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インフルエンザ
自分の本当の気持ちに気付いてしまってから数日後、大河はいつものように竜児のお見舞いに来ていた。
インフルエンザで倒れてしまった竜児は、なかなか熱も下がらず病状は深刻であった。
「竜児…」
熱にうなされる竜児に大河はとても不安になる。
『俺、櫛枝に振られたみたいなんだ…』
クリスマスを過ぎて数日後、半ば自嘲気味に話す竜児を見た大河はとてもやるせない苦しい気分になった。
どうしてだろう…どうして、みのりんは竜児を振ったんだろう。
どうして二人は間違えてしまったのだろう。絶対に両想いのはずなのに。結ばれるべきはずなのに。
心当たりは…ある。みのりんはきっと誤解してるんだ。私が、竜児のことを必要としているのだと…。
それは誤解なんかじゃなかった。私はこんなにも竜児のことを想っている。恋焦がれている。
どうしてこんな気持ちに気付いてしまったのだろう…。
気付きたくなんかなかった。
気付かない方が幸せだった。
いつものように竜児の家でご飯を食べて、いつものように、一緒に登校して…。
いつものように、みのりんとじゃれ合う。
それだけで良かったのに…。

涙がとまらなかった。

でも…竜児が想っているのは、私じゃない。
必要としているのは、私じゃない。
いつだってその対象はみのりんなんだ。
分かっていたことじゃないか。と。
涙を拭う。
だめだ…。私強くならなくては…。
こんなに弱かったら、この先寄り添うであろう二人を見てられないじゃないか。

そうだ。神社にお参りに行こう。
間違えてしまった二人がきちんと結ばれるようにお祈りをしに行こう。

そして私も自立しなくちゃいけない。竜児とみのりんがうまくいったら、今までみたいにはいかなくなる。
私の居場所はなくなるんだ。

いつものコートを羽織って神社に向かう。

『竜児とみのりんが結ばれますように』
そして、もう一つの気持ちを封じ込める。祈りと矛盾するこの気持ちを悟られてはいけないから。

さて…と、帰り際に新しく出来た弁当屋にでも寄ろうか。家に着いたら掃除もしなきゃ。
竜児に頼らないって決めたんだ。

「あいさか?」
名前を呼ばれて顔を上げる。そこには『クラスメート』の北村がいた。
「北村くん?」
「あけましておめでとう。」
「おめでとう。」
と返す。北村はキョロキョロしながら、
「高須は一緒じゃないのか?」
と、不思議そうな顔をして聞いてくる。いつも一緒にいるはずじゃないか…と。
心をキュッと締め付けられるような気分になる。
そうだよね。ずっと一緒にいたもんね。そりゃあそう思うよねって思う。
みのりんが誤解するのも無理ないな…と。
「竜児は年末にインフルエンザで入院しちゃって、年明けてからも、ずっと寝込んでるみたいなんだ。」
やっちゃんがずっと付き添って看病してるみたい。と。
北村君の顔を見ることが出来なかった。見たら、きっと悟られてしまう。
本当は私が看病してるんだけど、北村君に知れたらみのりんが知ってしまう。そしたら、きっとみのりんはまた誤解するたろう。やっちゃんにも言っておかなきゃな。ちゃんと口止めしとかなきゃ。
そう言えば、北村がかつて失恋大明神と呼ばれていたことを思い出す。
神様には竜児とみのりんのことを祈った。北村君は神様なんかじゃないけど…ちょっとは御利益があるかもしれない。
北村君に向かって手を合わせる。
さきほどと同じように。
そして祈る。
『竜児への気持ちを全部消して、もっともっと強くなれますように。』
と。
北村君が何かを喋っているみたいだった。あんまりちゃんと聞こえなかったけど。
目を開ける。
その瞳は何かを決意したかのように強く輝いていた。

(おしまい)
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