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295 ◆nw3Pqp8oqE sage 2010/03/14(日) 00:54:05 ID:xMTz38Vs






「でさ、この前なんか駅前で手つないでいちゃついちゃってさ、マジ似あわねーって感じ〜」

明るい髪の色をしたまさに今どきと言えるギャル風の子がそう話す。

「そう?私はお似合いだと思うけどな〜。」

話した子とは対照的に落ち着いた清楚な雰囲気の子が答える。

「ええっ!絶対似あってないよ!男の方が劣ってるって言うか、基本この学校にいい男いないよね〜」

「それは同感かも。あたしも誰かと付き合おうと思わないしね。でもなかなかいい男の人とは会えないと思うしね。」

彼女たちにとってはいつも通りの放課後を過ごしていた。ここは大橋高校の近くの「スドバ」と呼ばれる喫茶店。
始めて聞いた人は全国チェーンの少しお高い緑の人魚が描かれた店を思い描くだろう。
だがこの店は基調の色は緑だが描かれているのは髭のおじさん。この「須藤スタンドコーヒーバー」の店長が描かれている。
そっちの方の権利権などで訴えられたら太刀打ちできなそうだがこの近辺ではそれなりに好評を得ている「スドバ」に大橋高校の2−Cの美少女達が集まっていた。

「そうそう!ここの学校の奴はバカときもい奴しかいないしさ!」

2−C美少女トリオの1人木原麻耶がそう話す。

「そうね〜みんな楽しくていい人たちなんだけど、付き合おうとは思わないわね〜何というか子供っぽいって気がしてね。」

同じく2−C美少女トリオの1人香椎奈々子が言う。

「・・・・・・・」

ここにいるのは3人、でももう1人の美少女は携帯とにらめっこしていた。

「で?亜美ちゃんはさっきから誰とメールしてるのかな?」

「ええっ!?い、嫌だなぁ奈々子・・・あたしは誰ともメールしてないよ。」

携帯が閉じる音がし、明らかに慌てた感じでもう1人の美少女、川嶋亜美がスマイル満開で答えた。

この「2−C美少女トリオ」はもともと木原麻耶、香椎奈々子の2人で「2−Cかわいい系女子ツートップ」と呼ばれていた。
容姿が優れる子は特に色恋に敏感な高校生において特別な存在とされる。
確かに顔がいいなら入学時人気を博した手乗りタイガーなどもいるが性格や雰囲気を交えると、
活発な木原麻耶、年の割に色っぽい香椎奈々子が人気となった。(二人が仲良しでよく一緒にいたのもあった)
そして5月、現役女子高生モデルの川嶋亜美が転校してきた。
容姿、性格、共に良く男女両方に大人気の彼女は特にこの二人と仲良くなりいつしか「2−C美少女トリオ」と呼ばれるようになった。


