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363 174 ◆TNwhNl8TZY sage 2010/09/02(木) 00:34:02 ID:oNRB/SkY


「×××ドラ! ─── ×××ドラ! × a ───」




帰宅したあたしを出迎えたのは、おいしそうな湯気をくゆらせるできたての晩御飯ではなく、乳白色の入浴剤を溶かしたお風呂でもなく、
ましてやそれとも、なんてベタなセリフを吐きながら意味ありげな視線を込めてベッドルームに目配せをする昨日はいたのに今夜はいない旦那でもなくて、
明かりも点けずにリビングで、しかもソファの上で膝を抱えているという、構ってちゃんな態度全開でふて腐れているあの子だった。
より正しく表すならそもそも出迎えてくれてもいないっていうか見向きもしていない。存在そのものからシカトかよちくしょう。
態度が気に入らなかったから目の前に腰を落ち着け、わざとテンション高めでたっだいまー、なんて言ってみたら、だんまりを決めこむあの子はあからさまに話しかけんなっていう顔を作った。
ますますいけ好かない態度を深める様子から汲み取るに、大方またやりあってきたのだろう。
その証拠に、今朝セットしてあげた三つ編みは見るも無残にグシャグシャで、買ったばかりのニットボーダーのワンピが、あんな解れまくってちゃもう台無し。
してたはずのストールも見当たらず、この分じゃどこかで失くしたっぽい。
やってくれるわね、マジで。
天井に届きそうな大きなため息がもれるのをとめられないのは、年齢云々よりも疲れているせいだと思いたいのはやまやまだけど、こういうのが一度や二度の話どころじゃなく、ほぼ毎日というのが疲労感を倍増させる。
まったくいい根性してんじゃない、泣き虫のくせして。

「どうせまたタイガーのとことケンカしてきたんでしょ」

口はきかないし、ぶんぶん首を横に振ってはいるけれど、苦虫でも噛んだみたいな悔しそうな顔がなによりの肯定の印ね。
顔をつっつき合わせれば憎まれ口を叩きまくり合ってケンカしてを繰り返して、よく飽きないもんだと呆れ返るばかりだわ。
それでもつるんでるんだから余計にわけわかんないし、極々たまにありえないぐらい仲良くしてる光景を目の当たりにすることだってある。
アンビバレンスも大概にしろとは、単にあたしが子供らの関係とか距離感を見抜けないでいるためなのかもしれない。
まあ、仲が良いのか悪いのかって、そんなことをハッキリさせる必要も、両極端じゃなくちゃいけない理由もないんだけどね。
だけど仕方ないなあで済ませられない感情もある。
挙げればキリないけど、一番厄介なのが服。これが泥んこにしてくる程度であれば、あたしだって目くじら立てたりしないわよ。そんなには。
せいぜいが小言でこらしめるかして、そんで洗濯機に放り込んでおしまいでしょ、普通。
できることならそうしたいけど、現実は、半分くらいは洗濯機じゃなくってゴミ箱に投げ込む羽目になる。
ダメージ加工とか、んな生易しいもんじゃないから。買ったときは長袖だったブラウスがノースリーブになって帰ってきたときはものも言えなかった。
あのドチビんとこのプチとらめ、そっくりなのは見てくれだけにしろってんだよ。
冗談じゃないわよいやガチで、あれもそれもこれもどれも安もんじゃねえってのに、みんなぼろ切れにしてくれやがって。
もちろん何度も弁償させようとはしたわよ。
息巻いて乗り込んでって、その都度そこで初めて知る向こうのやられ具合に絶句する。
ほっぺとおんなじぐらい膨らませたたんこぶをいくつもこさえたあのプチとらを頭ごなしに怒鳴りつけるのはどうにも気が引けて、あたしは矛先をタイガーに向ける。
するとタイガーはタイガーであの子に文句を言いたそうにして、変わり果てた衣服に目を落としては言いよどみ、あたしに照準を変える。
その段階までくると、責任のなすりあいよりもあの子たちを叱って、仲直りさせる方を優先させる。
お互いいい大人だし、曲がりなりにもお母さんをやってんだから、しなくちゃいけないことはわかってる。
都合の悪い部分は端折っちゃえ、なんて小賢しいことをされて、疑いもせずに怒って、被害者面でのこのこやってきた自身が恥ずいったらない。
それを抑えて、発端はどうあれ謝らせ、あたしも頭を下げる。
タイガーもそうして、それで一応は話が片付いたから、いちいち蒸し返すことは基本しない。


