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155 名無しさん@ピンキー sage 2010/06/21(月) 21:44:03 ID:axPAViJc



事件と生理は忘れた頃訪れる。




昼休み、校舎裏にある一本の大きなケヤキの木に背をもたれる亜美。
ここ何日か、亜美はいつもの自販機の間に挟まるのを自重していた。
そのせいか、いつもよりストレスが溜まるらしく、すこし身体がだるい。
(ふぅ… だりー。 なんか適当に理由つけて早退すっかなー…。)
亜美はけだるげにスティック状の健康食品をかじる。
前回の撮影で水着を着たとき、ほんの少しだけウエスト周りが気になったので、食事を減らしているのだ。
言うまでもなく、気にしているのは本人だけで、今現在、亜美のプロポーションは完璧なわけだが…
この年頃の娘は痩身麗人にやたらと思い入れが強いらしく、亜美もまた例外ではなかった。
体がだるいのには、ダイエットのストレスも大いに関係していそうだ。

とはいえ、自販機の間に挟まるのをやめたのはもちろん、ダイエットが理由ではない。
自販機の間に挟まっていると、どうしても出会ってしまう人物…
――― 高須竜児。
彼と出会いたくない、というのがその理由であった。
いったい、どうしてなのか。

(どうしよう… なんかあたしらしくないよなぁ… あんなヘタレヤンキー顔を避けて学校早退? マジありえねぇ…。)
「はぁぁぁ…」
深く溜息をついて、視線を上げれば、木漏れ日がまるで宝石箱のように煌いている。
三年になってクラスが離れた今、休み時間に教室から離れてふらふらしていれば、竜児に亜美の居場所を特定する術はない。
ましてや、こんな人気の無い校舎裏なら不意に出会ってしまうことも無いだろう。
(でも、今は顔を合わせたくないんだよね…こないだから妙に意識しちゃってるし……)
(いつも通りに接するにはまだ心の準備が… って、あたしもヘタレ!?)
(しっ、仕方ないよ。 だって、高須くん、急にあんな事…)

――― 『とんでもなく…き、綺麗…だった…。』 ―――

(うっひゃーーーー。 やべ、また思い出しちゃったじゃん!)
「あう… あう…」
真っ赤になった頬を手で押さえながら、意味不明な声を発する亜美。
(亜美ちゃんが奇跡的な美少女なのは地動説より当たり前だけど、高須くんに言われると…)
そして。
奇跡的な美少女というのが天動説並みに怪しく思えるようなニヤニヤ顔を浮かべている、その背後から急に声がした。

「おぅ、川嶋! やっと見つけたぞ。」
「ひょえっ!!」

やっぱり、美少女とは思えないような奇妙な声をあげてしまう亜美だった。


******

――― 話は数日前に遡る。

「ねぇ、亜美。 この間の撮影の時、見学にきてたのって、携帯の写真の子だよね?」
「ぶほっ!」
「ぅわっ。 きったねー。 紅茶吹くなよ〜。」
「げほっ、げほっ。 な、なんですか、いきなり!」
「いや、あんだけ特徴的な目してたら見間違いようがないんだけど、一応確認。」
「………そう、ですけど……でもっ、恋人とかそういうんじゃ…」 「はいはい。判ってるって。」
「でね、そういう前提でさ、アドバイス?」
(どういう前提だっつの…)
などと思いつつも、実のところ既に見抜かれているのだろうとも思っていた。
「あんたさ、もし、あの子の前でも猫かぶってるならやめた方がいいよ。」
「!!」 
思わずムッとした表情になる亜美。
が、そんな亜美の表情を確認すると、彼女はにかっと笑う。 この爽やかな悪戯っ子のような笑顔が彼女の持ち味だった。
「なるほど、そこはクリアしてるんだ。 んじゃぁ、あとは簡単じゃん。」
「なにがですか?」 
(…簡単って、人の気も知らないで… それこそ、簡単に言うなっつーの!)
「あのね、この間見てて思ったんだけど、亜美、力入りすぎ。 もっと肩の力抜いて、自然に感じた通りに接してみなよ。」
「そ、そんなの!」「わかってるって? ……でも、出来てないよね?」
(ぐっ… ちょっと… 何のつもり? 友達でもないくせに…)
「………」
あからさまに不機嫌な顔をして黙り込む亜美。
「…ん〜 怒っちゃった、かな? あはは、ごめんごめん。 わたしも経験あるから、ついおせっかいしちゃったわ。」
「………」 (経験…ある…んだ。)
黙り込んだ亜美を流し目で覗き込む様は、流石に亜美と並ぶ超A級モデル。
だが、すぐにその凛々しい顔を緩める。
「んふふ。」
「なんだかんだでさー、結局いつも通りの自然な自分が一番魅力的だったりするってこと。 無理したってもたないし。」
「べ、別にあたし、無理なんか………してません。」
「そーなんだ。 じゃ、いいけど。」
「………」
(…余計なお世話って言えばそうなんだけど…… でも、あたしのこと心配してくれてるんだ……。)

