚き火だと思う。少しでも焚き火人口が増えるようにと、ちょっとしたガイドラインを作ってみました。

<名言>
 所帯と焚き火は小さいところからはじめよ。 日本の古い諺
  火は女。魅力的で思い通りにならなくて、ときに火傷を負わせる。 関根秀樹
 世界の根源は火である。 ヘラクレイトス
  焚き火は旅のクッキングファイヤーであり、ヒーターであり、照明であり、
 そしてけっしてあきない思い出テレビジョン。 田渕義雄
  あなたの暖かいめぐみで、いきかえり助かっているわれわれであります。 アイヌの祈りから
 闇の静寂を縫うてぱちぱちと音する焚き火も心を内へ導く。 田部重治
  山の夜に焚き火の焔がえがく人体のシルエット。それは自然の描いた最も古い、静かな人物画。 大島亮吉
 火を用いて完成された状態に導かれないものはほとんど皆無である。 プリニウス
  愚者は大きな焚き火をして、火から遠く離れる。賢者は小さな焚き火を前に、女子とよりそって座る。 堀田貴之
 とまれ、野外で火を燃せば、そこが自分を含めた小宇宙の核となる。 遠藤ケイ


第一章:火と人間の歴史


人類と火の歴史 〜焚き火の横で語り部になろう

<最初の火>
 人類が最初に手にした火は自然火災、落雷や風による樹木同士の摩擦によって起きた森林火災や野火、火山の噴火で流れ出た溶岩から木に燃え移ったものを手に入れたものだったろう。同時に、逃げ遅れた野生動物の焼けた香ばしい匂いのする肉を食べた事で、火を利用する術を覚えたのではないか。
 火は硬い肉を柔らかくし細菌の増殖を抑えて保存を可能にし、消化を良くした。噛む回数が減った事で頬の筋肉がゆるみ、これで頭蓋が大きくなる余裕ができ脳の発達を促したと言われている。また穀物や芋のでんぷんは生では消化出来ないが、火を通すことでそれが可能になった。脳が唯一必要なブドウ糖として恒常的に摂取出来るようになり、脳が大きくなったとも言われている。
 こうして手に入れた火は、夜闇を照らす「明るさ」と「暖かさ」を与えてくれた。まだ自分たちで火を起こすことのできなかった人々は、夜行性の獣から身を守ってくれ身体を温めてくれる火を大切にし、これを絶やさぬように番をして守りつづけた。

 1929年に中国の周口店で発見された50万年前の北京原人の遺跡から火を使った痕跡が発見され、これが最古と考えられてきたが、先日、南アフリカ北部にある洞窟で、人類が約100万年前に草木を燃やし、獲物の動物などを焼いて食べたとみられる跡が見つかったとの報道があった。カナダ・トロント大などの国際研究チームが灰や骨などを詳細に分析した成果で、米科学アカデミー紀要電子版に発表するそう。自然発火の山火事などの灰が風や雨水に運ばれて洞窟に流入したのではなく、人類が火を使ったことが確実な証拠としては最古という。
 この洞窟はカラハリ砂漠の南端に近い場所にある。この人類は原人のホモ・エレクトスとみられ、石器も一緒に見つかった。歯や骨格の化石を詳細に分析した最近の研究では、ホモ・エレクトスが出現した約190万年前には火を使って料理していた可能性があるらしい。

<神話>
 火は、多くの恵みをもたらす万能神であると同時に、扱い方を間違えれば野も村も焼き尽くし人々に死をもたらす破壊神でもある。

「古事記」に創世神イザナギと妻イザナミの話がある。二人は協力して日本の島々を作り沢山の神々を産む。最後に火の神カグツチを産むがその時の火傷が元でイザナミは死んでしまう。
 イザナギノミコトはイザナミを取り返しに黄泉の国へと赴くが、その国の食べ物を口にしてしまったイザナミは恐ろしい姿となっていて、約束を破ってその姿を見てしまったイザナギは、驚いて命からがら逃げ出す。

 ギリシャ神話の中に「プロメテウスの神話」がある。神々と人間とが争っていた時、プロメテウスが調停に入るが、ゼウスの怒りを買った人間はすべてを奪われてしまう。このままでは滅亡してしまうと一計を案じたプロメテウスは、一本のウイキョウを手に天に昇り、天にあった火をウイキョウに移してしまう。ウイキョウの外側は湿っていて燃えず、柔らかい芯だけが燃えた。そのため中に火が燃えていることが見えない。こうしてまんまとプロメテウスは天上の火を盗み出して人間に授けてしまう。おかげで人間はその火をもって暖をとり、肉を焼き野獣を追い払って生き延びていくことができることとなった。
 しかし、地上にあるはずのない火が地上に燃えているのを見つけたゼウスは烈火のように怒り、再び人類に災いをたくらむ一方、プロメテウスを「火泥棒」の罪でとっつかまえて岩山にくくりつけ、日ごとに鷲にその肝臓を喰らわすという罰を与えた。

