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36 HappyEverAfter−PS- 2011/02/04(金) 21:01:38 ID:78pS4RBd





「これからもゆっくり、話していこうね、竜児」
こうして、高須竜児と川嶋亜美は末永く、幸せに暮らしました。めでたし、めでたし

とは簡単には行っていなかった。
「予感はしてたが、まさかここでゆっくりしていいのか?、俺は……」

高須竜児はのべっとベットの上に腰を下ろし、ぼんやりと前を見ながら自戒していた。
すべき事は解っているのだ。きっと自分だってやれば出来る子なはずだ。けれど体が動かない。
決意が固ければ固いほど、やるべき事が現実的なほど、はたして俺に出来るだろうかという気後れと無力な自分に
対峙せざるを得なくなる。自信が無い。
数時間前、学校の自販機スペースで川嶋安奈と対峙していた方が今おかれている状況よりましなのではないかとさえ思う。
しかし、幸か不幸か。タイムリミットはもうすぐだ。

なにせ、目の前では、シャワーを浴びている全裸の川嶋亜美がいるのだから。




   Happy ever after 追伸




一応、ガラス越しではある。ただし曇りガラスという訳ではない。しっかりクリアーな透明なガラスだ。
つまりシルエットだけではなく、生まれた姿そのまま。
亜美は照れるでもなく、誇示するでもなく、無心にお湯を全身に浴び、石鹸の泡を流している。

「今さら注意するのって手遅れ……だよな。やっぱり」
そう竜児は呟く、これで五度目だ。なぜこんな事態にまで進行してしまったのだろうかと嘆き続けるばかり、自分では動けない。
それが状況を悪化させているのだという自覚はあるのだが…。過去に戻れるなら数十分でいいから戻りたかった。

話は数時間前に戻る。
大橋高校。自販機スペース。竜児は安奈との一応の和解が済み、亜美家出からなる騒動も一件落着と緊張を解いていた。
さてどうしたものかと彼は思案。そこで亜美が

「実家から出て、大橋の家に戻っていいって」
「おう、良かったな」
「でも、今夜は夜遅いから駄目だって、もちろん、高須くんちも迷惑掛けるから駄目だって」
「お、おう」
「今夜ここで過ごすにはお尻冷えちゃったし、体調管理しないといけないし」
「ああ」
「泊まる所どうしようか、竜児?」

「いや、俺のところは大丈夫だ。水臭い事いうな」と言いかけて、さすがに配慮がないと思ってやめる。
安奈が言外に許可してくれた事も解るし、亜美の気持ちも解る。なにより自分がしたい事もはっきりしてる。

亜美の部屋で灯した体の火照りは残っていたし、安奈との対決が気持ちを高揚させていた。
彼女を大事にしたかったし、自分の手から離さないという決意もあった。唯一の防波堤である安奈との約束も決着してる。
そんな竜児は行動で亜美に答える事が出来た。

亜美の手を引き、ラクージャ近くまでタクシーで移動する。さらば、北村バイク。
そのまま、プラネタリウム帰りのカップルに紛れ、ホテル街に移動。
家具の選定で育て上げたセンスを頼りに、ホテルを選び、部屋を決め、そのまま直行。

その間ずっと亜美は無言で竜児について来てくれた。
焦り、先を急ぎ、足早になる竜児に文句一つ言わず、追いつこうと急ぎ足で付いて来る。
額に汗すら浮かせながらも遅れないようにして足を動かす。
そして、部屋に入り、数刻の気まずい沈黙の後、

「汗……かいちゃった。先にシャワー使っていい?」
竜児の普段より一オクターブ高い「お、おう」の返答を聞くと、彼女はシャワールームに入っていったのだった。
これが二十分ほど前の出来事。

かと言って、透過性ほぼ100%のシャワールームに亜美が自分から勇んで入っていたわけでもない。
部屋に入った時はちゃんと壁があった。シャワールームはむき出しではなかった。
一面だけ、安っぽいメタリックな壁だったのは確かに気にはなっていたのだが……

