日本茶インストラクター協会、南風サロン - 阿波番茶を訪ねて
茶のルーツに関心を持ってくると、四国は何と魅力的(魅惑的)な地域だろうか。
徳島の阿波番茶、高知の碁石茶、愛媛の石鎚黒茶といった後発酵茶が存在する。
全国茶生産団体連合会現地研修会に参加し、昨年11月27日に上勝神殿茶生産組合を訪れたのでここにレポートする。

阿波番茶は後発酵茶に分類されるが、嫌気的バクテリア発酵茶になり、徳島県の那賀川流域の上勝町と旧相生町で造られているという。
茶樹は畦仕立てでも株仕立てでもない、放任という表現が一番適切であろう自生しているヤマチャから収穫される。




夏の一番暑い盛り、7月の土用の入りの頃に、茶樹に着いている茶葉を根こそぎしごき取る。
だから、茶摘みが終わった茶樹は枝ばかりが残り、まるで枯れ木のようになるという。
大釜に沸かした湯に、収穫した茶葉を籠に入れて3分間程度茹でる。




茹でた茶葉は「摺り船」という道具を使って、「摺り」の工程へ移る。




摺り船の内底には縄で編んだ筵のようなものが敷いてあり、重しの部分の底は、ギザギザに加工してある。






これを二人で押したり引いたりして茶葉を2、3分程度摺る。
揉捻機を用いる場合もあるが、緑茶と違って揉板に特種な加工がなされている揉捻機である。




次ぎに、茶葉を桶に漬け込む。
茶葉を桶に入れて杵で搗きながら中の空気を抜く。




茹でた時の茶汁を桶の中に入れて空気を完全に無くすようにする。
茶葉を詰めるとシュロやバショウの葉を敷き詰め、蓋をして重しを載せてしっかりと密閉する。
そして、茶汁を入れて空気を完全に遮断する。
10日から二週間の漬け込みが終わると、茶葉をバラバラにして取り出し、筵の上で2、3日間天日乾燥をする。
そして、最後の夕方は若干夜露にあてた方がよいという。

残念ながら訪れたのが季節はずれで製造を見ることは出来なかったけれど、現場で生産者から直接話を聞くことが出来て、十分に理解できた。
まさしく「百聞は一見にしかず」である。
茶のルーツを求める「お茶巡り」の旅、そこには素敵な出会いと感動が待っていた。
是非機会をつくって、四国のお茶巡りを行ってみたいものである。

written by sakataka