jus in bello 
◆武力紛争法・国際人道法
国連憲章は武力行使を一般に禁止し、jus ad bellum(戦争に対する法)上の国際法を発展させてきた。しかし現実には武力紛争は消滅したわけではなく、武力行使は行われてきた。一旦武力紛争が生じたときには、それを出来る限り人道的に適合させなければならない。そのため、戦闘における具体的な行使を規制するjus in bello(戦争における法)である武力紛争法も同時に発展してきた。
jus in belloは、伝統的な国際法では「戦時国際法（戦争法）」と呼ばれてきた。戦時国際法は、文明国間（ヨーロッパ諸国間）でのみ適用され、非文明国（不平等条約改正前の日本、清朝、オスマン帝国）との戦争、植民地戦争、内戦、さらに戦争と呼称しない武力紛争に対しては適用されなかった。
国連憲章によって武力行使が違法化されて以来、法上の戦争が観念し得なくなったことから、「戦時国際法（戦争法）」は「武力紛争法」と呼び名を変えた。また、人道的観点からjus in belloを再構築しようという動きが1970年代から生じ、「国際人道法」という呼称も用いられている。現代国際法におけるjus in belloである武力紛争法・国際人道法は、あらゆる国際的な武力紛争に適用される。
武力紛争法には、戦闘手段や方法を規制するハーグ法、戦争犠牲者の保護を規定するジュネーヴ法に大きく分けられる。
◆平等適用原則
武力行使の禁止を犯し、jus ad bellumに違反する国家の部隊は、jus in bello上の権利も否定されるかという論点がある。たしかに、jus ad bellum違反の交戦国の将兵が相手方の将兵を殺傷するならば、殺人罪を構成して捕えられても捕虜としての保護を受けないという見方は法理的には可能である。しかし、jus in bello上の保護は、jus ad bellum違反の交戦国であっても双方に平等に適用される。これは平等適用原則と呼ばれる。
平等適用原則が採用されているのは、実際的な必要からである。もし一方の交戦国が相手国のjus ad bellum違反を根拠に相手国のjus in bello上の権利を否定すれば、相手国もまた同様の対抗的な措置をとるであろう。そうなると、jus ad bellumについて直接的な責任がなく、本来保護されるべき傷病兵、捕虜、文民が犠牲となり、武力紛争が一層悲惨なものとなる。このような結果を回避するという実際上の必要から、jus ad bellum上の評価にかかわらず、交戦国の双方にjus in belloを平等に適用するという平等適用原則が形成された。
jus ad bellun違反が問われるのは、国家とその指導者のみに限られる。
国連憲章は武力行使を一般に禁止し、jus ad bellum(戦争に対する法)上の国際法を発展させてきた。しかし現実には武力紛争は消滅したわけではなく、武力行使は行われてきた。一旦武力紛争が生じたときには、それを出来る限り人道的に適合させなければならない。そのため、戦闘における具体的な行使を規制するjus in bello(戦争における法)である武力紛争法も同時に発展してきた。
jus in belloは、伝統的な国際法では「戦時国際法（戦争法）」と呼ばれてきた。戦時国際法は、文明国間（ヨーロッパ諸国間）でのみ適用され、非文明国（不平等条約改正前の日本、清朝、オスマン帝国）との戦争、植民地戦争、内戦、さらに戦争と呼称しない武力紛争に対しては適用されなかった。
国連憲章によって武力行使が違法化されて以来、法上の戦争が観念し得なくなったことから、「戦時国際法（戦争法）」は「武力紛争法」と呼び名を変えた。また、人道的観点からjus in belloを再構築しようという動きが1970年代から生じ、「国際人道法」という呼称も用いられている。現代国際法におけるjus in belloである武力紛争法・国際人道法は、あらゆる国際的な武力紛争に適用される。
武力紛争法には、戦闘手段や方法を規制するハーグ法、戦争犠牲者の保護を規定するジュネーヴ法に大きく分けられる。
◆平等適用原則
武力行使の禁止を犯し、jus ad bellumに違反する国家の部隊は、jus in bello上の権利も否定されるかという論点がある。たしかに、jus ad bellum違反の交戦国の将兵が相手方の将兵を殺傷するならば、殺人罪を構成して捕えられても捕虜としての保護を受けないという見方は法理的には可能である。しかし、jus in bello上の保護は、jus ad bellum違反の交戦国であっても双方に平等に適用される。これは平等適用原則と呼ばれる。