「……人ってさ、心から楽しんでる奴の傍にいると楽しくなれるみたいだよ。」
彼女は、沈黙した亜美の表情を悪戯っぽい瞳でちらりと覗き見てから続ける。
「とにかく、自分を演じない。 楽しい事考えて、楽しくお話しすればそれでオッケー。 ね?騙されたと思ってやってみな。」

******


「ここ何日か、自販機の所にもいなかったし……あちこち探したぞ。」
「な、なによ。 あ、あたしだっていっつも自販機に挟まってる訳無いじゃん。」
「いや……まぁ、そうだけどよ……」
「大体、こんな所まであたしを探しにきたっての? 高須くん、もしかしてストーカーの素質あるんじゃね?」 
(探してくれたの!? マジ? 超嬉しいんですけど! っていうか、止まれあたしの口!!!!)
「うっわー、マジキモイんですけどぉ。 あたし、ストーカーって超嫌いなんだけど…判るよね?」
(……だ、だめじゃん、あたし。 どこが自然な態度よ… いや、ある意味、コレこそ、いつものあたしだけど…。)
(イヤイヤイヤ。 そうじゃなくて。 自分の気持ちを素直に表せってことよね、自然な態度って…。)
(大体、こんな言い方したら、いくら高須くんだって……)
そう、亜美が竜児を避けていたのは、こういう事態を危惧してのことだった。
ついつい毒舌を発揮してしまう自分を意識して、なんとか『楽しい会話』をするべく、色々と心の準備とか、想定問答集とか、
とにかく、自分の中で整理しておきたかったのである。
そして案の定、不意打ちをくらってしまった結果、この惨状であった。

だが、予想に反して高須竜児は苦笑いを浮かべていた。 そして…
「ふぅ。 安心した。」
「香椎のやつが、お前がなんか悩んでて体調もすごく悪そうで…ろくに飯も食ってない、なんて言うから、心配してたんだ。」
「実際、いつもの所にもいなかったしよ……。 でも… その毒舌。 ははは。いつもの川嶋だな。」
(ちょっ… やば、胸が… 熱い… ってか、苦しい…。 な、なんか涙でそう…。)
「なに、それ。 どういう意味よ。」
「いや、別に変な意味はない。」
「……ふ、ふーん。」
「…………」
「な、なによ、なんか用事があったんじゃないの、こんな所まで来たんだからさ。」
「あー。 うん。 いや……。」
どうやら照れている様子の竜児だったが、亜美もテンパッていてそれに気がつかない。
(…やばい。 これじゃツンデレじゃん。 リアルツンデレは全然可愛くねーし。 で、でもこんな時はなんて言ったらいいの!)
「えーと」
(こ、これじゃ高須くん、怒っちゃうよ…。  あーーーん、どうしたらいいのさー!!)

「あ、あ、明日、家に飯食いにこねーか!」 

思い切った様子で急に大きな声を出す竜児。
(…! ほ、ほら、高須くん怒っちゃっ…た? …え? な、なに? 今なんて言ったの?)
「え? い、今、なんて…」
「い、いや、この間撮影見学させてもらったお礼もまだしてないし、それにろくに飯食ってないっていうし… どうせお前のこと
だから、また菓子なんてばっかり食ってるんじゃねーかと思って。」
「そうじゃなくて、今、なんて」
「だから、家に飯食いに来いって言ったんだが…」
(キッ、キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! た、高須くんの手料理!!)
「……………い、いいの?」
物凄い真剣な顔になる亜美。 なまじ超がつく美人なだけに、真剣な表情は、ともすれば相手に恐怖を与える。
「お、おぅ…」 そして、小心な竜児はおっかなびっくり返事したのだった。

******

「あら、亜美ちゃん、どうしたの? 急に調子が良くなったみたいね。」
奈々子は竜児に亜美の異変を告げたのは大正解だったと思いつつ、すっとぼけてそんな問いを繰り出す。
「ん。 別に〜〜。」 「そう。 なにはともあれ元気になって良かったわ。」 「ふふふ。 ありがと、奈々子。」
目配せをする二人の美女は、互いの意図に気がついているのだろう。

そうして窓際の一番後ろの席に着いた亜美は、窓から外を眺め、ゆっくりと、微笑んだ。

「…うん。 よし!」
「亜美ちゃん、今日も可愛い♪♪」

            〜 亜美ちゃんの平凡な一日 4 〜                            どっとはらい。



158 名無しさん@ピンキー sage 2010/06/21(月) 21:47:50 ID:axPAViJc
いじょ。
続きは…この展開で書かなかったらマズイでしょうねぇ…
でも、時間がない(><)

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