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みの☆ゴン ◆9VH6xuHQDo

…高須くんっ…好きっ…
おうっ…おっ、俺も…櫛枝の事、好きだ…
…うれしいっ…高須くん…抱いて…
高須竜児は、櫛枝実乃梨が好きだ。その実乃梨が、竜児を見上げている。
見上げる実乃梨の瞳には、竜児の顔が映り、ユラユラ揺れていた。
チュッ…
ファーストキス。その味は、どんな果実より酸っぱく、どんな菓子よりも甘かった。
真っ赤になり、うつむく実乃梨。キスの味を確かめるように、竜児は舌なめずりする。
…櫛枝…
竜児は実乃梨の華奢なアゴを、そっと持ち上げる。そして再びキスをした。
ニュル…
竜児のセカンドキスは、実乃梨の堅く閉じた唇を突破する。舌先が舌先に出会う。
絡み合い、求め合い、確かめ合う。
…高須くん…
離れた唇、糸が光る。
竜児は実乃梨の上着をスルリと脱がす。リボンを解き、ブラウスのボタンを外す。
ムワっと、オンナの臭い。竜児は顔を埋める。しかし両手は実乃梨を脱がし続けた。
プリーツスカートが、ストンと落ち、実乃梨はスポーツブラ、ショーツのみの姿に。
竜児は気持ちがはやり、実乃梨のブラをグイッと引き上げ、乳房を露出させてしまう。
…あんっ…
実乃梨の乳房に吸い付きながら、竜児も自分が着ている服を脱ぎだした。
早く、1秒でも早く、実乃梨の体温を、肌で味わいたい。感じてみたい。
全裸になった竜児は、実乃梨に飛び込む。もう夢中でどうなっているか分らない。
…櫛枝っ、お前が欲しい…
頷く実乃梨に、竜児はつるんと挿入る。半分抜いて…また挿入る。
スイッチが入ったように竜児の腰は、同じ動きをし、実乃梨の声と共鳴する。
…あっ、あっ、んっ、あっ、あっ、んふっ、んっ、んっ…
竜児は、結合部分に全神経を奪われる。熱くなる。そして、沸点を超える…


「おうっ!!……はあ、はあ…」

高須竜児はティッシュを取り出す。いつも後悔する。いつも良心が痛む。
フレッシュで、爽やかで、瑞々しい櫛枝実乃梨…を、己の妄想で汚してしまう…
平均的な高校1年生としては、自己嫌悪するほどの事ではないと思うのだが、
マスターベーションのあと、竜児はいつも落ち込んでしまうのだ。

初めて実乃梨と会ったのは、同じ1年A組の親友、北村祐作と一緒に下校した時だった。
竜児は目つきが悪い。初対面の人間に無意味に恐がられたり、嫌われたりするのは、
日常茶飯事だった。しかし。彼女は…実乃梨は違かった。卒倒者続出の竜児との、
ファーストコンタクト、実乃梨は竜児に対して
『ハァーウッ、デューデュー!高須くんっ!わたくし櫛枝実乃梨です〜、4649ねっ!』
実乃梨は物怖じせず,竜児に太陽のような眩しい笑顔くれた。
北村との短い会話の中でも、次々と変化する表情、伸びやかな声、大袈裟な身振り。
見ているだけでも竜児の心は晴れ、実乃梨と仲良くなりたい、好きだ。と思ったのだ。

時計を見ると、午後11時59分。今日は、期末テストの最終日だった。
午前零時になる。日付が変わり、今日は…3月14日。ホワイトデー。

片思いしている位だから、彼女がいない竜児には、本来なら関係のない日だ。
しかし母親の高須泰子から、バレンタインデーにしっかりチョコレートを貰っている。
お返しと言っては何だが、明日…正確には今日の夕食は、気合いを入れたい所だ。
「泰子にタルトでも作ってやるか…」
竜児は、妄想前にしたためた…もう3通目になる、実乃梨へのラヴレターを箱の中にしまう。
そしてキッシュやらタルトやらのレシピ本を取り出し、メモにかき出す。
「こんなもんだな…もう寝るか…」
電気を消す竜児。竜児の部屋の、北側の大きな窓から、最近ふわっと、
明かりが見えるようになったのだが。興味のない竜児は、特に気にも止めていなかった。

