写真１）茶屋峠、手前は阿村干拓
『日本史広辞典』よると、茶屋とは「十六世紀に出現した通行人に湯茶を売る休憩所を起源とし、以後多様に分化、発展した飲食・貸席業の総称」という。その昔、「旅行者のために飲食物を提供する休憩所」があったのだろうか、「茶」という文字が付いている地名探しがここから始まった。
熊本県御船町上野には「茶屋本」という地名がある。旧日向往還の拠点として茶屋が設けられた名残と考えられる。
写真２）御船町上野の茶屋本
また、熊本県天草市河浦町今田板之河内には「茶園原」という地名があり、ここでは縄文時代の遺跡が見つかっている。かつての茶園に由来するかと調べたが、結局詳細は不明のままである。
写真３）天草市河浦町の茶園原付近
八代市泉町には「茶臼山」があり、『分県登山ガイド 熊本県の山』には「五家荘中央の上福根山の西に張り出したピーク」と説明がある。
その後の調査では、
�グち瓢塲般鄲爾涼祓営�
��上益城郡山都町大野の茶屋本
��天草市大矢野町の茶園迫
を発見した。
しかし驚くなかれ、当時九州農政局のS氏から熊本県内における茶の付く地名23ヶ所を紹介いただいた。
自治体名（昭和62年）＞大字（町）名＞小字名の順です。
１ 熊本市＞弓削＞茶屋ノ本（チャヤノモト）
２ 万石＞茶屋原（チャヤバル）
３ 川尻＞茶屋跡（チャヤアト）
４ 荒尾市＞一部＞茶園（チャゾノ）
５ 人吉市＞矢岳町＞茶園（チャエン）
６ 上原田町＞茶園ヶ尻（チャエンガシリ）
７ 本渡市＞楠浦町＞長茶園
８ 八代市＞古麓町＞茶屋口（チャヤグチ）
９ 蘇陽町＞大野＞茶屋本（チャヤモト）
10 菅尾＞茶屋ノ本（チャヤノモト）
11 柏＞茶屋元（チャヤノモト）
12 天草町＞福連木＞茶園原
13 栖本町＞湯船原＞茶園畠
14 苓北町＞志岐＞茶摘田（チャツミダ）
15 甲佐町＞仮屋＞茶屋ノ本
16 植木町＞一木＞茶臼塚
17 鹿央町＞合理＞茶臼山
18 鹿本町＞津袋＞茶臼本村（チャウスモトムラ）
19 錦町＞一武＞茶畑（チャコバ）
20 木上＞茶園（チャエン）
21 茶屋場（チャヤバ）
22 三加和町＞津田＞茶屋原（チャヤガハル）
23 河内町＞大多尾＞茶木畑（チャノキバタ）
参照文献：「角川日本地名大辞典４３ 熊本」（昭和62.12.8発行）1571頁からの「小字一覧」
written by お茶の虫