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みの☆ゴン38-44 ◆9VH6xuHQDo sage New! 2009/09/20(日) 21:38:12 ID:p9U6ipqL

退場事件から2日後の月曜日。春真っ盛りの陽光。布団干せば良かったかな、
と考えつつ、竜児は登校するため、自宅の階段を降りる と。
「おうっ……逢坂」
大河が待ち受けていた。腕を組んで、屹立している。なんか不機嫌っぽい。
「竜児!今朝わたしの事起こさなかったでしょ?……無視したわね。遅刻したらどうすんのよ!」
「す、すまねえ、逢坂。そうだった、そういう約束だったな……すまねえ」
蔑視した顔で、ケーッ!と唾を吐く真似をする大河。 ケーッ!またやった……
「いつまでウジウジしてんのよ竜児!マイナスオーラ放たないでくれる?有害よ、有害!」
凹んでいる理由は大河も知っているはずだ。竜児は突っかかってしまう。
「ひでえな!俺は、ガラスのハートなんだよ!相変わらず容赦ねえな、逢坂っ」
大河はまるで、外国人のように両手を広げ、オーバーリアクション。ワーッツ?
「なに甘えてんだっ、これでも遠慮してんのよ。オブラートに2重3重は包んだわね。
 気を遣って自粛したんだから……それとも再起出来ないくらい罵倒してやろうか?」
「……やめてくれ、想像しただけでも俺の生命活動が停止しちまう……」
大河には腕っ節でも、口喧嘩でも叶わない事を悟る竜児。
萎れるように意気消沈する。逆に胸を張り意気衝天する大河。奇跡のシンメトリーだ。

「はんっ!みのりんの為に引導を渡さないでおくわ。竜児、あれからみのりんにメールしたの?」
何とか歩き出すまでヒットポイントが回復した竜児。まだ表示はオレンジ色だが。
「ああ。結局、例の試合は勝って、そのまま勝ち進んで、昨日も決勝まで行ったらしいな。よかった」
自分が責任追わされたり、嫌われるのは構わないが、実乃梨が周りに非難されるのは、辛い。
「準優勝だったんでしょ?それくらいわたしにもメール着たわよ。他には?」
大河は進行方向を向いたまま話しかけてくる。パチンと携帯を閉じた。小さいくせに歩くのが早い。
「心配してるとか、気にすんなって感じの内容だった。とりあえず “心配御無用” って返信した」
「なにそれ?味も素っ気もないわね……ったく、しょうがないから、フォローしてあげるっ。
 一肌も二肌も脱いで、挙句の果てにはまっぱになっていいくらいの不退転の覚悟を決めたわ」
「逢坂、お前、いい奴だな……しかしまっぱにならなくてもいいと思うぞ」
大河のドジパワーを竜児はまだ知らない……知っていたとしても止められないのだが。
「勘違いしてない?だから、みのりんの為なの。ご利用は計画的に!それにこれは取引だから。
 竜児もわたしと北村くんのためにキリキリ働くのよ!資本主義の基本は、等価交換でしょっ」
「わかったわかった、逢坂。ありがとうな……おうっ!櫛枝がいねえよっ」

いままで待ち合わせしていた交差点に、実乃梨の姿が無い。携帯で時刻を確認する竜児。
時間も遅れてないのに……まさか……
「みのりんは急遽、部活の朝練なんだって。今朝メールが着たのよ。着なかったら寝坊してたかも。
 そうそう、ウジウジウジ竜児にもヨロシクって書いてあったわ。忘れずに伝言したからね」
「……その伝言には、お前の悪意がだいぶ混ざってるような気がするな……大河よ」
そう呼ばれた瞬間、大河はUターン。見下したような目で竜児を見据える。
「はあ?なに呼び捨てにしてるのよ、この青二才が!……一億年と百メートル早い!!」
「メートルって何でだよ。問題ないだろ?大河だって、呼び捨てじゃねえか。等価交換なんだろ?」
 ケーッ!またまたやった。大河は流行らそうとしているのだろうか……
「いいわ、みのりんを実乃梨!って呼び捨てにできたら許可してあげる。それまでは大河様ね」
「櫛枝を?無理だ、呼び捨てにして嫌われたらどうすんだよ。ついでに大河様も意味わからねえ」
どさくさにまぎれて、従属関係を締結しようとした大河を弾劾。大河はまた進行方向へ向き直る。
「なによ、つまんないヤツっ、このウジウジウジウジウジ竜児」
「……ウジが増えてるぞ……だいたい大河だって、北村の事、呼び捨てに出来ねえじぁ……おうっ」
北村というワードは、禁忌だったのだろうか……調子に乗ってしまったか……後悔先に立たず。
「なにか言った?言い返した?さっきから生意気よねぇ。フォローしてやるって人間に失礼よねぇ……
 あんた立場わかってるの?しつけがなってないわね……調教してやる!……ぅおらあああっ!」
「おおうっ!バケツは投げるモノじゃねえっ!アブねえよ!やめろっ!」
「待ぁてくぉぉおらあぁ!竜児っ、逃げるな!!」
走って退避する竜児。フンっ!大河は吐き捨て、持ち上げたゴミバケツを元の場所に戻す。