ホワイトデーの放課後。竜児はレシピ通りに買い物を済ませ、少し急いでいる。
高須家の夕食は6時半と決まっているからだ。ケーキを作るのに2時間はかかる。
最後の曲がり角を過ぎ、自宅の借家が見え、その隣の白い建物に…つい、立ち止まる。
「しっかし…でっけえマンション様だな…」

竜児の借家の隣に、去年、10階建ての高級マンションが出来た。それが器用な事に、
たぶん竜児の身長より、ちょっと長いくらいに隣接して建てたもんだから、
ゆうに20メートルの高低差がある高須家の日照時間は、1日0秒になった。
家賃が5000円安くなったのは嬉しいが、その代償として、太陽が奪われたのだ。
外から眺めると、ほんとに…俺んち可哀想…なのだが、その時、奇跡が起きた。

「高須…くん?だよね?」
「お、おぅっ…く…櫛枝…実乃梨…さん…」
片思いの天使、実乃梨が降臨した。竜児は前髪を摘み、目を反らせてしまう。
「あらあらまあ!フルネーム憶えてくれてたんだ。嬉しいカモ〜」
「…ズズッ…みのりん、知ってるの?こいつ…ぶしゅん」
「大丈夫かい?大河っ。高須くんだよ。男子ソフトの北村くんの親友だよ。ね?」
「ききっ…北村くんの?…はっはじめまして、逢坂と申します。ご機嫌うるわしゅう…」
「高須ですっ。こ…こちらこそ、ご機嫌…うるわしゅう…です」

竜児は、ただでさえ、片思いの実乃梨に話し掛けられ、心臓が爆発寸前なのに、
傍らにいる美少女に目を奪われる。透き通るような真っ白な肌。蕾のような唇。
小柄なカラダは、可憐さをさらに引き立て、竜児はその美貌に息を飲む。 
「今からこの娘っ、大河んちでさ,期末テストの打ち上げ&ホワイトデーパーティーするんだ。
 オンリーツーで。フォッツフォツウフォッツ…で、高須くんっ。なんでこんなトコロにいるの?」
緊張でガチガチながら、なんとか竜児は会話を続ける。
「おうっ、ここ…俺の家なんだ…」
「え?大河んちのお隣さん?隣人?そうなの?偶然じゃん!!」
「…みのりん、わたし知ってた。わたしの寝室からこい…この殿方の部屋が見えるの」
竜児は焦る。そんな事があっていいのだろうか。
「そうなのか?全く俺は気付かなかったぞ!はっ恥ずかしいっ」
真っ赤になり、うずくまる竜児。しかしふたりは、道に落ちていた石コロほどにしか
考えていないのか、特に気にせず、じゃあね〜っと竜児の横を通り過ぎる。

「…!」
このまま実乃梨をスルーでいいのか?今まで竜児は、サッカーで例えるならリベロだった。
実乃梨と北村の会話に混ざり、ちょっとした挨拶や、笑顔をゲットするだけだった。
目の前に奇跡のこぼれ球がある。リベロなら…もちろん。オーバーラップ。攻撃体勢だ。
意を決し、竜児は、自分でも信じられない事を口にした。

「なっなあ、良かったらでいいんだが、タッ…タルト食わねえか?俺、得意なんだっ!」
失言!なんて図々しいんだ俺はっ!のたまった言葉に、竜児は、
自分の直毛バングスを、さらにグルグル指に巻き付ける。
恐る恐る見上げたふたりは、顔を見合わせていた。実乃梨は大河の腹のチラッと見て…

「たるる〜ッ!オレッ!たこ焼…タルト大好物だよ!パティシエ高須!食べさせてくれい!」
「え…マジで?みのりん…食べたいけど…っぶしょん!」
鼻をかみながら実乃梨を見上げる大河。吐いた言葉は取り消し出来ない、竜児は、駄目押し。

