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勝手にチワドラP 2009/05/03(日) 22:34:50 ID:EWSe3Mky
◆SKzthWrpk6=◆YK6vcTw7wM



『結局…高須君は、一度だって、あたしの事、実乃梨ちゃんや、
タイガーみたいには見てくれなかったじゃないッ!!
あたしは…あたしは…あたしだって、好きなんだよ…好きって言いたいんだ。
高須君が好きなんだって…言いたいんだよぉ……』

櫛枝に振られ、いや、振られる事さえ出来ず、自分を見失った俺は、事情を察していた川嶋に当たり散らした。
怒りとエゴをぶちまけ、川嶋を傷つけてしまった。
楔の様に胸に突き刺さるのは、その時の川嶋の言葉。
俺の事が好きだという、川嶋は今までみせた事のない
無防備で今にも壊れそうな表情をしていた。
川嶋の告白が何度も何度もリフレインし、その夜は川嶋の事ばかり考えていた。
そして、夢を見た。川嶋の夢を。
大波で街も家も何もかも流されて無くなってしまって…
波に攫われて底へと沈む俺を川嶋が引っ張り上げてくれて…
夢の中の俺は、川嶋の事が好きで、川嶋も俺の事が好きだった。
『2人一緒に生きていこう。』手を取り合って…そう誓いあった。
朝になって、すぐに罪悪感に苛まされた。
川嶋が俺を好いている事を知った途端に、俺は、櫛枝から川嶋に鞍替えみたいな
そういう真似をするつもりなのか、と。
夢の中の俺は、ただ純粋に川嶋が好きだった。様に思う。
なら、現実の俺は?純粋に川嶋が好きだ、なんていう風には割り切れなかった。
そう思うには、色々、ありすぎた。
けれど、答えは出さなければいけない。
俺は、櫛枝に自分の告白を無かった事にされ、傷ついた。
川嶋に同じ思いをさせる訳にはいかない。川嶋のため…じゃない。俺は、川嶋を傷つけるのが怖かった。
また、川嶋のため…と、川嶋の好意にあぐらをかく様な真似をするのが、もっと怖かったのだ。
ただ、早く答えを出そうにも答えが見つからなかった。
この場合の答えとは、川嶋の告白に対する返事の事を意味する。
すなわち、イエスorノー。川嶋のクローズドクエスチョンに対する返事なのだが…
俺は答えを決めかねていた。あまり、猶予は無い。
学生は学校へ行かなければならない。

ほとんど、一番乗りで校門をくぐった俺は、
朝の誰にも踏み荒らされていない、気持ちの良い校庭を通り過ぎ、校舎へと入った。
いつもより早く着いたのは、早足でまっすぐに登校したからだ。
櫛枝と顔を合わせたくなかった。だから、大河も起こさなかった。
それと、一人で考える時間が少しでも欲しかったのだ。
そして、教室に着いた俺の足を、寝不足と喉の渇きとが自販機へ運ばせた。
「げッ…」
「おう…」
こんな朝早くから、自販機に挟まれたソイツは
「マジ、ありえないんですけどぉ。
朝から、今、一番会いたくねぇ奴と…さ・い・あ・く!!
てか、なにその顔!?隈なんか作って…ほとんど、犯罪じゃん!?
亜美ちゃんこわ〜い。」
と、 開口一番、毒づいた。
………そんな表情で毒づかれたって、腹も立たねぇよ。
「悪かったな…夢見が悪かったんだ。あと、お前も隈出来てるぞ。
いつもより、化粧が濃いみてぇだけど、全然隠れてねぇ。」
「はぁ!?夢?
てか亜美ちゃん…隈なんか出来てねぇし。
高須君、目つきだけじゃなくて視力まで悪いんじゃん?」
「川嶋の夢を見た。あと、俺は両眼とも裸眼で1・5以上ある。」
「……あたしの夢?」
「おう。」
「ふぅん。もしかしてぇ〜夢の中で亜美ちゃんに欲情して、
あ〜んな事とか…こ〜んな事とか…したの?」
「おう。」
「おう。て…あ〜ヤダヤダ。
高須君も所詮、単純な男って訳だ?
告白されて、それで…って訳?」
最後の台詞から、川嶋の口調が変わっていくのを、俺は気付いた。
「そうじゃねぇ。…とは、言わない。そうかも知れねぇ。
実際、昨日はお前の事ばかり考えてたんだから。
軽薄だと思うなら、そう思えば良い。
俺だって、我が事ながら、そう思うんだから、なおさらだろ?
はっきり言えば、昨日から俺は川嶋の事が気になっている。」
「なによそれ?同情?ふざけないでよ。
……あたしは、そういうのが嫌だから、無かった事にしようと思ってるのに…
やめてよ…あたしに惨めな思いはさせないで…」
「同情?お前こそふざけんなよッ!!
無かった事に…されてたまるかよッ。
お前に同情なんかしねぇよ。