平等適用原則が採用されているのは、実際的な必要からである。もし一方の交戦国が相手国のjus ad bellum違反を根拠に相手国のjus in bello上の権利を否定すれば、相手国もまた同様の対抗的な措置をとるであろう。そうなると、jus ad bellumについて直接的な責任がなく、本来保護されるべき傷病兵、捕虜、文民が犠牲となり、武力紛争が一層悲惨なものとなる。このような結果を回避するという実際上の必要から、jus ad bellum上の評価にかかわらず、交戦国の双方にjus in belloを平等に適用するという平等適用原則が形成された。
jus ad bellun違反が問われるのは、国家とその指導者のみに限られる。
ハーグ法
◆一般原則
具体的な条約は、1899・1907ハーグ陸戦条約、1949ジュネーヴ４条約、1977ジュネーヴ第一・第二追加議定書など。かつては、すべての交戦国がハーグ条約を締約しなければ、交戦規程は適用されないとされていた（総加入条項）。1949ジュネーヴ条約によって、一国でも締約すれば適用されるようになり、総加入条項の問題を克服。
★現在の交戦法規
・無防守都市、病院、美術館への攻撃の禁止（軍事目標主義） …慣習国際法（1907ハーグ陸戦条約25-27条）、1977ジュネーヴ第一追加議定書
・軍民を区別しない無差別攻撃の禁止 …1977ジュネーヴ第一追加議定書
・不必要な苦痛を与えてはならない …ハーグ陸戦条約23条ﾎ、第一追加議定書35条2項
【米国による東京大空襲・原爆投下】
◆兵器規制
武力紛争法・国際人道法における兵器規制は兵器の使用禁止のみを指し、兵器の廃棄や不拡散などは含まない。この点軍縮・軍備管理とは異なる。
� …名鑛軸錣了藩儷愡�
1868年のセント・ピーターズブルク宣言、1899年のダムダム弾禁止条約、1980年の特定通常兵器使用禁止制限条約、1997年の対人地雷禁止条約、2010年のクラスター爆弾禁止条約
�◆＼己�・化学兵器の使用禁止
1899年の毒ガス禁止条約、1925年のジュネーヴ議定書、1972年の生物兵器禁止条約、1993年の化学兵器禁止条約。
�� 核兵器の使用禁止
核兵器の使用を包括的に禁止する条約は存在せず、地域的な非核兵器地帯条約があるに過ぎない(核軍縮を参照)。
【核兵器使用・威嚇の合法性についてのICJ勧告的意見】1996
核兵器の使用を禁止する条約はなく、自衛のための使用が違法であると確定的にいえない。核兵器の使用禁止が慣習化したといえないが、使用は国際人道法違反となる。
兵器規制は禁止が条文になくとも、慣習、人道、公共の良心により対象となる（マルテンス条項）。
具体的な条約は、1899・1907ハーグ陸戦条約、1949ジュネーヴ４条約、1977ジュネーヴ第一・第二追加議定書など。かつては、すべての交戦国がハーグ条約を締約しなければ、交戦規程は適用されないとされていた（総加入条項）。1949ジュネーヴ条約によって、一国でも締約すれば適用されるようになり、総加入条項の問題を克服。
★現在の交戦法規
・無防守都市、病院、美術館への攻撃の禁止（軍事目標主義） …慣習国際法（1907ハーグ陸戦条約25-27条）、1977ジュネーヴ第一追加議定書
・軍民を区別しない無差別攻撃の禁止 …1977ジュネーヴ第一追加議定書
・不必要な苦痛を与えてはならない …ハーグ陸戦条約23条ﾎ、第一追加議定書35条2項
【米国による東京大空襲・原爆投下】
◆兵器規制
武力紛争法・国際人道法における兵器規制は兵器の使用禁止のみを指し、兵器の廃棄や不拡散などは含まない。この点軍縮・軍備管理とは異なる。
� …名鑛軸錣了藩儷愡�
1868年のセント・ピーターズブルク宣言、1899年のダムダム弾禁止条約、1980年の特定通常兵器使用禁止制限条約、1997年の対人地雷禁止条約、2010年のクラスター爆弾禁止条約
�◆＼己�・化学兵器の使用禁止
1899年の毒ガス禁止条約、1925年のジュネーヴ議定書、1972年の生物兵器禁止条約、1993年の化学兵器禁止条約。
�� 核兵器の使用禁止
核兵器の使用を包括的に禁止する条約は存在せず、地域的な非核兵器地帯条約があるに過ぎない(核軍縮を参照)。