「……元気になったじゃない、竜児」
と、大河は小さく呟き、竜児を追って駆け出した。

その頃、学校のミーティングルームでは、女子ソフト部の監督と3年生が集結していた。
土日の大会で、大橋高校女子ソフトボール部は準優勝。ゴールデンウィークに開催される、
関東大会予選への出場権を勝ち取った。……しかし焦眉の問題が発生。部長のスキャンダルだ。

おとといの初戦で、見逃し三振をした実乃梨。そんなピリッとしない実乃梨を監督は、
交代させ、その後の試合もずっと、ベンチウォーマー化させた。
そして昨日の決勝戦の後に、部員全員を個人面談をした。
すると、新学期になってからの実乃梨がおかしい。そんな告発が相次いだのである。

証言その1 
『確かに見たんですっ。始業式の日、通学路でキキキスしてましたっ。わたし見とれちゃって、
 部長とヤンキー高須に、間違いないですっ。あの眼で睨まれたら抵抗出来ないかも……うふっ』
証言その2
『男子部員に聞いたんだけど、部長。ミーティング後の決起会を欠席したでしょ?あれって実は、
 ヤンキー高須に連れ去られたらしいよ……恐ろしい……心痛、察するに余りあるわ……』
証言その3 
『ねえねえ練習中、スケ番、手乗りタイガーとヤンキー高須、一緒に、観に来てたよね?
 櫛枝部長の事、なんか執拗に威嚇してなかった?気になっちゃって、練習できなかったわよ』
証言その4
『この前さ、仲良し夫婦〜って感じで、通学カバンの紐を片方づつ持ってた。ラブラブよね〜。
 ん〜っ、よく見たらお似合いの二人だけど……ヤンキー高須の強制交際って……マジ?』

━━関東大会予選は、県代表校を決定する強豪校だけのリーグ戦。ミスは許されない。
主力メンバーである部長、実乃梨を補欠にさせる事は、戦略的に考えられないのだが、
このままの環境では、実乃梨を出場させられない。
ヤンキー高須に、大事な実乃梨を奪われたままでは。

3年以外は今はグラウンドで自主トレ中だ。
実乃梨は三振してしまった分、部長の威厳を取り戻そうと、張り切っていた。
「……じゃあ、いいわね。全会一致ってことで……」
今日は本来、放課後の練習はない。ないのだが。

「今日の放課後、このメンバーで櫛枝部長を呼んで話し合いましょう。解散っ」

***

「おうっ!」
昇降口に着いた竜児は、上履きを出そうとした時、下駄箱の異変に気付く。
「どうしたの?竜児……今何か隠したでしょ?何が入ってたの?」
「いや……その、何かだ」
上履きを出さずにバタンと下駄箱の扉を閉めてしまう竜児。明らかにキョドっている。
大河でなければ、陽性反応が出た、危ない準構成員が学校にいると通報していた事だろう。
「……先に言っておくけど、竜児。まさか、変な期待してないわよね?手紙だとしたら、
 注意しなさい。あんたの場合、果たし状や、不幸の手紙、殺しの依頼ってのも考えられるわ」