今まで会話に入らず携帯を凝視していた亜美が切り出す。

「にしてもさ、もうすぐクラス替えだよね。あたしらさ、また同じクラスになれるかな?」

「クスッ・・フフフ・・・」

2人が顔を合わせ笑う。

「なっ・・・なによ急に!あたしそんなに変なこと言った?」

少し慌てた感じで亜美が尋ねる。すると奈々子がまだ少し笑いながら

「だって、それ麻耶が最初の方に言ったことだもん。亜美ちゃん本当に携帯に夢中だったんだなって思って。」

「ほんとほんと!あのときは亜美ちゃん会話に混ざってたはずなのに覚えてないんだね。」

麻耶もそう続く。

「・・・そう言えばそんな気も」

気まずそうに亜美が答える。

「で、亜美ちゃんは携帯で何を?」

と奈々子、麻耶も

「亜美ちゃん!私たちの仲だよねぇ?」

そう問い詰める。少しの間をおき亜美は体勢を少し直して

「し、仕事よ。仕事。ちゃんとやり取りしてたから耳に残らなかっただけだもん。」

目をそらし髪を払いながら答える。

「な〜んだ、つまんないの。」

麻耶口をとがらせそう言い放つ。

「ふ〜ん?会話も耳に入らないくらいの内容の仕事ねえ?一体どんな仕事なのかしら?」

「それは・・・条件面でね?いくら春休みになるっていってもあたしは学生なわけだし!」

そんなことを言いまた携帯に目をやると今の時刻が映し出される。それを確認すると亜美は

「ごめ〜ん、少しお手洗いに行ってくるね〜」

「あ、いってらっしゃい」

麻耶が手を振り亜美がカバンを持ち席を立った。


「けどモデルも大変だよね。休むわけにもいかない世界だし。」

麻耶がそう切り出す。

「そうかしら?あの感じ、あんなに真剣に携帯を見る亜美ちゃんなんて始めてみた気がするけど。」

亜美の様子を気にした奈々子がふと疑問を口にする。

「そう言えばそうだね。いつもこういうとき亜美ちゃんあんまり携帯いじらないし仕事の連絡って電話だったような・・・」

2人の間に流れる沈黙・・・亜美はまだ帰ってくる気配はない。

「亜美ちゃんの好きな人ってさ・・・高須君しかいないよね?」

麻耶が若干声を小さくしながらそう言う。

「そうね・・・それ以外に亜美ちゃんのよく話す男子ってまるおくん位だし。」

「でもでも、亜美ちゃんとまるおはないよね?いつもの感じを見ると!」

少し声を大きくして麻耶が即座に否定する。

「あったら麻耶も困るしね?」

意地悪気に奈々子が言う。

「今は私のことはいいの!ってことは?」

「業界人ってこともなさそうだしやっぱり」

目つきは悪いが人のいい少年が2人の間に浮かぶ。

「お待たせ〜ってとこで悪いんだけどこの後用事があるからもう行くね。またね〜。」

戻ってくるなる開口一言亜美はそう言い放つ。

「うん・・・またね。」

「またね。亜美ちゃん。」

麻耶は困りながら、奈々子はいつもどおりに亜美を見送る。
そして亜美は机の上に自分の分の代金をおき店を出る。

「聞かれたかな?」

亜美が出て行ったのを確認し、麻耶が言う。

「たぶん大丈夫だと思う。それに・・・」

少し言い淀む奈々子。それに対し麻耶も

「それに?なに奈々子!?」

『早く!』とせかすように身を乗り出し返事を待つ。

「亜美ちゃんの化粧の感じが変わったような・・・」

2人の間に流れる一時の間。



「・・・確かにトイレにしては長かったね。」

再び顔を合わせる二人。

『やっぱりなんかあるのかな?』

そう思いつつ2人の足はまだ席から動かなかった。




スドバを出て亜美はいつも行く家の方角ではなくそれとは逆の方向へ前髪をいじりながら足を進める。
初めは若干急ぎ足だったが携帯に映る時計を見るとまだ時間があるようだ。
汗をかいて行くのも嫌なので長い脚の歩幅とペースを緩める。

『川嶋亜美』中高生を中心に人気のある売れっ子モデルだ。
実の母に有名女優の川嶋安奈を持ち、流れるような長髪、
身長165センチの八頭身、顔は拳ほどに小さくそして体の線は細いもののスタイル抜群の美少女だ。
そんな売れっ子ゆえに彼女は悩みを抱えることになる。それはストーカーだ。
売れるにつれてファンは増えるもののその全部に常識がある人なはずもなく、数が増えるほどそんな非常識なファンができてしまう。
こと女性についてはその問題は深刻なのだが亜美についてしまったストーカーは一筋縄でいくものではなかった。
普通の悪質なストーカーなら警察に突き出せば済むがこのストーカーは撮ったプライベートな写真を送ってくるだけと十分気味の悪いものだが何せ実害がない。
そのため警察も踏み込んだことはできずストーカーから逃れるために、亜美は都会から少し離れたかつて幼少を過ごしそして伯父母の住むこの大橋の地へときたのである。
仕事を休業してまでこの地へ来たのにかかわらず、ストーカーはここまで付いてきた。
そのおかげでストレスのたまった亜美は暴飲暴食を繰り返してしまいモデル体系から少し遠のいてしまった。
本来ならここでの回避生活も少しのはずなのにストーカーに見つかるという誤算、それに亜美にとっては珍しい出会いもあった。