お前みたいな、勝手な奴知らねえ。
わがままで自己中で腹黒で、いつも人を見下した様な態度で、人を取って食った様な事言って…
最後まで、そうするつもりなのかよ?
俺の隣にいてくれよッ同じ地平の同じ道の隣を歩いてくれよッ。
川嶋ぁ〜〜ッ!!お前に居て欲しいだッ。」
悩んでいた答えは、あっさりと出てしまっていた。
「………」
うん。と、頷いた川嶋は、そのまま泣き出してしまった。
猫の様に丸めた背中をさすっていた俺は、下の階からざわざわとした人の気配を感じた。
マズイ。この階に上がってくる…
咄嗟に、泣きじゃくる川嶋を抱えて、俺は、校舎の外へと飛び出した。
−−−そして、今。
「そろそろ、降ろしてくれない?恥ずかしいし…もう立てるから。」
「おう。」
「高須君にお姫様だっこされるなんて…
シュチュ的には最高なんだけど…ね。
また、今度してね?」
復活した川嶋は、いつも通り、俺をからかいだした。
いや、これは川嶋の素直な願望なのかもしれない。
「おう。」
「フフッ。嬉しい。
…けど、良いの?あたしで、ホントに。」
「お前以外にそんな事したら…即、通報モンだろ?」
「もう…そっちじゃないわよ。
隣に居るのは、あたしで良いの?
実乃梨ちゃんやタイガーじゃなくて?
ホントにあたしでよか−−−ッ……ンン……」
………
「良いんだよ。川嶋が。
正直言うと、決めかねてたよ。
けど、勢いで、言っちまった。
あれが、俺の本心って事なんだと思う。
夢に見る位だからな。好きだよ、亜美が。」
「…ズルいよ。こんなの。
やりなおし。もっかい、やりなおし。
ほら、目瞑って……」

二度触れた亜美の唇は、二度とも火傷しそうな位に熱かった。

「ね、りゅ〜じ?これからどうするの?」
「どうするって…あ、学校…ヤバイ。もう、間に合わねぇ。」
「え〜いいじゃん。今日は、学校なんて。二人で居ようよ。
デートしようよ、ね?」
「おう。まあ、今日は仕方ない…よな?
それで、ドコに行きたいんだ?」
「ん…とねぇ〜。それじゃあ……」

亜美に連れてこられた店は、高校生には、少し敷居の高い、洒落た喫茶店だった。
朝から優雅にコーヒーを嗜む高校生は、
見事に周りから浮いていた。
紅茶を嗜む女子高生は、店の雰囲気に馴染んでいるようだが…
この時間帯に制服姿という違和感は、どうにも拭い難く…
「どうしたの?ソワソワしちゃって。」
「あのさ…俺達、何か浮いてないか?」
「別に気にしなくて良いんじゃない?
あたしは、竜児以外は、目に入らないし。
張りぼてとかカボチャとか思えば良いのよ。外野なんて。」
そう言うと、亜美は、紅茶を一気に飲み干した。
「…そんなもんか?」
「そんなものよ。
あ〜。さては、竜児…デートとか初めてなんでしょう?
うんうん。そっかぁ〜初めてなんだぁ〜」
「…初めてだよ。…悪いかよ?。」
「ん〜ん。初めての相手が、この超絶可愛い亜美ちゃんじゃあ、
緊張するなっていう方が無理だよね〜」
「うるせぇ。」
亜美の奴は、随分、慣れてるみたいだけど…
こういう店でデートとかした事あるのか?
誰と?どんな奴と?
こいつの事だから、そりゃあモテるんだろうけど……
形容し難い感情がふつふつとたぎるのを胸の奥で感じていると…
「あ。」
「おう。どうした?」
「え、いや…」
亜美は空のカップを凝視し、何やら、困り顔だった。
見れば、ケーキが半分以上残っている。
ケーキと紅茶をバランス良くとらないから、そういう事になるんだ。
ほら、俺のを見ろ。こうやって、ちゃんとバランス良く食べれば…ん?待てよ?
「もしかして、亜美も、デート初めてなんじゃないのか?」
「……ふん。ばか。忙しいの、あたしは。」
ぷい。と、そっぽを向く。
ああ、こいつは拗ねるとこういう顔をするのか。可愛いな。
こういう店を選んだのも亜美なりの背伸びだったんだな…
「なあ?それ食ったら、一旦、家に戻ろう。
どこ行くにしても、制服のままじゃあな。着替えた方が良い。」
「え?でも…
あたし帰れない。この時間だと、きっと、おじさまもおばさまも家に居るから。
服は、どこかで買わない?」