竜児の心は、桜色から、一気にドン底ブルーに塗り替えられてしまった。竜児の動きが止まる。
スキありっと、大河はジャンプ。竜児の下駄箱からヒョイっと手紙を取り出す。
「っと、どれどれ……ほうほう……むむむ……へえええっ……ほらよっ、竜児。返すわ」
バシッと、胸に乱暴に叩き付けられる。竜児が動き出した。
「……ハッ!た、大河っ!俺まだ読んでねえのにっ!」
「この件だけど、あたしは手を退くわね。自分でなんとかしなさいっ、じゃあね竜児」
「大河……」
見送る目線を手元に戻す。手紙の内容は、

『はじめまして高須さん。ピンチです。1、2年の部員は応援してます。部長をよろしく?』

「ピンチだと?俺が?……どこの部長なんだ……」
どっかの部長からの脅迫状と勘違いしてしまう竜児は、やっぱり鈍いのであろう。

***

いろいろあったはずなのだが、一瞬のうちに1日が終わり、放課後になる。
朝に続き、放課後の今も学校のミーティングルームでは、女子ソフト部の監督、3年生が集結。
そろそろ、実乃梨を呼び出した時間になる。落ち着かなくなる面々。
「監督……やっぱり止めませんか?もし相思相愛だったら、可哀想な気がしますけど……」
「今さら何言うんですか。あの櫛枝が、三振したんですよ?悪影響が及んでいるのは明らかでしょ」
「そうですよね……強制交際だったら逆に可哀想ですよね。これは良い事よね……」
ザワザワ囁きあう会話も、だんだんボリュームが小さくなっていく。そして、

コンコンッ
部屋の扉をノックする音。全員息を飲む。どうぞ、と監督の声が、部屋に響く。
「失礼しま〜っす!櫛枝っす!」
ペコリと一礼。実乃梨が、完全にアウェーのミーティングルームに入って来た。
あれ?いつもと違う。裁判所のような、静謐で厳格な重い空気を読み……実乃梨の笑顔が消える。
どうやら用意したハゲヅラ(坊主になって反省の意を表しますっ)や、
血糊(私がこんな身体なばかりに、迷惑かけ……ゴホッ!ひいいっ血が!)
……等のジョークは、使えないようだ……

「櫛枝部長、座って」
コーチに促され、実乃梨は席に着く。
まるでコーチが裁判長、先輩の3年生が裁判員……裁判所の法廷さながらの緊張感。

被告人、櫛枝実乃梨17歳。起訴状の朗読が始まる。

「コホン。時間もないし、短刀直入に言うね。櫛枝部長。高須竜児くんの事なんだけど、
 その……お付き合いしているのよね?……悪いけど、しばらく別れてくれないかな?」
実乃梨が跳ねた。てっきり、見送り三振を糾弾!!と思ってたが……動揺しまくった。
「はえっ?竜……高須くんですか?別れる?なんの事?な、なんなんですか?」
まだ付き合っていないが、実乃梨はもっと、竜児の事を知りたい……と思ってるのは確かだ。

「質問を質問で返さないっ……その様子だと、高須くんと仲が良いのは間違いなさそうね……
 この前の試合で、その高須くんが、相手のピッチャーや、球審を睨みつけたよね。
 困るんだよね。ああいう行為。部長は調子崩すし、ピッチャー倒れるし」
異議ありっ!!
「お言葉ですが監督。試合のあと気になって、相手チームのピッチャーと話したんですけど、
 追い込まれた緊張感が原因で気絶したって聞きました。脳貧血です。タイミングが悪くて、
 球審には高須くんが悪いと、勘違いされちゃいましたけど。高須くんは関係ないんです」
「そうだとしても、あの後、もし試合が中断になって、失格になったらどうしたんですか?
 タイミングが悪いとはいえ、球審はヤンキー高須が原因だと判断しているんですよ?」
まった!!
「高須くんは、ヤンキーじゃありませんっ、違うんです」
「いえ、ヤンキーに見えるのが問題なんです!誤解されること事態、問題があるんです。
 櫛枝部長、あなたは部長なんですよ?部長のあなたが、問題を起こしそうな人物と、
 親しいだけで駄目なんです。交際相手は自分の立場を考えて慎重にしてください」
「な……」
何で……見た目が誤解されやすいだけで……
「ハッキリ言います。高須竜児と、ソフト部、どちらか選んで下さい。他の部員の為にも!」
「いきなり言われても!……わたしは……」
比べるものじゃないし……選べないっ……それに、どっちも。
「部長。なんで悩むんです?簡単じゃないですか。部長は前に言っていたでしょ?
 決意したって。見返してやるんだって。それとも決意が揺らいでいるの?」

