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0Jp+V6Mm ◆jkvTlOgB.E sage 2009/09/18(金) 23:02:56 ID:rDPLkz1/

Happy ever after 第4回

川嶋亜美は恋の百戦錬磨

と言う事になっているらしい。
私は大橋高校一の格好良い女というのが定説。そんな事当たり前か、愚民ども称えるが良いぞ。
去年までは別の女、前生徒会長てのがちょっと癪だが。
まぁ、大橋高校と言わず、同年代ならTOPクラスである事は自他共に認める真実だろう。

そして、格好良い女は数多くの恋で磨かれているものらしい。
誰が言ったか知らないけど。

私から言ってる訳では無いし、言い訳みたいで面倒くさいので否定もしない。
実際はデートすら1回しかした事がないのだが、みんなの夢を壊すのも悪い。
知らないといけない奴なんて一人で十分、その価値をかみ締めろ! ってもんである。

ただ、そんな訳で時々来てしまう、面倒くさい相談が。
「ちょっと男の子の事で相談に乗ってもらいたい事があるんだけど」

所謂、恋愛相談ってやつだ。
女子高生の日常のかなり大きな構成要素だが…
こっちの方が相談したい所なのだが、私はそんな話をした所で所詮、
 ”亜美ちゃん、恋愛絡みだったらどんな事だってかない放題だよね”
なんて言葉が返ってくるのが関の山なので大嫌いだ。

話を持ちかけた来たのは、高須くんと同じ秀才クラスのA子ちゃん。
高須くんのクラスに行く大義名分の為、麻耶ちゃんに紹介してもらった子。
背は小さめ。シュートボブで小さい頭を柔らかく飾ってる。
いかにも、か弱くて可愛い感じの女の子、分類的にはタイガーみたいな感じかな。
もっとも本家ほど美少女ではないし、中身が猛獣でもない。見た目そのままの小動物系の女の子だ。

面倒臭さ。亜美ちゃん、人の面倒見てる暇なんて無いし。と、
断りの言葉を捜していると、相手の瞳に涙が溜まっていった。時間制限付きかよ。心の中で舌打ち。

「そうだ!生徒会長とかどう?自称恋愛の神様、失恋大明神って言うらしいよ。
 すごい数の相談受けてるって♪」
「男の人に相談はちょっと。麻耶ちゃんにも相談しようと思ったんだけど、
 自分の事で精一杯って感じだし……」
「あー、麻耶ちゃんはね。がんばってますって感じだよね」
私だって自分の事で一杯一杯だっての。当然、外には見せないけど。
それにしても祐作、使えない奴。幼馴染に押し付けるプランは失敗。

「話聞いてくれるだけでいいから、お願いします」
すがる様な瞳で見つめて来た。この子には利用してるって負い目があるからな、
それに

私はどうも押しに弱い。助けを求められると断れない節がある。
別に良い人ぶってる訳ではない。実際、生まれつき、善人とはかけ離れた性分だと思う。
ただ臆病な自分を自覚してるだけ、助けてもらいたいだけなのだ。
そう、それは相手の事を思っての行動ではない。高須くんとは違う。

助けを求めてるのはいつも自分。心の中で伸ばしている手をつかんで欲しい。
でも、そんな事、誰も気づいてくれるはずもない。そんな事とっくに諦めてる。
だから、自分を相手に投影して、その雰囲気を味わってるだけ。

そんな偽善者な私だから、こう言うしかなかった。
「役に立たないとは思うけど、話だけ聞くね。ストバで話しよ」


         ******


チリーンと来客がある度、小気味いい金属音が清冽に響く。
初めは埃のかぶったようなギミックだと思ったベルも、この店に慣れ、
親しみを感じる今となってはちょっとしたお気に入りの一つだ。
店内は大まかに2つに分かれる。
窓際、壁際に配置されたカウンタ席、余裕を持って並べられた長椅子が店の正直さを示していた。
残りはボックス席、高級という程ではないが、座り心地の良さそうなソファがならび、
そのどれもが清潔に保たれている。須藤コーヒースタンドバーはそんな店だった。