※ウイキョウ 〜セリ科の植物で、菜の花のように小さな黄色い花が咲く。ハーブのフェンネルの事。
        魚料理やピクルスの風味付けに用いられ、インドではカレー料理に、中国では五香粉の原料として用いられる。
<宗教>
 荒ぶる火をてなずけ制御するためには、豊富な知識と技術、経験とともに宗教的なパワーも必要とされた。その性質を熟知し、祭りや儀式で火を自在に操る宗教者は「聖(ひじり)」と呼ばれて崇拝された。語源は「日知り」で、太陽の動きを知る者、暦を司る者から来ている。これが転じて「火知り」となった。
 火には強い浄化力があると考えられていて、これが火打石で清めの火を切る習慣だ。また火は、霊魂の世界と人間界とをつなぐ触媒であり、代表的な例が、お盆の迎え火、送り火だ。

<エネルギーとして>
 火の歴史はエネルギーの歴史そのものだ。数十万年の間それは木であり薪だった。近世になり木炭が発明され、石炭や石油、天然ガスが発見され電気を生み、ついに人類にはおそらく永遠に制御できないだろう劫火、原子の火を生み出した。それは”HUKUSIMA”が証明してしまった。そして、次世代の夢の原子炉「もんじゅ」の開発が推進されている。高速増殖炉もんじゅで使用される燃料はプルトニウム。半減期は2万4000年、今問題となっているセシウムは半減期が30年だから毒性の桁が違う。ケタ違いの猛毒。一旦事が起こったら、日本は永遠に人が住む事のできない国土になってしまうだろう。
 穏やかな焚き火の炎とは違いプルトニウムの火は、誕生の瞬間からすでに全てを焼き尽くさずにはおかない死の世界の火なのだ。僕達の子供の頃のヒーロー「鉄腕アトム」の動力源が原子力だったのは、なんとも皮肉な話だ。


第二章:焚き火の手法と場所



焚き火のやり方を見れば、その人の性格や経験、知識、自然に対する考え方がわかるという 〜焚き火の先生になろう

<焚き火を楽しむ場所を探す>
 自分の庭でも勝手に火は焚けないことになっている。特に住宅地では近隣から苦情は来るし消防車がサイレンを鳴らして駆けつける事だってあるのだ。
国立公園から小さな公園に至るまで「公園法」により禁じられているが、地域住民が役所と交渉を行い、限定的に焚き火が出来る公園も出て来たようだ。また学校や児童館の庭で焚き火が出来るかは教職員、校長の考え方次第でいわゆる管理重視の事なかれ主義だと体験学習で火を焚く事すら出来ないのだ。最近はキャンプ場でも直火の禁止が多い要因は一口に言ってキャンパーのマナーの悪さから来るもので当然だ。
 
 以上の事を注意の上、直火で焚き火を楽しむ場所の条件は必ず赤土や砂質の裸地を選ぶ事で、落ち葉が堆積した場所や山の黒土(腐葉土)は乾くと燃える可能性だってあり、土だから火事にならないと言う常識は危険すぎる。
 風向きも焚き火場所の大切な要素だ。季節や時間帯によって一定の方向から吹く事もあるが様々な地形等の変化により一定ではないのだ。「風上を焚き口にする」というマニュアルに固執すると風が巻いたときに混乱するので、風を避けて燃焼効率を上げる事が重要だ。直火に限らず、焚き火台やコンロ、七輪等を利用の場合も同様である。

<焚き火台>
多くのキャンプ場では直火を禁止し、焚き火台使用のみを許可している所も多い。大地で直火を起こすというワイルド感はないが多様な場面で利用出来るので便利だ。十分焚き火の醍醐味は楽しめる。ダッチオーブンなど重たいものを乗せる事もあるのでしっかりしたものを選ぶ事がポイントだ。

