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5 早起きは三文の徳って言うけど(ry  ◆/8XdRnPcqA sage 2010/05/20(木) 23:45:00 ID:hiuLSptp



薄明るくなってきた部屋で、少女は唐突に目を開いた。
まだ太陽が昇る前のぼんやりとした薄紫の部屋。
見上げる天井には蝿でも蚊でもない小さな羽虫が一匹歩き回っていた。
少女は一般的な年頃の娘の例に漏れず、虫は嫌いだったが、さりとて悲鳴を上げるようなものでもない。
たまたま目に映ってしまったから、だから、ただぼんやりとその小さな黒い点が天井を動き回るのを見ていた。
ふと思いついて目覚まし時計を探る。
そこに表示されている時間は、セットした時間には程遠く、ようやく4時に届こうかというところ。 
(ついこの間まで寒かったのに、もうこんな時間から明るくなるんだ…)
そう彼女は思って、目を閉じた。

けれど、ちっとも眠くならず、むしろ目が冴えてくる。
たまりかねて目を開き、再度時計を見るとまだ2分しか経っていなかった。
「ん、んん〜」
布団を引っ張り、首を引っ込め潜り込む。
するとすぐに息苦しさを感じて、また布団の外に顔を出す。

つーぴつーぴつーぴつぅー ……   つーぴつーぴつーぴつぅー ……

…聞きなれない鳥の鳴き声。

つーぴつーぴつーぴつぅー ……   つーぴつーぴつーぴつぅー ……

(なんだろう? なんだか可愛い声。)
彼女は大きな目をぱちくりとさせて、もう一度鳥の声に耳を傾けた。

つーぴつーぴつーぴつぅー ……   ぴっきゅちゅー ぴっきゅちゅー

そのとき、突然鳴き声が変わる。
(え? ぴっ……ぴっかちゅー? ちょっww )
「くすっ… くすくすくすっ。」

こうして少女は、久しぶりで何の予定も無い日曜日だというのに、日も昇りきらないうちに完全に覚醒してしまったのだった。




  落書    〜 早起きは三文の徳って言うけど、たった三文ってちょっとみみっちくね?〜                 98VM




名前もわからない小鳥のせいで、すっかり目覚めてしまった彼女は家人に気を遣いながら身支度を整える。
半分開いたカーテンから外の通りを眺めれば、薄くもやがかかり、夜明け直前の紫の光を柔らかく散らしていた。
静かに窓を開け放つと、雀のさえずりと、どこか遠くから新聞配達の単車の音が聞こえてきた。
さっきの小鳥は何処かへ飛んでいってしまったのだろう。
今はあの可愛い声は聞こえない。
ひんやりとした空気が部屋に流れ込んでくる。
これだけ日は長くなったが、まだ5月の朝は爽やかな空気を残していた。
改めて部屋の時計を見るとまだ4時30分。
しばし腕組みし、頬杖ついて考え事をしていた彼女。
やがて決心がついたのか、柔らかく微笑むと、誰に言うとも無く呟いた。
「よしっ、せっかくだから散歩でもしよっと。」



黄色いジャージを着て帽子を深くかぶる。
飲み残していたミネラルウォーターを腰に手を当てて一気飲みすると、携帯音楽プレイヤーに手をのばして…
思い直す。
(コレはいらないな…。 きっと今日は小鳥の鳴き声のほうがずっと心地いい!)

静かに玄関のドアを閉め、少女は早朝の大橋の町に踊り出る。
この町に越してきてようやく一年というところだが、本当に色々なことがあって、この町は彼女にとって特別な町になりつつある。
にも関わらず、今朝は初めて来た町のように、何もかもが新鮮に見えた。
雨上がりの朝なんか、いままで何日もあったはずなのに…
ライラックの薄紫の花についた水滴が、これほど美しいものだとは知らなかった。

昨夜降っていた雨は夜半過ぎにはあがったのだろうか?
しっとりと濡れた景色は、しかし、さっきまで雨が降っていた、という雰囲気ではない。
アスファルトの地面は特有のすこし生臭いような微妙な臭いがして、足元のスニーカーが湿った音を立てる。

さて、何処をどう歩いてみようか、なんて考えて何気なく目に映した電柱にアマガエルが張り付いていた。
「ひっ!」
思わず悲鳴を上げそうになったが、大丈夫。
大きく迂回すれば、こんなものはなんてことない!と自分を鼓舞しつつ、すり足で移動する彼女。
「おはようございまーす。」
「ひいいいいいいいいいっ!」
「ひゃぁ!」
びっくりして目を白黒させたのはジョギング中のおじいさんだった。
「あっ、す、すみません!すみません!」
「いやいやぁ… わしこそ驚かせちまったかの、ほっほっほっほ。」
「いえ、そんな、ほんとにごめんなさい…。 あ、おはようございます!」
「はい、おはようさん。 ではの。」
爽やかに、颯爽と走り去るジョギングじじい。
(若いなぁ… 毎日はしってるのかなぁ… こんな朝早くから。)
「なーんか、あたしのほうが年寄りだわ…」
そんな独り言を呟く少女。
けれど、すぐにその嫌味なくらいに整った顔に笑みを浮かべると大きく背伸びする。
(よし、もうちょっと元気だしていこう!)
そして彼女は、さっきよりも軽やかに、もやの残る街角を歩き出した。