竜児もあえて奇抜な部屋が選択した訳ではない。
部屋の写真が表示された選択パネル。
恥ずかしさのあまりちらりとしか確認しなかったが、そもそも、そんな突拍子も無い部屋を選ぶ甲斐性などこの男は持っていない。
その部屋を選んだ理由はシンプルさだった。調度品が少ない事がいいと思った。

他の部屋は家具やスタンド、テーブルに花瓶とアンティークが多すぎた。その上安っぽかった。
宿泊するのが主目的ではない、いたす為の部屋。そんなにオブジェクトは必要とされない。
けれど体裁をつくろう為に言い訳のように家具が並べられていた。しかし、安価を誤魔化すために派手なデザインのものが多い。
それが余計に気に入らない。
家具好きの竜児としては中途半端は許せなかった。そうであるなら無い方がましだ。
もっと、雰囲気のいい部屋を。亜美にいい思い出も作ってもらいたい。できる事なら安い思いはして欲しくない。
その思いで部屋を選んだ。

結果、彼が押したボタンは、そういったものが少ないシックな部屋だった。
家具はいくつかはある。型落ちで、飾りげもないテレビ、テーブル、スタンド、その程度。
シンプルさ、その目的のためだけにしか存在しない家具、それは機能美といえない事もない。
型落ち、古めなデザイン。現在の流行と異なった、懐古主義のにおいも悪いものではない。
全体的なバランスさえ整っていれば、古さは落ち着きと目新しさに変わる。
直感で決め、入室してみて気に入った。
けれど、違和感はある。他の部屋と異なる趣があると思っていた。なにかの理由で予算を極力抑えざるを得なかったような空気感。
その結果としてのシンプル。
そこで気づくべきだった。今思えば、ギミックあり と隅に書かれていた理由も考えるべきだったのだ。

亜美が浴室に消え、より落ち着きを失って、迷子の家出犬のようにはあれこれと周りを見渡していると、
室内灯のスイッチを入れるパッチという音がシャワールームから聞こえ、そして…
メタリックな壁が当然消えて、シャワールームの光景が目の前に現れた。

驚きで、金縛る身体。
ほどなくして、生まれながらの姿で現れる亜美。

竜児は指一本動かせない体に驚きながら、唯一自由に動く眼球を動かして、罵倒を覚悟しながら亜美を見る。
罪の意識で一杯になり、亜美が怒っていないか、ゆっくりと表情を確認した。

目があった…

気がした。謝罪の言葉を叫ぼうと思ったが、どういう風に発声すればいいか脳みそが忘れてしまっている。
謝罪の言葉はどう言えばいいんだっけと頭の中で緊急会議だ。
はたして「sorry」だろうか、それとも「dispiace」だろうか。思い出せない。

だが、予想に反して亜美の機嫌はよさそうだ。鼻歌交じりに竜児の方向を見るとニコリと笑った。
それは久々に見たモデル顔で、後頭部で両手を組み、細いウエストをくねらせ、ポーズを決めだす。


長くスラリとした足。くびれた腰。可愛いおへそ。形の良い張りのある胸。柔らかな感触を思い出さずにはいられない愛情ぶかい唇。
強気で、悪戯好きな目、その奥でに思いやりをうかべる瞳。綺麗に整えられた眉。豊かな青みがかるほどの髪の毛。
その長い髪が白い裸身を包む。