蛇足だがこんな七輪もあったら、炭火でコールマン製品なんか使わずに料理もできて味わい深いキャンプが出来る。


<薪の組み方>
やぐら型(合掌型〜閉じ傘)
マキをお互いに支えるように組むのがやぐら型。キャンプファイヤーに見られるもっとも良く知られた手法。
焚火の中で空気の流れがスムーズで着火も早い。外周になるほど徐々に焚き木の径を大きくしていくのが良い。
とにかく細長く高く形作っていくのがポイント。内部の焚き付けに火が届く様火口を開けておく事。
下方から空気がよく入るため、火柱が高く上がり見栄えの良い焚き火になる。ただし不必要に火力が強く、崩れやすく火持ちもよくない。
料理には不向きで自然の炎のアレンジメントとして楽しむタイプ。
放射型(合掌型〜開き傘)
やぐら型の変型。マキを縦に組む部分を少なくし、一気に火が全体にまわらない構造が特徴的。
中心に細かい木切れを置き、その上に放射状に焚き木を低く立てかけていく。
火柱は小さく火持ちに優れ、燃焼効率も高い。火力を調節できるので、星を見ながら長時間火を楽しむのに向いている。
また、囲炉裏やかまどにも用いられる手法。
並列型(枕木組み)
枕木を平行に2本または2列に置き、その上に焚き木を並列に何段か並べる手法。
直接地面に接しずまた上段か屋根の役割も果たすため、雨天時や積雪時でも焚き火が行える。
湿った焚き木を乾かしながら燃やせるメリットもある。下からの空気の供給がいいので、以外に火力は強く燃焼効率も高く、耐候性の高い焚き火。
調理などの応用にも向いている。
井桁型(算木組み)
やはりキャンプファイヤーでよく見られ、通常、縦2本、横2本で井の字形に積み上げる。
下から上まで同じ寸法で積み上げる場合と徐々にすぼめるやり方がある。構造全体を燃やすので焚き木の消費量が多く豪快に燃え火力も強いが、
すぐに燃え尽きてしまう。いわゆる大焚き火。下層から崩れていくので危険でもある。
そのため、下層部に水をかけながら上層部を燃やして井桁を保つ方法がとられる事がある。
バックログファイヤー
120年前のアメリカのマスターキャンパー”ネッスムク”が用いた手法。
風よけ及び熱の反射壁(リフレクター)として丸太の壁を築く。2本の杭をある程度の間隔を開けて地面に後方斜めに打ち込む。
ここに太い丸太から順に上に積み重ねる。そして手前に丸太3本と壁で正方形の囲みを作り、この中で焚き火をする。
丸太の壁が風よけになり熱を反射し、煙を上方に逃す。焚き火をするとやがて壁の下段の丸太に火が移るが、
燃え尽きると上段の丸太が滑り落ちて新たな焚き木となる。杭は泥などを塗って燃えないようにする。
インディアンの火合掌型(開き傘)の一つでよりシンプルな方法。3〜5本の丸太を地面に放射状に置く。中心に焚付を積んで火をつける。
丸太の先端に火が移って燃え進んだら、中心に向かって押しこむ。形が星型なので、スターファイヤーとも言う。
焚き木の少なさがポイント。一気に燃え広がる事はなく火勢も穏やかで、調理にも向き長時間の暖を取るのに最適。
インディアンテント”ティピー”の中で用いられた。


第三章:焚き火の材料と道具


<焚き付け>
 キャンプ場に行くとライターで必死に直接太い薪に火をつけようとしている人をたまに見かける。熱量が足りないからとても無理な話。確実に燃やすためには焚き付けが必要だ。しかし、市販の”文化焚き付け”とかは極力避けたい。油臭いし環境にも良くない。全般的に石油系のものは、ダイオキシンが発生するので避けたい。
 薪の上で焚き付けを燃やしても着火はしない。下から炎を当てて丸太を着火温度まであげるのが原則。そのためには焚き付けを燃やすスペースが必要だ。焚き木を上手く組んで空間を作るのがコツだ。

 焚き付けには何でも利用できるが、出来れば身の回りにある自然素材を使いたい。新聞紙は灰が多量に出て、焚き火の上昇気流で広範に飛び散って見た目も悪い。例えば、乾燥した小枝 枯れ草(笹、ススキ、アザミ、その他イネ科の穂) 枯れ葉 松ぼっくり 樹皮 乾いた地衣類 ティッシュペーパー 裂いた紙パックなどが使える。枯れた杉の葉は着火後の2番手の焚き付けとして優秀だ。

 白樺などのカンバ系(ダケカンバ、ウダイカンバ)の樹皮も油っけが多くてよく燃えるが一度剥がしてしまうと再生しないので、倒木や立ち枯れた木以外では採取してはいけない。すぎやサワラ、ヒノキの樹皮も細く裂いてよく揉んでフワフワの繊維状にするとよく燃える。油脂を多く含んだ杉などの木片も、斜めに切り込みを沢山入れて表面積を大きくすれば焚き付けに使うことが可能だ。荷作りに使うジュート(黄麻)の麻紐もいい。細かくほぐしてフワフワの塊にすれば使えるし、薪を束ねる時も重宝する。
 当会では、大量の松ぼっくりをストックしているが、火つけの能力は低いので他の焚付と併用している。会員が愛犬の散歩中に各地の公園で拾い集めたものだ。

<着火は確実に>
 焚き付け材の他に太さの違う3〜4種類の薪を用意し徐々に火力を上げていく事が肝心で、直径1〜2センチに割った細い薪は燃えやすく比較的長く燃えて火力を繋ぐ役割がある。次に3〜4センチもので一般的薪材を3〜4分割した程度の薪で火力を大きくするために使用する。(太さの違う小枝でも良い)最後に太さ10センチ程度の本格薪材へと炎を大きくして行くのが良いだろう。

