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150 みの☆ゴン148/164 ◆9VH6xuHQDo sage 2010/01/17(日) 21:51:06 ID:u50kSign






 沖縄旅行二日目の早朝。高須竜児は宿泊先のコテージの大きなベッドの上で目を覚ました。
むくりと上体をあげると、隣ではまだスヤスヤと竜児の愛しの天使、恋人である櫛枝実乃梨が
寝ているのである。その寝顔を撫で、やさしくキスをしてみた。まさに恋人の特権である。す
ると彼女はくすぐったそうに寝返りをうち、少し微笑んだように見えた。その仕草に胸を射抜
かれてしまった竜児は幸せを噛み締めつつも、思わずもう一度、キスをしてしまうのであった。
 竜児は静かにベッドから降り立ち、僅かに外の明かりが漏れていたテラスのカーテンを開け
る。まだ五時前。この日の太陽はまだ姿を隠しているようで、その光の放射は上空の大気をむ
らさき色に染めていてる程度であったが、竜児の目前に広がる西側の水平線には星が竜児の気
持ちとシンクロしているように、甘い夜の秘め事を名残り惜しそうに瞬いているのだった。
 竜児は胸いっぱいに潮の香りを溜め込むと、カーテンを閉めバスルームへ向かった。寝起き
に優雅にシャワーを浴びようとしている訳では……実はなかった。
 本来であれば竜児と実乃梨はこれから旅行のメインイベント、皆既日蝕ツアーに行く事にな
っており、とっとと支度をして、違うホテルに泊まっている四人とクルーザーが碇泊している
マリーナの桟橋で合流しなければならないのだが、集合時間は六時半にもかかわらず、竜児は
掃除大会を開催してしまったのだった。寝ている実乃梨に気を遣って物音立てずにカミソリの
ような凶眼を光らせつつ任務を遂行するその姿は、沖縄に潜伏した国際テロリストがこの部屋
に泊まった形跡を払拭してアリバイ作りに奔走しているように見えなくもないのだが、無論そ
うではない。お掃除のプロ、ホテルのベッドメイクさんに無駄にライバル意識を剥き出しにし
てしまい、どうしようもなくお掃除好きな竜児はその衝動を抑えきれなかったのである。自前
でお掃除グッズ、伝家の宝刀、高須棒まで繰り出してしまうほどの掃除マニア、端的に言うと
竜児は変態なのであろう。しかしそんな変態を好きになってくれる好事家が世の中にはいるも
ので、そうして世界は上手く回っているのである……。
「出遅れた! おっはよん竜児くん、ぜってー起きたら掃除大会すると思ってたぜよ! 私も
 微力ながら加勢すっぜ〜!」
 Tシャツに下着だけの状態で朝から笑顔全開、竜児に向かって挨拶代わり、ピーン! と見
事なY字バランスを決める。今日も朝から彼女はパーフェクトに可憐だ。つい浮かれてしまう
竜児だったのだが、
「お……おうっ、おはよう実乃梨。起こしちまったか。すまねえ」
 寝ているうちにキスしてしまった事がバレてないの
だろうかと竜児は軽くキョドってしまうのだった。
「な〜に言ってんのさっ、竜児くんの考えてることなんて、まるっとお見通しだいっ! かわ
 いいやっちゃ」
 無防備な笑顔を蕩けさせ、そんなことを言いだす実乃梨に、「〜〜〜〜〜っ」と竜児は絶句
し、顔が火を噴くのも見られたくなくて、もてあそばれている気分にもなって、
「……いて」
 実乃梨の肩をとりあえずどついてやった。彼女は「ふへへ」と笑って腰をゆらゆらさせてい
る。

 そしてせかせか動きまわる二人は軽食を運んできたバトラーにたしなめられるまで、コテー
ジの水まわりや、インテリアや調度品の乾拭き、しまいにはシーツの洗濯まで始めてしまった
のであった。

***

 海岸線沿いの道をなぞるようにひた走る一台の派手な色のハイヤー。海辺の雄大な景観を鮮
やかに映り込ましているその後部座席の窓から竜児の顔が見える。すでに約束の六時半を過ぎ
てしまい焦りつつも、隣に座る実乃梨の髪の毛から、自分と同じシャンプーの香りがすること
が少し嬉しく感じてしまった竜児は、それを実乃梨に伝えると、「本当?」と言って彼女はク
ンクン匂いを嗅いでくるのだった。その彼女のなにげない仕草に萌えているうちに、二人を乗
せたハイヤーはスピードを緩め、マリーナの駐車場に入っていく。そして車止めに停車し、後
部座席のトロピカルなカラーリングの扉が開くと、中から竜児と実乃梨は手を取り合い降車し、
桟橋へと走り出す。ゲートをくぐり、コンコースを抜け、北村を見つけた竜児。少し遅刻した
こともあり、謝ろうとしていた竜児たちであったが、そこで出迎えた爽やかさが信条であるは
ずの北村佑作は……
「お、はよう高須……いっ、いい皆既日蝕日和だな。あっはっ……は……ぐほおっ!」
「おう! しっかりしろ北村!……なんでおまえたちそんなにくたびれてるんだ……」

 トレードマークの銀縁眼鏡が指紋だらけで脂っこく曇っていて、尋常ではない事態が起こっ
たことを示唆していた。社会の窓が全開なのは特に気にはしなかったのだが、待ち合わせの桟
橋にいた他の面々も、何故かそろいも揃って目の下にクマを作っているのであった。
「おっす〜高っちゃぁん……実はみんな昨日、オ〜ルだったんだよ〜、ガハゲヘゴホッ!」
 春田浩次も夏休み限定で金色にした自慢のロン毛がボサボサだ。目も口も半開きで、いつも
の脳天気なアホパワーは影を潜めている。アホっぽいのは健在なのだが。
「オールとな? 君たち徹夜かね? あっちゃ〜大河っ! あんたもかいっ!」
 逢坂大河にいたってはベンチでアルマジロのように縮こまり、これから始まる世紀の天体シ
ョーなどどうでもいいような意気消沈ぶりだ。せっかくのギンガムチェックのひらひらワンピ
ースも萎れてしまっている。実乃梨は大河の目の前まで歩み寄り、目線を下げ、ツインテール
にしている大河のおつむを撫でる。
「うん……あの後みんなでカラオケ行って……朝まで八時間……モノマネメドレー百連発……
 コッホ!……」
 竜児と実乃梨は顔を見合わせ、なんとも残念な面々に深い息を吐く。
「ったくおまえら、なんとか何連発とか、そんなんばっかじゃねえか。四人で百曲って、一人
 頭二十五曲とか無茶しすぎだろ。喉潰して当然だ……大体モノマネする意味がわからねえ」
「大河大丈夫? 体調悪い? フリスクあげる。SHARPENS YOU UP!」
 昨日の清楚な白いワンピースからうって変わって、カジュアルなタオル地のパーカーに光沢
のある素材のハーフパンツ姿の実乃梨は、ポーチからフリスクを取り出し、大河に5粒渡した。
「すまん櫛枝、フリスク俺にもくれないか? ああっそれと櫛枝と高須。実は今、亜美が乗船
 手続きをしに行ってくれているところだ。しかし……亜美のやつ遅いな。もしかして昨日の
 アルコールが残っていてどっかで倒れてるんじゃないだろうな?」
 素知らぬ顔で、問題発言する北村の眼鏡のレンズに不可視光線を喰らわす竜児。
「酒か? 呑んだのか北村! おまえがいながらそんな違法行為を……っぷおうっ!」
 天を仰ぎ、生徒会副会長兼クラス委員の優等生を咎める竜児の口に、びしゃん! と大河は
ジャンプしビンタを食らわす。何故か春田も同様に引っ叩かれる。
「違う竜児! 北村くんは悪くない! そこのばかちーの奴隷犬がジュースと間違えてどっち
 ゃりお酒買ってきたのが悪いんだ! 奴隷の不始末はあの酒乱女の不始末!……それはそう
 と、あんたこそみのりんに違法行為、やらかしてないでしょうね……」
 春田と一緒に痛がっていた竜児は大河からセクハラ発言を受け、思考停止。痛みなどもどっ
かにすっ飛んでしまう。しかしそこに救いの手を差し伸べる、見た目だけヴィーナスの川嶋亜
美が降臨するのだった。シンプルなカットソーと、スキニーデニムに包んだその八頭身のスタ
イルは今日も絶好調に美人オーラを振りまいている。ヘッ!と、多少やさぐれてはいるが。
「誰が酒乱よ? あんたみたいにお酒でキス魔になるようなやつに言われたくねえっつーの!
 ったく、あんたに舐められて顔中まだ酒くせーし、マジ酒癖悪くてあんたってどんだけトラ
 なのよ……ほらほらそれはそうとみんなチケット貰ってきたからっ。さ、行くよっ」
 踵を返し、亜美は先を歩き出す。竜児と実乃梨はしばらく互いの顔を見合わせ、そうしてや
っと顔を亜美の背を向け、後を追った。

***

 六人を乗せて出航したクルーザーは、皆既日蝕の観測ポイントの島まで約一時間かかるら
しい。その間の時間つぶしにと、船内キャビンのモニターで日蝕の解説ビデオが繰り返し流
れていて六人はなんとなく見入っていたのだが、お酒と船のダブル攻撃に酔いがさらに回っ
てしまった大河が実乃梨と亜美を連れだって屋外の展望デッキへと向うのだった。