「綺麗だ」
と素直に思えて、彼女を抱きしめたい衝動が湧き上がり、それで金縛りが解ける。
ゆっくりと指を伸ばす。

コツンと指がなにかにぶつかる。手でなでてみる。壁だ。
手触りがある。冷たい感触がある。硬さを感じる。なんど試しても壁だ。いやガラスか。目の前にあるのはガラスの壁だった。
彼女に触れられない失望感と、壁がたしかにあった事の安心感を感じる。
そうしているうちに亜美の体勢が変わる。
前かがみで、両手をお腹の少し上で自らを抱きしめるようにして、胸を持ち上げるようにして突き出してくる。
思わず竜児は、亜美の胸のあたりに手を持って行き、モニュモニュと動かしてみる。が、悲しいかなやはり触れない。
ガラスが隔てる。
これが自らの手で触れるかと思うと、胸に熱い空気が溢れるような気分になる。
同時に、上手くやれるのだろうかという恐怖心が肝を冷やす。

「じゃないだろう、今はそういう状況ではない」
と自らを改める事にする。というか気づいていないのか、亜美は目の前にいる俺を。ならば早く指摘しないとといけない。
「でも、どうする。ここで叫ぶのか?。川嶋、裸隠せ、丸見えだぞって?。いや、もっとデリカシーのある言い回しじゃないと殴られる」
何時までも見たい気もするが、後で発覚してなじられる方が恐ろしい。
たぶん、もう文句を言われるのは確定だが、それだけに自首して、情状酌量の上の執行猶予ぐらいは欲しい。

言葉を捜しているうちに亜美の表情が変化した。
情けなさそうと顔をしていた。

さっき程まで自信満々のモデル顔で、恐らく
「亜美ちゃん、今日も可愛い。プリティ。いつも綺麗♪」
と自己暗示のように呟いていた口がとても寂しそうだ。視線を辿ると、

竜児の股間に行っている。
思わず、両手で隠す竜児。

「そりゃ息子も元気になる。だって男の子だもの」と言い訳をしたくなる。けれど何かが違う。
それだったら、からかって冗談の種にしても裏切られたような顔はしないだろう。
と思いたい。亜美はそんな奴ではないはずだし、そんなに小さい訳でもないはずだ。
自分のナニを確認する。

そうだよな。そんな小さくはないよな。北村には負けてるが……
裸族出身の親友は露出したがるほど自分の身体に自信があるのだ。
スポーツで鍛えられた肉体と、男の自分でもデカイなと思う息子を装備している。
だから、しょうが無いのだ。
春田は……、あれは異常だ。男の自分から見ても、グロテスクと思えるほど凶暴だ。「瀬名さんこれの虜なんだよ〜」とか言ってたな…と回想。
二人には負けてる。しかし、能登には十分に勝ってる。


そこで竜児は突然、床に穴が開いて、落下してしまうような気分に襲われる。
もしかしたら、能登が、大河の胸くらい哀れで、小さくて、極小だとしたら。その場合あいつの次に大きい程度の俺は…
能登久光の事がなんだか憎らしくなった。

能登に勝って安心してたのが問題なのかもしれない。確かに能登は可哀そうだ。
そうか、下は下でも能登が人類最下層の男だとしたら……
絶望的な気持ちになり、とりあえず心の中の能登に文句を言う。
そして再び現実の目の前にいる彼女の表情を確認する。

今にも泣きそうだった。目には大きな涙の粒が浮かんでいる。
「泣くほどなのか…」
竜児は自分も泣いてしまうのでないかと思った。

亜美の手が動き、亜美自身の股間に手をのぼすと、さわさわと、股間でさえ美しいと思えるほどの毛色をした、ふさふさとしてそれを撫でる。
ドーナツで天使の輪を作るように、?を頭の上に浮かべ竜児は硬直、亜美の表情を見続ける。
ますます悲しそうな顔になっていく。
何故だろうと等と考えていると、亜美は目を瞑り、指先で何本かを摘むと、思い切り引っ張った。

