商法・会社法

●業務執行に関する検査役選任申立ての後に 法定の議決権割合を下回るに至った場合の取り扱い(会358/旧商294)

「株式会社の株主が商法294条1項に基づき裁判所に当該会社の検査役選任の申請をした時点で,当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3以上を有していたとしても,その後,当該会社が新株を発行したことにより,当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3未満しか有しないものとなった場合には,当該会社が当該株主の上記申請を妨害する目的で新株を発行したなどの特段の事情のない限り,上記申請は,申請人の適格を欠くものとして不適法であり却下を免れないと解するのが相当である。」
下記の古い判例に反して“申立て時点で法定割合を充足していれば足りる”とした原決定に対する許可抗告事件。下線部のような特段の事情を認めたことがポイントか。
最判平成18年09月28日(平成18(許)12) 破棄差戻し
裁判所判例Watch

◇古い判例
商法294条の株式保有要件は、検査役選任の確定裁判があるまで存続することを要する。
大決大正10年5月20日民録27巻947頁

●蛇の目ミシン株主代表訴訟〜会社法120条1項の「株主の権利の行使に関し」

「株式の譲渡は株主たる地位の移転であり,それ自体は「株主ノ権利ノ行使」とはいえないから,会社が,株式を譲渡することの対価として何人かに利益を供与しても,当然には商法294条ノ2第1項が禁止する利益供与には当たらない。しかしながら,会社から見て好ましくないと判断される株主が議決権等の株主の権利を行使することを回避する目的で,当該株主から株式を譲り受けるための対価を何人かに供与する行為は,上記規定にいう「株主ノ権利ノ行使ニ関シ」利益を供与する行為というべきである。」
最判平成18年04月10日(平成15(受)1154) 破棄差戻し
裁判所判例Watch
2006年10月25日(水) 23:57:55 Modified by streitgegenstand




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