日本茶インストラクター協会、南風サロン - 急須の素材(材質)による味等の違い 追加試飲
10月15日の『インストラクション向上研修会』において、
急須の素材(材質)による違いを試しましたが、家で研修会では
使用しなかった種類の急須でお茶を淹れてみましたので
リポートします。
【お茶を淹れる条件】
研修会と同条件の
茶葉5g(研修会で使用した芦北の深蒸茶)、お湯の温度75℃、
お湯の量200cc、浸出時間一煎目1分半、二煎目30秒
で淹れました。
【使用した急須】
A:四日市萬古焼き ←鉄を含む土を焼締めたもの、吸水性が
あります。
分類では陶器と磁器の間の性質を持つ半磁器になるそうです。
B:磁器(ファイン・ボーンチャイナ) ←素材の一部に牛の骨灰、
吸水性がありません。
A 萬古焼の急須
B 磁器の急須
(紅茶の国 W社の日本茶向け急須 蓋の穴が取っ手側にしかセットできませんでした)
【お茶の淹れ方】
急須のお茶を一旦ガラスの計量カップに全部出し、それから茶碗に
移しました。
急須は回さずに、手首を3回返して淹れました。
【結果】
<水色> AもBもほぼ同じ。二煎目の緑色の濃さも同じでした。
<味> 一煎目→ABほぼ同じ。どちらも甘みがあっておいしい。
二煎目→どちらも二煎目らしいおいしさで、渋さの中に
甘みも残っています。
Aで淹れたお茶は、Bに比べてややまろやか、
味が層になっている感じがしました。
Bの方がお茶の味をストレートに感じるので、
Aより渋みがはっきりわかります。
<香り>一煎目→ABほぼ同じ。
二煎目→Aの方が強く香り、持続しました。
Bは形状のせいもあるのか、急須内には良い香りがとても
残っていましたが、茶碗のお茶はAほど香りが持続
しませんでした。
一煎目
二煎目
萬古焼と磁器の急須では、水色や味にほとんど違いはありません
でした。
ただ、お茶が濃く渋み苦味が出た二煎目では、多少違いを
感じました。
萬古焼の急須は、「鉄と渋味が化学反応し、まろやかな味になる」
ことが科学的に立証されているらしいので、渋みが出る二煎目で
違いがわかったのでしょう。
もっとお湯の温度を高くし渋さを出して試したらより違いがわかったかもしれませんね。
急須の材質による緑茶成分の変化については、三重県工業研究所
が研究発表を出されており、急須の焼き方や材質による吸着成分
の違いでも味が変わることを調べていらっしゃいました。
written by アールワン子