「きゅん!」

大粒の涙をこぼして悲鳴をあげる。

「か、川嶋!?」
「え?、え!。な、なに!?」
「いや、どうした?」
「う、ううん。なんでもないよ」
目の前の亜美は自分の股間を手で隠し、キョロキョロと周りを見渡していた。
「も、もしかして、高須くん。覗いてる?。み、見てるの?」
慌てた声をあげる。反射的に竜児は「違うぞ!」と否定してしまう。
亜美は警戒した目で周りをもう一度見回し、誰も居ない事を確認して、竜児の言葉に納得すると、
「ふ〜ん、じゃあ竜児、シャワー中の亜美ちゃんが気になって耳澄ましてたんだ。やらし」
「そんな事してねぇえ」
「じゃあ、何よ。何なのよ」
「な、なんでもない。ただお前が変な声あげるからだ。どうしたんだ?」
「そんな声あげてないもん。てか、盗み聞ぎとか覗きみたいな痴漢行為やめてよね。怒るよ」
「だから、違えって。覗き見なんか誰がするか」
「そういう言い方も失礼なんじゃないの?。女神様的な亜美ちゃん様のお裸に対してさ」

声色はだんだんと悪戯風味を出しきた。しかし、明らかな演技だった。その表情が見えている。
ガラスの向こうの顔は赤いし、恥ずかしいのか、身をよじらせたりしていた。
そんな姿を曇り一つないようなガラス一枚を隔てて、思わずガン見する竜児。

川嶋の方はこっちを見えてないのか……

そんな風に竜児が思って、亜美の目の前で手を振ってみるが、亜美は無反応。

「本当、覗き魔とか、聞き耳って最低だからね。後でたっぷり見せてあげるから、いい子は我慢する事」
「お、おう」

竜児は「いや、もう手遅れだから」と心の中だけで呟き、なんかもう、「取り返しがつかない」と亜美を見続ける。
そんな竜児の目の前で亜美は指先で、自らが先ほど抜いた陰毛を確認していた。
あんな痛い思いをしたのに、これだけかとさらに情けない顔をして、再び股間に手を伸ばしてチャレンジ。

「んぅぅ」
今度は声を喉で押し殺し再び数本を抜く。その努力のわりに成果が少ない事に唇を突き出して不満そうにしている。
そして赤くなった抜き後を撫でて、思い悩んだ後、諦めたように頭を左右にふり、自分を励ますように拳を握り込むと小さく、
「例えボン、ボン、ボンだって、亜美ちゃん可愛いもん」
自分を励ました後、足を開いて、片足あげ、股間を中心に念入りに洗い出した。

そんな姿と負けず嫌いの努力を目の前にして
「絶対、洗うところ見てたとか言えねぇ」
竜児は再び、途方にくれてベットに座り込むと一人悩む。
川嶋が何をしたいのか皆目見当もつかないが、解る事が二つある。
自分がいつの間にか覗き魔になっちまったという事と自首するには手遅れになってしまった事だ。
執行猶予はつかない。即刻死刑判決確定だ。なんとか誤魔化す手はないものか。

竜児としても最高の思い出を作ってやりたいと思っていたが、もうケチがついていた。
ただでさえ上手く出来るか不安だというのに一騒動は確約されてしまったのである。

それから二十分ほど亜美の念入りの肌磨きを竜児は眺めていた。良い手を思いつかず、不安な気持ちは膨れる。
不安を紛らわす為にもと、亜美を眺めて、
「やばいな。俺、すごく惚れちまってる」
なんて気分になり、ならばどうにでもなれと開き直ると趣味は彼女鑑賞ですと履歴書に掛けるくらい眺め続けた。

目の前で亜美が身を清めている。その姿は美しく、形良く、
なにより、そのか細い身体をこれから自分が愛していいのだと思う気持ちが溢れる。
その身ひとつひとつが愛しい。
ガラスを一枚を隔てて、亜美が一つ一つを体を確認するようにしながらボディーソープで磨き上げ、彼に見せつけてくれた。
全部を見せ終わったかと思うと、大一番に挑む女優のように力強く頷くと脱衣場に移動する。
誰も居ない浴室。ほどなくしてパッチという音がしたかと思うと、シャワー室が見えなくなり、セラミックの壁が突如とした現れた。
「おう!?」と竜児が思っている間にバスタオルを身体に巻いた亜美が目の前に現れる。