あとになってからあれこれ言うのとか、そんなのってすごくかっこ悪いじゃない、みっともないっていうか女々しいっていうかなんていうか、ともかく、流した水を気にしたってしょうがないからって、そこでおしまい。
とはいえ早く手加減ていうものを覚えろ。そっちだって痛い目見てんだろうけどこっちはそれプラス財布にも痛手で、毎度毎度これじゃあこっちの方が身がもたないってえの。
この子もこの子だ、そろそろおつむを使うことを覚えてほしい。けっして頭突けとかそういう意味じゃなくて。
張り合うのは勝手だけどバカ正直に同じ土俵でやり合うこともないじゃん。
ただでさえあっちのが、素直に認めてやるのはちょっと癪に障るけれど、ほんの数日分お姉さんで、おまけに腕っ節が強いんだから。
ほんと、そっくりなのは見てくれだけで充分。
あたしは軽く前髪をかき上げながら、我ながら嫌味っぽい口調をする。

「あのさあ、次ケンカしたらどうするってー、亜美ちゃん言っとかなかったっけ。言っといたはずなんだけどなあ」

いくらなんでも昨日のことなんだから覚えていないわけはない。一昨日だって言ってあるし。その前の日も確かに言った。
要はしょっちゅう口すっぱく言い聞かせている。効果のほどは見りゃわかんでしょ。
少しでも反省してればしょげるかうなだれて、でも、そうじゃないことがほとんど。
その場合だったら、こう返してくる。

「あたし悪くない」

ほらね。ほうらね、やっぱり。やっと喋ったと思ったら、またいつものそれをいつものように小声で呟いただけ。
べつにいいわよ。ごめんなさいとか、そんなのたいして期待しちゃいないし。

「そっ。だったら好きなだけそうしてれば」

若干突き放し気味の言葉を置いて、欠片も可愛げのないあの子の前から立ち上がった。
面倒なことこの上ないけどいい加減夕飯の支度をしなくちゃならない。マジめんどくせえけどそうも言っていられない。
自分だけなら外食なり出来合いの味気ない弁当なりでもいいけど、あの子もそれじゃあいくらなんでも可哀想だから。
なんて健気なあたしとか自分酔いしてた頃が懐かしいくらい、今でこそ呼吸をするように日常に溶け込んでいる自炊は、始めたころよかは上達してる、と信じたいわ。
備え付けのキッチンまでは数歩とかからないで、やたらとそっち方面には気を遣う誰かさんのために大枚はたいて買ったでっけー冷蔵庫の中身を吟味する。
なぜか腐ることも底をつくこともなく、いつだって適度に生鮮食品が詰め込まれているこれは、今日も変わらずそうだった。
いったいいつの間に買い込んできてるのやら。
そりゃあ昨日帰ってきてたんだからそんときに、なんだろうけど、少なくともあたしは目にしてない。
他にも流しに出しっぱだった洗い物も知らぬ間に片付けてあったし、何気にゴミ箱も空になってたし、そうそう、洗濯までやってあったっけ。
惚れ惚れと、ううん、惚れ直す手際の良さと心遣いに感服していると、冷凍庫にラップがかけられた皿がいくつかあるのを発見する。
温めるだけで食べられるようにと配慮された、それは晩御飯だった。
どこまでも準備のいいこと。

