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〜麻耶たんのマジありえねぇ徹夜明け〜 2009/10/09(金) 19:46:07 ID:9iJuKUzC

ちゅーしちゃった…

キスです。

くちづけです!

せっぷんです!!

男の人の唇ってどんなだろうと思ってたけど。
案外、ふつーに柔らかかった。
あたしも初めてだったけど、あいつもきっと初めてで…
漫画や、ドラマの様には上手くできなかった。
軽く触れた後、ちょっと欲張って歯をぶつけちゃって、めっさ気まずい。
でもあいつが凄く嬉しそうに笑ってくれて。
それであたしもなんか可笑しくなっちゃって、二人で声を出して笑っちゃってた。
なんか、ヤケになった時みたいに、ハイテンションで笑うあたしたち。
すごく不思議だったけど、ただ単純に嬉しいんだって気がついて、あたしは凄く驚いていた。

何時から?
この間原稿渡された日から?
それとも、半年前?
もしかしたら、一年前?
ううん………多分、違う。

改めて見るとオサレ眼鏡はやっぱりまるおに比べたら、てんでかっこ悪い。
特に今は顔がにやけちゃうのを抑えきれないって感じで、まるでだらしない。
やっぱ、あたし、はやまっちゃったカナ? なんて思ってしまいそう。
でも、そんなこと考えてる頭とは裏腹に、さっきからあたし全然動けないんだよね…。
足が地面にくっついちゃってるみたいに、歩き出せない。
「え…っと、木は、…コホン… ま、ま、…麻耶…。 ちょっと、その、歩かない?」
やばっ、名前呼ばただけで、あたし心臓マッハじゃん。
「う、うん。 いいよ…。」
なんとか平静を装って答えてみたけど…
あいつに手を引かれて、やっとあたしの足は動いてくれた。


     埋めネタ   〜麻耶たんのマジありえねぇ徹夜明け〜


ネオンが煌く街は、まだまだ騒がしくて、空気も怪しげ。
しばらく公園を散策した後、あたしたちは繁華街に戻ってきていた。
公園の中はあちこちにカップルがいて、ちょっと刺激が強すぎ。
おかげでもう、テンパっちゃって何を話していたのか覚えていない。
ただ、確かなのは、もう終電の時間は過ぎちゃってるってこと。
つまり、朝まで能登と二人。
年頃の男と女が朝まで一緒に過ごすってことがどんな意味をもっているかなんて、いまさら言うまでもないよね。
勿論、能登だって、十分意識してるはず。
だから、きっと今夜はあたしにとって思い出の一夜になるに違いない。
そんな事を想像してたら、もう、心臓がばっくんばっくんいってどうにもなんない。
そういえば、今日の下着はどんなだったかな…
…ああ。 大丈夫。 勝負下着じゃないけど、お気に入りの可愛いヤツを着けてる。
そんな事を考え始めたら、道端で所々に料金を書いた電飾が光ってるのがやけに目に入ってくる。
もっとロマンチックな所がよかったけど、こういうのは勢いが大事って、いつも友達が言っていた。 だから、我慢。
あんまり我侭ばっかり言って、愛想尽かされたら最悪だもん。
そして、突然、能登が足を止めた。

― REST 5,800〜12,000円 ―
キ、キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

能登がちらちらその電飾を見ているのが判る。
握った手は少し汗ばんでるけど、それは能登のせいなのか、あたしのせいなのか、それとも二人ともなのか?
手を伝わって心臓のドキドキがばれてしまいそうで、手を振りほどきたい気持ちになるけど…
今、それをやったら最悪の意味に取られかねない。

何も言わない彼の様子が気になって見上げると…
頬がひくついて、何度も喉仏が上下する。
表情は…ちょっとだけ怖い顔。
能登は物凄く迷っているみたい。

『…あたし、嫌がってないよ。』
そう言えたらどんなに楽か。
でも、そんな事言っても、能登にしてみれば、急に手の平返されたみたいで、信じられないかもしれないし…。
だって、つい最近まで、「ウザイ」「キモイ」を連発してたんだもん…。
あたしだって、なんで急にって………。
………。
急じゃ、ないか…。
原稿もらいに行く時、いつも洋服選びに1時間以上、下手すりゃ2時間かかってた。
それでも待ち合わせの時間に遅れたことは一度もない。 …いつも彼が先に着いてたけど。
携帯電話、まるおの写真はけっこう消しちゃったけど、彼の写真はほとんど残ってる…。
本当はずっと前から判ってたのかな…。
北村君には別に好きな人がいて、能登はあたしを好きだって言ってくれてて。
だから、安易な道に逃げたと思いたくなくて。
それでずっと北村君を引き摺ってた。
でも、今夜。
完全に自覚しちゃった。 あたしが本当に好きなのは誰なのか。