「おう!たこ焼きだろうが、タルトだろうが、なんでもござれだっ!まかせろっ」
エコバックを持ったまま腕まくりするフリをする竜児。
もう死んでもいい…そう思う竜児であった。

女子の家…しかも超の付く美少女、大河の家。片思いの実乃梨と一緒だというのに、
竜児は、チラチラ目で追ってしまう。マンションのエントランスに入る。
歩くたび揺れる、小柄なカラダを包む柔らかな髪、ほっそりした手足、
外国の人形の様な横顔…病弱なのだろうか、しきりにクシャミをする。プシュンっ!
その仕草も可愛い。萌え?とでもいうのか…高鳴る竜児の心臓は正直だった。

「大河んち、久しぶりだねっ、半年くらい?ちゃんとお掃除してる?」
エレベーターのドアが開き、3人は乗り込む。
「そ…そうね、みのりん…バッチリキレイだから、家事得意なんだからっ」
北村の親友らしい、竜児の顔色をうかがいながら、大河は答える。
視線に気付いた竜児は、勘違いして、ドギマギする。大河は玄関前でクルッと振り返る。

「高須くんっ、ちょっぴり片付けるから、し、しばしお待ちください…みのりんっ来て!」
大河は実乃梨の腕を取り、室内に引きずり込む。バタンと玄関が閉まった。

「…はあ、緊張するっ…」
溜息をつく竜児は、落ち着こうと辺りを見回す。玄関までの廊下は、まるでホテルのように、
洒落た作りだ。敷かれたカーペット、間接照明、空調、監視カメラ…この2階のフロア、
逢坂宅、1戸である。考えられる答えはひとつ。大河はお嬢様…という事だ。
「リッチで、可憐で、病弱で、控え目で、家事が得意…無敵じゃねえか、逢坂大河…」
竜児の口から今度は感嘆の声が漏れた。

***

それから、十五分経過…
もしかしたら、忘れ去られてしまったのかと、竜児は心配になってくる。
すると、やっとガチャっと扉が開き、実乃梨が顔を出した。申し訳なさそうな顔をして…
「…ゴメン、高須くん…今日はダメかも…いや、大河の乙女グッズが散乱してて…」

 どわーーーーっ!!!
背後から聞こえた絶叫に実乃梨は、振り返る。
「大河っ?どーした!今行くっ!」
走り去る実乃梨、いったい何があったのだろう?竜児は想像する。泥棒?変質者?
決して腕っぷしには自信がない竜児だが、ここで何もしないっていうのは男が廃る。
「だっ、大丈夫か!俺もっ…加勢してやるっ!」
竜児は、ストッパーで僅かに開いていたドアを開け、室内に入る。もちろん、靴はキッチリ揃えた。

「櫛枝さんっ!…おうっ!臭え!」
部屋中撒かれた殺虫剤の臭い、さらに…酸味のある、何とも言えない悪臭が、
竜児の鼻を突き抜ける。この臭い…竜児的に許されない、有り得ない臭いだ。
ハンカチを口に当て、竜児は前に進む。部屋の奥が、煙で見えない。火事?いや、これは…
バルサンだ。

「けほっ!けほっ!ぐえぇっ!あっ、高須くん!窓開けて!窓!」
「おうっ!…えっと…ここかっ!」
竜児は、キッチンの窓を全開、ついでに換気扇を回す。
部屋の空気が動き、煙が薄まり始める。煙の中から、実乃梨が飛び出してきた。
「水っ!水っ!おっしゃ、キッチン!アーチチ、アーチチッ!トウッ!」
実乃梨は、えらい勢いでモクモク煙を噴出するバルサンをシンクに投げ入れる。
バルサンは、見事にシンクに入るが、…トプン…と、粘度が高い入水音が聞こえた。
「ひでえっ!」
竜児が目の当たりにしたシンクは、惨劇と言う言葉がピッタリな状態だった。
よどみ、ぬめり、くすみ、とろみ、ねばり…信じられない、許せない。
キッチン、いや、生活への冒涜だ。竜児は頭の中が真っ白になる。