「やりいっ、やっぱ旦那にするなら料理上手で気が利く男よねー」

思わず上がったテンションと、引っ張られてきたようにこみ上げる食欲の命ずるままに、次々と冷たい晩餐を解凍していく。
手間いらずで安上がり、かつ栄養のバランスも考えてあって、それでいて文句のつけようがないおいしさ。鼻腔をくすぐる柔らかな香りがそう物語っている。
これ、こういうのだけはなにがあったって絶対敵わないわよ。もうほとんどおかんの領域と言って差し支えないんじゃないの。
器用で絶えず回りに気を配れて、優しい。誰もが描く理想のお母さん像を投影したかのような、それでもお父さん。
なんでもありで、それに比べてあたしは。
ゆったりと回転する箱の中、目に悪いと思いつつなんとはなしに見つめるあたしの顔が覘き窓に映りこんで、今の今上がったテンションとは裏腹に、ひどく疲れた、ひどい顔をしていた。
瞬時に眉間に皺がよって、それがもっと機嫌の悪さを増長させる。見ているのが嫌になってついと視線をそらす。


しばらくはレンジの上げる低い呻り声が、二人きりの空間に静かに溶け入って、外の世界のことは何もかも消える。
だからなおさら自分の感情がまざまざと目前に現れて、あえて見ないようにしていたことを見せ付けて、おまけに逃げ道をふさぐ。
そらした視線を、今度は巡らす。
右から左へ、上へ下へ、手前からずっと奥へ。
瞳に映る景色は当たり前だけど見慣れたもので、自然、これまでのことを思い起こさせて、まぶたを閉じたあたしは想いを馳せる。
三人で暮らすことをって、そう考えて越してきたここは、あたしとあの子だけじゃ、なんか、広いな。
昨日ぐらいの感じがちょうどいい。広くもなく手狭でもなく、ちょうどいい。
いや、ちがう。部屋の広狭の話じゃない。ましてや人数の話でもない。
もう抱きしめられるほど大きくなったお腹。無意識に両手を重ねて、その存在を確かめる。
あたしと、あの子と、この子。それで三人。それでも足りない。それだけじゃ、足りない。
足りないのに。

「ねえ」

返事は返ってこない。わかってる、あの子はまだ腹の虫がおさまってないから、周りが鬱陶しくって煩わしいから、シカトして自分の殻の内側に浸る。
それでいてなんでも、それこそ自分中心に回ってないと気がすまない、自分が一番なお姫様なんだから。
そういうとこ、手に取るようにわかるわよ。
もれそうになったのは苦笑かもしれないし、自嘲かもしれない。
どっちだって構わず、あたしは無視するあの子に続けた。

「おばあちゃんたちがね、あっちで一緒に暮らさないかって言うのよ」

戻ってこないかってことを、昼間、それはそれは熱心に電話越しから口説かれた。
これまでだって遠まわしにしろストレートにしろ、何度もそんな誘いはあったけど、真剣さでいえばそのときのそれはこれまでの比じゃなくって。
正直なとこ、揺らいでる。
あたしを貫いてまっすぐ突っ立つ、こちこちに凝り固まって屹立してる芯が小刻みに震えだして、頼りないったらありゃしない。
こんなときこそ傍にいてほしいんだけどな。
倒れきるにはまだ早く、さりとてもたれる相手は見当たらず、一人きりじゃ考えても考えても答えは出てこなくって、つい、聞いてはいるだろうあの子に愚痴る風な体で言う。
まったく、情けない。
優柔不断なんてらしくない。いつだって堂々と胸張って、自信満々にしてるのよ、亜美ちゃんは。
裏打ちできるだけの努力は惜しまないでやってきたつもりだし、そういう生き方を好んで選んできた。
あたしはそんなあたしが好きで、そんなあたしを見ていてもらいたいから。
だからこそこんなにも戸惑っている。
向こうの言うことは一理も二理もある正論で、説得力も生半可じゃない。

「それがけっこう本気みたいで、それで、だからまあ、なんつうか、その」

今日までそれを突っぱねてこれた理由としては、挙げればいくつか出てくるけど、迷惑をかけたくないなっていう遠慮があった。
聞こえは抜群によくて、実際そういう気持ちだってたしかにあって、その影に隠した本音は少し違った。

