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70 竜児の企み sage 2010/01/12(火) 12:26:29 ID:wxJ7cBBZ


「たたた、大河! 大変だよう!」
「どうしたの? みのりん!?」
男らしく駆け寄ってきた櫛枝が大河に抱きついたのは、昼休みのことだった。
それが櫛枝実乃梨でなければ、流血を見たであろう攻撃的なタックルだったと、目撃者は語る。
「大河、最近高須くんとは不仲じゃないよね?」
実乃梨の目は心なしか血走っていた。至近距離から問い詰められる大河は何が何だか分からない顔をしている。
「え! そんなこと! あるわけない……よ」
じぃっと大河の顔を見つめる実乃梨。
「じゃあなんで言い澱むの?」
「そ、それは……」
あれが手乗りタイガーの異名をとる逢坂大河か、というほど小さくなって顔を赤くする大河。
「なにか、心当たりでもあるの?」
大河はこくりと頷いた。
「だってね、竜児ったら最近キスしてくれなくなったし。
いつも起こす時と、出発の時と、帰ってきてからと、寝る前と、必ずしてくれてたのに。
最近、忘れることもあるし。それに都合がつかないっていって、最近はうちにも来ないし」
「そうか、やっぱり恐れていたことが起きたか」
「みのりん、鼻血鼻血」
「おっとごめんね大河」
手早く処理する実乃梨。内心、しすぎだろ、と思わないでもないが、幸せに口を挟むのは野暮というものである。
「これはあれだね」
「え! みのりん、何かわかるの?」
「うん、大河、私はね、高須くんの現場を押さえてしまったのだよ」

***

「頼むっ!」
竜児が亜美に両手を合わせて祈っている姿が、そこにはあった。
「えぇ、なんで亜美ちゃんが高須くんのお願い聞かなきゃいけないの?」
「いや、だって大河に部屋は借りられねぇし、そしたら川嶋の家しかなくってな。
それに当日は香椎や木原も来るんだ。それだけ大勢が楽しむには川嶋の家か大河の家しかねぇんだって」
「だからって一日貸してくれなんて」
「いや、半日でもいいんだ。だが、大河に知らせちゃならねぇ。それに、その日親御さんだっていないんだろ」
「うん、まぁね」
「頼む! お礼はするから」
「ふーん……。じゃあ代わりに何でも私の言うこと聞いてくれる?」
「う……、わ、わかった」
「私の脚を舐めろと言ったら舐められる?」
「女王様かよ。ってかそんなこと俺にさせてぇのか?」
「例えばの話よ。どう? できる?」
「わかった、なんでもする」
「なら、いいわよ。その言葉忘れないでね」

***

「その時のあーみんの顔は世にも黒かったのであった」
「みのりん、それ誰のモノマネ?」
「大河、高須くんは大河に知られないように、よからぬことを企んでいるのだよ、ワトソンくん」
「よからぬこと?」
「そうだよ。みんなで、親御さんがいないときに、高須くんと姦し娘三人とが、一日かけてするってことは!」
「え? え? え?」
「これはね、大河、世に言う『三年目の浮気』なんだよ!」
背景にドギャシャーンという文字が現れるような言い方で、みのりんは言い切った。
その瞬間、大河の顔は真っ赤になって、そして白く燃え尽きたように倒れ去った。
――そういえば、あっちの方もご無沙汰だったわ。
――もっと私の身体を人身供養しなければならなかったのね。
と今際の時に大河は思った。


「で、話ってなんだ?」
「で、話ってなんだい? 高須くん?」
「お、おぅ。ってなんで怒ってるんだよ、櫛枝」
「怒ってる? 私はこれっぽっちも怒ってないよ。ちょっと憤怒してるだけで」
「それって怒ってるだろ。いや、まぁいいや、櫛枝の方から先に言ってくれ」
「いやいや、高須くんのターンだよ」
「ターンって。う、じゃあ、次の週末の土曜日、空いてるか?」
「空いてるけど、誠くん。私まで酒池肉林に組み込むつもりかい?」
「え? しゅ、酒池肉林? 誠くん?」
「知ってるんだよ、私は。
高須くんは大河に内緒で、あーみんの家であーみんとか、香椎さんとか、木原さんとかと一緒に――」
「そうそう、それに北村と能登と春田と、うちの泰子と」
「え?」
「ん?」



今、大河はキレていた。
キレまくっていた。
初め、みのりんからその事実を聞いた時、大河に訪れたのは深い悲しみ。
そして次に訪れたのは、激しい、怒髪天を突くような怒りだった。
――結局、竜児も私を捨てるんだ。
――それなら、それなら、私は
「竜児をめたんこたんにしてやる」
大河の装備はフル装備。ふりふりのドレスに、使い慣れた木刀(withさらし)である。流血にも万全だ。
「竜児め、竜児め、絶対にユルサナイ。ヤッテヤル。ヤッテヤルヤッテヤルヤッテヤル――」
そこにみのりんからメールが届いた。
心優しいみのりんは、私のために竜児の犠牲にもなるかもしれないのに、現場に潜入してくれたのだ。
こともあろうに、竜児はみのりんまで呼んだのだという。
――恥知らず。助平。卑猥。淫乱。
『高須くんが、あーみんの家に、来た』
大河は立ち上がった。見慣れたマンションのドアを開ける。左手で握った木刀を握りしめて。