「竜児♪。待ってる間、欲情してない?。一人でオナニーなんかしちゃ駄目だよ」
なんて、ニコニコとした笑顔で現れる。
「お、おう。大丈夫だ」
竜児は現状把握で精一杯で生返事をする。亜美は少し意表を突かれた顔で、
「え?、あれ、突っ込まないの?」
「何がだ?」
「だ、だから、はしたないとか。その、オ、おな、なんでもない」
と慌てて口を閉ざす。

竜児は彼女が何を言っているか解らなかった。
というより頭が回転していない。自分でも完全に茹だってるのが解る。罪の意識とそれ以上にさっきみた亜美の裸にノックアウト寸前だ。
はたして、あの身体をどう愛せばいいのか、全然解らない。
「と、とりあえずお先。は、はいシャワーどうぞ」
亜美も現状から逃げる為の言葉が口から出る。
一刻も早く裸で愛し合いたい。長い間、願ってもいた。それがもうすぐ叶う。
だが少しだけ、ほんの少しだけ、それを先延ばししたい気持ちがあった。やはり初めての事は怖い。ボン、ボン、ボンは恥ずかしい。


竜児も、そこではたと気づく。

…シャワー………だと?。

つまりそれは、さっきの竜児の立場と亜美の立場が逆転する事を意味する。
「川嶋に見つめられながら体なんて洗えるか!」
先ほどまで穴が開くほど見つめていた男の発言とは思えない身勝手さだった。
なにより問題なのが、故意ではないとはいえ、自分が覗いていた事がばれてしまうという事だ。

「えーとな、俺はいい」
「駄目だよ。ふ・け・つ♪。て、なんでよ?。綺麗好きな、高須くんが?」
「う」
と竜児は言葉は詰まらせる。風呂場ハ部屋カラ透ケテ見エルカラデス とは言えない。それを言うくらいなら

「お前を早く抱きたい」
「ぷ」

と吹き出す亜美はこらえきれず笑い出す。
「もう、全然似合わないよ。高須くん」
そう言って、竜児に近づき、緊張が解けた様子で軽く唇への浅い口付けをして、
「嬉しいよ。けどね。亜美ちゃん、逃げないし。今日はご宿泊だから、時間はたくさんあるよ。だ・か・ら、キレイ、キレイしてきて♪」
「……どうしても駄目か?」
「だ〜め♪。それにあのお風呂悪くないよ。けっこう広めで、なにより大きな鏡があるんだ。
 シャワーだけじゃなく。お風呂張ってゆっくり入ってもいいくらい。竜児の為に早めに出たんだからね」

亜美はとてもうれしそうだ。それと同時に拒否をさせない強さがある。
亜美もいい初めてにしたいのだろう。なるべくいい条件でしたいのかと思う。可愛いと思った。
けれど、やはりそれはまずい。覗き魔と初めてはヤバイ。なにか手はないか、そうだ。これこそらしくないが緊急事態だ。

「解った。入る。入るが、その代わり、それくらい広いなら一緒に入らないか?」

亜美は予想外の提案に驚いた顔をする。が、すこし欲が出た。モデル仲間の話で羨ましく思ったイチャつきが出来るかもしれない。
上目遣いで竜児の様子を伺いながら、そっと聞き返す。

「洗いっこする?」
「お、おう」

亜美はそそくさと文句一つ言わずに風呂場に戻る事にした。


         ******


竜児は服を脱ぐのに苦労していた。それと言うのも
「脱がしてあげようか?」
「いい、自分でやる」
チワワがバスタオル姿で竜児の周りをふらふらと歩く。それだけでも気恥ずかしいのにちょっかいを出してくるのである。