「あんたはさ、どう思う」

良い顔をされないことくらい容易く予想できた。不安は外れてほしかったけど、無常にも、そういうのに限って的中する。
そりゃああの頃はまだ、自分が思ってるよりもずっと子供だったし、そんなあたしを心配してくれてたんだと思う。
それは今も、かな。きっとそうなんだろう。だからわざわざ距離のある実家から、ちょっとばかり早い初孫を可愛がること込みで顔を見にちょくちょくやってくる。
生まれる前の猛反対ぶりからここまで受け入れてくれるまでに、いろんな葛藤があったとも思う。
手の平を返した、なんて、そんなこと考えたこともない。
好き勝手ばかりのあたしの、それこそ一番の身勝手を抱きしめてくれるだけでよかった。
二人目ができたって報告したときも、あまり驚かずに素直に喜んでくれた。
それだけに留まらないで、こうしてこちらの身を案じて同居を提案してくれている。
けっこう真面目な話、そっちのが生活環境も安定してて、育児にも集中できて、いいこと尽くしには違いない。


だけどそれを何食わぬ顔で享受することを、あたし自身が許せない。
わだかまりは全部が全部溶けて消えたわけじゃない。
意固地になってる自覚は多分にある。バカらしくね、アホくさって、理性が冷ややかな謗りを吐き捨てる。
それでもあたしは、否定されたことも、否定されることも我慢ならない。
がんばったね、だからもういいでしょうって、ふざけんじゃない。
誰も褒められたくってやってんじゃないわよ。
そっちがそこまでで勝手に線も幕も引いて、そこからのことを勝手に終わりにしないで。
あたしを誰だと思ってんの。なんだってできる。なんだってやってみせる。
だから否定しないで。
あたしのことは元より、あの子のことも、そして、

「りゅーくんは、一緒?」

軽やかなメロディーをレンジが上げて、その音色の上に被さる声。
両方ともやけに響くような気がして、とりわけ発声源は近かった。
いつからそこにいたのか、あの子はすぐ目の前にいた。

「パパって言いなさいよ、ちゃんと」

「でもりゅーくんがいいよって言ってたんですけど」

「あたしがそうしなさいっつってんだけど」

わざとらしくってちょっぴりたどたどしい舌打ちはこの際聞かなかったことにしてあげるわ、そのいつまで経っても減らない口もね。
たく、いったい誰に似たんだか。
小生意気なあの子をわりかしきつく一睨み。竦みあがらない以前に意にも介さないというような平然さはどこか大物の予感を匂わせる。

「パパは一緒なの? 一緒じゃないの?」

なんでもないようを取り繕って言い直した言葉にはこちらが辟易とするほど必死さが滲んでいた。
どんだけ死活問題なのよ。もっと他になにかないわけ。
年がら年中ケンカしてるプチとらとか、今みたく気軽に会えなくなるかもしれないってのに。

「どうかしらね。おじいちゃん、パパのこと苦手みたいだし」

実際はその逆だし、苦手なんて言葉じゃまだ温いけど、嘘も方便っていうか、なんとでも言えるわね、こういうのは。
あたしだってこの子に手ぇ出すようなフラチなやつがいたら視線で人がコロッといっちゃったらいいな、ぐらいの目つきと形相でにらむわよ。
さすがにゴルフクラブ持って振りかぶったりは、自信はないけどしないってば、たぶん。
まあどの道あの家の頂点に君臨してるのはママで、あの人が頷けば同居だろうがなんだろうがありなんだけど、楽観的にかまえられるわけがない。
いろいろと条件が悪すぎる。
そう思ってしまうあたり、折り合いをつけきれてないのはあたしだけじゃないということを実感する。