だから、本当にいいんだよ。 …あたしを抱いても。
…うん。 あたしも求めてるの。 キミを。
だから…
「……あたしをだ…」

「あーーーー!! そうだ!そうだ!! 思い出した! 実はさ! 俺前から気になってた映画があってさー。 たしかこの近くで
オールナイトやってるんだよね! せ、折角だし、見にいかね? 最近、東京でもオールナイト上映してる映画館ってへったっしょ?
し、始発まで時間もあるしっ、ちょ、ちょうどいいよなぁ。 ラッキーだよ、うん。 それにしても、なんでオールナイト上映減っちまった
んだろうなぁ。 需要あると思うけど。 な、なぁ、木原もそう思わね? あっ、ってか、木原の好きな映画って聞いたこと無かったか
も。 ねー、どんな映画好きなの?」
「………は?」
ちょ……。 この状況で何、ソレ? マジ? マジ馬鹿なわけ?
あたしの声を聞いた瞬間に、能登は焦りまくって一気にまくし立ててきた。
あっけに取られて、その数秒後、頭が沸騰した。
繋いでいた手を、思い切り振りほどく。
頭にきすぎて、咄嗟に声が出なかった。
『最低! このヘタレカワウソ!』 脳内で再生される罵倒の言葉。 でも、あんまり頭に血が上ると上手く喋れなくなるみたい。
そして、それが幸いした。
あたしの様子に動揺して、絶望の表情を浮かべる能登の顔を見て、今しがた考えていた事を思い出した。
ついさっきまで、コイツはあたしが北村君を好きだって思い込んでいたんだ…。
そして、あたしはいつも能登のこと罵倒してたんだっけ…。
それが突然手の平返して、『抱いていいよ』なんて言ったら、もしかして凄い尻軽女に思われちゃう?
それは、それは……困る。 凄く困る。

だからあたしは、とりあえず話を合わせる事にした。

………
で、結局オールナイトの映画館で夜のデート。
そして、寝てる奴とか、いちゃついてるバカップルばっかりの映画館から出ると、もうすぐ始発が動き出す時間だった。
つか、なんでアクション映画?
好きな女の子誘うんなら、先ずは恋愛映画じゃないの?
百歩譲ってもホラー映画とか。
…でも、映画見る事になってから、能登はすこし落ち着いたみたいで、凄く紳士的にはなった。
やっぱり高校の時とは違う感じ。
きっと毎日会っていたら、見落としてしまうような小さな違いだけど。

いつも人で一杯な通りも、今は殆ど人の姿は見えない。
この街でも、こんな時間帯があるんだって、初めて知った。
白み始めた空の下、能登は相変わらずハイテンション気味。
あたしと一緒に居れるのがそんなに嬉しいのかなって、そう思えばまんざらでもないんだけど。
でもやっぱり、子供っぽいって言うか、物足りなさを感じちゃう。
甘い言葉で誘惑して、素敵なホテルで一夜を過ごす、なんて、能登には絶対期待できない…
あんな素敵な小説書くのに、リアルはダメって、ある意味お約束すぎだって。
能登だって、あたしとエッチしたいよね?
あたしはしたい、よ。
キスされた時、体が痺れちゃった。 全身が一気に熱くなって、ジリジリしたもん。

でも、改めて能登の顔を見たら、なんか嬉しそうな顔してる。
あたしとエッチできなくて残念じゃないの?
あたし、凄くがっかりしてるのに……。 これで、大学の友達に嘘つかなくてよくなると思ったのに……。
能登って、見た目どおり奥手なんだろうなぁ。 なんか自分に自信なさそうな感じだし。
あたしの方から『抱いて』って言わないとダメなのかなぁ。
でも……
でも、そんな淫乱なこと言って、もし能登に嫌われちゃったら、あたし………

あー!! もう! なんでよ! あたしが能登のこと好きになったんじゃなくて、能登があたしに惚れてるの!
なんで、あたしがこんなにビクビクしなくちゃなんないのよ!
もー、ムカツク、ムカツク!!
マジ、ありえねぇ!

大体、なんであいつはへらへらしてんのよ!
あたしが、こんなにすっ……
す………
………
あたし、あいつにまだ何も言ってないよね……
……なんであたしって、こうなんだろう。
いっつも自分のことばっかりで…

「……ほんと。 マジありえねぇ………」

小さな声で呟いた時、ちょうど、ビルの隙間から差し込んだ夜明けの光。
手をかざす間も無く、まともに顔に当たって目に染みる。

ちょっとだけ涙が、滲んだ。

                                                                    おわり。

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