亜美の細い形のいい指が伸びて、竜児の背中をツッと撫でる。
「おう」
「あは。竜児、び〜んか〜ん」
「そんなとこ触られたら誰だもビクッとする」
「そうなんだ。ビッくってしちゃうんだ」
「そうだよ」
「竜児がえっちいになる場所、一つ見っけ♪」
「だから、そうじゃねぇ」

そんな事を一々されるのでシャツ一枚脱ぐのも一苦労だった。
かと思えば、急にちょっかいを出さなくなる。それも不気味だ。
ズボンを下ろしている時、急に静かになって、やけに衣擦れの音だけが気になる。
亜美にいろいろと触られ、五感がするどくなっていたからかもしれない。
あえて意識しない事にしていた亜美の存在をさがす。
見つめられていた。

「こっち見んな」
「だって面白いんだもん」

振り向きざまにクレームをつける。振り向いた先にはニヤニヤと亜美がしゃがみこんで見ていた。
計算してやってるのか、実は気づいてないのか、しゃがみこんだ事により凸凹が出来てバスタオルで隠れない箇所が出来る。
思わず目が行き、内腿の白さ、奥の黒やかな茂みが飛び込んできて急いでそらす。

「やだ。竜児のトランクス。チェック柄。一般的でつまらな〜い」
「だが、変じゃねぇだろ?」
「けど、お洒落じゃない。ブーメランパンツにしようよ」
「それは変だ。なんで、それがお洒落なんだ」
「だって平凡じゃないじゃん。とりあえずつけて見たら似合うかも。ナルシぽいけど♪、あは、ナルシスト高須竜児、ありえね〜」
「お前が言ったんだろうが」

下着まで注文をつけられるのでとっとと脱いじまおうと、トランクスを下げると

「竜児のお尻、すごく締まっててキュッと上がっててカッコいい。彼女として嬉しいな」

と手を伸ばしてくるので、やり返す間も惜しいと急いでタオルを巻く

「えー、隠しちゃうの?。いいじゃん。これから一糸纏わぬ姿でずっと過ごすのに」
「そう言うお前だって、バスタオルまいてるじゃねぇか」
「亜美ちゃんのは竜児と価値がちがうんだもん。高額商品だし、モデルでもまだまだ稼げるし。ただで見せていいものじゃないもの」
「じゃあ、俺だって高額商品だ」
「なにそれ。まさか、女優亜美ちゃんと同じ価値で売れるとでも思ってるの?。傲慢」
「お前からならな。川嶋だけ限定の高額商品。これでお前の裸と相殺だ」
「ふふ、えらそーに」
と笑い。けれど、満更でもなさそうに亜美は
「いいよ。まけてあげる。竜児にだけ私の裸見せてあげる」

そうして亜美はバスタオルをはだけさせるようにして、胸を見せる。
「亜美ちゃんの裸、魅力的じゃね?。眼福でしょ」
とおどけるように言いながら、竜児の表情を観察するようにして見つめる。
竜児はそんな亜美の仕草に気づいているのか、いないのか素直に返答する。


「綺麗だとは思う」
「それだけ?。もっと褒めて欲しいのにな。亜美ちゃん、けっこう自慢の一品なんだけど」
亜美は不満顔。竜児はそんな亜美を立てることなく突っぱねる、真意を伝えたくて

「だからお前のモデル面とか、体とかは最初から用はねぇんだって」
「なによ。このミューズな芸術品を粗末にしてさ。この罰当たり」
「そうだよ。それだって、お前の魅力は。そういうところだ。その面倒くさくて、可愛い性格だよ。俺だけかもしれないが」

そこで亜美も笑う。じゃれあうような笑顔だった。
「本当、高須くんだけかもね。そんなところが好きなのは。変わってる」
「変わってるとは思えないが、それなら俺だけが見えてればいいさ。そこを評価するライバルが少ないならな」
「残念。顔とか体とか魅力感じてくれればライバル多くて、もっと亜美ちゃんの事、大事に思ってくれるのに」
竜児(甲斐性なし)は小さく「大事だよ」というが、亜美には聞こえていない。