「もうっ!大河っ!危うく火事になる所じゃん!ゴキブリ一匹でバルサン発動するんじゃないっ」
リビングルームは、まるで荒野のように、煙が流れ、ゆっくりと、大河の姿が現れる。
「こーーんな大きくって…動揺して…ケションッ!…ごめんね、みのりん…」
わざとらしく右腕を挙げ、足をバタバタさせ、キーッとする実乃梨。しょんぼりする大河。
そして…生命活動を止めていた竜児のスイッチが入る。

「あ、い、さ、かーーーーーーっっっ!」
竜児の中の何かが弾ける。突然の大声に驚くふたりの視線を、竜児は一身に浴びる。
「俺に…どうか俺に、このキッチンを掃除させてくれぇっっ!!」
実は北村に想いを寄せている大河。今まで北村の親友、竜児に気を使っていい娘でいたのだが、
実乃梨との努力も虚しく部屋の惨状がバレ、…開き直った。
「はぁ?…なにあんた?…いいわよ別に。余計なお世話よ。勝手に人の家に上がり込んで、
 押し掛け掃除?北村くんの親友だっていうからオトナしくしてたけど。チッ。出てってよ」
へーっくしょい!!溜まっていたムズムズを一気に吐き出す大河。竜児の顔に粒が飛んできた。
汚い。しかし完全にオフェンスになったお掃除命っ!の竜児は、そんな事では引きはしない。
「15…いや、10分でいいっ!このシンクを10分後に舌で舐められる位に綺麗にする!
 よしっ、10分後に俺が舐めるっ!どうだ?」
竜児の祈りにも似た、尋常ではない気迫に充ちた態度を見て、実乃梨は竜児サイドに廻る。
「大河ぁ、せっかく高須くんがそう言ってくれてるんだしっ、お言葉に甘えたらどうだい?」
「え〜っ、みのりんっ…ズズッ…でもっ」
チンッ!レンジの音。竜児はいつの間にかミルクを温め、ささっと、きな粉とハチミツを入れた。
「これでも飲んで、待っててくれっ」
「おおっ、素早いっ!おぬし…やるな?かなりの凄腕と見たっ!ふうふう。いっただきま〜っす」
「…ゴクッ……ほあっ!……おぃ、しぃ…」
竜児は見る見るうちに、よどみ、ぬめり、くすみ、とろみ、ねばりを取り除いてゆく。
なんにせよ手際が良い。油分や、水垢、カビの酷い所を溶剤に漬け、その間に、ゴミ、
トッ散らかったモノを片付ける。竜児の流れるような動きに、感動すら覚える実乃梨。
「たっ、高須くんっ!なんかもう、スポーツじゃんそれっ!お掃除レボリユーションだっ!
 よおおっしっ!わたしも手伝うぜっ!」
トランス状態の竜児だったが、キッチンに乱入してきた実乃梨を確認すると、横っ飛びした。
「おおうっ!櫛枝さんっ、近え!!」
ちょこっとだが接触したのだ。竜児の肘と、実乃梨の肘が。竜児の意識は一気に、
現実にカムバックした。実乃梨は竜児に微笑み、ゴミ袋をまとめ始めた。
「ど〜した、高須くんっ!ゴキちゃんでも出たのかね?」
「すっ、すまねえ…なんでもねえんだ。その、ありがとうなっ」
ヘドロ化しているシンクの中を、竜児オリジナルお掃除グッズ、高須棒で、擦りまくる。
ディスポーザーの中に、もう何だか分らない黒い塊が出来ていた。電源を入れる。
まだ使えそうだ。竜児の至近距離を実乃梨がチャッチャと動く。恥ずかしいけど嬉しい。
もしかして…夫婦って、こんな感じ…なわけないか…。いろいろな妄想をしながら、
竜児と、実乃梨はキッチンを綺麗にしていく。残り3分だ。
「…なんか…ひっくしゅんっ!!…これって…」
大河は、きな粉ミルクを味わいながら、新しい競技を観戦している気分になった。

