最終更新: text_filing 2010年05月23日(日) 04:03:48履歴
355 名無しさん@ピンキー sage 2010/05/16(日) 15:25:33 ID:Fw6CK3OD
嫌な予感がする……。
最近大橋高校の二大番長、逢坂さんと高須君が何時も一緒に行動してる。
何か起こるかもしれない…
学校の皆もそう思ってるのかびくびくしてる。
マルオ君にもその旨を伝えてはいるんだけど、
「高須も逢坂も良い奴だっ!」
そう言って全く取り合ってくれない。
もう!何かあっても知らないんだからね!
*****
(今日の夕食は何にしようかしら?)
今日は何時も行っている、スーパーとは違うスーパーで特売があったから来て見たんだけど、特売のコンテナの回りは、少しでも夕食の食材を安く仕入れようとしている主婦で賑わっていて、とても私が入り込めそうな気がしなかった。
多分入ったとしても、直ぐに弾き返されてしまう気がする。だけど私は、何とか入れないかと、未練がましく周りをうろうろしていた。
しばらくしてから、主婦の方々が散り散りになっていった。
「はぁ・・・」
私は溜息をつきながら、後ろに振り向いた。そして固まった。
私の視線の先には、男の子(多分4歳ぐらい)と、物凄く目付きの悪いヤクザがいた。男の子は泣いていて、ヤクザは何かしようとしている。
(どうしよう?)
周りへ視線を送って見るけど、誰一人としてそれを止めようとする人がいない。と、そんな事を考えているうちにそのヤクザが動き出した。鞄から何かを取り出そうとしている!
「…っく!」
私は、我を忘れてそのヤクザに突進した。
どんっ!
「ぐあっ!」
ヤクザは、倒れながらノートの切れ端で作った、キリンを手放した。
・・・・ん?
・・・・キリン?
・・・・ノートの切れ端?
「・・・いってぇ、何なんだよ・・・」
もし、今突き飛ばしたヤクザが、泣いている男の子を宥めようとしているだけだったら?
もし、今突き飛ばした人が、ヤクザじゃなくて目付きが悪い高校生だったら?
その目付きの悪い高校生が、同じ高校に通っていて、その高校の番長だったとしたら?
自分のクラスメイトだったとしたら?
私の次の行動はどうすればいい?
多分その答えは・・・・・・
だっ!
その場からすぐに逃げるだと思う。
「・・・あっ、おいっ!」
後ろから声がしたけど、無視して出口まで思いっきり走る。明日会うとしても今日逃げ切ればいくらでも対策は練れる!
がしっ!
「・・・っ!」
(うそっ!)
全力で走ったのに、もう追いつかれてしまった。・・・どんだけ足遅いのよ私。
「待てって」
彼・・・大橋高校の二大番長高須竜児は、薬を取られたヤクザのような目で私を見ていた。
「・・・いっ、いやっ!」
私は全力で腕を振り払おうとしたけど、やっぱり男の人には叶わなかった。
殺されるっ!
「待て待て、怒ってないから、取り合えずそれは放しとけ」
「え?・・・あっ!」
逃げるのに必死になって、買い物籠(ちなみに中身は牛乳だった)を持ったまま店を出ようとしていたみたいだった。高須君が止めてくれなかったら、危うく万引き犯になる所だった。
「大丈夫か?」
「・・・うん、ありがとう。・・・その、止めてくれて・・・」
「?・・・ああ、別にいいよ、大した事はして無いし。たださぁ、何で突き飛ばしたんだ?せめて理由を聞かせてくれ」
「えっ!・・・え〜っと・・・その・・・。たっ高須君があの子に何かしようとしてる様に見えたから。つい、ど〜んって」
ちょっと茶目っ気を出しながら言ってみたんだけど、変じゃ無いよね?
「ついって・・・お前なあ〜・・・。俺はただあの子が、俺の顔見て泣いちゃったから泣き止ませようとしてただけだよ」
「そうなんだ。私はてっきりあの子が何か見てはいけないものでも見たのかな?って思ってた」
「・・・何だよ、見てはいけないものって・・・」
「薬とか?」
言い過ぎたかしら?なんか目に見えて落ち込んでるんだけど。
「お前は俺を何だと思ってるんだよ・・・」
「大橋高校の番長」
「即答すんなよっ!」
「しかもヤクザがらみの」
「嫌な意味で過大評価しすぎだろっ!・・・はっ!」
今の高須君の形相で人が高須君を中心に離れて行っている。私もその一人だったりする。だって怖かったんだもん。
「悪かった。少し取り乱した、謝るから逃げないでくれ」
「・・・怒ってない?」
「ああ」
「殴らない?」
「ああ」
「怒鳴らない?」
「ああ」
「如何わしい所に連れて行ったりしない?」
「・・・ああ」
「薬飲ませたり、勧めたりしない?」
「・・・・・・ああ」
「海に沈め「もういいだろっ!」・・・嘘ついた」
「・・・くっ、わ、悪かった」
「高須君顔怖いわ、近寄りたくない」
「生まれつきだ!」
「高須君顔怖いわ、近寄りたくない」
「2回も続けて言うなよ!」
「高須君の顔怖いわ、まるで般若みたい。近寄りたくないわ」
「グレードアップさせるなよ!余計傷つく!」
「ふふふ。高須君おもしろいわね」
「もう勘弁してくれ・・・」
高須竜児。思っていたよりも悪い人じゃないみたい。何て言うか・・・すごくからかい甲斐がある。
「そう言えば、何で般若君がスーパーなんかにいるの?」
「まだそのネタ引っ張るのかよ!」
「ふふふ、面白くてつい」
「そうかよ。ここにいた理由なんか、一つしかないだろ」
「やっぱり、親から離れた子供をさらっていくのかしら?」
「違う!それと『やっぱり』って何だよ!俺はただ特売目当てで来たんだよ!」
「特売?子供の?」
「しつこいわ!」
「口が勝手に動いちゃうの」
「じゃあ閉じとけよ!」
「む・り・♪」
「何でこんなに疲れなきゃいけないんだ・・・」
「ふふふ、ごめんなさい。謝るから許して、般若君」
「全然謝る気無いだろ!お前!」
*****
「へぇ〜高須君が家の事やってるんだ」
「ああ、そうだ。」
今聞いた話を簡単に説明するとこんな感じかな?
