クマムラゴウスケさんのブログに書かれた『”バイブル”が生まれる前のハナシ』各記事にインデックスをつけてwikiにまとめています。

さて、前回から “基本戦略の策定” というコトで、これまでのステップで明確化してきた “5W1H” の要素を、“グランズウェル” の “POST プロセス” をベースにした形で、具体的な戦略にまで落とし込むやり方を解説し始めているのだけれども、今回は、“POST プロセス” の 2 番目の要素、“O” つまり “Objective” に関してハナシを掘り下げてみようと思うわけで。

実際、どんなマーケティング施策でも、コレは変わらないのだけれども、施策を実施するにあたって、必ず検討しなくてはならないのが、目的、つまり Marketing Objective である。コレはもちろん、ソーシャル メディア マーケティング施策であっても全く変わらない。

さて、一言で Marketing Objective と言っても、その内容は実に様々なモノになってくるはずだ。例えば、製品やサービスに対する関心や認知度を高める、というのも一つの目的になってくるだろうし、顧客と、つながりの深い関係性を構築し、維持するコトも、目的だ。場合によっては、具体的に販売機会につなげていく、つまり潜在顧客を購買サイクルの中に取り込んでいくという目的もあるだろう。

今回は、マーケティング施策を、上記のような目的ごとに区分したとき、その目的に応じて、どのようなソーシャル メディア マーケティング的アプローチをしていくのが適切なのかを考えていきたいと思う。今回は、上記に挙げた、3 つの目的、つまり

  1. 関心や認知度の向上
  2. 顧客との関係性構築 & 維持
  3. 顧客の購買サイクルへの取りこみ

を例にしつつ考えてみるコトにする。

まずは “関心や認知度の向上” から。コレに適しているのは、(ココまで、このブログを読んでくださっているみなさまであれば、すぐにわかると思うのだけれども) いわゆる Buzz/Viral 的なアプローチになってくる。ただ、ココでいきなり身も蓋もないコトを言ってしまうのだけれども、この目的でソーシャル メディア マーケティング施策を考えるにあたって、必ず押さえておかなくてはいけない前提がある。ソレは “ソーシャル メディア マーケティング的手法だけでは顧客の関心を高めたり、認知度を向上させたりするコトはできない” というコトである。実は、この前提を理解しきれていないがゆえに、失敗に終わるソーシャル メディア マーケティング施策は後を絶たない。まず、ソーシャル メディア マーケティング的手法は、決してマス広告にとって代わるものではない、というコトを、まずしっかりと理解する必要があるのだ。

コレは、これまでソーシャル メディア マーケティングとは何かを説明する際に、何かにつけ “口コミの威力” だけをピンポイントで取り上げ、散々煽るだけ煽りつつ、実際には、その本質に至るところまで、誰もしっかりと語っていなかったコトに問題があると思っているのだけれども、企業のマーケティング施策を展開するマーケターの最たる誤解と言ってもいいくらい、口コミさえ起こってくれれば、そして拡がってさえくれれば、マス広告は不要であるという認識が拡がっているのが現状である。その結果、本来であれば決してコントロールできないし、コントロールしてはいけない Organic WOM (Word of Mouth) の世界で、無理やり口コミを発生させようとしたり、拡げようとしたりして、失敗してしまう例が多く見られるわけで。

もちろん、Organic WOM の対極に位置するモノとして Amplified WOM という、人為的に口コミを作り、拡げていくという概念は存在するが、コレはあくまでも Organic WOM が拡がる前段階におけるモノ、つまりきっかけとしての位置付けでしかないし、むしろ最近ではどんどん通用しづらくなっているコトを忘れてはいけない。

また、正直なトコロ (コレはみなさんもわかっていることだとは思うが) 、限られた一定の期間で、ある一定レベルの認知を得るために、もっとも費用対効果が高いのはマス広告 (一部 PR も含む) だったりする。一般的には、まずマス広告があり、ソレを補完する形で、いわゆるオンライン広告が合わせて出稿されるコトが多いわけだけれども、実際、認知度を向上させるというコトだけで考えると、このやり方は非常に正しい。少なくとも認知度を向上させるという段階では、必ずしもソーシャル メディアは、大きな要素として入ってはこないだろう。ソレは、ソーシャル メディアが、広告枠を買うという形で、好きなメッセージを好きなだけ投下するコトができるというモノではなく、あくまでも C2C による Organic WOM によって成立しているプラットフォームであるからにほかならない。

そして、もうひとつ。認知の向上の先にある Perception Change という面においても、ソーシャル メディアが C2C による Organic WOM によって成立しているプラットフォームである以上、実際のトコロ、思うようにはいきづらい。Organic WOM は、そもそもコントロールできない、つまり、自分たちの思うような Perception Change をしてくれる保証は、どこにも無いのだ。

ただ、ソーシャル メディアには、マス広告や Online Ad では獲得することができない面を持っている。ソレは(広告に比して) 情報に対して Credibility (信頼性) を伴いやすい点、そしてアーカイブ性である。

以前、少しだけ触れたように、ソーシャル メディアが、いわゆる広告や PR と違う点の一つに、“情報は、Flow せず Stock される” というモノがある。コレは具体的には、何を意味するかというと、広告の出稿期間に関わらず、長期継続的に情報が (ソーシャル メディア上に) 蓄積、かつ共有されるという点である。コレはソーシャル メディアのメリットとして、存分に活用していく必要があるだろう。

こういった点を踏まえて考えると、ソーシャル メディア マーケティングにおいて、その目的を関心や認知度の向上に置く場合、決して短期的、かつソーシャル メディア単体で効果を出そうというコトを考えてはいけない。実際には、中長期的なスパンで実施することが重要になってくる。また、もうひとつ、マス広告、オンライン広告、そして Web コンテンツとの、効果的なミックスが非常に重要になるというコトも押さえておかなくてはならないポイントになる。マス広告やオンライン広告で認知度を極力高めていく一方、これらの手段ではなかなか獲得することができない、情報に対する Credibility (信頼性) などを、Organic WOM で補完していくという認識を持って、施策を考えていく必要があるのだ。

コレは言い換えれば、実際にメディア プランを考えていく段階で、ソーシャル メディア上に Organic WOM が拡がっていくための情報の伝播経路まで含めて事前に考えていかなくてはならないというコトを意味するし、ソーシャル メディア上に Organic WOM として拡がっていきやすいコンテンツ開発の部分まで押さえておかなくてはならない、というコトにもつながってくる。

これらを具体的に落とし込んでいくために、事前に明確化しているであろう “5W1H” が、ものすごく役に立ってくるといってもいいだろう。

・・・というわけで、 今回のエントリーだけで、“Objective” についてまとめて語ろうと思っていたのだけれども、一番はじめの “関心や認知度の向上” だけで、ずいぶんなボリュームになってしまった…。

なので例によって、次回は、この続き。つまり、顧客との関係性構築 & 維持、そして顧客の購買サイクルへの取りこみ、という、残りの 2 つの Objective については、次回以降、しっかりと解説していこうと思っているわけで…。

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