<燃焼性能>
 樹木には大別して2種類がある。針葉樹に代表される杉やマツは樹脂(ヤニ)が多く火付きは良いが火持ちは短めで煙が多く、おきが残らず比重も約0.4と低めで一般的に不向きとされている。
 雑木林に見られる広葉樹のクヌギやナラ、カシは比重が高い(重い)ので火持が良く火力が強くてススや煙もなく、ゆっくり燃えておき火が長持ちするなど焚き火料理には持ってこいで薪材のBig3と言われている。
 特にナラはパチパチ音を出し焚き火の雰囲気を盛り上げてくれる。全般的にケヤキやカエデ、ブナ、シラカバなど優秀な広葉樹で特に比重が高いカシはロールスロイス級と言えるだろう。

〜薪材の比較〜
クヌギ (櫟)火つき火持ち火力
雑木林を構成する代表的な樹種。炭の素材としても使われる。
火つきは悪いが高火力を長時間維持。材は固く、皮はコルク質で燃えづらい。
アカマツ (赤松)火つき火持ち火力
火つきは非常にいいが、ススや煙が多く残って、不完全燃焼を起こす。
常に風を送って灰を飛ばすと野鍛冶もできるほどの火力が出る。
クリ (栗)火つき火持ち火力
材は非常に固く、大型の斧でないと薪割りは困難。火つきは非常に悪く、
燃え出してからでもバチバチと爆ぜる。恐らく初心者には火をつけることはできないだろう。
クワ (桑)火つき火持ち火力
養蚕が盛んだった頃の名残で各地に自生している。聖地にも1本若木が生えている。
桑の実を食べた御仁も多いはず。材は硬質で燃えにくく、火力、火もちはそれほど良くない。
ケヤキ (欅)火つき火持ち火力
材は密で硬質。火つきは悪いが、1度火がつくと高い火力を維持する。
煙は少ないが独特の臭気がある。割れにくい。
モミ (樅)火つき火持ち火力
比重が高く、材は密。寒冷地で薪として流通。針葉樹の中では広葉樹に近い燃え方。
つきは悪いが、じわじわと長く燃え続ける。
ヒノキ (檜)火つき火持ち火力
間伐材が薪として流通。皮が剥げやすいので、白木で売られる。剤には特有の爽やかな香気がある。
燃料としては際立った特徴はない。焚き火の初心者向き。
スギ (杉)火つき火持ち火力
柾目が通り割りやすい。火つきが良いので焚き火の燃やし始めによい。
薪として多く流通。刺激の強い煙が出る。焚き火の初心者向き。
カシ (樫)火つき火持ち火力
材は緻密で硬質。耐久性が求められる斧やナタの柄に用いれれる。
火もち、火力共に高く、長時間高火力を維持する優良材。
サクラ (桜)火つき火持ち火力
薪の中では高級品。燃やすと独特の香気を放つので燻製用のチップに使われる。
焚き火でもあぶる料理にはにおいづけに使うことができる。
シラカバ (白樺)火つき火持ち火力
高地や寒冷地に分布し、北海道ではポピュラーな薪。広葉樹の中では群を抜いて火つきが良く、火力も高い。
きれいに燃え尽きる。特に樹皮はよく燃える。
コナラ (木楢)火つき火持ち火力
広葉樹の中では、火つきはよい方で高出力を長時間維持し続ける。
煙も少なく扱いやすい。火が安定した後の燃料として有効。

<良い薪の条件と含水率>
 適度に乾燥している事、よく燃えて火力が強い事、ススや煙を多く出さない事等が上げられる。最も燃焼効率の良い含水率(乾燥重量を100とした場合の水分量の比率)は15〜20%まで乾燥されたものとなるが、伐採後の薪割りや積み上げなどにより左右され、2ヶ月から樹種によっては2年近くかかるものもある。また薪も夏と冬では含水率が違うため、晩秋から春にかけてはよく燃える木も、夏場にはなかなか火がつかない何て事になるのだ。乾燥しすぎた薪は逆に欠点もあり、含水率が10%以下になると急激な熱分解による揮発性物質の放出に酸素の供給が追いつかず不完全燃焼となる。


第4章:薪割りの基本と積み方



<薪を割る時期>
 生木か少し乾燥した程度が最も割りやすいのだが重くて扱いは大変である。薪材は冬の間に切り出され雪解けとともに長さを揃え(チェーンソーを用い玉切り)5月頃迄に割って薪小屋か雨除けシートなどかけて積んでおく事により夏の強い陽射しで乾燥した薪が出来る。

<玉切り>
 丸太はサイズがまちまち。チェーンソーでストーブの長さに合わせて(30cm前後)玉切りする。(注意点は、長さを一定に、切り口を真っ直ぐに切る事。立たないと薪割りがやりにくくなる。)
チェーンソーを嫌う人がいるが、直径40cmの乾燥した広葉樹を手ノコで伐ると、数時間掛かる事があるので、チェーンソーを使わざるを得なくなる。細かい枝をチェーンソーで切る時は、足で押さえたり浮かしたりして切る。