【核兵器使用・威嚇の合法性についてのICJ勧告的意見】1996
核兵器の使用を禁止する条約はなく、自衛のための使用が違法であると確定的にいえない。核兵器の使用禁止が慣習化したといえないが、使用は国際人道法違反となる。
兵器規制は禁止が条文になくとも、慣習、人道、公共の良心により対象となる（マルテンス条項）。
ジュネーヴ法
・文民を攻撃してはならず、捕虜、傷病者、投降兵は保護しなければならない。
・1907ハーグ陸戦条約、1949ジュネーブ４条約（傷病兵保護、捕虜、文民）、1977第一追加議定書。1949ジュネーヴ４条約は各国に違反者を罰する立法を定め、国籍を問わず罰することが出来るとした。
・1907ハーグ陸戦条約、1949ジュネーブ４条約（傷病兵保護、捕虜、文民）、1977第一追加議定書。1949ジュネーヴ４条約は各国に違反者を罰する立法を定め、国籍を問わず罰することが出来るとした。
中立制度
ｷｰﾜｰﾄﾞ：３つの中立義務、黙認義務、戦時禁制品、戦時封鎖、避止義務、防止義務
・1856パリ宣言、1907陸戦中立条約、海戦中立条約、1909ロンドン宣言。
・戦争が中立国民に不利益を与えても、黙認しなければならない（黙認義務）。戦時に中立国の船舶を海上捕獲することは有効な戦略だが、没収できるのは戦時禁制品と敵貨に限られる。また、戦時の海上封鎖は、船舶の敵の海岸へ到達を防止するだけの実効性が許され、また告知が必要。
・中立国は交戦国に対して援助してはならない（避止義務）。
・中立国は自国の領域を交戦国の戦争目的（部隊編成など）に使用させてはならない（防止義務）。
中立とは、戦争状態になったとき、戦争に参加しない国の戦時国際法上の地位。
海上捕獲のパリ宣言1907、陸戦中立条約1909
中立商業の自由を守ることからアメリカ独立戦争やナポレオン戦争下での武装中立同盟が生まれた。1856年の海上中立法パリ宣言がこの原則を継承し、２回のハーグ平和会議を通じて法典化が成された。
中立制度も総力戦となった大戦で動揺した。WWIでは、ドイツが中立国ベルギーを侵犯したり、無制限潜水艦作戦を行うなど、通商が制限され陸海での中立が困難になった。また巨大な中立国であったアメリカ合衆国が２度も参戦するなど、中立制度は限界を迎えた。
湾岸戦争ではイラクのクウェート侵攻が安保理に「平和の破壊」と認定された。安保理決議により、国連加盟国にはクウェートへの支援が要請され、実質的に中立は不可能となった。当時、非加盟の永世中立国スイスも事実上これに従った。
加盟国への軍事的措置の要請については、国連憲章43条の定める特別協定がなければ実施は出来ない。
・1856パリ宣言、1907陸戦中立条約、海戦中立条約、1909ロンドン宣言。
・戦争が中立国民に不利益を与えても、黙認しなければならない（黙認義務）。戦時に中立国の船舶を海上捕獲することは有効な戦略だが、没収できるのは戦時禁制品と敵貨に限られる。また、戦時の海上封鎖は、船舶の敵の海岸へ到達を防止するだけの実効性が許され、また告知が必要。
・中立国は交戦国に対して援助してはならない（避止義務）。
・中立国は自国の領域を交戦国の戦争目的（部隊編成など）に使用させてはならない（防止義務）。
中立とは、戦争状態になったとき、戦争に参加しない国の戦時国際法上の地位。
海上捕獲のパリ宣言1907、陸戦中立条約1909
- 中立制度の成立・動揺
中立商業の自由を守ることからアメリカ独立戦争やナポレオン戦争下での武装中立同盟が生まれた。1856年の海上中立法パリ宣言がこの原則を継承し、２回のハーグ平和会議を通じて法典化が成された。
中立制度も総力戦となった大戦で動揺した。WWIでは、ドイツが中立国ベルギーを侵犯したり、無制限潜水艦作戦を行うなど、通商が制限され陸海での中立が困難になった。また巨大な中立国であったアメリカ合衆国が２度も参戦するなど、中立制度は限界を迎えた。
- 国連体制下の中立
湾岸戦争ではイラクのクウェート侵攻が安保理に「平和の破壊」と認定された。安保理決議により、国連加盟国にはクウェートへの支援が要請され、実質的に中立は不可能となった。当時、非加盟の永世中立国スイスも事実上これに従った。
加盟国への軍事的措置の要請については、国連憲章43条の定める特別協定がなければ実施は出来ない。
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