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キス中 2009/10/11(日) 01:54:16 ID:VkYBcDpQ



とある休日。
竜児くんの家の居間で、ただ一緒にTVを見ていた…はずだったんだけど。

気付いたら肩に寄りかかってて、手を繋いでて、手の甲を指でスリスリしてるうちに
竜児くんの膝の上に座り、空いてる手を竜児くんの首に回し、額を合わせ、キスをしていた。

まあ、要は、いつも通りな展開になってしまったわけで…。



  〜〜 キス中 〜〜



「………んっ」

もう何度目だろう。
竜児くんに唇を寄せ、キスをする。
竜児くんが唇を寄せ、キスをする。

柔らかくて。竜児くんの息が少しこそばゆいけど暖かくて。
ただ口を合わせるだけの軽いキスなのに、こんなにも胸が熱くなる。

竜児くんの首に顔を埋め、額をスリスリして甘えていると、
それに合わせて私の髪を撫でていた竜児くんが口を開いた。

「奈々子は本当にキスが好きだよな」
「…キスは嫌?」
「いや、その、するのは全然良いんだけどな」

前髪をいじりながら、ちょっと目をそらす。

「やっぱり回数がかなり多いから、キスそんなに好きなのかなって」
「…そうかしら?」
「おう。さっきもそうだし、しょっちゅうしてるだろ」

そんなに言われるほどキスしただろうか?
先週を振り返ってみる。

…いっぱいしてた気がする。
朝昼晩はもちろん、隙あれば暇あればしてた気がする。
学校自宅関係なく、最低一時間に一回はしてた気がする。

「…どうりで麻耶や亜美ちゃんが最近妙に距離を取るわけね」
「気付いてなかったのかよ」

最近は竜児くんを中心に見て考えて行動してしゃべってたから、
周りとの関係を少しおざなりにしてしまったようだ。

「あそこまでくると、アル中ならぬキス中かと思うぞ」
「…中毒患者扱い?」
「しかも自覚症状ない患者、だ」

う〜ん、と俯き加減で私に言葉を投げかけてくる。

「でも、川嶋たちと疎遠になるのも問題だな。…治療の一環としてキス断ちでもしてみるか?」
「本当に病気扱いなのね…。そんなことしたら余計に悪化すると思うわ」
「…確かに反動というか、奈々子の禁断症状は凄そうだな」
「深刻そうに言わないで」

治すなんて冗談じゃない。
どれだけ私が竜児くんのことが好きか。
どれだけ私が竜児くんに甘えたがっているか。
その二つを同時に表現するのにキスが一番適しているから。
だから、キスをするのだ。いっぱい。

竜児くんが心配してくれるのは分かるけど、麻耶たちはどちらかというと
生暖かい見守り方をしているだけな気もするし。

ふくれてプイっと顔を背けると、机の上にオレンジジュースの入ったコップが見えた。
…そちらが病気扱いするなら、こちらにも考えがある。

「治療法ならあるわ」
「ん?キス中のか??」
「これが薬」
「…どうみてもオレンジジュースなんだが」

私が指差した先を見つめ、頭に?を三つくらい浮かべている竜児くん。

「そう。これを患者に経口投与することで症状が緩和されるかもしれないわ」
「…かもしれない、のかよ。まあ要は飲ませろってことだろ」

やれやれとばかりにコップを手に取り、私の口に寄せてくる。
でも私はそれを指で押し留めた。そんな簡単には終わらせない。
もっと甘えてやるのだ。

「実は投与の方法が特殊なの」
「やり方まであるのかよ」
「ええ。口移しよ」
「…は?」

ポカンと口を空け、事態が飲み込めていない竜児くんを尻目に、
私は彼に唇を向け目を閉じた。

「おい」
「……」
「…なんか、すでに症状悪化しないか?」
「………」
「………もしも〜し」
「…………」

強引すぎた?
ちょっと間が空いたことで、不安に思ってしまう。
でも杞憂だった。
密着してるから、スッと竜児くんの腕が動いたのを感じる。
そしてカランと氷が鳴り、コップを置いた竜児くんの手が私の頬を撫でる。

ちょっと爪を立てて擦るのは、子供じみた仕返しをする私を
あやす親のようで。そんな仕草から竜児くんの暖かさ優しさが
伝わってきて、これだけで蕩けてしまいそう。

「んっ…」

竜児くんの唇の感触。
そして、彼が口に含んだジュースがゆっくり送り込まれる。

「……んっ、…んくっ、ん、ちゅっ…」

竜児くんの口の中で温まったジュースが、
より彼の体温を感じられて、頭がしびれそう。
背中から首にかけて、ゾクゾクとした震えが駆け巡る。

顎に手を当て飲みやすいよう誘導してくれる竜児くんの優しさがたまらない。
飲み終わった私の口元から一筋垂れているのを見逃さず、
丁寧にキスで拭き取ってくれる。

「…ん、ふ…ぁ」

頭がボーっとして何も考えられない。
身体の中まで竜児くん温かさが伝わっていくかのよう。

さすがに恥ずかしかったのか、竜児くんが顔を赤くしながら、
でも私の目を見つめて優しくたずねてくる。

「…症状はどうだ?」
「……えと、ね。…まだ、お薬足りないかも…」
「はいはい。お望みのままに…」

おかわりを求める私に苦笑しながら、
竜児くんはまたコップに手を伸ばした。



〜〜 終 〜〜







その後、おなかいっぱいお薬飲ませてもらって。
返杯とばかりに飲ませてあげて。
治すどころか症状はますます悪化するばかり。


「……おくしゅり、おいしいでしゅ」

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