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289 目を開けると  2009/12/09(水) 17:05:53 ID:36XgfCS/



目を開けると、そこに竜児の顔があった。
私の頭は竜児の腕に乗っかってる。痺れないんだろうか。たまに心配になるけど、この距離が私は好きだった。
頭が少しずつ動き出す。
――そうか、昨日も私、竜児の家に泊まったんだ。
やっちゃんはお好み焼き屋の社員旅行。
竜児と私も誘ってくれたんだけど、二人きりになれる機会だから、行かなかった。
やっちゃん笑ってたけど、二人で何をしてるかはきっと知ってる。
だってやっちゃん行く時、
「竜ちゃん、ちゃんと大河ちゃんに優しくね」
って言ってたもん。
「お、おぅ」
って竜児はなんか赤くなってたけど。今さらなのにねぇ、なにアンタ顔赤くしてんのよ。
そういう私まで赤くなってたと思うけどさ。

一人のときより暖かい布団の中で、竜児にもっと身体を寄せる。
竜児が気にしてる怖い目も、今は静かに閉じられてて、やっちゃん譲りの整った顔が、目も前にある。
竜児の胸に、耳を当てる。
心臓の鼓動。
暖かい身体。
一瞬昨夜がフラッシュバック。
顔が赤くなってることを自覚する。
そう言えば服を着た記憶がなかった。きっと竜児が着せたんだろう。
「ありがとうね、竜児」
私は小声で言う。感謝の気持ちを込めて、竜児にキス。
昨夜も何度もしたことなのに、
数え切れないほどしたことなのに、
私の胸は震えて、私の心は幸せで満たされる。
もう一度キスをする。ちょっと深めのやつ。
起きるかと思ったけど、竜児は起きない。
ちょっとつまらなかったけど、私は十分幸せだった。

******

目を覚ますと大河の顔。
長い睫毛が、小振りな口が、白い肌が、長い髪が、すべてがすべてで大河だった。
――まったく、幸せそうな顔だ。
俺は思わず小さく笑う。
大河の口から少し垂れてるよだれを、パジャマの袖でふく。
むにゃむにゃ言ってる大河も、もうそろそろ起きるだろう。
こいつのために、今朝も美味しい飯を作らなくてはならない。
名残り惜しいが、布団から出る。
ふと気づいて、俺の口も軽くぬぐった。
それが大河のつけたものとも、知らないで。
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