Husqvarna(ハスクバーナチェーンソー)
http://www.husqvarna.com/jp/home/

<斧(アックス)選び>
チェックポイントヘッドの厚みと形状
  ヘッドに厚みがあると、薪に食い込んだ時に割れを押し広げる力が加わるため割りやすくすなる。
 一方、薄いヘッドは薪に食い込みやすいため焚き付け用の斧に適している。

ヘッドの幅
  厚みとのバランスで、ヘッドに重さを持たせる意味で刃の幅に差がある。
 ヘッドに重さが生まれれば重力を利用して薪を割ることができるからだ。
 また、刃幅が広ければ広範囲に食い込ませられる利点もある。

の長さと形状
  形状にも種類があり、基本は直線型だが、人間工学に基づいた設計でゆるやかなS字や弓型の柄のものが多くなってきている。
 グリップが滑りにく加工されているものもあり。
選び方のコツ用途に合わせて選ぶ
  斧には大きく分けて焚き付け用と薪割り用に分けられ、斧身の形が違う。
 焚き付け用の小型斧や鉈を薪割り斧として使用すると、刃が丸太に食い込んでしまうし、
 薪割り斧を焚き付けに使用すると、斧が重たいので手首が疲れてしまう。

腕力にあった斧頭の重さを選ぶ
  焚き付け用は、片手で持ち上げた時に手首が「重い」と感じない程度のものに。
 薪割り用の斧は、両手で持ち上げた時に無理を感じないものを選ぶ。
 重量は2〜3kgが目安。焚き付け用は、1.5Kg前後が目安。

身長と力に合わせた柄の長さを選ぶ
  柄が長いほど斧身が重く感じるので小柄な人や力のない方は短めがよい。
 平均的に柄の長さ80cm前後が、焚き付け用は長さが35〜45cmが目安。

柄の強さは木目で見分ける
  薪割りの際に衝撃を吸収し割れにくい斧は、柄の長い方へ木目が流れている。
 柄に使われる木の多くが、クルミに似たヒッコリーやアオダモ。日本では樫、グラスファイバー製も多い。
 ヒッコリーの産地は北米で、重みがあり、堅く粘りがあり、曲げおよび衝撃に対する抵抗が大きいのが特徴。
 斧頭そのものは丈夫なので壊れることはほとんどないが、打ち損ねて柄を薪に打ち付けて折ってしまう事は多い。
 そのため柄は消耗品と考えたほうがいいが、柄にプロテクターが付いているものがあればベスト。

<主なメーカー>
 編纂していくと一番ありそうなのにアメリカ製が少ないなと気付く。確かに本国のAmazonに行けば、アメリカンツールカンパニー、コリンズ、マンエッジツール、ケリーなどのメーカーの大量生産品の斧が売られているが、日本ではあまり出回っていない。
 鍛冶職人の手作りから車と同様に大量生産品になり、60年代にチェンソーに取って代わられて見る影もない。日本刀の延長で見てしまうせいか、園芸用品のカテゴリーで売られているのはちょっとさみしい気がする。職人マイスターの伝統が残るヨーロッパで生き残ったという事だろうか。

グレンスフォシュ・ブルークス スウェーデン 
 日本における西洋斧市場を独占している感のある斧メーカー。1902年から斧を生産し続ける名門で、その斧は鍛えられた鉄を適度な硬さ、鋭さが持続するように職人が1本1本丁寧に仕上げた“工芸斧”で、紙がスーっと切れるほどの鋭さがある。硬木や大径木だとめり込みやすく、抜くのに苦労する場面もあり。


bahco バーコ スウェーデン
  1888年創業。設立の原点は、モンキーレンチを発明して特許を取得したこと。耐久性に優れたスウェーデン鋼を用いたニッパーが世界一と評価が高い。全ての商品でイメージカラーはオレンジ。その斧は、鍛鉄を作業用として仕上げた粗仕上げのため、極端な鋭さはない。バランスと直進性に優れ、狙ったポイントを直撃すれば大径木の玉割も割ることができる。 クサビ型で肉厚。グレンスの斧が切り裂くタイプとすれば、バーコの斧は引き裂くタイプ。


helko ヘルコ ドイツ
  斧の製造をし続け160年以上という歴史を誇る。年間の生産本数が100万本以上という、世界有数の斧製造メーカー。
  Vermonter(バーモンター)プレミアムモデル


  個人的には、映画「アメリカン・サイコ」に登場する、主人公の端正な横顔が映らんばかりに研ぎ澄まされた「マーク4」が秀逸だ。でもこれは観賞用かな?