どこに行くとも無く、思いつくままに道を選ぶ。
ときどきすれ違う散歩やジョギングの人と、明るく挨拶を交わしながら、当ても無く、気ままに。
ハナミズキがピンクや白の花を咲かせる。
ムスカリの花は殆ど落ちてしまったのか、僅かに青紫がちらほらと芝桜にまじって咲いている。
ホンキリシマの赤は目に痛いほど。
西洋シャクナゲの大きな花は迫力満点だ。
モッコウバラはなにか怪物のような形に作られていて、本当は何を作りたかったのだろうと、少女を笑わせた。

一際庭の手入れが行き届いた家の前で彼女は立ち止まる。
家々の庭を彩る花々に少女は少なからず驚いていた。
普段、自分は一体何を見ていたのだろうと。
こんなに綺麗な花々、学校に行っているときも目にしている筈なのに、ほとんど記憶にない。
(……なんだか、早起きしてすごく得しちゃったかも。)
暫くあたりを見回した後、足取りも軽く、また散歩を再開する少女。
彼女はけれど、気付いていないだろう。
今の彼女が、それらの花々ですら、恥じて散り急いでしまいそうなほど美しい笑顔を浮かべていることに。

そうして庭先に植えられた花々を見ながら歩いていくと、いつのまにか大橋高校に彼女は辿り着いていた。
日曜日といえど、部活動などで生徒の姿が見えない日は無いのだが…
まだ5時を半ば過ぎたばかりでは、さすがに人影は無い。
「ふ、ん…」
この学校は彼女にとって、初めて親友と言える友を得た地であり、また身を抉られるような失恋を味わった地でもあった。
もともとは、こんなに長くこの学校に留まるつもりは無かったが…
たぶん、卒業までこの学校に居るのだろう、と少女は学び舎の上に広がる雲を見上げる。
すっかり昇りきった日は既に昼間の強さで雲を照らす。
青く澄んだ空は、雨に洗い流されたのだろう。

つーぴつーぴつーぴつぅー ……   つーぴつーぴつーぴつぅー ……

「あ。」
(さっきの小鳥だ。)
雀のさえずりに混じって、彼女をこの素晴らしい朝に招待してくれた小鳥の声が届いてきた。
そして………


「おぅ…川嶋、か?」
「え? た、高須くん?」
「ああ。 って、なんでお前、こんな時間にこんな所に居るんだ?」
「何でって… べ、別にいいじゃない、そんなの。」
「あ、いや、まぁ、そうだけどよ……… あっ」
「な、なに?」
「いや、挨拶忘れてた。 おはよう、川嶋。」
「! お、おはよう、高須くん。」
「っていうか、高須くんこそ、こんな所で何してんの?」
「ああ。 俺はなんか、眠れなくってよ。 勉強して夜更かししてたら目が冴えちまって… それで散歩してたんだ。」
「ふーん。 わざわざ学校に散歩?」
「いや、別にどこって考えてなかったんだが、いつのまにかここにきてた。」
(あ、あたしと同じじゃん…)
「そ、そう。」
「………」
「………」
「あ、あのよ、ひ、久しぶりだよな、こうして話すの。」
「……そうだった?」
「おう。 クラス変わっちまってから、ゆっくり話したこと無かったと思う。」
「そうかもね。」
「う……。」
「………」
つーぴつーぴつーぴつぅー ……   ぴっきゅちゅー ぴっきゅちゅー
「あ、 くすっ。くすくすくす。」
「ん? どうした?」
「え? あ、ああ。 鳥。 なんか鳴き声、可愛いの。」
「おう。 …シジュウカラだな。」
「へぇ…… さっすがだね、高須くん。 本当に物知りだよねぇ。」
「たまたまだよ。」
「謙遜しなくていいのに。 …さぁーてっと、そろそろあたしは行こうかな。」
さっさと背を向けて去っていく少女。
「あ、川嶋っ」
「何?」
「いや、せっかくだから…、その、ちょっと一緒に歩かねーか?」
「何で?」
「だ、だから、こうして話すの久しぶりじゃねーか。」
斜に振り返った彼女は、とても優しげな笑顔を浮かべる。

「………今朝は……今朝は凄くいい朝だったから、止めとく。 じゃね、高須くん。 …また。」

あまりに美しいその表情に、少年は息を呑み、かろうじて言葉をひねり出した。
「……お、おぅ。 またな…。」

そして、背を向け、囁くように漏らした少女の独り言は、少年には届かない。
「ほんと、バカ……中途半端に優しいんだから……余計寂しくなっちゃうじゃん……。」

つーぴつーぴつーぴつぅー ……   つーぴつーぴつーぴつぅー ……

去っていく少女の背中を追いかけるように…
小鳥の鳴き声が、何処までも高い青空に、遠く、遠く溶けていった。

                                                                  おわり。



9 98VM ◆/8XdRnPcqA sage 2010/05/20(木) 23:50:47 ID:hiuLSptp
わぁっ、通番まちがったー orz

お粗末さまでした。

余談ですが、最近のマイふぇいばりっとは
亜美ちゃん>佐・さん>○ムギちゃん 
よって、まだまだ亜美ちゃんでいきますよーww

4 98VM ◆/8XdRnPcqA sage 2010/05/20(木) 23:43:12 ID:hiuLSptp
>1
スレ立て乙でーす。
なかなかレスないようなので落書きしてきましたー。
イチャラブ書くのは凄く難しいけど、こういうのはサラッと書けちゃいますw

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