 展望デッキは船尾にある階段を昇り、クルーザーの屋上にあった。オープンエアで開放感
があり、見渡す限りの大海原。わ〜っと、ワンピースの裾を靡かせながら目を輝かせる大河。
何を思うのかサングラスの柄を噛み、無意識のうちにポーズを決め、ファッション雑誌の切
り抜きのように傾国になる亜美。海賊王に俺はな〜るっ!っと叫びながら柵から身を乗り出
し落水しそうになる実乃梨。三人だけで占領している展望デッキで女子高生天使たちはそれ
ぞれの魅力をぶちまけている。その様は無敵の破壊力を誇り、もし他の人間がそこにいたの
なら、心臓を撃ち抜かれ確実に絶命していたであろう。青空に湧きあがる力強い入道雲も、
海を切り裂く船首から迸る、真夏の日差しにキラキラと輝く水しぶきも、彼女らの前では単
なる脇役にしかならない。
「しっかし、風が気持ちいいね〜。大河なるべく遠く観るんだよ」
「うん。心配してくれてありがとっ、みのりん。でも平気。外の空気吸ったらだいぶよくな
 ったみたい」
「あんた猫科のくせに三半規管弱いのね〜っ……それよりさっ実乃梨ちゃんっ! 実際昨日
 の夜、高須くんとどうだったのよ? ねえ、ヤった? ヤっちまった?」
 大きな瞳を窄め、実乃梨を問い詰める亜美。真っ赤になる実乃梨のかわりに虎が吠える。
「コラ、えろちー! みのりんになんてこと聞いてんのよ。デリカシーないわね。みのりん
 はヤったんじゃなくて、ヤられたの。ねっ、みのりん?」
「……大河それじゃあ、あんまり変わんないぜ……いいじゃん別にそんなこと。内緒!」
「あ、否定しない。否定しないよ実乃梨ちゃんってばっ……やっぱヤっちまったんだ〜、
 ウッフー☆」
「だからばかちー! みのりんはヤったんじゃなくて、ヤられ……」
「あーもー! やめてくれよ二人ともっ! 恥ずかしいじゃんかよっ、今度話すから勘弁し
 てよっ! その話題終了!」
と言って、両手で二人の口を、塞そうとする実乃梨なのだが、逆に手を取られ、大河に優し
くさすられながらしみじみと、「よかったじゃん……」と言われちゃうと俯いてしまい、
「何にも言えなくなくなる実乃梨ちゃんなのでしたっ」と亜美にからかわれるとしゃがみ込
んでしまうのだった……。
 だから実乃梨は大河と亜美が見つめ合い、実乃梨を祝福し、愛でるような天使の微笑みを
交わしていた事を見る事はなかったのだ。

***

 観測ポイントの島に近づくにつれ上空に雲が立ち込め、一抹の不安を覚える竜児たちであ
ったが、日頃の善行のおかげか、島へ上陸した午前八時には天候が回復し、地表を焦がすほ
ど沖縄本気の日差しが強烈に降り注いでくれた。
 この島には住民も少なく手付かずの美しい自然が広がり、桟橋から観測ポイントのビーチ
までの道のりは岩場やぬかるみを渡り歩く必要がある。数分かけて辿り付いたビーチには既
に泊り組のテントや、レジャーシートやらが幾つか設営されていて、刻一刻と近づく世紀の
天体ショーを迎えるにあたって、会場の雰囲気は盛り上がっているように見えた。ざわめく
喧騒の中、どうやら春田もその空気に飲まれたようだ。
「も〜すぐ見れるよな〜、怪奇日蝕☆ひょ〜怖えっ! 興奮してくるよねっ、高っちゃ〜ん!」
「その怪奇じゃねえよ。皆既な。春田おまえ、昨日も郵便局で絵葉書出すときに五十円切手
 一枚いくらですかって聞いちゃっただろ? 俺は恥ずかしさを通り越して感心しちまったぞ」
 少し可哀想な親友に竜児は大きく息を吐くのだが、その傍らでTシャツを捲り、肩を露わ
にしている北村がしっかりフォロー。
「はっはっは! 春田の冗談はいつもホームラン級だな! いいぞっ、いい感じだぞ!……
 そうだ高須、沖縄って天の岩戸があるんだぞ。知っているか?」
「伊平屋島のクマヤ洞窟だろ?あれも皆既日蝕の話だからな。なんか偶然っつーか……すげ
 えよな」
 と、男子軍団で気持ち悪く雑談していると、やはり三人で固まっていた女子軍団から、亜
美が呼びかけてきた。
「ねえねえみんな見てっ! もう太陽欠け始めてるよ!」
 その声に集まった六人は、揃って顔面を亜美が指差す天に向ける。そこには太陽が既に形
を変え始めており、いわゆるファーストコンタクトが起こっていた。海岸にいる人々は皆、
竜児たちと同じように空を見上げ、低いどよめき音がビーチ一帯に響きわたる。

 竜児の目の前で、額に手を当てていた実乃梨も大河と一緒に、わあ、と歓声を上げ、手を
叩きあって興奮していた。北村はアホと幼馴染みに一生懸命日蝕の蘊蓄を披露していたが、
さらりと聞き流されていたものの、それぞれハイテンションなのは変わりなかったのだ。

 ──そして竜児。竜児はたぶん、みんなと違っていた。竜児はこういうお祭り騒ぎの喧騒
の中で、ひどく孤立感を感じることがある。騒ぎが大きければ大きいほど、興ざめしてしま
い、神経質になってしまうところがあるのだ。
 それは竜児の心の欠損しているところ……だと自覚していた。
 だから、だからこそ、そういう中で純粋に、太陽の核のように光り輝く実乃梨に憧れ、恋
をしたのだ。実乃梨は竜児の欠損しているところを持ち合わしていた。そして憧憬の日々は
過ぎ、彼女に思いをぶつけ、交際し、そして昨晩、結ばれた。竜児にとって彼女はアドレナ
リンだった。ドーパミンだった。そう想っていた。そして今、呼吸をするのにも彼女が必要
だった。
 そしてその、彼女の手を竜児は堅く掴む。「なあに?」と、フラッシュのように眩い視線
が竜児のためだけに注がれる。停止していた呼吸が再開される。体中に酸素が、彼女がドド
ッと送り込まれる。
 ──実乃梨を離さない。この心は、永遠に。そう想いを込めて。そして、
「実乃梨、二人であの高台の上まで昇らねえか?」
 彼女を独り占めするために、彼女をさらった。

***

 十時半頃には日蝕は進み、随分と暗くなってきていた。竜児は実乃梨の手を取り、高台へ
と向かっている。思ったよりも急な坂道。道幅は狭く、たまに木の根に足を取られてしまう。
二人の息が上がってきた。
「あとちょっとだな。実乃梨、平気か?」
「OK牧場! へっへ〜、日頃足腰鍛えてるからね、平気だぜ。竜児くんこそ大丈夫かいな?」
 ああ、っと答え、二人は互いに気遣いながらもややあって高台の上へと到着する。その頃
にはほぼ太陽は陰り、薄暗く、気温も下がってきた。竜児と実乃梨はさらに先にある繁る木
々の間を抜けると、みんながいる美しいビーチが見下ろせる段丘に出た。海を渡ってきた真
っ直ぐな潮風が気持ち良い。
「おー! 絶景かな、絶景かなっ! 夏の白昼は値千両とは、小せえ、小せえ! この実乃
梨の目からは、値万両、万々両!」
 と、実乃梨は息を弾ませながら、五右衛門ばりの見栄を切る、まさにその瞬間だった。赤
い旋光が走り、太陽と月はセカンドコンタクトを迎える。つまり、天空に美しいダイヤモン
ドリングが光り輝いたのだ。目下のビーチからの喧騒もピタリと止む。皆既状態に目を奪わ
れる。淡いさざ波のようなシャドーバンドが現れる。神秘的で幻想的な雰囲気。見渡す限り
の水平線上、遠くの明るい海域だけがくっきり茜色に変わる。

 そうしてやっと、竜児は素直に言葉を紡ぐ。実乃梨と共に生きる……と。
「実乃梨、嫁にこい」
 宇宙へ向けて解き放ったその言葉は、その月と太陽に反射して実乃梨へと届いた。
「うん。今のダイヤモンドリングが……竜児くんからのエンゲージリングなんだね……あり
 がとう」
 大きな瞳が輝く。地上に降りた太陽が燃える。たしかに炎上し、竜児はその猛火に飛び込
む。抱きしめる。しかし竜児は燃え尽きる事なく、その炎を包み込む。溶けあい、一つにな
る。まるで皆既日食のように。
 当たりはさらに薄暗くなり、コロナが観測できた。その散乱する光は、もしかしたら普段
見えない彼女のネガの部分なのかも知れない、とか、地球の反射光で照らされる浮かび上が
る月面の表面を、もしかしたら俺の影の部分を彼女が照らしてくれているのかも知れない、
とか、竜児は実乃梨を擁しながらそういう胸の内なのであった。


 自然に二人は唇と唇を重ねていた。そうして数分、一度距離をとり、見つめ合う。無限の、
不滅の愛が、竜児の中で輝く。心が通じ、実乃梨の唇が熱い想いを詠う。
「でもリングはひとつじゃ足らないよね? もうひとつ。……じゃあ今度は私からだね。竜
 児くん、受け取って」
 その刹那。再び天に、眩いダイヤモンドリングが光る。一瞬だったが、実乃梨の誓いと共
に、見事に竜児に届けられた。蓄積していた感情が、涙となって体現する。
「おうっ。離さねえ」
 すると二人を祝福するように、新生した太陽は一気に眩い光を薄い霞にリフレクトさせ、
リング状の虹を、二人の頭上に描いたのだ。それは人間の矮小さを、想像力を遥かにしのぐ
圧倒的な自然現象。そして竜児の中の世界が変わる。実乃梨との永遠を誓う。