買い物がしたいんなら、付き合うが…俺は買わないしなぁ…
この場合、何より、MOTTAINAI気がする。
「家に来いよ。泰子の服で良かったら、貸すからさ。」
「竜児の家?うん…いく。
何かさぁ、こういうの駆け落ちみたいだよね。」
「駆け落ち?俺は家に帰るのにか?」
「あたしにとっては、だよ。」
「…解んねぇ。」
「いいよ。解らなくて。」
「…じゃあ、早く残り食っちまえ。
ほら、俺のコーヒーやるから。」
「え〜亜美ちゃん、苦いのヤダ。」
「わがまま言うんじゃありません。」
「じゃあ…食べさせてよ。アーン。」
「…はいはい。解りましたよ。ほら、アーン。」
「アーン。」

***

途中で、「食べたばっかじゃ動けない。おんぶ」だとか「手繋いでくれなきゃヤダ」だとか、
お姫様全開な亜美の要望を、逐一、聞き入れていたせいで、随分、時間が掛かったが、とりあえず、家に着いた。
「少し位、叱ってくれたって良いのよ?」
なんて言うくらいなら、自重しろ、ったく。
ただ、今まで、亜美が甘えてくる事なんて無かったから、
俺としても、ついつい、全部、聞き入れてしまったんだ。
大人だとばかり思っていたけど、そんな顔もするんだな…と、ついつい。
「…あのさ…これ…」
「おう。着替え終わったか?」
「うん…でもさ…」
「…なんだよ?サイズ合わないか?」
「サイズじゃなくて…もっと違う部分が亜美ちゃんには合わないかなぁ〜って…
亜美ちゃん、一応、清純派だからさ…
ちょっと、アダルト過ぎない?特に胸元が…」
「そんな事ねぇよ。………」
泰子の服は基本的にジャージとそれ系の服しかない。
普段着と余所行き様だ。
このモデル様がジャージなんか着る訳はないので、選択肢は限られてくる。
「…じゃあ、何で、こっち見ねえんだよ!?何で、頬、赤らめてんだよ!?
あ、ちょ…そっぽ向いてんじゃねぇよ。
こっち見ろボケェッ!!」
泰子が着てても、何も感じない服だったが…亜美が着ると…
厚めの化粧も伏線だったのか、ちくしょう。
「…さっき甘えてたお前はどこ行ったんだよ?多重人格かよ!?」
「だから何よ?そんな事知ってんでしょッ!?」
「知ってるよッ。だから、好きなんだよッ。」
「ッ……。サングラス貸して。
前に竜児にあげたサングラス、貸して。
あれ、貸してくれたら、この服でも良い。
流石に素顔じゃ外歩けない。」
「おう。」

「ちゃんと…残してあるんだ……」
「当たり前だろ?引き出しに入れてある。」
「そっか。」
「でも、お前が、露出度の高い服を嫌がるなんて意外だよな。
それ、ビキニなんかよりは布地多いぞ?」
「……あのね。もう一度、言っておくけど、亜美ちゃんは露出狂じゃねぇから。
幼なじみだからって祐作と同列視するのやめてくれない!?」
「そうなのか?」
「そ・う・な・の。」
心理学というものは、どうにも画一的で、あまり好きでは無いのだが、
俺は、今のところ、亜美に3つの側面を見いだしている。
先程言った様な、多重人格ではなく、例えるなら、阿修羅像のイメージに近いかと思う。
1、大人ぶる
大衆向けの亜美、所謂、外面という奴だが、
自分が主導権を握りたい時に、俺に向けられる気がする。
2、毒づく
俺にとっては、一番、亜美らしさを感じるもので、見ていて安心する。素の亜美、なのか?
3、甘える
ついさっき発見した。
今までは、プライドが邪魔して出て来なかったんじゃないだろうか?
周囲への遠慮もあったんだろうな…悪い事したよな…
まあ、要するに全部足して亜美な訳だから、深く考える必要は無い気もするが、
普通の女の子と付き合うより三倍疲れる気がする。
三倍魅力的だ。とも言えるが。
毒舌家の癖にお人好し。露出癖があるのかと思えば、恥ずかしがるし、一体、何なんだろう。
見ていて飽きないな、コイツは本当に。
「なあ、亜美?」
「ん?なぁに?」
「どっか行きたいところあるか?」
「別に…無いよ。背伸びしたってバレるし…
竜児が一緒なら、どこだって…いいよ」
「だったら…ここにしないか?」
そういって、俺は亜美に一対のチケットを差し出した。
『らぐ〜じゃ・プラネタリウム』

クイックセーブ。

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