「かーんせーいっ!やったなっ!高須くん!!ジャスト10分だぜっ!」
満面の笑顔で、右手を上げる実乃梨。ハイタッチのポーズだ。
竜児は緊張のあまり油切れのロボットのように、右手をギクシャク挙げた。パチーンッ!
「イエーッス!高須クリニック!!高須くんってホント、家事得意なんだねっ!なんか、
 タルトも楽しみだよっ!わたし大河と他の部屋掃除するから、キッチン任せていい?」
「おうっ!まだ4時半か…大丈夫だ。任せてくれ」
大河がスタスタと近寄って来た。つま先立ちして覗き込む。
「っぷしょーいっ!ズズ…おおっ、シンクの底が見える…半年ぶりだわ…あ、カップ洗って」
またもや竜児の顔に粒が飛んできたのだが、達成感で寛容になった竜児には何て事なかった。
きな粉ミルクが入ったカップを置いて、大河は実乃梨がいるウォークインクローゼットへ向う。
そして誰もいなくなったのだが、カップにまだミルクが残っている。実乃梨のカップだ。
「…間接…うおおおっ!…間接って…有りなのかっ?」
自問自答。実乃梨のやわらかそうな唇が接触したカップ…飲み口は分る。きな粉の跡がある。
震える手。震える心。昨日の夜の夢を想い出す。有りだ。全然有りだ。結論がでる。
「酪農家の皆様、いただきます…」
まだ残っているのにMOTTAINAI。竜児はまるで、一気飲みのようにグイッとひと飲み。
ファースト間接キスは、味わう暇も無かったのだが…
「…あんた、何してんの?」
「ブフォオオオー」
「…このツイッターのマグ。みのりん使ってたヤツよね…まあいいわ、犬にもエサ。
 必要よね。…ぷしょんっ!…さっきアイス食べたから、スプーンも洗って。グス…
 んあー、鼻水うざっ、北村くんの親友なんでしょ?特別に黙っておいてあげるわ」
っと言って、改めて大河は実乃梨の元へ戻っていった…竜児は違和感を感じる。
なんだあの態度、言葉遣い…逢坂…そうかっ、きっと汚い部屋を男子に見られて、
自暴自棄になっているんだ。精神汚染しているんだ…なんていじらしい…と、
拡大解釈し、変に納得してしまう竜児であった。

竜児は鍋を火にかける。そして果物をすばやくスライス。薄力小麦粉とアーモンドの分量を量る。
沸騰した鍋に果物スライスを投入、その間にバターと砂糖をボールで泡立てる。鍋の火を止める。
ボールに卵を加え、ヘラであわせる。そしてボールは、洋酒を加えた鍋と一緒に冷蔵庫へ。
とりあえず…ここまで。

「おうっ、しみじみ…金持ちなんだな。逢坂は」
リビングルームを改めて見渡す竜児。10坪はあるであろう広いリビング。窓から公園が見える。
モダンなシャンデリア、白やグレーを基調にした家具や小物…センスが良すぎて…まるで、生活観がない。
そういえば、家の人は居ないのか?竜児は今更ながら、疑問になる。
しかし、部屋の状況や、単品で配置される家具の数から察するに、どうやら…
「独り暮し…だよな」
既にキッチンは輝きを甦らせたが、端っこや、隅っこを、タルトが焼き上がるまで待っている間、
高須棒で擦り続けながら竜児は大河の事情を飲み込んだ。

***

冷蔵庫から生地を取り出し、タルトの形に整え、電子レンジへ。果実を絞り、余った皮も擂る。
新しいボールに卵やら何やらを入れ泡立て。ジュース、皮を混ぜ、クリームを作る。
それを火にかけ、バターを合わせる。
あと…もう少しだ。

「…ついでに晩飯の下ごしらえもするか…」

今日はタルトだから、夕食も洋風にしてみた。タラコを縦に切り、スプーンですくう。
生クリームと、バター、ニンニクを加える。さらにサイドメニューにも手をつけ初める。
そして、レンジからタルトを取り出し、クリームを敷く。スライスを乗せ、ジャムを塗る。
「出来上がりだっ」