 そう、永遠のスタートが今この瞬間なのだ、と。

***

 日蝕の興奮冷めやらぬまま、六人は、クルーザーを下船、那覇市内にワゴン車で送迎しても
らう。少し遅い昼食と、お土産を買うためだったのだが。
「みんな、何食べる? あたしはなんでもいいんだけど?」
 大通りを下僕の春田を引き連れ、先頭を歩いていた亜美がくるりと振り返る。
「なあ亜美。せっかくの沖縄だし、日頃食べられない沖縄料理を食べようじゃないか。みんな
 いいか? いいな? よしっ決定!」
 あわや強引ともとれる北村のリーダーシップに実乃梨が反応。
「第一メディテーション、パイン!……しゃぐしゃぐしゃぐ〜っ! うめえ、パインうめえ〜!
 超あま〜いっ、ジュ〜シ〜ッ! 第二メディテーション、沖縄そば!……ずぞぞぞぞ〜っ! 
 うめえ、そばうめえ〜! 超山盛りっ、ラフティ〜ッ! 第三メディテーション、ブルーシ
 ールアイス!……ぺろぺろぺろ〜っ! うめえ、アイスう」
「グルメ妄想はそのへんでやめとけ実乃梨……てか、そんなに食うつもりなのか? ダイエッ
 ト戦士はどこ行ったんだよ。封印かよ」
「ふっ、笑止──この鋼鉄の筋肉で鎧われし我が肉体の前には、それ如きのカロリー、恐るる
 に足らぬわー!」
 わーっと言った傍から天まで届く大絶叫が上がる。
「やあああああああうぎゃあああああああっっっ!」
 土産屋の店先にぶら下がっている商品に発狂寸前の声を上げて亜美はコンフュージョン。人
事不省の亜美は、傍にいた背の高い春田に寄り掛からなければそのままK.O.されていたかも知
れない。もはや天使の仮面もクソもない。
「な、なによばかちー! いきなり暴走しないでよ、驚いたじゃないっ!……関係ないけど驚
 いた拍子に閃いたわ……お土産はちんすこうにしよう……」
「本当に関係ないな逢坂! すばらしぞっ! それよりなんだ亜美、相変わらずだな。原因は
 これだな? カエルだろ。カエルの財布」
 そこには沖縄名物なのだろうか、まんまカエルを干乾したガマ口の財布が数匹釣られていた
のだ。美少女にあるまじき汁が顔面から垂れている。
「ど〜したの亜美ちゃ〜ん? なになにそれかわいい〜じゃ〜ん☆俺も関係ないけどお土産に
 カイジンTシャツ買おーっと!」
 たぶんそれは海人Tシャツなのだろうが、とりあえずその一番近くにいたアホの影に隠れる
亜美。そんで春田のシャツであるまじき汁を拭った。一瞬シャツの匂いを嗅いでいるように見
えたが、違かったようだ。そしてその傍らには、宿敵である亜美の弱点をひとつ知り得て、カ
エルの財布の購入を決意し、ほくそ笑む大河がいたのだった。

***

「げー。これ、あんまり好きじやない。てか味薄い」
 騒がしくもなんとか沖縄料理の専門店に入った六人。よくわからないまま注文した料理が気
にいらないようで箸を置く大河。
「なんだ逢坂食べないのか? じゃあこっちはどうだ? 肉好きだったな。豚肉だぞ?」
 と、北村が自分の皿からホイホイと大河の皿にラフティーを移送。その一部始終を傍観して
いた亜美もパシッと箸を置く。


「ちょっと佑作っ、あんたタイガーの事甘やかし過ぎ。沖縄料理ってヘルシーなんだから。タ
 イガーがいつもハイカロリーなジャンクフードばっか食ってっから悪いのよ。つかあんた好
 き嫌いあるから背も胸もチビすけのまんまなんじゃねーの?」
「……ばかちー、ケンカ売りたいんだったらハッキリそう言いなさいよね。いつでも買ってや
 るし、お釣りも結構よ」
 大河も箸を置き、手元にあったパイナップルジュースの缶をむんずと掴み、投擲態勢。今度
はその一部始終を傍観していた実乃梨がゴーヤを摘んだ箸先を火花を散らす二人に突きつけ、
「ほーらぁっ! 食事中にやめれいっ! いくら友情を育てたいからって、二人とも喧嘩しな
 い! でも大河。慣れたらうめーよ? これ。ほらほらほらほら、見て。ほらほらほらっ、
 ほぐっふぉっ!」
 ……粗相をするのだった。噴霧されたゴーヤらしきものを竜児が手早くナイスお掃除。見事
な連携プレーである。
「あーあーあー、実乃梨よ。いくらなんでも口に入れ過ぎだろ。しかし郷土料理ってのはクセ
 あるから……おうっ! 大河そんなにケチャップかけるな! 食材に対しての冒?だぞ!」
「黙れ、男おばさんジュニア……ていうかちょっとあんた、テーブル拭き終わったのに隣のテ
 ーブルまで拭いてくの恥ずかしいからやめてくんない?」
「おう、すまん、ついクセで……」
 無意識に手持ちのサッサで吹きまくっていた竜児に大河は呆れ顔。席に戻り、落ち着きを取
り戻したようだ。どうやら戦闘回避したらしい亜美は、殺伐とした気配を一掃するように辺り
をキョロキョロ見回し、
「そういえば春田くんは? いないじゃん」
 すると、レジの方からノコノコやってくるパツキンがいた。
「ね〜見て見てくれ〜! おっぱいアイス〜! 買っちゃった!すごくね?」
「すごくねえよ春田。おっぱだろ? 乙羽アイス。まあたしかにひらがな表示だから間違える
 よな……」
 せっかく竜児が、春田の勘違いを指摘するのだが、パツキンのアホは余計なことをのたまう。
「なんだ〜、おっぱか〜……しかしタイガーのおっぱ……じゃなくって胸ってナゾだよな〜、
 水着の時は意外とあるような気がしたのに、着替えると抉れたみたいに平らなのな〜」
 その瞬間。大河の席からグシャッと、鈍い圧搾音。パイナップルジュースの缶が、あり得な
い形に変貌していた。たしかスチール缶だったはずなのだが……
「てめえらっ! やっぱり二人まとめて五ミリに捻り潰す!」
 血の色に裂けた目は狂気に染まった、殺意の色。さながら猛る虎のようで、宙を跳び春田の
頬をバンバン左右に張る。潰すどころか春田の頬は赤く膨れていって、やがて春田の両腕はだ
らりと力なく垂れ下がり、大河の足元にドサッと崩れ落ちる。多分、死んだのだろう……。春
田を仕留めた大河は、亜美にジャンプ。押し倒し覆い被さり、目を細める。「うぎゃあああ!」
……力ずくで亜美の四肢を裂き、
「……く、食ってる……!」
 実乃梨はううっと、口元を押さえる。大河は亜美にガブガブを噛み付き攻撃に出ているのだ
った。そんな惨劇を尻目に竜児と北村は、食事を再開。
「おっ、なかなか風味豊かな喰いもんだな、へえ、ピーナッツ豆腐か。おもしれえ」
「どれどれ、俺にも食わせてくれっ。うむっ、旨い! いやあ、しかしこうして夏休みに親友
 のおまえと沖縄料理を堪能できて俺んあー!」
 最後の力を振り絞り、大河へ反撃に出た亜美の振り回した箸先が、北村の股間にずぼっと突
き刺さっていた。
 ……そんな感じで迷惑な団体客は、さらに騒ぎを大きくするのだった。竜児は思う。もう沖
縄の土は踏めないのではないかと。