私の指定席は窓際、右から3番目。だけど、今日は相談毎を受けるのでボックス席に座る。
A子ちゃんは冷たいカフェラテのショート、それにアイスを乗せてる。女の子ぽい感じ。
私はエスプレッソ、小さいカップが可愛い。けど苦い。
本当は紅茶とか優しい味が好み、近頃は蜂蜜系も好き。甘いから。
でもママは何時もこれを飲んでいる。だから最近は外ではこんなもの頼む。
大人の女はこんな感じの飲み物が似合わないといけない。小さい頃から理想像はやっぱりママだ。

お茶しながら、ちょっとした雑談。
本題に入る前の儀式みたいなもの。服の話とか、アクセの話とか、そんな他愛の無い話をする。

「亜美ちゃん、Rookiesとか見た?」
「見た見た。話題になってたよねドラマ、映画にもなったし」
どんなものだろうと流行どころは抑えないと行けないのだ、仕事だから。
たとえ嫌々でも、恋空だって読んだし。

「ああ言う人たちって格好良いよね。悪ぽいけど、実は情熱的で根は優しい男の子」
「そうだね〜、いたら良いね。うん」
そんなや都合のいいワルなんて、そうそういる訳無いだろと心の中で突っ込み。
実際は遊ばれるのがオチだと思う。

「でしょ。やっぱ男の子って格好いい人もいいけど。性格がいい人がいいよね。
 例え外見で素行不良ぽいって偏見持たれてても」
A子ちゃんは熱の入った口調、目をしていた。危険な香り。
ほっといてもいいけど、高須くんに影響されたかなと上手く諭す言葉を捜す。
「そう?けどさ、残念だけど実際はそう言う格好いい人って中々いないよね」

「いるよ! うちの高校でいえば、そうだな、
 亜美ちゃんも話してるから解ると思うけど、高須くんとか
 私も吃驚したんだけど、話してみたらすごく優しい、清潔感がある声で、丁寧だし。
 噂とは大違い。そう、だから、亜美ちゃんにどうしても相談したかったの」
な、なんて無節操にフラグ立ててるんだ、あの見た目ヤンキー、中身おばさん男は。

「高須くん性格悪いと思うよ。以外と気利かないし〜、察し悪いし〜、口うるさいし!」
「そうかな、気配りすごくする人ぽいけど」
「全然駄目。すげー鈍感!。あ、えーと、そうだ。やっぱ見た目怖いのは辛くない。
 一緒にご飯とか行きたくないじゃん。そもそも一緒に歩く事すら出来ないかも」
「う〜ん、亜美ちゃんもやっぱそう思うんだ。
 実はね、二人で帰ってる途中で同級生に見られた事があるんだけど、その子にすごく心配された」
こんな子と高須くんが一緒に歩く姿、そりゃ誘拐とか恐喝に見られるだろうな って。
え、一緒に帰った?

「ふ、ふ〜ん、よく一緒に帰ったりするんだ」
A子ちゃんは恥じるように下を向くと、ソッと言った。
「時々。近くの公園で待ち合わせて」
どう言ういうこと?そんな話知らない。聞いて無い。

「うちね、花屋やってるんだけど、ゴミとかすごく出るので掃除とか大変なんだ。
 自分から掃除はまかせろって、手伝っくれたりもしてくれて。
 ただね、怖がって返っちゃうお客さんもいて、彼ショックみたいで」

私はある決意をした。
そう、刺そう。サクっと殺っちゃうおう。↓

「花屋で人相が凶悪って致命的。そこはお互いの為にも考えた方がいいよ」
「私はお店継がないと思うからそれは大丈夫、だけどね、問題は私なの。
 大きな飲料メーカーがね、花の品種改良、栽培を盛んにやってるんだ。最先端のバイオ産業
 私はそんな仕事に就きたいから、一緒に居てもそんな話ばっかりしちゃて…
 それで、難しい事は頭の悪い高校に行ってる俺は解らないって」

あれ同じ高校じゃ…ない?
彼女のテンションも明らかに下がりだした。

「その彼って?」
「中学校で一緒だったの。今は別な高校。最近告白されて付き合いだしたんだけど
 お前の夢に何の協力も出来ないって、むしろ一緒にいたら足手纏いじゃないかって」