STIHL スチール ドイツ
  昔からアウトドア雑誌、薪ストーブ、ログハウス雑誌を愛読している向きには懐かしいメーカー名。現在、グレンスフォシュその他、薪割り用に特化した斧メーカーの席捲により、著しく販売販路を狭めた。
  この斧の特徴は、刃の厚みと重さ、柄の長さが一回り大きいこと。直径30センチ以上の丸太でも簡単に割れる。柄の保護に鉄のカラーが付いている。太い丸太を薪にするにはベストサイズ。力自慢の男性向きか。野外の作業で工具を無くしてしまうオヤジは多いが、赤の塗装は緑の補色(反対色)で見つけやすいようにとの配慮からだ。


hultafors フルターフォッシュ(ハルターフォース) スウェーデン
  1697年設立。その歴史はスウェーデン海軍御用達の釘や鋲を生産し始めたところから始まりチェーンの生産を経て、19世紀後半から斧の生産を開始。特徴は、刃先から少し進むと真ん中が膨れている形状で、食い込んでも木の断面との接触面積が少なくなり、かんで抜けにくくなりにくいという所。コントロールしやすい。AGDOR(アクドール)はその斧ブランド。


MULLER ミュラー オーストリア
  1675年創業。300年以上にわたり、斧をはじめとする鍛造品を造り続けてきたメーカー。1675年、削岩機のドリル等を製造する小さな鍛冶屋から創業をスタート。斧は1823年から製造が開始され、それまでの技術を集約して伝統と革新性がコラボした優れた商品となり、東欧諸国に広く知れ渡るところとなった。なんと欠陥品に対しては、本国では20年の保証があるらしい。


strike haster ストライクマスター カナダ
  切れ味、丈夫さそして使いやすさに定評がある。ストライクマスター No.1は、3.5Kgのヘッド重量はちょっと重いかも知れない。。薪割りが大好きな人はグリップも細めでその破壊力に快感を味わえるそうだ。クサビを打ち込むハンマーとしても便利。いい意味で細部にこだわらないアメリカ的。


FISKARS フィスカース フィンランド
  ガーデン用品分野で世界No.1 のシェアを誇る。剪定ばさみとかで有名。モリブデンとバナジウムを含んだ刃は、耐食性に優れていて、フッ素コーティングで樹液が鋼に付きにくい。グリップはグラスファイバー強化樹脂製で軽量。耐久性に優れる。



グレンスフォッシュとの刃の形状の違い。振り下ろすとグレンスフォッシュより重量バランスがヘッド寄りになっているので、刃の速度が上がり、切れ味と破壊力が増すようになっている。

TRUPER メキシコ
  1962年創業。園芸用品や各種工具を販売。斧の専門メーカーではないが、ヘビーモウルGFという斧に人気がある。
  斧頭3.6kgはかなり重い。グレンスフォシュの様な繊細さは無く、どうだ割れただろという豪快さが魅力。刃先が鈍角なので腕力がないと堅木は厳しい。針葉樹向き。グラスファイバー製の柄は耐久性が高い。カタログを見ると、同じ形状のハンマーがあり、なるほどその延長かと一人で納得。


当会員のWoodyが愛用していて、その手応えを日々熱く語っている。


和製斧
  和斧はまるで日本刀。軽量なので固い木は難しいが、素直な筋のものならまさにスパンと切れるように割れる。
  斧の表と裏に合計7つの筋があり、表4つ、裏3つ。大木が倒れてきても「身=3」を「よける=4ける」、という言葉遊び。あるいは3で「神酒」、4で「地と水、火と風」に礼儀をささげるとの意味をもつとの説もある。日本には5大刃物産地、土佐刃物(高知県土佐山田町、南国市)、安来刃物(島根県安来市)、播州・三木打刃物(兵庫県三木市)、堺打刃物(大阪府堺市)、関刃物(岐阜県関市)、武生(福井県武生市)、燕三条(新潟県三条市)がある。主に小刀やナイフだが斧を作っているのは、土佐、武生(たけふ)、安来(やすぎ)の三カ所。
写真は、土佐打刃物”鍛冶屋トヨクニ”作。


VIPUKIRVES ヴィポキルヴェス フィンランド
  テコの原理で丸太を割る。上から振り下ろす力で外側に自然に回転し、刺さった部分をテコの動きで裂いて行く。打った部分は一撃で剥がれるので、斧が丸太に刺さって動かなくなることはない。重心が右側にあり、数センチの刃先が木にめり込むとヘッド本体が右に回転し、それで左方向に木が裂けるという仕組み。端から剥ぐようにするため、細い薪が沢山できる。他製品の倍以上はする。


Iron and oak アイアン&オーク
アメリカ・イリノイ州に会社を構え、薪割り機や斧など、薪関連の商品を専門にデザイン・生産をしている。
  マジック斧
  驚異の5.5kg、まるでおむすびのような断面の刃の厚みは10cm近い。これを振り回すのはかなりの腕力が必要。もはや刃物のイメージはない。刃先と一体となった柄は、もろに衝撃を伝えてくる。でも破壊力は凄し。腕っ節の強い人なら、面白いように薪が割れるので、その爽快感でやみつきになるかもしれない。