ゆっくりだが足を確実に進めつつ亜美は彼女たちとの出会いを思い返す。

まず「逢坂大河」自分から見ると相当小柄なこの少女は亜美にとっての宿敵だった。
いつもどおりみんなに好かれる亜美ちゃんだと思いこの小さな少女にも奉仕させてやろうと思った。
しかしこの少女は無視するだけでなくこともあろうにモデルの、亜美ちゃんの顔を殴った。
さらにこいつは転校先で同じクラス!距離を置き様子を見ていたがどうやら大河は友達がいない様子。
いるとしたらなぜか世話を焼いている高須竜児くらいだった。

気に入らないやつだったしどうせこの高須ってやつも亜美ちゃんにメロメロだしこいつを1人ぼっちにしてやろうと思った。
でもこの「高須竜児」いや高須君は最初こそあたしに興味を持ってくれたみたいだけど学校だとファミレスの時とは距離感が違うように思えた。
祐作はさておき多くの男子の視線を感じたけど高須君からはあんまり感じなかった。
ゴミ拾いの時に「俺に好かれようと努力して何の意味がある?」って言われた時、初めてあたしを見てくれた気がした。
モデルとしてでなくただの川嶋亜美として。そしてストーカーに怯えることなんかせずに立ち向かっていったタイガーを見たら何か吹っ切れた。
そのあとは夢中だった。勢いでストーカーに向かって行って・・・後は気付いたら高須君の家に着いていた。
タイガーが無茶できる理由は高須君がいるからだと思う。あたしがその時無茶できたのもきっと高須君のおかげ。
なぜか高須君といると安心する。思えばあの時からもう高須君に惹かれていたのかもしれない。

けど高須君を好きになるわけにはいかなかった。夏にあたしの別荘に行って気づいたことが二つあった。
まず高須君の好きな人、これは見てればわかりやすいよね?明らかに彼女に対する態度がいつもと違うもん。
そして最後の思い出にと思ったこの旅行だったけどもう一つ気づいてしまったこと。それはタイガーの気持ちだった。
好きという気持ちではなかったと思う、けど応援してる彼の恋が成就することがどういうことかというのを気づいてしまった。
そしてなぜかあたしにはタイガーを救ってやらなきゃという思いが生まれていた。

迎えて二学期に訪れた文化祭準備、あたしなりの考えを実践してみた。
プロレスをやるはめになってやる気をなくしているクラスのやる気を出させることしてクラスのムード作りを買って出た。
基本的に大河はみのりちゃんと高須君くらいしか話し相手がいない。だからまずあいつをクラスに馴染ませてやろうとした。
そうすればまずあいつが感じている孤独感をクラスに居場所を作ることでなくそうと考えた。
文化祭はクラス全体行事みんなに馴染むにもってこいのイベントだし最初は嫌がっていたけど父親が来るとかで主役をやりたいと言い出したりと徐々にやる気を出してくれたようだ。
みのりちゃんと高須君がケンカするなんて出来事もあったけどあたしにとっては順調に文化祭当日を迎えられていた。
けど当日、順調にことは進まなかった。ショー自体は上手くいった。クラスの出来としては最高だった。大河が主役を演じることがなかった点を除いて…
続くミスコン、亜美ちゃんがばっちりなのは当然として大河も麻耶たちのおかげで完璧なメイクで登場。
父親は最後まで来なかったみたいだけどミスコンも無事優勝。まあ背はともかく素材はいいしあたし的には当然かな?
けど結果的にこの優勝がまずかった。その後の福男レースは奮起した高須君とみのりちゃんの優勝。
大河の自立を促すつもりがさらに高須君への思いを強めてしまった。そして同時にみのりちゃんにも・・・

自ら糸を絡めてしまった。みのりちゃんと大河どっちとくっつくべきかは高須君が決めることだということはわかってる。
けど高須君は気付くだろうか?自分とみのりちゃんがくっついた後の大河のことを。
そしてもう一人その事実に気づいてる人がいる。