決意した……そう。小学生の頃、実乃梨はリトルリーグチームに所属していた。
その時、実力を認められず、女という理由で、差別を受けた。
イヤだったのは、くやしかったけど、でも納得してしまう自分もいた事だった。
そんなヤキモキしていたある年、オリンピックが開催された。
世間は、女子マラソンの国民栄誉賞で一色だったけど、実乃梨は違った。
女子ソフトボールの日本代表チームが銀メダルを獲得した。
とにかく強かった。格好良かった。予選リーグ全勝、そして決勝でサヨナラ負け。
……負けたけど感動した。泣いた。震えた。そして頂点を目指すと、実乃梨は決意した。

ガタッ!
ミーティングルームの扉が揺れた。ちょっと押さないでっ……小声が聞こえる……
どうやら扉の向こうには他の部員が聞き耳を立てているようだ。さしずめ傍聴人というところか。
よしっ決めた!実乃梨はサイコロックを解く。
「わかりましたコーチ。決めました。わたしは……」
わたしの想いを 『つきつける』

くらえっ!!

***

竜児は、校舎裏の庭園、自称高須農場にたたずんでいる。
この前、耕した畑に、サツマイモの種芋を植えているのだ。いろいろ回想し、考えながら。

おととい。竜児は、実乃梨と女子ソフト部を応援に行ったが、逆に迷惑をかけてしまった事。
そして今朝、大河に後押しされたが、暫く、もう少し距離を置いたほうがいいんじゃないか、とか。
……ハンパに悩んだだけで結論は出ず、今日一日、実乃梨とは何度か目が合ったのだが、
会話に発展しないで、挨拶くらいしか話をしなかった。ここ数日の急接近の事を考えると、
とても不自然だったと思う。自販機前にも行かなかったし、お昼も能登と春田と3人で食べた。
……いや、それが案外普通なのかもしれない。いままで出来過ぎだった。
でも、やっぱり、竜児は実乃梨と話したかった。もっと近くにいたい。仲良くしたい。
しかし話すほど、近づくほど、仲良くするほど、今は迷惑をかけるような気がするのだった。
ジレンマ……

「実乃梨……」
なんとなく竜児は呼び捨てにしてみた。サツマイモを持つ手が止まっている。
西日が強く、遠赤外線を浴び、竜児はノドが渇きを感じている。
そんな畑に、ひときわ長い影が近づいてくるのを、竜児は気付いた。

「竜児くんっ!やっぱりここにいたんだ……今日は何してるんだい?」
「おうっ……実……櫛枝。種芋を植えているんだ。ベニアズマ……サツマイモの種芋だ」
種芋を実乃梨にかざす竜児。眩しいのは西日のせいだけなのか。眼を細める。
「本当に作るんだ。すごいよ竜児くん!普通栽培しようと思わないじゃんよっ、
 わたしイモ、超大好き!焼いてよし、蒸かしてよし、揚げて蜜に絡めてよし!
 ああ〜、今から気が急くねぇ」
Y!M!O!イモっ!っと、両手でアルファベットを形どる実乃梨。その笑顔に竜児は恋い焦がれる。
「収穫は秋だけどな。そうだ、櫛枝。秋に収穫したら何株かやるよ……そうだ?今日は部活は?」
「今日はミーティングだけになったんだ。明日からまた日本一目指して練習だいっ」
にっこり笑顔を咲かせる実乃梨。憧れた。その笑顔を枯らしたくはない。
「そうか、頑張れよ。それと……なんか今日、シカトしちまったみてぇな感じになって、悪かった。
 おとといの試合の事、やっぱ気になってさ、あん時はごめんな、お前に迷惑かけちまった」
実乃梨はしゃがんでいた竜児の真横に同じようにしゃがみこむ。実乃梨の匂い。近い。
「ううん。竜児くん、ぜんぜん悪くないじゃん……わたしこそ、ちゃんと部活のみんなに、
 竜児くんのと事、説明してなかったから……竜児くん傷つけちゃった。本当にごめん……」