***


 夕食を済ませた一行は、亜美の発案で免税店でのショッピングに繰り出すことに決定、実乃
梨も竜児と一緒に、お互いの母親用にブランドもののエコバッグを選んだり買ったりしていた
のだが、亜美と大河のエンドレスショッピング地獄に竜児が少々焦燥気味にため息をつくのを
見ると、実乃梨はさり気なく、亜美に明日の飛行機の時間だけを確認して、宿泊先のコテージ
に戻ることにするのだった。
 送迎されたコテージのドアを開け、竜児がその近くにあるスイッチに手を掛けると、部屋の
中はやわらかな光に包まれる。すると陶器で出来たテーブルの上にフルーツが入った篭が置か
れており、ホテルから朝の掃除大会のお礼のカードが一緒に添えられていた。
「おうっ! すげえなっ……返って悪いことしちまったかな……なあ実乃梨。いまさらなんだ
 が……実はおまえも買い物したかったんじゃねえのか?」
 実乃梨はリビングをスルーしてテラスのある窓を開けた。部屋中に波の音と匂いが立ち込め、
そうしてやっと、実乃梨は竜児に振り返る。
「ううん、大丈夫だよ。私ブランドものとかもともと興味ないし、なんてったって高くて買え
 ないって。あいつらみたいにお財布に五万も六万も掛けられねえよ。無理無理っ!……それ
 より沖縄に免税店なんてあったんだね〜。私、外国にしかないのかと思ってた」
 視線の先の竜児は手荷物をベッドへ放り、篭からバナナを抜き取って冷蔵庫からミネラルウ
ォーターを取り出した。
「ギャラリアだろ? 俺は店の名前自体知らなかったんだがな……ていうか、あいつら昨日徹
 夜だって言ってたよな? いくら旅行ったって満喫するにもほどがあるだろ」
 屋外のテラスに出てベンチに腰を降ろす竜児。実乃梨もポーチからハンカチを捲いたミニペ
ットを取り出し、その隣に座った。
「どっこいしょ〜いち〜、っとぉ……まあ沖縄最後の夜だからねっ……」
 と、言いながら竜児を見やるとバナナを口に咥えながらミネラルウォーターの栓を開けてい
た。それを眺めていた実乃梨は、
「……竜児くん行儀悪い。てか、なんかエロい」
「ブフォッツ、え、エロくねえだろ! バナナ咥えただけじゃねえかっ! へんなこというな
 よなっ」
 ポーンと、竜児の口から飛び出すバナナをキャッチ。実乃梨は、真似てみた。
「エロいよ。目線かなぁ? こ〜んな感じ……んふっ……どう?」
 バナナを咥えながら竜児に流し目。竜児の顔が薄明りの中でも赤く染まるのが判る。
「そ、そうだな実乃梨……確かにエロいかもしれねえ……だから頼むから俺がいないところで、
 そんな食い方しないでくれよな……返してくれ」
 食べかけのバナナを竜児に奪われ、食べられてしまう。バナナには明らかに自分の唾が光っ
ていた。間接キスどころのレベルではない。ドキン、と大きく一度、実乃梨の心臓は律儀に高
鳴る。
「し、しないよ。竜児くんのマネだもんよ。竜児くんこそ私がいないところでフェロモン出さ
ないでよね? 私、心配なんだよ。だって竜児くん、かっ、かっ、カッコいいし……」
 跳ねた毛先を指先でいじってみせる。バナナを飲み込む竜児の喉がゴクンとなる。
「カッコ? 俺が?……泰子以外から初めて言われた、なんか……ありがとうな、うれしいぞ」
「私だって、異性からカワいいとか言われたの、竜児くんからが初めてだもんよ。私も……う
 れしかったよ? 大河は言ってくれたけど……」
 親友の名を口にして、実乃梨はふと、思いつく。いや、前から気にはしていた事なのだが……。
「そう、大河……大河って超可愛いじゃん。この際だから、ぶっちゃけ竜児くんに聞いちゃう
 んだけど、あんな可愛い娘が隣に住んでいて、なんとも思わないの? なんかないの? そ
 の、なんかさ……」
 たしかに気になっていた事だった。が、プロポーズまでされた後に、こういうことを聞くの
もなんなんだろうかと後悔する実乃梨。しかし聞いてしまったものはもう仕方ない。
「隣って大河か? なんかってなんだよ? なんもねえし、なんかする予定も計画もねえ。ま
 あ実乃梨と親友だし、可愛いとは思うけど、そんだけだ……てか、おまえこそどうなんだよ。
 北村とか。仲が良いじゃねえか」
 意外な竜児の反撃に実乃梨は目を丸くする。
「へえっ? 北村くん? ないない意味わかんない。おもしろい事言うね、お主。まあ、竜児
 くんの親友だし、同じ部活だし、仲は良いけど、それだけだよ……ありゃ? なんか竜児く
 んと言ってること同じだね、私……」
 と、自分の言葉に納得した実乃梨。考え過ぎだった。少しでも疑念を持った自分に恥ずかし
くなる。

「だろ? 同じなんだって……心配なんかすんなよ。でも、ぶっちゃけてくれて、ありがとう。
 嫉妬……してくれたのか? なんかうれしい」
 顔を伏せて竜児の顔が見れない。そんな実乃梨の髪を撫でてくれる竜児。実乃梨のハートが
満ちる。でも彼に謝らなくちゃいけない。
「ゴメン、変な事聞いて……怒ってない?」
 恐る恐る合わせた視線。だが竜児はいつもの実乃梨の大好きな笑顔でいてくれていた。
「怒るかよ。うれしいって。俺は……お、おまえとなんとかなる事しか考えてねえよ……」
「え? 私と?」
 なんとかなるっていう竜児の言葉の意味を実乃梨は理解し、なんとなくモジモジしていたそ
の隣で、竜児はベンチからズレ落ちそうなくらい大きな背伸びをした。
「くくっ……俺、そろそろ風呂入ろっかな」
 ……竜児くんとなんとかなっても良かったのに……そう不退転の決意をしていた実乃梨は、
そんなことをいう竜児につい口を尖らさせてしまう。
「えー私、竜児くんともちっとお話ししたかったんだけどなっ……じゃあ、もう……寝ちゃう
 の?……まあ、いいけどね」
 そんな感じで落ち込んでしまう実乃梨だったのだが、
「……いや違くて……俺もおまえともっと一緒に……最後の夜だし、その……風呂、一緒に入
 らねえか?」

***

「ふあ〜っ、いい気持ち……」
 バスルームで実乃梨は湯舟の中で極楽気分に浸り、背伸びすると、湯気が立つ水面にちゃぷ
んと波紋が広がっていく。無論、実乃梨は全裸であり、広がる波紋の中心には健康そうな双房
がぷかんと浮かんでいて、その房の先端には採れたての果実のような薄桃色がツンと立ってい
るのだった。しかし、実乃梨は、そんな呑気にお風呂の中で寛いでいる状況ではない。これか
ら竜児がバスルームに入ってくる。人生初の混浴になるのだ。
 さっき実乃梨は、竜児と一緒にお風呂に入る条件として、二つの条件を出した。一つは先に
入って身体を洗いたいというのと、もう一つは電気を消す事である。まだ彼女には明るい場所
で裸体を晒す覚悟はできていなかったのだ。緊張してきた実乃梨は、湯舟のお湯に顔の半分を
沈め、ぶくぶく泡を立てたその時、彼の足音がした。
「実乃梨、入っていいか? 電気消すぞ」
「ぶわっはい!……いいぜよ……」
 竜児の声を聞き、実乃梨は湯舟の中で回転して、湯舟の縁を掴む。すると今度はまっ白なま
るいお尻が湯舟に浮かび上がってきた。それはアスリートらしく小振りで引き締まってはいる
が、10代の少女らしい柔らかなもち肌が曲線を描いており、その深い谷間を滑るように、す
るりとお湯が流れ落ちていくのだった。
 実乃梨は、じっと竜児を待つ。少ししてバスルームの灯りが落ち、バスルームの扉が開いた。
脱衣所からの逆光ではっきりとは見えないが、多分自分と同じように全裸の竜児は、濡れた床
に滑らないように足元を気にしながらゆっくりバスルームに忍び入ってくる。
「おうっ、暗えなっ……実乃梨、どこだ?」
「湯舟。窓から海が見えるよっ。ここのお風呂すっごくいいね。いい香りがするし、好きかも」
 初めはキョロキョロしていた竜児の影が、暗闇に目が慣れてきたようでこっちを向いて動
きが止まる。
「へえ。昨夜はシャワーだけだったし、掃除ん時も海が見えるなんて気付かなかったな。俺も
 湯舟に入っていいか?」
 空気が動き、竜児が近寄ってきたのが分かった。しかし実乃梨は首を振る。
「先に身体洗わなきゃだめだよ竜児くん。だって髪の毛とか、潮風でバサバサだったじゃんか」
 実乃梨の言葉に従い、竜児は素直に回れ右。シャワーのノブを回し、身体を洗いだす。じゃ
ばじゃば飛沫が撥ねる音がする。
「なあ実乃梨。やっぱり危ねえから明かりつけねえか?……激しくコケそうな自信が、俺には
 ある」
 そんな訳にはいかない。恥ずかしい上に、竜児のおヌードなんか見たら、鼻血を噴霧する自
信が、実乃梨にはある。

「えー! 充分見えるよっ! てか見えてんじゃんかっ……ん〜、竜児くん……つけたい?」
 竜児のシルエットがコクンと頷く。キュッとシャワーのノブを閉める音がする。竜児は覚悟
ができているのであろう。遅かれ早かれ、どうせいつかはそういう日がくるし……実はちょっ
と見てみたい気もするし……実乃梨も覚悟を決めるのだ。
「仕方ないなー……わかった。明かりつけよ。つけていーけど、あんま私のことジロジロ見る
 んじゃねーよ? 私、コケた時の擦り傷跡とか切り傷跡とかいっぱいあるから……本当は明
 るいとこで見られたくないんだよね」
 わかった、と竜児は答え、脱衣所に戻り、灯りをつけた。するといままで輪郭しかわからな
かった自分の裸体が、くっきりと晒されるのである。実乃梨が視線を落とすと、湯船にぷかり
と浮かぶ二つのふくらみ。その奥に揺らいで見える柔毛。あらためて自分の姿を確認する。素
っ裸だ。当然、羞恥心を覚えるわけだ。すごく恥ずかしい。
「うっひー! やっぱムリ! 明るい! 溶ける! 溶けてしまう〜!」
 バシャバシャ湯船の中で慌てふためく実乃梨。竜児は脱衣所から駆け寄ってくる。灯りを消
さずに。
「だ、大丈夫だ! 溶けねえから! おまえ……き、綺麗だから……」
 まるで胎内の新生児のように脚を抱え縮こまっていた実乃梨は顔を上げて、
「本当?」
 と、涙目を向けてみた。そこには全裸の竜児がいて、肉眼で男の部分を直視し、思わず実乃
梨の息が止まる。
「本当だとも……いや、俺も恥ずかしくなってきた……」
 慌てて前を隠す竜児。Uターンして背中を向けた。しかし実乃梨はそいつをバッチリ見ちゃ
ったのだが。覚悟完了している実乃梨は、湯船から上がり竜児の背中に抱きついた。湯舟で熱
くなった生肌を押し付ける。
「竜児くん……くっついたら見えないよ?」
 とは言ってみたものの、抱きついた自分が心臓が破裂するほどドキドキしてしまう。呼吸が
不規則に乱れる。そのまま動けなくなってしまう……ウットリするほど、かぐわしい背中の彼
も、どうやら限界だったようだ。
「そ、そうだな……ただ刺激が強すぎる。おまえが眩しくて、とても見れねえ……や、やっぱ
 り消そう」
 そう言って竜児は実乃梨から離れる。弾力のある実乃梨の胸が、ぷるんと揺れた。
 そしてバスルームは再び暗転し、窓の向こうの海岸線が浮かびあがる。再び湯舟に足を浸か
り、しゃがみ込もうとする実乃梨の背中に、今度は竜児がくっ付いてきた。お尻に当たってい
るのは、さっき目撃した竜児の男の部分だろう。押し付けられたお尻のにくの感覚で、そのカ
タチがわかった。さらに深く食い込まれる同時に、竜児の指先が、実乃梨のまるい乳房を歪ま
せる。薄桃色の尖端が、乳房に埋まる。
「あん……だめ、のぼせちゃう」
 ビクッとして、やがて実乃梨のお腹の中がほんのりと熱を帯び始めた。くすぐったく、疼き、
なんとも切ない気分である。
「のぼせたいんだ、実乃梨……」
 耳元で、いや、耳に口づけしながら彼が甘い声をかけてきた。実乃梨はしゃがみ込みそうに
なりながらも、彼の誘惑に乗るのだった。
「そっか。じゃあ、のぼせちゃおっか……竜児くん……」