丁度そこに、実乃梨と大河が戻って来た。
「うおお〜っ、いい匂い…私の記憶が確かならば〜、美食アカデミー最年少にして最強…
 いでよっ!アイアンシェフ!高須竜児〜っ!!ってね!!」
「にんにく…の臭い…がするっ…ゴクリ」
大河っ、ヨダレっ! はっ!ありがと、みのりんっ…いいコンビだ。
「俺、一旦帰るな。母親にホワイトデーのタルト渡したいんだ。」
「もう帰っていいわよ。ちゃんと食べてあげるから安心して。あとタラスパのソースちょっと頂戴」
「なんだよ大河っ、あんまりじゃねえの?ねぇ高須くん、よかったらお母さんも呼んだら?
 迷惑じゃなかったらだけど…」
竜児は、母親の泰子の姿を思い浮かべ…どうやって遠慮しようか思慮する。

「はじめまして〜☆竜ちゃんのお母さん、やっちゃんで〜すぅっ!」
10年近く23歳の母親を横目で見ながら、これで良かったのか後悔しはじめる竜児。
「おおおっ!高須くんのお母さん!ダイナマイトなハニーっ!でもいんじゃない♪
 でもいんじゃない♪どもっ!櫛枝っす!今後ともお見知りおきを…」
「はじめまして…うわわっ…逢坂と申します。ご機嫌うるわしゅう…っぷし!」
ふたりとも泰子のムチムチでプルプルのFカップに熱い視線。実乃梨は揺れる生チチに興奮、
大河はトラウマになるんじゃないかと心配するほど動揺している。
「うっふ〜ん!ふたりとも可愛い〜☆…でぇ〜、どっちの娘がぁ、竜ちゃんの彼女ぉなの?」
「おいっ、泰子!違うって!しっ失礼だろっ」
竜児はバスケのディフェンスみたいな動きをして否定する。実乃梨は頭をかき、大河はあくびした。
「え〜っ、そうなの〜?残念〜☆仲良くしてね?じゃあ、食べよっか☆」

いっただきま〜っすっ!久しぶりに大河の部屋に団欒の声が響いた。

***

竜児は、泰子に言われ、実乃梨を家まで送る事になった。
「今日はありがと〜っ、そんでごちそうさまっ!高須くん!楽しかったぜ〜っ」
「いや…俺こそ、楽しかった。櫛枝さんっ、ありがとうなっ」
憧れの女子に、自分の手料理を食べてもらい、しかも褒められた…満悦至極の竜児。
「うふっ…ねえ高須くんっ。大河の事、どう思う?」
「おぅっ?ど…どうって何がだ?」
「実はさ、半年前に大河と色々あってさ、それまでたまに掃除とか手伝っていたんだけど、
 行けなくなったんだ。でも最近あの娘、ちょっと痩せて、体調悪くて…なんとなく聞いたら、
 ライフラインのお弁当屋さんが無くなっちゃったみたいなの」
「そうか…一人暮らしだもんな…」
「うん。だからわたし、期末テストやホワイトデーに託けて、大河んちに行くことにしたんだ。
 …なんか、変な話してゴメンね。なんか話しやすくて、高須くんって!」
実乃梨は竜児の左肩に手を置く。竜児の全神経は右肩に集中。実乃梨の手が離れた。
「なっ…何も話してないんだが…」
「えへっ、話し上手は、聞き上手ってね!大河だって、高須くんの事、気にいったと思うよ。
 あの娘、デリケートなんだからっ!じゃあ、高須くんっ!すぐそこなの。ここまででいいよっ。
 サンキューサンキューベリマ〜ッチ!」
手を振りながら走り去る実乃梨。実乃梨がいうには、大河には気に入ってもらったようだが、
肝心の実乃梨は竜児の事、気に入ってくれたのだろうか…
帰り道、リベロ竜児は、オフェンスからディフェンスのポジションに戻った。

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