<薪を割るコツ>
1)薪割り台を用意する。硬い大きくてしっかりと安定した丸太を用意する。径40センチ程で高さは、切り手の膝より低い30〜40センチ程度。
2)斧が薪に当たり損ねた時に、斧が脚ではなく台に当たるように薪は台の向こう半分に立てて置く。枝や節がある場合、その部分を避けるか小さい節などであれば節を手前にして枝部分を割るといいだろう。
3)斧を振り上げ、力まずに斧頭部の重量を利用して振り下ろし、斧が木に当たる瞬間に力を入れる(スナップを効かせる)が、腕力ではない。直立姿勢で斧を振り下ろしてはいけない。斧が弧を描いて足元に来る。手元が狂っても斧が地面を叩く位置で、柄と腰を同時におろして垂直に振り下ろす。木繊維の通り方を読んで、力を加減して割る。同じ体勢と同じ力加減が、薪との距離感がつかみやすく疲れないコツ。太い薪の場合は回しながら割っていく方法がいい。
 初心者は、足の前にガード用の薪を1本転がしておくと安全だ。

 丸太の手前の1/3ぐらいのところを狙う。この薪のスイートスポット。真ん中だと斧の振動が吸収されてしまうので一度に割れないことが多くなる。反対の1/3に当たると柄の方に振動が入り、折れる恐れがある。

4)割った材がかなりの距離飛ぶことが多いので周囲に人がいないか確認しながら作業を進めること。真後ろと正面には手を滑らした斧や柄の折れたヘッドそのものが飛ぶことが考えられるので特に大きな危険性がある。割れない木はむきになって割らないのもコツの一つだ。玉切りに食われた斧を左右に揺すって抜こうとしてはならない。斧の柄が割れたり緩む原因になる。斧を抜くときには、常に垂直方向に柄を揺すって抜く。さらに、斧を痛めるダメージの多くが目測を外しての柄打ちによるヘッドの折れで、一撃で新品の斧さえ折れてしまうこともあるので体が感覚をつかむまでは力まずに慣らしていくよう心がけたい。
 
<薪割り機>
 大きく割れにくい幹を割ったり、安全かつスピーディーに薪割りをしたい場合は、薪割り機や楔(くさび)もある。動力薪割り機には、油圧シリンダーを利用したものから電動からエンジンのものまであり、本格的に丸太を割るのであればパワーやストロークからみてエンジン動力が適している。


Iron and oak(アイアン&オーク)
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<薪の乾燥>
 薪を割るのは生木を早く乾燥させるためであり、生木の含水率は樹種や季節に寄って異なるが木材と水分の重量がほぼ同じである。生木の薪は熱量の損失やタールの量が多くなり煙突掃除やススによる火災の原因となる可能性すらある。最低でも含水率25%以下にしなければ上記の様な不都合が生じる事から、薪の太さにも寄るが半年から1年前に割っておく必要がある。

<薪を積む>
一般的には握りこぶしが入らない程度のすき間を空けるのが乾燥のために良いとされている。また樹皮の面を下に向けて積んだ方が乾燥が早い。
水はけの良い、平らな場所に敷木を置きその上に崩れない様に積むのだが端は井桁に積むか、しっかりした杭か壁などで支える事が大切である。



第5章:焚き火と環境教育


<雑木林の保全と市民活動>
 神奈川県立七沢森林公園では、毎月一回日曜日に市民が集い、公園内の雑木林の保全作業を行っている。参加者は子供や若い女性、学生、おじさん、おばさんなど山仕事からは程遠い人たちで下草刈りや枝拾いを行い、集められた枝や薪で火をおこし焚き火料理を楽しむのである。これを目当てに雑木林に集まって来るのである。
自然の中で体を動かし心身ともにリフレッシュしながらおいしい料理でお腹も満足、そして雑木林の生物の多様性にもつながっていく。

<焚き火から教わるもの>
 たかが焚き火だが、新しい手法や考え方を取り入れると私達の生活の質を向上させ、自然との共生を両立させる事が可能だ。
広葉樹が主体の雑木林は薪の利用や炭焼きなどにより周期的に伐採と切り株からの芽の再生を繰り返してきた。専門家によるとある一定面積の雑木をみんな伐採した直後に植物数が一番多くなるそうである。木は燃やしてしまってもまた再生して、二酸化炭素を吸収し酸素を供給する事から、クリーンエネルギーとして位置づけることができよう。