「だからきっと、あっちで暮らすとなると」

「じゃあやだ」

静かに、けれどはっきりとした拒否が鼓膜を震わせた。

「なによ、あんたおばあちゃんたちと暮らすのいやなの」

「なこと言ってないでしょ。ただ、あたしはパパも一緒じゃなきゃやだって言ってんの」


ファザコンの気でもあるんじゃないかってときたま心配になる。
一緒とか、今だって毎日そんな風にはできない。
そもそもからして、それができてたらこんなことで悩んだりしてないってのに。
むふーっと胸を逸らすくらいに張って、腕組みまでしちゃって、ここだけはぜってえ譲らないわよなんて鋭い目つきは絶対あたしに似ていない。
子供だ子供だとわかっちゃいたし、当然のことなんだけど、本当、子供だ。
ひとがどれだけ迷って、考えて、あんたのためを思ってるのか毛ほどもわかってない。
まだまだ背もちっちゃくって、出るとこなんてぜんぜんまっ平らでぺったんこのまさしく文字どおりの幼児体型、タイガーなんかといい勝負の、カチンとくるくらい生意気なお子ちゃま。
あたしの芯が、また少し揺れ幅を大きくした。
子供だからこっちの気なんて知る由もなくて、素直に気持ちを言葉にする。
子供だからムリなことも理解できなくて、向こう見ずででもなんだってやってみる。
なんだか無性に腹の立つ思いをした。
それ以上に自分に素直でいられるあの子が羨ましくて、眩くて、そのたった一言があのときあたしが言いたかったことを全て代弁しているかのように思えて。

「なに。なんで笑うの」

「べつに。てか亜美ちゃん笑ってないし」

込み上げるものが知らない間に表情に出てたみたい。にやけてると勘違いしてくれてよかったと内心ほっとしつつ、手を顔の前でプラプラ振る。

「あのさ、とりあえずもっかい聞いとくけど」

「やだ」

せめて最後まで言わせなさいよ、もう。
とんでもなくわがままで頑固でヒネててはねっかえりの甘ったれで、どうしようもないわね、うちのお姫様は。
でも、そんなこの子がどうしようもなく可愛くてしょうがないんだから、あたしも相当親ばかよね。
憎さ余って可愛さ百倍って感じ?

「あっそ。わかった、わかりました。おばあちゃんたちには悪いけど、そういうことだからって断り入れとくわよ」

ぱんぱんと両手を叩いて、一応の話の終わりを迎える。
明日のことを思えば途端に意気消沈しそうだから頭からも放り出す。
昼間の感触から推測するに、簡単には引き下がってくれそうにないだろうけど、そのときはそのときだ。
可愛い孫のわがままだってきいてもらうしかない。

「ねえそれよりも、あたしお腹すいた」

言われてあたしもお腹がくぅ、なんて鳴く。
憂いは晴れきってはいないけれどどっちに進むべきか明確に決められたからか食欲が帰ってきた。
温めるだけの即席ディナーの支度はほとんど終わってる。

「そうね。ごめんね、待たしちゃって。ごはんにしよっか」

ちょうどよかったので、シンクに並べていた皿を持っていってもらった。
つまみ食いはお手伝いのご褒美に目を瞑る。
そこから先はいつもの日常。
食事はとりたてて賑やかすぎるでもなく、かといって静まりかえるでもなく、普段どおり、つつがなく済ませた。
理想は昨日のような団欒があったらなあって、もっとハードル上げれば、それがいつまでも続けば。
難しいことだってのは百も承知。相手は一枚岩じゃない、一筋縄でもない曲者ぞろい。
手の内もやり口も散々見せ合った親愛なる恋敵たち。
理想はどんどん遠ざかっていって、でも、どこまでだって追いかけて、必ず手に入れてやるんだから。
最後に立って高笑いをするあたしの隣には必ず愛しの旦那様がいて、ひれ伏し見上げるみんなに見せつけてやるのよ。
あたしは間違ってなんかないことを、誰よりも幸せだっていうことを。
道のりは険しくて遠い。それでもまあ、今はまだ焦んなくっていっか。じきにそんなこと言ってらんない忙しさも飛び込んでくるんだから。
願わくば、お腹を蹴って蹴って、元気に動き回りしきりに自己主張するこの子が新しい団欒を運んできてくれますように。
お姫様が二人に増えて手を焼くこともあるだろうけど、あれで意外に面倒見のいいお姉さんがいることだし、きっともっと大きな幸せが舞い降りるに違いない。
そう思ってれば存外悪くないかな、この生活も。

                              〜おわり〜

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