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10-907

「なぁ、マルス……」
夜。闇に包まれたベッドの上に、不自然な膨らみが見えていた。
シーツの中、素肌をすり寄せ合う二つの影。一方は「豊満」という文字がそのまま実現し
たかのような女のもので、もう一方は細身ながらも程好く筋肉のついた男のものだった。
「どうしました、サムスさん」
男は、自分の上にいる女の、豊かで柔らかな胸を揉みしだきながら、耳元にそっと言葉を
寄せた。
「その、何だ……、あの……っ」
開いては閉じられる女の赤い唇は、ああ、だの、うぅ、だの、もじもじと意味を持たない音
を吐くばかりで、男の求める言葉を一向に紡ごうとはしない。
愚図つきと逡巡を見せる女の様子は、戦場での、勇ましい戦乙女と同じ人物だとは到底
思えなく。普段の彼女らしからぬその行動に、いよいよ焦れた男が言葉を急かした。
「どうしたんです? ……ちゃんと言わないと、解りませんよ?」
吐息の混じった、耳に心地よいテノールに、女の体がびくりと震える。
「うぁっ……、もう、焦らすな!欲しいんだ、……お前の、熱いのが……っ!」
顔に朱を爆ぜさせながらも、懸命に自身の欲求を伝える女に、男はくすりと笑みを零した
。可愛らしくて仕方が無い、とばかりに、女の指通りのよい金糸に指先を絡め、取った一
房に軽く口付ける。
「ふふ、よく言えました。じゃあ、お尻をこっちに向けて?」
男に言われるがままに、女はくるりと体を反転させて四つん這いになった。そのまま腰を
高く突き出して、まるでケモノのような体制を取る。秘部に突き刺さるような男の視線を感
じ、プライドと、体裁と、そして自らの欲望の間に挟まれた女の顔が、見る見るうちに淫ら
に歪んでいく。
「ん?……何だ、もうこんなに濡れちゃってるじゃないですか……」
「や、ぁ……言う、な……!」
小さな含み笑いと共にそう呟かれ、女の羞恥心が限界に達する。頭を振って必死に快感
を否定する女を見て、男は口元の笑みの角度を深くさせた。
「そういう素直じゃない人には……お仕置き、ですね」
「な、に……うぁああっ!!??」
返事を待たずに、男は女の背後に身を寄せると、滾った物を彼女の中へ突き入れた。し
かし、彼が侵入したのは蜜に溢れる花弁の中ではなく、もっとその上。きつく窄まったもう
一つの穴の方だった。



「そっち、違……っ、ひぁああ!!」
「言ったでしょう?……お仕置き、だって」
ぎちぎちと容赦なく締め付けてくる女の中を、男は半ば無理やり押し開くように腰を進め
ていく。男自身にも苦痛はあるようで、時折眉の間を顰めては荒い息を落としていた。熱
い息が弓形にしなった背中に吹きかかり、女は男が苦痛と快楽に喘いでいるのを知る。
一見女性にも見える程に端正な顔つきが、言いようのない悦楽に歪む様がまぶたの裏
に浮かび上がり、女の腰骨にぞくりとしたものを這わせた。
「でも、……いく、ら何でも……っこっちはぁ、むりぃ……あぁあっ!」
「ほんと、に?……こっちは、こんなになっているのに」
突然、男の左手が女の尻臀を掴んで割り開いた。伸ばされた指は結合部をゆるりと撫で
た後、溢れ出た汁でぐちょぐちょになっている花弁の方へと落とされる。ほったらかしにさ
れていたそこに、一本、二本と指を突き入れられ、女の喉が快楽に仰け反る。
「いや、ぁああっ!!……も、やだぁ……っ!」
指先に摘んだ肉芽を優しく押しつぶせば、まるで連動しているように女の後ろがきゅうと
収縮する。その感覚を楽しみながら、男は女の耳元に声を落とした。
「ふふ、気持ちよくなってきた? ……そろそろ、出すよ」
スパートをかけるように、男が腰の動きをさらに大胆なものへと変えていく。肉と肉とがぶ
つかり合う音が室内に響き、女の快楽を殊更に煽り上げた。
「ね、マル……ッ、」
「どうしたの?」
女の嬌声に掠れた喉が、切れ切れに言葉を吐き出す。
「ぅあ、……出す時は、はぁっ、……な、中、にっ……!」
「出す時は、何? はっきり言わないと、外に出しちゃうよ」
ぐちぐちと内部を抉りながら、男は非情な言葉を返す。
「やぁ、いじわる……っ! わ、私の……お尻の中、に……ぃあっ、マルスの、あついのを
……っ、あぁあっ!!」
女の淫らな台詞は、全てを紡ぎ終わる前に、突然深く突き入れられた男の熱杭によって
遮られた。
「貴方がそんな可愛いこと言うから、もう限界。……ほら、中に出してあげるっ」
「ひ、ぁ、あ、――――んぁああっっ!!!」
ぐん、と一際深く楔が埋め込まれる。その先端から、どくどくとした熱いものが注ぎ込まれ
るのを感じ、女はそれまで体を支えていた腕の力を抜くと、上半身を寝台に投げ出した。
力尽きたようにくてりとする女の背中に、男は繋がったまま自らも体を寄せると、そっとそ
の首筋にキスを落とす。
「……よかったですよ、サムスさん。……また、しましょうね?」

くすりと、可愛らしい笑みと共に落とされたその言葉は、夜闇の中に解けていった。
2008年05月07日(水) 23:57:03 Modified by smer




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