 まず、焚き火をしてみよう。体験から学んで行こう。強い火はやがて、おき火になりこの過程でマツやスギは燃えやすい木であり、ナラやカシの木は火保ちのよい木だと自然に学ぶだろう。里山や雑木林の手入れで大事にしていたナラの木は、便利な燃料だったのだということが体験学習を通して分かってくるのである。
 一般に環境教育プログラムの参加者は男性が多いなか、焚き火を生かした環境教育の場合、主婦や子供など家族連れなどへと対象を広げる効果がある。また楽ければ興味がわき、新しいスキルを身につけて行ける。自主的に学習するため、吸収は早く参加者の層は厚みを増すのでしょう。
 1960年代のからの化石燃料革命以降、日本では焚き火に接する機会が減り、海外では先進国を含め、依然、生活の中で木を燃料として燃やしている。地球温暖化・エネルギー・森林破壊などさまざまな環境問題を考えるとき、焚き火にる環境教育を体験することが国際相互理解に重要な役割をはたして行くでしょう。


第6章:焚き火の現在と未来


焚き木や薪というと過去の古い時代のエネルギー、あるいは逆に、ストレス解消癒しのツール、キャンプの燃料ぐらいにしか映らないのだろうか?しかし、この薪という資源を今後、重要なエネルギー資源と捉え、現代生活反映出来ないだろうか。

<薪の燃焼エネルギー>
 薪というと古い昔の燃料のイメージが強いせいか、たいしたエネルギーではないと捉えている人が多いようだ。薪ストーブの性能にも依るが、平均して一台で約一万〜一万五千キロカロリーの熱量を放出することができる。石油ファンヒーター等の熱量は三千〜四千カロリーだから、実に三〜五倍の熱量となることから薪の偉大な燃焼エネルギー効率が伺い知れよう。

<薪ストーブ>
 薪の現代生活活用法のトップとして、薪ストーブへの活用がある。ナラやクヌギに代表される広葉樹の山林は林業が盛んだった頃は、20〜30年サイクルで伐採管理され維持されてきた。ところが林業の衰退とともにこのサイクルがなくなり、山には古木ばかりになってしまった。そこで薪ストーブでの活用が山林の維持管理に重要な要素となっている。また薪ストーブの使用は静かなブームとなっており、一度経験した人は灯油ヒーター等化石燃料暖房器具には戻れないようである。


<ペレットストーブ>
 特に薪の入手に難しい都会においては、木を一度粉砕し、これを丸めてペレット状にしたものを燃料にして使えるペレットストーブやペレットボイラーが登場している。最近は国土の約三分の二が森林で覆われている日本でもペレットストーブが注目されている。


<火への想い>
 夕暮れ焚き火をしていると、なぜか人が寄ってくる。人は火の前で寡黙になる。しゃがみ込んで話をするでもなく、時おり手をかざしてはじっと火を見つめ、人と人を結びつける。火があれば話が途切れても何となく間が保て、一人静かに火に集中することもできる。焚き火をなんと表現すればいいのだろう。ゆらめき変幻する炎。煙のにおいやパチパチ薪のはぜる音、焚き火はいい。何ともいいものだ。身も心も温めてくれる火熱に癒され、ゆったりと心が落ち着くのだ。

<火は人類に、ちょうど良い大きさ>
 例えば、人間が虫や昆虫の大きさだとすれば炎はとてつもなく巨大で危険だ。とうてい扱うことは不可能だ。逆に人間がガリバーや大型恐竜のようだったらどうだろう。炎は極小で全身を温めることすら出来ないだろう。人類は火を扱うには、ちょうどいい大きさに生まれついたのだ。それを物語るのが190万年前の原人ホモ・エレクトスであり、すでに火を使って調理していた可能性だってあるらしいのだ。人間には大きすぎる原子力の炎を永久に扱うべきではないのだ。

<火は文明そのものだ>
 人間は火を使う動物である。この豊かな文化遺産を我々の世代で絶やしてはならなく、焚き火は人類の利用してきたさまざまなエネルギーの原点であり適正技術の原点でもある。木を燃やすことはCOツーを排出するとして非難する人がいるが誤解だ。放置された森林では、落ち葉や枝、弱って木が朽ちる過程で燃やすのと変わらない量の二酸化炭素が放出されるのだ。また木が大きく生長する過程で二酸化炭素を吸収し、酸素を供給してきたのだから木を燃やすことはプラス・マイナス ”0”なのだという見解もある。
 森林は日常的に薪を拾い、下草を刈り、落ち葉を集め堆肥にし管理してきた。山や森は人間が利用することこそ、バランスのとれた雑木林の生態系を維持できるのだ。
北欧や北米を中心に薪ストーブは触媒を使った二次燃焼システムなど、燃焼効率を飛躍的に上げる研究がなされ、日本では気候風土や暮らしに最も適したエネルギー効率の良い最先端の技術が注目を集めることでしょう。


【参考図書】
アウトドア&キャンプ大辞典:成美堂出版
楽しい焚き火:JTBパブリッシング
実践サバイバルの進め:主婦と生活社
焚き火大全:創森社
ビーパル:小学館

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