「つまり、亜美ちゃん、体が一番の魅力とは思ってない?」
「一番ではないって言ってるだろ」
「そっか」
と亜美は自分に切りをつけるように頷き、演技を交えて明るい様子でしゃべりだした。

「あのさ、お風呂って言えばさ。去年の海の事覚えてる?」
「ん?。ああ。風呂掃除でお前が俺を騙したことだろ?」
「そうそう。あの時の竜児、可愛かったよ。それでね、それと…、その後の事、タイガーの事、覚えてる?」
「なんだ?。カレーは甘口か?」
「進みすぎ。その前、私がお風呂入ってる時にタイガーが入ってきて言った台詞」
「なんだっけ?」
「だから、その、あの、だから!。もう、ぼん、ぼん、ぼんってやつのこと…」
「おう、そういえば、そんな事言ってたな。あれ、どう言う意味なんだ?」
「何だと思う?」
「質問に質問返しかよ」
「答えて」

竜児はなんだろうと思いながら、なんとか答えを搾り出す。
「そうだな。胸、ふたつでぼん、ぼんだろ」少し照れながら
「おっきいでしょ」
「香椎よりは小さいな」
「奈々子は別格なの。てか奈々子のそんな所見てたんだ?」
「ち、違う。言い返したくなっただけだ。お前は人(大河)が羨むくらいあるし、なにより綺麗だ」
「ありがとう」
竜児は既にテレまくって、話を早く終わらせたいと
「あとは尻か?」かなり言い辛くも答える。
「かっこいいでしょ、私のお尻。でも、ちょっと違う」

そして、言いよどむ
「じゃないとすると、あと何だ?。わからん」
亜美も言いづらそうに
「えーとさ、それなんだけど」
「ん?」
「あ、あのね」
亜美は勇気を振り絞る。
そこで竜児ははっと気づく。なるほど、病的に気にしてるものなと、左手の平を皿にして、右拳でポンと叩くと、
「腹だ」
「ありえねーっての!」

亜美の正面蹴りが飛び出す。竜児はなれた風にかわす。

「だから、けるな、見えちまう」
「あ、えーとね。その見えちゃうとこ」

亜美は自ら、アハハと笑って
「ほら、タイガーから見るとだと思うんだけど、あの子、幼児体型でしょ。だから、あそこも薄くて、あたしの事、大げさにみえちゃったんだと思うんだ。
 それにあの旅行の時は別荘行くためにスケジュール詰めたからお手入れできてなくて、
 その時のお仕事、もう秋物の撮影しないといけない時期だからミニとか、水着とか着る必要なくて、それで手抜いてて」

と、訴えかけるような、ずるをするような目でみる。
だが竜児は何を言いたいのか気づかない。むしろ何かに必死になっている亜美の事を心配する。そっちの事でただでさえ少ないデリカシーはキャパ超えだ。
「わからん」
「もう、だから!、下の毛。あ、ごめん、そうじゃなくて」
「?、綺麗だったぞ」
「え?何で知ってるの?」
「いや、綺麗じゃないかと思った」
「綺麗だとおもっちゃうんだ……。ま、まぁ、普段は亜美ちゃんのだし、そりゃ綺麗なんだけどさ、手入れしてる時は。
 ただね。手入れしてないとね。どちらかと言うと普通より少しヤンチャかな、あはは。えーと普通より、もう少し大変かも、
 どちらかというとね、もわっとしてて…。
 ち、違うよ。普段はこまめに処理してるんだよ。勝手に想像しないでよ。け、けどね。
 ママとの対決で十日ほど引きこもったでしょ。だからね。剃刀とか手に入らなくて、手入れ出来なくて…、だから可愛くないの!、今は!」