***

 マッサージのように腕を往復する彼の指。チャプチャプお湯の音がバスルームに響いている。
温かい湯舟に浸かっているはずなのに、摩られる度、私はゾクゾクとしてしまう。ただ、イヤ
ではなかった。逆に、心地よいと思ってしまう……そして私は、彼のゾクゾクしちゃう魔法の
指タッチにされるがまま、身をまかせる。耳の穴に指入れられたり、背中の窪んだ所を舌で下
から上へじっくりと舐め回されたり……思わずのた打ち回ってしまいそうになって、私はくる
んて半転した。
「竜児くん、キスしっ……んんっ!」
 彼もキスを欲っしていたようだった。頭の中で何かが弾け、私は、むちゃくちゃなキスをす
る。彼の背中をまさぐる。彼の髪をグシャグシャにしちゃう。そして、また、私は強く想う。
彼が欲しい……と。懸命にキスを繰り返し、私の唇は、彼の唇から今度はまぶた、次はおでこ
と、いたるところにキスをした。その間にも彼は、私がそうしたように「実乃梨」と私の名を
呼びながら、私の裸体をまさぐり続ける。もうなにがなんだかわからなくなる。まだ彼のカタ
チを憶えている、お腹の中が、キュンッ、となる。

 私たちはひとしきり愛し合い、やがて静かに見つめ合った。
「実乃梨……」
「ん……竜児くん……」
 大好きな人の名を呼び、私はなにげなく彼のうっすら生えた顎ひげを、コチョコチョ触って
みる。すると彼はなにを思ったのか、急に私の指をパクッと、咥えてきた。まるでさっきのバ
ナナのように……思わぬ行動に驚いてしまったんだけれど、
「んふぅん……」
 私の口から変な声が漏れてしまう。気持ち、いいかも……しれない。指から離れた彼の唇か
らも、はぁって、色っぽい声が漏れ、そして……私を招いてくれる。大好きな彼が。
「ベッドへ行こう、実乃梨」
 彼に私はキスで、オッケーの合図してみたんだ……。

***

 彼の指先が、胸の尖端をかすめた。
「はうっ!……くふっ」
 思ったより大きかった声を彼に聞かれ、ものすごく恥ずかしかったけれど、胸の尖端がだん
だんに緊張してきて、痛いくらいに固くなってるのが自分でもわかる。そこをギュッと、こね
られると、うなじがゾワゾワして胸の奥から先端まで、ジーン……っと、悦び……みたいなの
こみ上げてくる。……それを私は、……感じちゃってるんだ……って、そう自覚すると、から
だがぴくっと震えてしまう。もしかしたら私、おっぱい揉まれるの、好き、なのかもしれない
……彼は知っててこんなに、あっ……また、ギュッとこねられる。ぴくっ……てなる。
「んんっ!……竜児くふんっ……」
 そのぴくっ、とした感じが、ドクンドクンしてる心臓を通って私のからだ全体に広がってい
く……ぼやけていく意識の中で、甘く、激しくなる彼の呼吸を生肌で感じながら、心地良さに
身をゆだねる……いっぱい触られて、キスされて、揉まれているうちに、彼のキスが恋しく、
欲しくなる。柔らかくて、温かくて、ぬめりのある彼の舌が恋しくて、切なくなって……私は
吸い付くようにキスをする。と、彼はその両手を私の首の後ろにまわしてきて、壊れちゃうか
と思うほど、ぎゅううっ、と抱きしめてくれた。嬉しい。そう、私はもっと抱きついて、溶け
ちゃって、彼と一つになりたかった……今もこうして、はだかでくっついて、汗で滑るおっぱ
いをムニューって、こすりあわせて、いっぱいエッチなキスをしているのに、もっと彼とくっ
つきたい……そう想って、そう願って……私は少し戸惑ったけれど、彼の緊張したソレをきゅ
うっとしてみた……
 ソレはとっても熱く、とっても堅く、ツルツルしていて不思議な感じ……その触っている感
触が、いたずらしている私の指先から頭の中に達すると、からだ中のうぶ毛が逆立って、神経
が剥き出しになったくらい敏感になっていく。そして……何故だかわからない。わからないけ
ど、次の瞬間、私の指先で弄ばれてる彼の熱いソレに、私は……キスをしていた。
 チュ、チュ、チュッと、先端に三回くらい……最後にぺろっと舐めてみた。
「おうっ……」
 あ、調子に乗っちゃったかも……ちょっと落ち着く。そんでよく見た目の前のソレは、首を
振ってるみたいにぴんぴん跳ねて、少し湿ってして、ほんのり匂いがしていた……なんとなく
と匂いをクンクン嗅いでみて……
「んふっ」
 ぱくりと咥えてしまった。どうすればいいかわからなかったから、夢中になって、いっぱい
舐めて、いっぱい触って、いっぱいヌルヌルにして、いっぱいソレを愛した……恥ずかったけ
ど……なんか……とっても興奮してちゃって……ドキドキしているソレの鼓動と私の心臓の鼓
動が、なんでかたまらなく心地よくって、嬉しくって……がんばっちゃう。とっても恥ずかし
くって言えないけど、彼の漏らすエッチな声が好き、吐息が、大好き……止まらない……竜児
くん大好き……って。くちの中がいっぱいになってたから、心の中で叫ぶ。すると、
「実乃梨っ……くはっ……俺も好きだっ……」
 彼に届いた……みたい。彼のソレに吸い付きながら、愛しながら見上げた彼の顔は汗に濡れ、
真っ赤で酔っぱらってるみたいな感じだった。さっきから絶え間なく彼は、私にかわいい声を
聞かせてくれる。喜んでくれてる。それが私も嬉しい。そんで、ちょっと馴れてきてわかった。
彼はここを、こうすると……
「おおうっ!」
 喜んでくれるんだ。でもだんだんつよくなる彼の匂いに包まれて、私はクラクラしてる……
と、突然彼は、発情した獣のようにからだの向きを変え、私の脚の付け根に舌を這わせてきた
っ、そこはっ!

「ぁはあっ! ちょっ……竜……児、くんっ、あん、ああんっ!」
 すごく濡れているんだ、そ、そこは……はっ、恥ずかしい……でも、あっ、そんなに舐めら
れると……体が痙攣しちゃう……やべー、すっげー……気持ちいい。あっ、おっ、おかしくな
っちゃう……
「あっあっあっ、んんっ、やっ、あんっ!……はあっ」
 からだを駆け抜けてく電流に耐えようと、私の太ももはムニュンと彼の頭を挟みこむ。でも
あえなく私は上下する彼の舌の動きにあわせて、腰をくいっ、くいっ、と踊らせてしまう……
「はあっ、はぁっん、あはあっ、んふっ!」
 息がつまって、どこかへ跳んでいってしまいそうな感覚に襲われる。何度もそれが波のよう
に私の身体に押し寄せて、そして……その何倍も大きな波がすぐそこまで来ている……のがわ
かる。迫る。ああっ、波に飲まれちゃう。
「ああっ、はっ、はっ、竜児くんダメっ、ダメェっ! いっ、」
 跳んじゃう……これが、そう。重力の感覚が失せる。いくっ……てことなんだ。
「あはあっ! 竜児くんっ、あはぁっ! いっ、いっちゃうぅっ!」
 せなかを大っきく仰け反らせて、彼の頭を太ももでグニュゥって、ちからいっぱい挟みこん
だ。目の前にまばゆい光の爆発をパチパチ感じて、裸の私が何度も跳ねて……
 そして、ぐったりと力が抜ける。