高須くんじゃないと解ってホッとした。
そうなのだ。あいつなら、別な誰かと付き合うのだったら私に話をしてるはずだ。
その権利くらい今の私にはあるはずだと思う。

だが、私が抱いていた怒りは収まらない。理不尽だとは理解しつつ、A子ちゃんの彼氏に矛先が向く。
能力の問題じゃない。協力なんか要らない。そんな事は自分でするっての。
肝心なのは歩いていく方向を、一緒に見て、歩いてくれるかどうかだろ。

「自分の夢の達成に役に立たない人とは付き合えないの?」
「そんな事ない。それとこれとは別。彼の励ましの言葉だけでも十分」
A子ちゃんは顔を挙げ、涙ではらした目で私を睨んだ。嬉しかった。

「じゃあ、答えは出てるんじゃない? その気持ちを彼には言った?」
「困らせちゃうかもしれないし、劣等感を感じてるみたいだし」
「それも含めて好きなんでしょ。劣等感なんか持っちゃう情けない彼氏なら、
 お尻叩いてあげればいいよ。惚れた弱みってね」
彼女は既に自分の答えを持っていたのだろう。ただ自分だけでは自信が無く
誰かに同意してもらいたかっただけ。

「ところで、いくつか質問していい?
 その彼氏って、顔も良くなくって、なんかニブそうで、私がイメージするに貧乏そうで、
 おばさん体質ぽいけど。一体どこがいいの?」
すると、照れるような感じで返事が一つ。
「優しいところ」

それかよ。こういう女は多い。その大半は自分に酔ってるだけだろうと思う。
だから確認したかった。

「それって、自分が弱ってる時とかタイミング良く言われた結果の錯覚だとかは思わない?
 本当の自分を見てくれる人が欲しいとか願望とかあって」
「正直解らない。そういう時に声掛けてくれたし。亜美ちゃんの言う通りかもしれない。
 でも、喧嘩しても、嫌いだと思おうとしても、好きのまま。
 そういう、自分なりの願望を含めて恋だと思う」 

「ぞうかもね、そうだと良いよね」

その時、携帯が着信を告げた。祐作?何ワンギリってイタ電かての。
今はそれどころではない。無視をした。


         ******


その後、ちょっとした雑談をして、話もひと段落した所でスドバを出た。
ちょうど空は夕日でオレンジ色に焼かれていた。この色はなんだか好き。
結局、恋愛相談と言ってもノロケ話を聞いただけかよ と思いながらも
大人の笑顔を絶やさず、A子ちゃんに別れの挨拶をする。

「話聞いただけで何の役にも立たなくかったね。ごめんね」
「そんな事ないよ。亜美ちゃん自分の事みたいに考えてくれて。
 私、3度目の恋だから、失敗したくないんだ。本当、亜美ちゃんは恋の百戦錬磨だね」 
そう言って、彼女は足早に立ち去っていった。
足取りの軽さから言って、これから彼氏の所でも行くのだろう。いい景気付けに使われた気がする。

「3度目って、あんたの方が恋の先輩じゃない」
なんだか無性に腹が立ってしまっていた。これも高須くんのせいだ。
だから、償いをしてもらわないと割に合わない。そうだ、ご飯を一緒にしてもらおう。

「だいたい百戦錬磨って……」
携帯を取り出し、高須くんの番号を呼び出す。

「1度の恋でもこんな磨耗するってのに、何度もやったら亜美ちゃん削れまくって無くなちまう」
呼び出しコールが1回、高須くんが電話に出るまで待ちきれない。早くしろ。

私は1回で十分だっての!