親が働いているから、少しでも楽できるようにと、家事をしていると言う。
それで今日は特売があったから、行きつけのスーパーではなく、こちらに来たらしい。
けど、特売目当てで来たはいいけど、予想以上に人が来ていて、大変だったみたい。
取り合えず、目当ての特売商品(胡瓜一本20円)を手に入れた後に、その人ごみから出ようとして躓いたらしい。
その拍子に顔がその男の子の目の前に来てしまって、泣かせちゃったみたい。
それで、泣き止ませようとしてノートを破ってキリンを作ったけど、全く効果が無くて、最終手段の飴を渡そうとしたところに、私が突っ込んだらしい。
「・・・何て言うか、大変だったね(面白いね)」
「今声が2重になって聞こえたんだが」
「あら、気のせいよ」
「・・・そうか?」
「そうよ」
「まあ、いいや。」
高須君は少し疲れたしぐさをしながら、食材を見ている。
何て言うか・・・真剣に選んでいるのはいいんだけど。顔が怖いわ。
「・・・ん?香椎?どうした?」
「なっ、何でも無いわ」
「そうか。・・・そう言えば香椎は何でここに?」
「高須君と同じ理由よ」
「じゃあ、香椎も家事やってるのか?」
「そうよ」
私の家は片親だから、私がやる以外には父しかいない。
けど、その父は帰って来るのが何時も10時を過ぎてしまうので、必然的に私が家事をやらなきゃいけなくなっていた。
「それにしても高須君が家事をねぇ・・・想像出来ないわ」
「やっぱり男が家事やったりするのは変か?」
「ううん。別にそれ自体は変でもなんでもないわ。ただ、高須君が包丁持っている姿を想像できなくて」
「そうか?」
「うん。どちらかと言うと、短い日本刀を持っている方が似合いそうよね」
「ヤクザじゃねえか!」
「正解」
「肯定するなよ!」
まあ、ホンとはそんな事思ってないけどね。さっきまでの私なら間違いなくそう思っていたと思うけど。
話していると分かるけど、高須君は番長、ヤクザ等の人とは全く関係ない。何でか解らない、けどそう確信がもてる。
高須君は年相応のちょっと・・・凄く目付きが悪いただの少年で、目付きの所為で番長、ヤクザ等の人達と同じに見られているんだと思う。
そんな風に見られて、人から避けられてきたのにぐれなかったのは正直凄いと思う。もしも私が同じ立場だったら、多分想像どうりの結果になってたと思う。
目付きが物凄く悪い、でもほんとはとても優しい、まるで漫画の主人公みたい。ヒロインは・・・誰かしらね?
「まあまあ、気にしないで早く買い物済ませましょ」
「・・・たくっ。そうだな、さっさと済まして帰るか」
「そうそう、ちょっと提案なんだけど、メルアド教えてくれないかしら?」
「はあ?まあいいけど。どうして急に?」
「献立に新しい要素が欲しいからよ」
「俺そんなに珍しい料理何て作らねえぞ」
「あら、高須君にとっては普通でも、私にとっては新しいかもしれないじゃない。だから、ね♪」
「そうか?」
難しい顔をしながら、携帯を弄っている。・・・やっぱり怖い。
「ほい、送信完了。これでいいか?」
「うん、ありがと、高須君」
「へいへい」
この人が私の大切な人になるなんてこの時は思ってもみなかった
359 名無しさん@ピンキー sage 2010/05/16(日) 15:28:22 ID:Fw6CK3OD
取り合えずこれで終了です。
簡素王を聞かせてくれたらうれしいです。
354 名無しさん@ピンキー sage 2010/05/16(日) 15:24:56 ID:Fw6CK3OD
168レスめのものです。
書いてみたので落としに着ました。
前みたいにつまらないと言われないように頑張りました。
次レスから投下スタートです。
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