***

「実乃梨……」
 竜児の腕の中で実乃梨はえへっと照れ隠しに小さく笑い、舌を出した。ピンクの頬に張りつ
く毛先は汗で濡れ、竜児はなるべくやさしく拭ってみた。キスをしたおでこは少ししょっぱか
った。
「私……恥ずかしい」
 恥じるという事は、曝け出してくれたという事なのだろう。竜児はそれがすごく嬉しかった。
「実乃梨……俺、挿れてえ」
 竜児は実乃梨を求めた。それは自然な流れだった。付き合う前から何度も夢見た彼女との情
事。ただしこれは本番だ。彼女のどこへ挿れたいか、竜児は指先でそこに触れる。湿っている。
「あっ……んっ、うん。挿れて……」
 唾液を塗りたくるように舐めまわしたそこは、竜児が思うより、たっぷり濡れていた。その
感触に竜児の下半身が、ビクンと反応する。
「つけるから、ちょっと待ってくれ」
 いくら生理後の安全日でも、二日連続はマズイかな、と思ったのと……たっぷり溜まってい
るのを自覚していたのだ。溜まっている袋が……パンパンだった。
「あれ? 逆かな……」
 開封したゴムに手こずる竜児。うまくつけられない。尖端の、ふくらんだ部分に引っかかる。
「かして」
 もたもたしていてたら、実乃梨が手伝ってくれた。器用に反りあがる竜児の本体にクルクル
巻きつける。ゴムの圧迫する感触に、声を漏らす。
「おうっ!……は、恥ずかしい」
 実乃梨の柔らかい指で巻きつけるときに、反っているものの裏側を触られ、そこが生き物の
ように何度もピクピク跳ねたのだ……やりづらそうだった実乃梨は、跳ねていたものの尖端を
彼女のやわらかい唇ではさみ、押さえつけたのだ。
「……恥ずかしいのは、お互いさまでしょ?……私だって声だしちゃったもん……でも竜児く
 んだから……竜児くんだけ。竜児くん限定」
 けなげな言葉に悩殺される。竜児の背中から、ぞぞっと、何かが押し寄せる。それに侵され、
竜児は……オフェンスになる。劣情がほとばしる。
「実乃梨っ!」
 抱いた。思いきり。無我夢中だった。狂ったように彼女にむしゃぶりついた。しかし彼女は
それを受けとめてくれた。ヌメる汗が、その抱擁を滑らかにする。多量に分泌される汗のわけ
は、真夏の熱さか、情熱か。
「実乃梨っ、実乃梨っ!」
 何度も彼女の名を叫んでいた。
「竜児くん、ああ、竜児くんっ!」
 彼女も答えてくれる。からだをくぬらせ、悶え、たくさん愛しい存在を確かめ続ける。実乃
梨の柔らかい胸、尻、腿をもう指先どころか、からだ中で竜児は揉み始める。実乃梨が欲しい。
すべてが欲しい。そうしているうちに、彼女の腿の間に、からだがするっと滑り落ちる。竜児
の熱い部分が、実乃梨のあそこに接触する。ヘソの下のゾワゾワ落ち着かない自分自身を握り
締める。ゆっくり、だったつもりだったが……

「ああっ! ひっ……くふっ!」
 汗なのか違うものか、ニュルリとすべってしまい、一気に根元まで挿れてしまう。ワザとじ
ゃない。しかし……ものすごく気持ちいい。
「はくぅ!……実、乃梨っ」
 結ばれた下腹部の熱。ピンクの唇から沸く息の熱。その熱に竜児はとろける。
「はぁっ、はぁっ、あんんっ、んふっ!」
 いっぱいキスをする。実乃梨のいろんなところにキスをする。強く引きよせる彼女のからだ
をこねるように揺さぶらせる。喘ぐような彼女の甘い吐息に翻弄させられる。腰の奥で高まっ
ていく疼きが、竜児の指を実乃梨の乳房を掴ませる。ありえないほど、彼女のすべてはやわら
かい。
「あんっ、あんっ、あはんっ!」
 目前で揺れる潤んだ瞳、悩ましげな表情の彼女に、さらに高ぶる鼓動。可愛い。愛しい。狂
おしい。激しい感情をぶつける竜児のからだを、実乃梨のしなやかな脚が巻きつかれる。強く。
それが臨界点。白い光が竜児のからだを貫いた。
「おうっ!」
 ……そして竜児は、愛の限りを放出し……やわらかい実乃梨に抱き留められる。
  で、
「ねえ……重いかもっ!」
「もほうっ! ずまねえっ!」
 鼻をつままれ、怒られちゃう竜児。慌てて身を起こす。
「あははっ、竜児く〜んっ、仕返しっ!」
 実乃梨はおりゃあっ!って、竜児を押し倒して、乗っかってきて、絡み合ってくる。今度は
ほっぺたを引っ張られ、首を噛まれ、脇の下をコチョコチョされる。
「やっ、やめろって、おいっ、実乃梨っ!」
「やめな〜い! さっきいっぱいエッチな事されたしっ、痛かったんだモンよっ! とーっ!」
 そんな感じでしばらくじゃれあった後、二人は手をつないで、優しくゆったりと唇や舌を味
わいながら……眠りにつく。

***

 真夜中に独り、浅い眠りから醒めた私は、愛しあった余韻にまどろみながらそっと、彼のほ
ほを撫でていた。窓の外へ目を移すと、雪のように星が降るのを見つける。あ、流星っ!……
ねえ竜っ……っと、彼には内緒にしとこう……だってこんなに気持ち良さそうに寝ているのだ
もの。起こしちゃったら、かわいそう。そっと、見つめるだけにしよう。キスも、我慢。だっ
て、となりにいるだけなのに、ゆったりとした幸福感に包まれるんだもの……。
 17回目の夏。あと何回、私に夏が訪れようと、きっとこの夏がいちばんの宝物……月明かり
を頼りに、眠っている彼の姿を見つめなおす。大好き。そう想ってあわてて言い直す。ジャイ
アント愛してる……ふふっ、なーんてっ……想い出し笑い……。
 昨日、実乃梨は星に願った。この愛情を永遠にと。でも、どうしても、不安になる。今がと
っても幸せだから、だからこそ不安にかられる。私を愛したことを、彼はいつか、後悔しない
のかなって……彼は私を太陽にたとえてくれた……けど違うんだ……彼は私のこと、すっごく
イイもんみたいに思ってる。でも、いつか私のことが全部わかってもきっと──やさしい彼は、
私を受け入れてしまうだろう……それを私はわかっているから、だから私はただ底なしに傲慢
で、──ずるいんだと思う……もちろん私もずっと彼と一緒にいたい。3年になっても、卒業
しても、大学に行っても、社会に出ても、ずっと、ずっと一緒に生きたい。彼をずっと見てい
たい。だから、だからこそ……切なくなる。初まりがあれば、終わりがあって……かならず訪
れる永訣のとき。
「泣いているのか?」
 彼が起きてきた。声色で本気で心配してくれているのがわかる。彼に指摘されるまで、涙な
んて気付かなかった。あんなに愛を確認した後にふっと涙をこぼしたりして、おかしいと思わ
れただろう。
「へへっ変だよね……泣くなんて……私ね。幸せすぎて、こわいの……手にしてしまった幸せ
 が……私、あなたにふさわしいおんなになるから、頑張るから……だから……ずっと」
 やさしく彼が涙を唇で吸ってくれた。私の不安と一緒に。
「実乃梨……安心しろ」
 目が合って、私は彼の言葉の真剣さを知る。その瞳をのぞき込むと、そこには裸の私がいた。

「……風と木の詩って知ってる?……読んだことないならネタバレになっちゃうんだけどさ、
 ひどいんだよ?」
 私は時折読み返したりするその話の顛末を彼に伝える。運命的な出会いと、崇高な愛の末、
最後は愛するが故に胸を裂くような悲劇を迎えてしまう……そして、ひととおり喋り終わると、
彼は物語と違う、血のかよった温かな手を重ねてきた。
「ああ、実乃梨。俺にも先の事はわからねえ。だから……」
 だから?……彼がジッと動かなくなる。そんな彼は不器用ながらも言葉を選んでいるみたい
にみえた。沈黙はもどかしく、永遠に感じられる。でも、それが、真剣で実直で純情な彼らし
く、こういうところが好きなんだ、と不意に私の心臓に熱いエネルギーが満ちる。
「その答えが出るまで、とりあえず一緒にいようじゃねえか……答えが出るまで。ずっとな」
「フグッ……泣かないって……グスッ……決めたのにぃ……ウクッ」
 涙が止まらない。今、月だけが唯一の光。彼は月光のように、私をやさしく包みこむ。
もし、このまま世界が闇に包まれ、太陽が昇らなくても、私はその明かりだけでも生きていけ
そうな気がした。ずっとそばにいる。その言葉を彼から贈られた私は、今日も明日もずっと、
何もこわくない。生きていくにはいろんなことがあるだろう。でも彼のためになるのならば、
私は強くなる。もう泣かない。泣いたら愛する彼がぼやけて見えなくなっちゃう。一秒でも永
く、愛する彼を見ていたい。一番近くで……だから泣かない。これで最後。そして頬を流れ、
唇を潤し、最後の涙は温かく……幸せの味がした。