「まったく櫛枝も相当早とちりだな!」
「北村、頼むからもう一枚だけ、服を着てくれ。それは局部しか隠していない」
「そうだぜぇい、北村くーん。大河は高須くんの身体にはなれたが、男の身体には慣れてないんだぜ」
「それはそうと、俺とか春田とかも呼んでよかったのかよ高須?」
「数が多ければ多いほど、楽しいだろ? こういうのは」
「でも、本当は明日なんだよね?」
「まぁ、明日は最近かまってやれなかったぶん、二人で過ごそうかと」
「あぁん、やっちゃん寂しいでガンス。明日一日、家にいないでほしいって言われちゃったんでヤンスよ」
「まぁまぁ、高須くんのお母さん。明日は一緒に買い物にでも行きましょうよ」
「お、木原も優しいな」
「だって高須くんのお母さん、美人なんだもの。麻耶も私もいろいろと教わりたいのよ」
「あ、私も行っていい?」
「あーみん、どこ行くのぉ? 俺っちも行くぅ」
「うるさい春田、引っこんでろ」
「うわぁん、木原さんが怖いよぉ」
「「「春田が悪い」」」
「でも、泰子さんもよくバイトを認めましたね」
「うん、竜ちゃんがね、『大河に贈り物をしたい。それだけは自分で稼いでそのお金で贈りたい』っていうから。
愛の力に負けたでヤンスよ」
「ひゅーひゅー。熱いぜ高須くん!」
「やめろよ櫛枝。葉っぱがとれる」
「北村、頼むから局部with葉っぱonlyはやめてくれ」


ピーンポーン。
と玄関のベルが鳴った。
「あ、来たみたいだよ、高須くん」
「あぁ、そうだな」
竜児は、いい鴨が来たぜ。一緒にネギと頂いてやる、と頬を歪めた。
わけでなく、愛しの大河が来たのに、少し、緊張しているようだった。
綿密に組み立てた計画。みんなで、みんなで祝うために。
竜児は立ち上がった。大河を迎えに行くために。
みんなで玄関に行く。皆の手には、クラッカー。
香椎と木原は横断幕。
そして、竜児がドアを開けようと前に出るより先に。
「へぇい、タイガー!」
春田がドアを開ける。
「「「「「「え!?」」」」」」
誰もがその春田のKYに驚愕。
そして、その瞬間――
「タイガーっ! お誕「うぉっりゃぁああああああああ」うぎゃああああ」
――大河が木刀を振るい、春田が沈んだ。
天網恢恢疎にして漏らさず。
悪が滅びた瞬間である。
気の抜けたように、やっちゃんのクラッカーが鳴った。
「え?」
大河は沈んだ春田を見、そして周りのみんなの姿を見(北村は視野から外しつつ)、横断幕の文字を見て。
そして目の前の竜児を見て。
呆然とした顔で。
「お、お、お、お、お」
どもる竜児。
櫛枝はその背中を少し押して、
竜児は大河を抱きしめる。
「お誕生日、おめでとう」
一斉にクラッカーが鳴った。

「大河、もう泣くなって」
竜児は大河を背負いながら、家に帰る途中である。
他のみんなは、泰子が持ち込んだ酒によって沈んだのである。
「だって、だって、私また勘違いして、それに竜児を疑ったりして、は、春田を殴って」
「いや、春田を殴ったのは正しい判断だ」
木刀で殴られた春田は、なぜかそのあと、すぐに復旧した。バカはああいう衝撃に強いのか。
曰く、「いつも親父に殴られ慣れてるし。ってか、なんで俺殴られたの?」といった具合だった。
「ありがとう、竜児」
大河が、竜児の方に顔をうずめながら言う。
「おう」
竜児は、前を見てそれだけ言った。
大河の軽い体重。肩から零れる大河の髪。大河の匂い。大河の温かみ。
竜児はそれだけで幸せだったのだ。
そのあとは無言のまま、大河の家まで。
途中から眠ってしまった大河を、ベットに運ぶ。
「竜児、今夜は一緒にいて」
目を覚ました大河はそう言った。
「もちろん」
竜児は、せいぜい恰好をつけてそう言う。
そして、思い出したように、ポケットからあるものを取り出した。
「大河、最近一緒にいられなかったのは、バイトしてたからなんだ」
「バイト? やっちゃんが許したの?」
「まぁな。それでさ、これを大河に」
竜児はその箱からシンプルで、だが可愛い小さな石のはめられた指輪を取り出した。
「あ、これピンキーリング」
「あぁ、大河に幸せを、と思って」
竜児は優しく大河の左手の小指につけた。
「大河、誕生日おめでとう」
「ありがとう、竜児」
そして、どちらからともなく、
唇を合わせた。


69 名無しさん@ピンキー sage 2010/01/12(火) 12:25:51 ID:wxJ7cBBZ
空気転換に、久々に乗せるぜぇ!
竜児×大河withみんな
一人称が間違ってたらごめんなさい
そして天啓をくれた前スレの埋めに感謝。
エロなしは勘弁。

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