「櫛枝だって、ぜんぜん悪くないだろ?俺は顔の事でいまさら傷ついたりしねえよ。
 それより、俺は俺の顔のせいで、お前に迷惑かけたり、誤解されたりするのが……その、」
「……竜児くんってさ。やさしいよね。竜児くんの半分はやさしさで出来てるよねっ」
「そ、そんなこと初めて言われたな……そして2度と言われないと思うな……」
「うふふ、そんな竜児くんのこと、クラスメートの誰も知らないんだよね。やさしくて、
 お掃除上手で、料理も美味しくって……ちょっとなんていうの?なんか優越感、感じちゃう」
褒め過ぎだ。コレ以上褒められると、竜児は悶え死ぬ。しかし追い打ちを掛けられる。
「竜児くんのお嫁さんになる子は、幸せだね」
 ━━トドメだった。実乃梨に悪気はないのだが。

「実乃梨っ!!」
「な、なんだい?竜児くんっ!!」
口をパクパクさせ、次の句が発せない。真正面で目が合っている実乃梨の眼差しに、
微笑み以外のなにかがあるのがはっきりわかって、ふいに時間が止まり……動き出す。

「なあ、実乃梨……お前さ」
「うん?」
「か、彼氏とか、いるのか?」
何も考えていなかった。いや、考えていた事が口に出てしまった。やっちまった。
実乃梨は黙っている。竜児の持つシャベルが震えている。心臓の鼓動が大きくなっていく。
「今度の関東予選……わたし、竜児くんに応援して欲しいな。そしたら、頑張れる気がするの」
「えっ……えぇ?……ああ、俺だって、実乃梨に頑張って欲しいし、応援したい……
 でも、実乃梨。そんな事したら、また……俺はお前に迷惑掛けたくねえよ」
予想外の返答に戸惑った竜児だったが、落ち着いて声を絞り出した。
「あのさ、わたしがソフトボールやってんのはさ。意地なんだ。ただの意地。
 みどりっていう弟がいてさ、今度紹介するねっ……一緒にリトルリーグ入ってたんだけど、
 わたしの方が、実力上だったのに、レギュラーはずされてさ……男の子ってわたしにとって、
 ライバルなのよ。それをソフトボールで頂点を掴んで見返してやりたいの。意地でもっ」
竜児は黙って聞いている。実乃梨の真意を探りながら。
「だから、男の子と付き合うとか、振られたりとか、別れたりとか……考えられなかった。
 そういうヒトもいるけど、なんかわたしには、現実感がなくって……だから、質問の答えは、いない。」
「実乃梨……」
ここで、このタイミングで、竜児が言うべきセリフは。爆発しそうな心臓。
意を決したその瞬間、実乃梨が先に口火をきる。
「今ね。コーチや先輩に呼びたされたの。それでね、竜児くんとの事……告白……してきたんだ。
 わたし、ソフトボールの事で今まで頭一杯だったけど、今は違うって。はっきり告白してきたの」
告白?俺の事を?それって……実乃梨は、決めたようだ。それを竜児にぶつけに来たんだ。
「お願い。竜児くんに、わたしをずっと観ていて欲しいの。わたし……わたしは、竜児くんが……」
「ちょっと待て、実乃梨!わかった。俺は、お前を応援する。
お前をずっと観ている!だから!!俺に言わせてくれ!俺は……」
透明感のある実乃梨の瞳が、キラキラ眩く輝きだす。燦々と燃ゆる太陽のように光を放つ。
「俺は……実乃梨……後ろをみろ……」
「え?」
後ろを振り向く実乃梨。
…見つかっちゃた〜…と、草むらから、女子ソフトボールの部員がゾロゾロ出てきた。
あんなに小さな草むらで、見つからないと思う方が不思議だ……
部長!私たちに構わず続きを!と言っているが……できる訳ない。竜児は頭を下げる。
「みなさん!この前は、申し訳なかったです。また、応援させてくださいっ。お願いします!」
わあっ、という歓声と拍手。苦笑いする竜児と実乃梨。続きは今度なっと竜児は呟き、
実乃梨は、うんっ!と笑顔を返す。

ここに伝説の応援団長が復活する。

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