END




Happy ever after 第4回 追伸

高須竜児はある頼みをする為、北村祐作を呼び出していた。

亜美に直接謝ろうとも思ったが、それは何か違う気がした。
彼女以外に自分を罰する事が出来るのは、北村だと思った。

亜美に話しが伝わらないよう。彼女の行動範囲外に場所を設定。
また、女子の情報網外である必要もあった。

ラーメン屋 六道はその条件を満たす恰好の場だった。
以前、ここでバイトをしていた櫛枝実乃梨は、現在は受験対策の為辞めている。
そもそも放課後のラーメンは、ダイエット戦士達の前世からの敵であるから、
女子高生が来る事は少ない。

席に座ると同時に、ラーメンを頼む。
メニュー表にはラーメンとつけ麺しか乗っていない。男の世界だ。
禁断の裏メニュー、イケメンも存在すると噂されるが、
それを注文した場面を目撃した人物の証言、頼んだものは目を潰される!
その恐怖から頼んだものはほとんど居ない。

頼み終えた後、竜児は北村に告げた。
「頼みがある。俺を殴ってくれ」
それはまるで、昭和のスポーツ根性ものドラマ、いや発言者の目つきから仁侠映画か、
そんな熱さを伴って、竜児は告げる。ラーメン屋の湿度があがる。
他の客にも伝わる。うわ、青春かよ、でも暑苦しいな。

「おい、おい、物騒な話だな」
「俺の気が治まらないんだ。ケジメがつかね」
「なんか極道ぽい話だな。間違いを犯したから指を詰めるみたいな。
 すまん。真面目な話みたいだな。とりあえず訳を聞かせてくれ」
「川嶋を紹介しろと、中学校時代の友達に言われたんだ。なんでも映画のプロモ見て、興味わいたって」と自分の罪を告げるためと竜児は淡々と告げて行く。

「高須と亜美の事知っていてか?」
「否、そこまでは。川嶋と俺が同じ高校だって事も偶然に知ったらしい」
「それで紹介したから、殴れと?」
「いいや断っちまったんだ」

そこまで聞き終わると、北村は拍子抜けした表情で言った。
「いいんじゃないか、芸能人だから会いたいって奴をその度に会わせられないだろう。
 亜美にしたって迷惑だと思うが」
「芸能人だからって紹介しろって奴は今までにも何人かいたんだ。
 そういう頼みは断る事に決めてたから、今回も同じ対応をとっただけ だと思ってた。俺自信も。
 けれど、そいつはお調子ものだか、初対面の時から俺の人相見てもびびらず友達になってくれたんだ。 お前みたいに。
 だから、川嶋の外面だけでなく、内面も解ってやれる友達になれる奴だったかもしれない」

北村は何も言わずに、非難の色も、同情の憐憫もみせずに話を聞いていた。
竜児はなぜ親友が失恋大明神と呼ばれているか解った気がした。

「軽い気持ちで紹介してくれなんて頼みだから断る。そう自分に言い聞かせていたんだ。
 だが、俺は知ってたはずなんだ、そいつがちゃんと見る目があるって事に」

北村は数秒待ち、続きの言葉が無いことを確認すると静かに言った。
「大丈夫だ、亜美は喜ぶと思うぞ」と

そう言ったかと思うと、携帯を取り出し、素早く数タッチ。
誰に電話を掛けようとしてるんだ、こいつは! と竜児も電光石火で携帯を奪い捕る。
すぐさま液晶を確認。
やはり、亜美と表示されている。小宇宙を燃やし、マッハの速さで電話を切る。
代償に六感のどれかが再起不能になった気がした。

「なんて事しやがる」
「亜美に速報だ」と笑顔で告げる大迷惑。
 さすがにそれをやられると洒落にならないので平謝りをした。

「俺が悪かった。罵倒されても、半殺しにされても仕方ないと思ったが、それだけは許してくれ」
「そうか、もったいない。じゃあ殴って欲しいって言う件も無しだな」
そう言って、失恋大明神は破顔した。


「これだけは言っておく。俺は高須を亜美に紹介してよかったと思ってる」
「あいつの友達が増えるのを邪魔している俺がか」
と自虐的な声色になる竜児を尻目に北村は続ける。

「亜美は喜ぶ事こそすれ、非難する事なんてないだろう。
 あいつ、お前を落とすとまで言ってるじゃないか」
とふと遠い目をし。そして、竜児の方にゆっくりと顔を向けなおすと、
明日の時間割りでも確認するように
「高須はいつ落とされる予定なんだ?」と聞いて来た。