高須君は大河は祐作が好きなんだと思ってる。大河が言ってる通り高須君とみのりちゃん、祐作と大河が結ばれればと思っていた。
恐らくその事実を知るもう一人もね。けどそうもいかない事態が起きた。それは生徒会長選挙での祐作の告白だ。
全校生徒の前で前生徒会長狩野すみれに告白・・衝撃的な告白ののち大河がすみれに喧嘩を吹っ掛け停学。
その後始末で2−Cのみんなが見てしまった。大河の手帳の中身を。でもそこに映るキャンプファイヤーの写真。
そしてもう一枚・・・これはあたしともう一人しか気づかなかった。もちろんあたしは知ってたことだけど今は後悔・・いやずっと後悔している。
知ってるくせにまた考えこんでいるいる奴に、とっさに出てしまった嫌味、自分の嫌いな本性が出てしまったこと。彼女の罪悪感を強めてしまったこと。
お詫びの意味も込めてクリスマスパーティーを盛り上げようとしたけどもう遅かった。
大河はクリスマスの申し子なんて言ってすっかりクラスの一員になっているようなんだけどみのりちゃんは考えっぱなしで落ち込んでいる様子。

その時ふと思った。『あたしはなんでこんなとことをしているんだろう』って。
もとはと言えば高須君があいまいな態度をとってるせい。
好きなのはみのりちゃんのくせに大切なのはいつも大河。
なんて違う・・仲間はずれの自分がさみしいだけ。そんな思いをふと彼にぶつけてしまった。
馬鹿な高須君は気付いてくれなかったけどね。
あたしも彼が好きなんだと思うけどそんな事をしたらむちゃくちゃになるだけじゃ済まない。
クリスマスパーティー自体は成功を収めたんだろうけど相変わらずあたしを見てくれなかった高須君にいらつくだけであたしにとっては寂しいだけのパーティーになった。



にもかかわらずあの三人は同じことを繰り替えし、
言われるがまま再トライの高須君、自分の感情を隠して高須君を応援する大河、ずっとこのままを意地でも続けるみのりちゃん。
気持ち悪いったらありゃしない。
特に一度告白しようとしたのにそれをなかったことにできるはずがない。
そうして逃げてるみのりちゃんに一番腹が立った。修学旅行にその本意を聞こうとした。
けどそこに誰もたどり着こうとはさせなかった。無理やり聞こうとしてもいつもはぐらかす。
そのくせそのことを根に持って陰険な攻撃。そしてあたしはすべてをぶつけた。

もう駄目だと思った。自分で居場所を壊して、もうここにはいられないと感じた。
けど高須君はあたしがいなくなったら寂しいと言った。だけどその言葉は残酷だよ…
それは友達としてだとわかったから・・・それでも嬉しかった。だってあたしを見てくれた。
だから残ることにした。みのりちゃんとも仲直りして決めたんだ。ここでみんなと卒業するってね。

_


もう一度時間を確認する。うん。ちょうどいい時間だ。カバンから手鏡を出す。うん。今日も亜美ちゃんかわいい。
なんて・・かわいい亜美ちゃんは武器にならない。なんせ高須君が相手だから。
それにこの辺はストーカーに付かれていたときに高須にかくまってくれたところ。確かにたくさんのことがありすぎた。
取り返しのつかないところまで行ってしまった感じもある。けど今こうしてメールで家まで呼んでくれたってことはあるいは

『川嶋!…いや亜美って呼ばせてくれ!今まですまなかった。俺と付き合ってくれ!』

なんてことはない。か。だいたい現実味がなさすぎる。
大体へたれの高須君が告白するなんてありえないし・・・
フフフ、だったらこっちから襲ってみようかな。そしたらあるいは・・・

多分あたしはにやつきながら道の中央にいたんだろう。周りの目を気にせずに・・・




今回はここまでです。明日というか14日中にラスト投下します。もう少しお付き合いください。駄文失礼しました。


294 ◆nw3Pqp8oqE sage 2010/03/14(日) 00:51:40 ID:xMTz38Vs
昨日の続きを投下します。設定についてですが時期は二年の三月人間関係についてですが・・・
パラレルワールドということで!言葉足らずですいません。では次レスから投下いたします。

このページへのコメント

アミちゃんかわいい(´∀`)

0
Posted by 名無しの一号 2012年12月06日(木) 22:49:20 返信

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