***

 二十五年後、九月。
 高校二年生、想い出の沖縄旅行。思い起こせばあれから二十五年もの月日が流れた。
 齢40年を過ぎ、貫禄ある竜児。若かりし頃には予測だに出来なかったが、周りの奴らを不
覚にも威嚇しまくっていた悪人面も、年輪を重ねていき、ずんぶんと柔和になったものだ。ま
あ実際には三十路らへんまでは色々誤解されたりしたことがあったのだが。
 竜児が全身鏡の前でそう述懐しているこの場所は、とある関東北部のホテルの一室である。
鏡の中の竜児は、光沢のあるブラックの燕尾服を着ていて、さっきから前ボタンが少しほつれ
ているのが気になっていたのだが、残念ながら手元に裁縫道具がなく、どうしてくれようか思
慮していたそんなとき、竜児のケータイが振るったのだった。……メールのようだ。チェック
するとゴッドマザー泰子からのメールで、『竜ちゃんそろそろ時間だから、急いで〜☆』との
こと。……そうか、もうこんな時間か、急がなくては。ちなみに泰子は還暦までのカウントダ
ウンが始まり、あの時と違い、流石に永遠の二十三歳とかは言わなくなったが、最近は祖母の
園子の孫だとか宣う。まあ、泰子らしいのだが……。
「よしっ……あいつ……いや、実乃梨のところに行くかっ」
 彼女をそう呼ぶのは何年ぶりだったろう。最後に口にしたのはたしか、あいつ……いや実乃
梨が現役引退するときだった。あの時も今度は冬季オリンピックに出る〜だのなんだのと、い
い争ったっけ……おっと、そんな想い出に浸っている時間はない。もう一度だけ鏡の前で前髪
だけくゆらせ、竜児は部屋を出た。

***

 ホテルから一番近い、駅前ロータリーに停車している外国製のセダンの重厚なドアが開き、
中から優雅な貴婦人が降り立つ。そのレディーは、いくら祝いの席に招かれているとはいえ、
派手な花柄のビスチェドレスを纏い、首筋から肩、腕のラインを美しく晒し、強調されたバス
トを張って、今日の主役が誰か判らないくらい目立ちまくっていた。残暑厳しい九月の日差し
に、少し不機嫌そうに美しいラインを描く眉をひそめる……ように見えたが、どうやら違うら
しい。まるで彼女が二十五年前に沖縄旅行で日蝕を見た時と同じ姿勢……ただしその訝しげな
面もちも、駅の階段を降りてくるやはり小柄ながら整った蕾のような繊細な顔立ちの淑女を見
つけるやいなや、一気に薔薇のような笑顔を咲かせるのだった。しかし薔薇にはトゲがある。

「ひっさしぶりじゃんっタイガー! あれ? ちょっとは背伸びたかな? なわけねーかっ!」
「こっちも久しぶりに殺意を覚えたわよ、ばかちー。これからみのりんたちの祝いの席じゃな
 ければ、今頃貴様をモグッ、モググ」
「ずばりモルグだな、大河。亜美、ご無沙汰だな。元気そうな姿はテレビで確認しているぞ!」
 吃ってしまった大河をそう呼び捨てするのは北村祐作。彼女の旦那だ。スーツの襟を正し、
凛凛しく爽やかに歯をキラリと輝かせ見事に百点満点だ。社会の窓が。
「佑作もご無沙汰ね。ま〜上手くやってるけど、華やかそうに見えて結構大変なのよ? ママ
 が業界人だったから余計よね。七光りだって思われたくないし、今日だって本当は……あっ、
 春田くんこの後のスケジュールは?」
 と、唐突に亜美に呼ばれた春田は運転席から相変わらずのアホ面をニュッと覗かせ、分厚い
手帳をペラペラめくる。
「イエーッスッ、亜美ちゅわ〜んっ、え〜っと、テッペンにギロッポンにマエノリして、アサ
 イチでカメリハで、そのままシーメーをクーイーにイークーって感じ?」
「……なんかすっごい胡散臭い業界用語なんだけど、間違いなく最後のほうは『食ーいーに行
 ーくー』よね……あいかわらずアホで安心したわ」
 髪をアップにしていて、全開のおでこを指で押さえる大河。亜美は複雑な表情のまま腕組み。
「否定はしないけど、あたしのマネージャーをあんましバカにしないでよね、これでも結構……
 てか急がなきゃ! 麻耶も奈々子とかもみんなもう集まってんだからっ! あんたたちが最
 後なのよっ、ほら乗って!」
 と、大河の小さい尻をクラッチバッグで叩き、車に乗せる亜美。春田は慌てて危うく車を逆
車線に入れそうになるが、助手席に乗り込んだ北村がさりげなくハンドルを切り、車が棺桶に
なるのを回避するのであった。
「……どうだろう春田。運転変わらないか?」
「この前まで亜美たんとロ〜マにいたからさ〜、あっちは右側通行なんだよ〜! メ〜ンゴ!
 チョイモ〜だし走り出っちゃえばキ〜へ! だって俺、チューリッヒにクリビツにクリソツ
 だっしー☆」
「それをいうならシューマッハだな? 例えが古くて分かりづらいぞ。そうだ亜美。今日、村
 瀬は来ているのか?」
 バックミラー越しに見た美人は化粧直しをしていた。文字通り虎視眈々とイタズラしようと
しているシルクドレスにボレロを羽織る彼の妻、大河も見えた。
「ちょっとタイガー、マジやめてくんない?化粧がズレる!……えっ何、祐作。村瀬くん?
 ざ〜んねん。村瀬くんは仕事だって。忙しいみたい。最近出生率も上がってるし、産婦人科
 医も大変よね〜。あんたたちはもう作んないの?四人目。って、だからやめろってチビとらっ!」
 なにやら騒々しい後部座席に北村はすらりと答える。
「いや、欲しいのは山々なんだが、なかなかコウノトリも忙しいらしくてな。しかし俺たちも
 そうだったが、我が同窓生たちはみんな村瀬の病院だな。去年能登と木原もそうだったらし
 い。亜美こそどうなんだ? その年で初産だと大変だぞ?」
「っふー! そんな事より祐作! この馬鹿トラなんとかしなさいって! だいたい年のこと
 はお互いタブーでしょ? それに……ガキなんて、相手がいねーと無理じゃん……ねえ春田
 くん?」
 と、亜美から話題を振られてハンドルも振られてしまう春田であった。

***

「俺だ。入るぞ」
 竜児はホテルの同じ階にある実乃梨がいる控え室のドアを開ける。
「あー、やっと来たよこの人は。もうみんな集まってるみたいだよ? さっきみどりが来て教
 えてくれた……って、おおっ、ちょっとあんたカッケーじゃん! ウチだといつもスウェッ
 トだから見違えるようだよ! 馬子にも衣装だねえ」
 惚れてまうがな〜っと、竜児に振り向き、舐めるように見回す実乃梨は、純白のウェディン
グドレスに着飾り、髪はベーリーショート、四十を超えてもなお、一時代を築いたトップアス
リートらしく、精悍で威厳のある引き締まったカラダのラインを描いていて、制服の頃からは
想像も出来ないほど美しく変貌を遂げているのである。
 実乃梨こそ馬子にも衣装だろ、と密かに想う竜児の心を実乃梨は今もなお、過ぎ去った日々
の彼女のままに、ガッチリ魅了し続けているのだ。
「お前も、綺麗だ。いままで出逢ったお前の中で、一番……」
 その言葉は本心だったのだが、ウエディングドレス姿の実乃梨は、なんてことなさそうに顔
の前にかかっているベールをウザったそうに撥ね上げ、腰に手を当てる。

「何それいきなり。気持ちわりーって。もう来年お互い44マグナム歳なんだぜ? 今更煽て
 られてもなんにも出ねーっての……てかそういう事、恥ずかしいからみんなの前で言うのや
 めてよね? 特に……あいつらの前で」
 あいつら?……ああ、『あいつらか』……そう竜児が納得すると、コンコンッ! と、ドア
をノックする音。どうやら『あいつら』が来たようだ。ドア越しに元気な声を響かせる。

「パパっ! ママっ! も〜う早くしてよっ! 日蝕になっちゃうっ!」
「なんだよ姉ちゃん慌てんなって! まだそんな急がなくて平気だろ? せっかく結婚15年
 目の水晶婚式なんだからよ。慌てさせんなって! おお、親父、お袋っ! ふたりとも、す
 っげーキマッてんじゃん! 似合ってるぜ☆」
 ドアから入って来たのは、竜児と実乃梨の愛しの息子、娘のふたり。見なれない両親の晴れ
姿に感動し、素直にからだで表現。ピョンピョン飛び跳ねるのだった。
「うわ〜っママ、ちょー綺麗〜。私もそれ着た〜い」
 娘は祈るように手を組み、母親譲りのドングリ眼を輝かせている。息子も照れたのか、シャ
ープな目を細め、前髪をクルクルくゆらせるのだ。
「なははっ、二人とも大袈裟だって。照れるでござるよ。ねぇ? パパ……竜児くんっ!」
 そう言い直す妻の顔は、ほんのり桜色に染まる。まあ、竜児の方が多分赤いのだが。
「おうっ! その呼び方久しぶりだな……実乃梨。じゃあ、行くか。みんな待ってる」
 パンっと手を叩く竜児。実乃梨もにっこり笑顔を満遍なく振りまく。
「そうだねっ、おっしゃあっチビども、待たせたな! 行っくぜ〜」
 子供たちの肩を両脇に抱き、笑顔を並べ、式場へと行進しはじめる。その三つの背中を追い
ながら竜児は想う。あの沖縄での日蝕からいつも竜児のそばには実乃梨がいてくれた。結婚し、
新しい命を授かり、珠玉の日々は過ぎ行くほどそのスピードを加速させていき、二十年以上前
から決めていた今日のアニバーサリーセレモニーも振り返れば瞬く間に迎えるのであった。

 ……沖縄で語り合った二人の未来の結末。まだあの時の答えは出ていない。人生は有限で、
残りの時間は確実に一秒ごと短くなっていく。それまでに答えは出るだろうか。まあ、出なく
ても俺はこのまま……なんてことを。

「……アハハッ! だよね〜、ねえパ……ああっ、パパ遅くれてる! 置いてっちまうよ!」
 そう言ってビシッと指差す母親ソックリに綺麗に成長した娘に苦笑し、竜児は足を早め、
四人で肩を並べて歩いていく。ズンズン進んでいく、八つの瞳の向う先、廊下の突き当たりに
は、チャペルの扉があり、その前で水晶婚式のコーディネーターが待っているのが見える。
 もうすぐだ。また、あの瞬間を迎える。