「お前なぁ、だいたい俺は単なる学生だが、川嶋は女優だろ、釣り合いなんか取れない。
 未だに俺をからかってるとしか思えないんだが。好かれるって感覚なんか持ち合わせちゃいねーって」
目つきの所為で培った、好意についての鈍感体質の為、
実感も、自信もない竜児はここぞとばかり、溜め込んだ違和感を吐き出す。

「高須、お前あきれるほど鈍いな」
「いや、お前ほど鈍くない気がする」

親友だけに似た所を持つ二人は互いの為にため息をつき、そのまま静かにラーメンを啜り続る。
その沈黙を破ったのは竜児だった。だがボソリと

「そりゃ、あいつがあれだけ言ってるんだ。頭では理解してるつもりだ。
 正確に捉えてるかは解からんが、俺なりには。
 だが、あいつは自分の夢をかなえつつある奴で、俺は何者でもない」
「それで亜美に対して、時折、変な間合いを取ったりしようとしてたのか?」
北村は再び溜息を1つ入れると

「高須、釣り合いって事ばかり気にしてたら、大事なものがどこかに行ってしまう事もあるぞ。
 劣等感なんて自分の都合でしかないしな。相手には何の関係もないと今の俺は思う」
「なんだか実感の篭った言い方だな。なら、お前も解かると思うが相手の足をひっぱるてのは」

竜児は相手の丁寧に発する言葉、その端から、心底、自分の為を思って言ってくれてる事を
感じていた。
が、実際に相手の人生に影響を与えるかもしれないのだ。簡単には納得出来ない。
なにせ、川嶋亜美は気を使いすぎて空回りする、臆病者だ。

「亜美は大人だ。それを踏まえた上でちゃんと考えて行動してるよ」
「あいつが?子供だろ。つまんない事に拘って、一人で背負い込む。迷子みたいな奴だ」

北村は驚いた顔をした。
「意見が分かれたか。幼馴染の事をこういった意味で否定されるとは。
 案外とショックだが、なるほどな」
「なに一人で解かった顔してるんだ。お前は」

なぜか満足顔の否定された側、北村祐作と、どこかむず痒そうな、納得された側、高須竜児。
その後、二人は会話する事なく、ただ無言でラーメンを食べ続けた。


         ******


ラーメンを食べ終わると、自動的に店を出るしかない。ラーメン屋とはそういうもの。男の世界だ。
例えるなら、空を翔る一筋のなにか みたいなものだ。

「悪かったな北村。愚痴を言っちまっただけみたいだ」
「俺は亜美の幼馴染だが、味方して、付き合えってやれとも言わない。
 他の娘の事も高須には考えた上で結論を出して欲しいと思う。
 その上で殴られたいというならいくらでも殴ってやる。
 安心しろ。俺は失恋大明神で、お前の親友だ。罪悪感は俺が引き取る。
 そうだ、最後に言わせてくれ。
 
 高須が女だったら絶対に惚れる!」

突然の告白に、告げられた男は反射的に飛びのく。
「なんでお前は心からこう言う事が言える奴なんだ、悪い意味で」
「女だったら亜美と高須を取り合ってたかもしれん。三角関係だ。いや四角、はたまた五角か?
 だが安心しろ。今生は男だからな」
と高笑い。それで気の利いた言葉を言ったつもりかと親友を見るが、夕日を背景に仁王立ち。
天下無敵に自信満々だったので返す言葉が無かった。赤い光が目にしみた。

もう夕方か、正確な時間を知りたくて、竜児は携帯で確認しようと電話を取り出す。
その直後、携帯が着信を告げた。竜児はとっさに出てしまう。
ワンコールだけ呼び出し音がなっていた。

「お、おう。なんだって?今から飯に付き合えって?なんで喧嘩腰なんだ。
 無茶苦茶言ってやがる。俺は今、ラーメン食ったばっかりで」

その会話でピンときたのか、北村が言う。
「殴られたいくらい罪の意識があるなら、飯ぐらいつきあってやれ。
 亜美だか、逢坂だかは知らないが」

だからと言う訳ではないが、と竜児は胃の痛みを覚悟して、電話の相手に了解を告げた。
そして、夕食が遅れることで、落ちるだろう大河の雷についても覚悟した。
謝罪をしなくちゃならないだろか。オレンジタルトでも作らな。と考えながら。

END

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