NPO法人日本茶インストラクター協会南九州会員による活動情報および日本茶情報サイト

1 有機農業

わが国に有機農業という呼び名が生まれたのは1971年のことで、化学農法がもたらした様々な弊害を憂え、環境破壊を伴なわず地力を維持しつつ、健康的で美味しい食べ物を生産する農法の呼称として有機農業という言葉が選ばれたという(註1)。
1960年代後半から1970年代は、水俣病に象徴される科学技術の弊害が公害としてクローズアップされていた頃であり、化学合成資材に依存する農法が引き起こす地力の衰え、土壌や水質の汚染、農薬への抵抗力をもった病害虫、それに加えて農家の健康被害などが問題となっていた頃でもある。

「「農業はもともと有機的なものであり、本来有機的なるべき農業に[有機]という名を冠するのは、いささか同義反復的な感じさえするのであるが、現行の化学農法が、あまりにも[無機的]であることへの反語的意味合いから、あえて、この有機農業という表現が選ばれた」」(註1)という。
海外では欧米を中心にして世界中で有機農業に取り組まれているが、その生産技術の名称は必ずしも有機(オーガニック)農法に限られていない。
生物(バイオロジカル)農法、生態(エコロジカル)農法、バイオダイナミック農法など、様々な呼称がある(註2)。
また、有機農業と同義語的に使われる場合があるが、環境負担を軽減することを目的とした環境保全型農業や、農業生産を持続させることを目的とした低投入持続型農業(LISA)もある。


2 有機JAS規格

有機農業は、安全性や健康性といった消費者ニーズに応えた農業であり、しばしば無農薬・無化学肥料農業と理解されている。
確かに化学合成資材を使用しないということは重要な要件であるが、むしろ植物が栄養補給をするときの自然の生物的循環を最大限に活用し、それを歪める物質代謝を可能なかぎり避けようとする農業といえる(註3)。
「農家が有機農業に取り組みはじめるには、さまざまな動機や理由があるが、最も強い動機は、農薬、化学肥料による環境汚染を防ぎ、食べ物の汚染を避け、人体への害を防ぐこと」(註4)という。
この他に農業の持続的な生産性の維持など様々な動機が認められている。
このように有機農業の取り組みにはある種の理念や精神が盛り込まれている場合がある。

必然的に、有機農業の基準を設定する場合には最小の遵守すべき「要件」に加えて、有機農業の精神を表現した「基本原則」を併記する場合もある。
しかし、政府機関が法制化する有機農業の基準としては運動的な性格や理念をもたせず、コンセンサスが得られた最小限の要件を規定した基準になる(註5)。

さて、有機農産物の表示については、1992年に「有機農産物等に係る青果物等特別表示ガイドライン」が制定されたが、ガイドラインは法的強制力を有しないことから不適切な表示が多く見られ、法制度に基づく表示の規制を行うことへの要望が高まってきた。
このような紛らわしい表示によって一般消費者の誤解を招くようなものを規制するために、1999年7月のJAS法改正時に指定農林物資の制度を制定し、有機農産物及び有機農産物加工食品の特定JAS規格を定めることで、有機食品に関する表示の適正化を図ることとなった。

有機農産物については、種まきや植付けの前2年以上の間、たい肥等による土作りをしたほ場において、化学合成された農薬や肥料を使用しないことを基本として生産された農産物とし、有機加工食品については、有機農産物、有機畜産物、有機加工食品を主な原材料とし、化学合成された食品添加物や薬剤を使用しないことを基本として生産された加工食品としている。


3 チャの有機栽培

チャの栽培において防除対象となる主要な病害虫は、産地の気象・立地等の条件で大きく異なるので、その対策としては地域毎に防除歴が作成されている。
それには一部で生物農薬等の導入がなされているとも聞くが、大部分では化学合成農薬が使用されている。

一方で、茶の健康飲料としてのイメージから、農薬の散布回数を軽減するなどの環境へ負荷をかけないチャ栽培や有機農業への取り組みもなされている。
その具体的な数量を把握することは難しいが、有機JASの認定を受けた事業者が格付または格付の表示を行った茶(国内で格付けされたもの)については表3に示した。
荒茶については、国内生産量のおよそ1.5〜1.7%で有機JASの格付がなされていることになる。



さて、化学合成農薬の使用を軽減するための具体的な手法としては、生物農薬としてのハマキムシ類を対象とした性フェロモンによる交信攪乱法がある。
また耕種的防除法としては、産地の気象条件等を考慮しての整せん枝による炭疽病等の発生抑制という手法や、物理的防除法として近年実用化されたハマキムシ類を対象とした黄色防蛾灯、開発段階であるが新芽加害性害虫を捕獲する送風式捕虫機がある。
一方で、炭疽病や輪斑病に対する耐病性品種やクワシロカイガラムシに対する抵抗性品種が育成されている。

このような耕種的・物理的的防除法を組み合わせることで、チャ栽培における農薬の使用量の軽減が図れるが、有機栽培ともなると農薬に替わる決定的な防除法は無いというのが実情である。
病害虫の発生程度によっては、収量や品質の低下は免れないというリスクを伴っている。
しかし、有機栽培への取り組みが数年を経てくると、大きな被害に結びつくような病害虫の発生が少なくなるとの農家の体験談を聞く。
茶園という環境に多種多様な生物群が存在することで、特定の害虫の密度が異常に高くなることがなく、生物群のバランスが保たれた良好な状態になる、と有機栽培農家は言う。

1)荷見武敏 鈴木利徳『新訂・有機農業への道』楽游書房 3頁
2)宇田川武俊「有機農法と自然農法を考える」渡部忠世『日本農業への提言 −文化と技術の視点から−』農産漁村文化協会 2001年 184-185頁
3)大山利男『有機食品システムの国際的検証』日本経済評論社 2003年 1頁
4)矢崎栄司 高橋利直『危機かチャンスか 有機農業と食ビジネス』ほんの木 2003年 142頁
5)大山利男 前掲 4-5頁


written by 事務局

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