 今日は2035年9月2日、日曜日。実乃梨と迎える、二回目の皆既日蝕である。

***

 天井まである大きなチャペルの扉の先から、聞き覚えのあるたくさんの話し声が伝導って
くる。コーディネーターから、「右足からですよ」っと再確認され足元を見ると、実乃梨の
手にしているブーケが小刻みに震えていた。
「なっ、なんか緊張して来た。結婚式二回目なのにっ」
 現役時代の健康的な小麦色の肌から一転。透明感のある肌の実乃梨。唾を飲みこむ喉も真っ白だ。
「今日は結婚式じゃねえ水晶婚式だろ。でもまあ、披露宴だけで良かった気もするんだが……」
 安心させようと手を握ろうと差し伸べると、手首を軽く捻られ、実乃梨は口先を尖らせた。
「細けえこたーいいんだよっ。ってか決めたの竜児くんじゃん。二十年前だけどねっ」
 っと言い放ち竜児の手首をペッっと開放する。少し機嫌を損ねたようだったが、とにかく
緊張は解けたようだ。両脇に控えてる子供たちは揃って「へーっ、二十年前!」と唱和する。
「昔のパパって、結構ロマンティックでドラマティックだったんだねっ。オープンエアの
 チャペルなんてよく見つけたよねえ。私も結婚するとき、ここで式したいなっ!」
 と、娘は竜児に小麦色の眩しい笑顔を向ける。すると反対側からわんぱくな声が茶化してきた。
「オメーみてえな跳ねっ返りオンナ、結婚相手が見つかるわけねえよ、な? 親父」
 大丈夫だ息子よ。おまえの母親も相当だったぞ。しかし無愛想な口をきく息子。ったく誰
に似たんだか……それは俺か。

「そんなことより自分の事心配しろ。てか、ヴァージンロード歩くとき、コケんじゃねえぞ」
 正面向いたまま答えたので息子の反応はわからないが、実乃梨が頭を撫でたのは横目で見
えた。母親になった実乃梨は、その爆発するような熱血さと、抱擁感あふれる愛情を湯水の
ように注ぎ込み、子供らをまっすぐ健やかに育ててくれた。
「あ、それはそうと二人のどっちでもいいからさ、式の後の披露宴ん時に、裁縫道具持って
 きてよ。パパのボタンほつれてる」
「おうっ鋭でえな! 何故わかったんだっ実乃梨……すげえ」
 驚いて見合わせた顔。実乃梨は呆れたようにピンクの唇を半開きにして、肘で突っついて来た。
「やだよ竜児くん。いったい何年あんたの女房やってると思ってんのよ? 大日本暴猫連合
 なめんなよ」
「暴猫?……何だよそれ……おうっ! 扉が開いたっ」
 開かれていく扉。飛び込む光景。背後からくる追い風。髪が靡く。その匂い。背筋を伸ばす。
 そして、拍手の中に一歩踏み出す。

***

 チャペルの扉が開き、オルガンの音が鼓膜に響く。立会い席の一番手前にいたのは彼の仕事
関連の同僚、上司。私の現役時代に世話になった恩師、後輩たち……いったい彼等の目に私た
ちはどんな風に映っているのか……こわくて聞けない。彼と並んでまた一歩進んだ。
「ちょっとマジもんの結婚式じゃねえかこれ……アリなのか?」
「アリアリアリアリアリーデ……って変なこと言わすなっての」
 もう一歩進む。ゆっくり、じっくり。日蝕で薄暗いヴァージンロードを、私は彼と共に一歩
づつ歩いていく。そして、立会い席の中に、懐かしい大橋高校の同窓生、能登くんと春田くん
がいた。手をブンブン回している。あーみんと奈々子ちゃんと麻耶ちゃんの美女軍団の笑顔も
見えた。ベール越しに覗いてももその色気に悩殺されそうになる。その隣には恩師、ゆりちゃ
ん先生も。元気そうでなにより。結婚式に来てくれた萌香ちゃんと一緒だ。
 ヴァージンロードも半分進んだところで彼が小声で、

「……実は用意したクリスタル。指輪じゃなくて、ネックレスなんだよ。大丈夫かな」
「わーお、衝撃の告白じゃん。まあ結婚指輪すでにあるしね。いんじゃねーの?」
 軽く流して再び立会い席に視線を向けるて、数々の笑顔の中でも一際輝いていた無二の親友、
北村大河がいた。こんな可愛らしいアラフォーどこにもいねーって……その旦那の北村くんの
となりに……なんかすっげーでかい人が狩野先輩と一緒にいた。先輩の妹さんは、旦那がマン
ホールに落ちたとか言って祝電だけ着ていた……そして、立会い席の最前列に控えるは、私た
ちの親族たち。意外にも手を叩いて爆笑していて相変わらず賑やかだ。その母親たちはオレン
ジ色のヘアピンが並んで揺らしていた。その幸福そうな光景は、私の心を捉えて離さない。

 ──と、その時、赤い閃光が走る。ダイヤモンドリング。あの時、高台でキスしたときの彼
の乾いた唇を思い出す。
彼との熱中した、本気だった、笑った、頑張った頃の記憶は、いつでも心に焼き付いている。
皆既日蝕が始まり、上空を見上げる。しばらく忘れていた、温かいものが瞳に溢れそうになる
……けど上を向いていれば、涙は流れない。

「果報者だな……俺たち」
「……っだ、ね……」

 祭壇の手前で視線を戻した私の頬を熱い涙が伝う。
「あ、ママお化粧落ちちゃうっ! 涙拭くからコッチ向いて」
 普段化粧をしない娘はハンカチでゴシゴシ私の顔を拭く。なんて乱暴でガサツなんだ……
いったい誰に似たんだか……それは私か。

「んっ、さんきゅ……竜児くんとの約束通り、今まで何があっても泣かなかったのに……
 年取ると涙もろくなるなあ〜。あーやだ」
 グスッと鼻をすすり、正面を向く。
「実乃梨、こういうときは泣いてもいいんじゃねえのか? 」
 やさしい彼の言葉にときめく。デジャブ……ではない。私はずっと彼を大好きなんだ。
「泣いてねーよ。心の鼻血だよ。あーもー竜児くんこんな時にくだらねーこと言うなって」
「おうっ、何だよそれ。なんか愛が感じられねえ……ずっと、見届けるんだろ? 俺たち
 の結末を」
 見届けるもなにも、実は彼との結末なんて私はとっくにわかってるのだ。ちょっと考
えてみれば簡単だった。あんなに感動する必要などなかった。
「まーね。てか私竜児くんの事、愛してるって。マジで。ジャイアント愛してる。恥ずか
 しいからもう二度と言わない。今のが最後」
 二人の愛の結末は……永遠なんだ。私たちのカラダが朽ち果てていても、私たちが育んだ
愛は、数え切れない想いを重ね、結晶となって私のお腹から産まれ、この子たちに宿り、そ
して永遠に引き継がれていくのだ……
 祭壇に立ち、神父が宣誓を求めてくる。「誓います」っと定番の言葉が胸に、染みる。

 そして式は大詰め、誓いのキスを残すのみだ。タイミングは二回目のダイヤモンドリング
の瞬間。日蝕はまだ続いていてその間、私たちはずっと見つめ合っている。
 すると彼がさっきの続きを小声で話しかけてくる。

「最後ってなんだよ実乃梨。ケチんなよな。ジャイアント愛してるって、俺は何度でも……」
「ちょっとおだまり竜児くんっ、祭壇で喋んないでよ。これから誓いのキス、するんだから」
「……一生かけて言わせてみせるからな、実乃梨」

 私は言葉を贈る。天空のダイヤモンドリングと共に、万感の想いを込めて。

「今際の際に言ってやる」


 そして、地上の太陽と月は、永遠に重なりあうのだ。



 おしまい




168 ◆9VH6xuHQDo sage 2010/01/17(日) 22:26:15 ID:u50kSign

半年近くお邪魔させて頂きましたが、以上になります。

お読み頂いた方、大変有り難うございました。基本コメ書かないのですが最後
なので一言。某VM様へ。あのあーみんのコメがなければあそこで終了させて
ました。まとめの方と某KA様。開始後2ヶ月目くらいが一番辛かったのですが、
詳しくは書きませんが、お二人がいなかったら完結できませんでした。お三人
様には大変感謝しております。ありがとうございました。またこの時間をお借
りするかもしれません。


失礼致します。



149 ◆9VH6xuHQDo sage 2010/01/17(日) 21:49:23 ID:u50kSign
『みの☆ゴン』

前スレ>>268からの続きを投下させていただきます。
15レス分(148〜164終)です。

内容  竜×実です。その分、カップリングが原作と変わっています。
    虎×裸、亜×春 など。
時期  1年生のホワイトデー 〜 2年生の夏休み+αまでです。
    今回は最終回です。
エロ  竜×実です。
補足  内容、文体が独特で、読みにくいかもしれません。
    ご不快になられましたら、スルーしてください。
    いつも推敲時になるべく短くまとめるように改善しているのですが、
    先週見送った分、本来予定した沖縄でのエンディングを変更、大幅に修正、
    加筆し、蛇足かもしれませんがその後の二人の様子を本編に書き加えました。
    また、続き物ですので、ここからお読み頂いきますと、ご不明な点が多いと思
    います。
最後まで宜しくお願い申し上げます。

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