竜児は想像してみた。
可愛い陰毛?。わからん。リボンでもついてるのだろうか?。イメージ出来ない

その表情を亜美はなにか誤解して、猛烈な口調になる。
「だから、茫々なの!。つまり毛むくじゃら。少しというか、他の子よりかなり濃いの。脇は大丈夫なんだけど、なんで、あそこだけ」
とバタバタと両腕を振る。バスタオルがずり下がり、ハラリと床に落ちる。
あらわれるのは亜美の裸身。
竜児は醜いとは思えない。たしかに股間のそれは豊かかもしれない。ちょっと広範囲に広がっているかもしれない。
しかし、それが亜美の美しさを損なうなどはありえない。
先ほどガラス越しに見たそれとかわらず美しい。むしろ、手に触れる距離ゆえに愛おしさがます事を竜児自身は感じている。
「わかった。だが、それがどうしたんだ」
取るに足りないことだと竜児は亜美の背中に手を回す。いつのまにか距離が詰まっていた。

「どうでもいい事なんかじゃないの。すごく気にしてるんだから」
亜美は言い返すが、竜児はむしろ平然として、より距離を近づける。むき出しになった裸の胸と胸が触れ、体温を感じる。

「だから、俺は…。だからお前のモデル面とか、体とかは最初から用はねぇんだって」
亜美は竜児の顔を見上げ
「そうなの?本当に?」
「そりゃ、お前は綺麗だ。だが、前も言ったろ。お前の魅力は性格だと俺は思ってる。その魅力に比べたら取るに足りない」
「…な、なによ。こんな芸術品、粗末にしてさ。罰当たり、キザ、女たらし!」
「はは、そういうところだ。その面倒くさくて、可愛いところが最高だ」
「……本当、高須くんだけ…かもね。変わってる」
「ああ。けど、お前は俺のそういうところが好きなんだろ」
「自惚れ屋。ぜんぜん違うから。それだけじゃないもの」

そして、キスを一つ。唇を交わして、舌をからめた。逃げるように、
「じゃあ、亜美ちゃん、先にバスルーム行ってるから、急いで来てね」
とバスタオルを巻きなおすと、亜美は浴槽に消えていった。


         ******


亜美に遅れる事二分、風呂場に入っていくと洗い場ではバスタオルを巻いた亜美がバスチェアに座っていた。
桶にお湯をため、そこでスポンジに水分を含ませ、手でこねくり回し、泡を作っていた。
「いっらっしゃいませー」
と竜児を見るとニコリと笑いながら、おどけた口調で声を掛けてくる。

「なんだよそれ」
「ん?。なんか、そういう風に言うものなのかなって。超VIP専用高級ソープ?」
「それにしては、普通のラブホだぞ」
「亜美ちゃんが高級だから?。それだけでお釣りが来ちゃうよ」
「とにかくお風呂入らねぇか、体冷えるし」
竜児は大胆にも亜美を誘う。ちょっと強気に強引なまでに亜美をリードしようとする。

「ボッキしたままじゃカッコワルイもんね?」
と軽くいなされる。 竜児が強気に出た理由は自分の雄雄しくいきり立つ、情欲が剥き出しになった己の一部を隠すためだった。

「ええい、うるさいっ!さっさと風呂入るぞ」
「高須くん?お風呂はお湯を張らないと入れないんだよ?」
「うっ…」

浴槽を見る。今は浴槽にお湯を張っている最中だった。まだ足首程度を浸けられる程度しかたまっていない。
ましてや二人は浸かれる大きさだ。そうとうな時間がかかりそうだ。

「だから、先に体洗ってあげる。ほら座って」
亜美は竜児の分のバスチェアを前に出す。

「俺からなのか?」
「だって、亜美ちゃん。さっき洗っちゃったし」

選択の余地がないと竜児は座る事にする。これなら亜美の正面に立って、股間をさらさなくて済む。だから素直に従う。
彼の背中でシャワーから温水が流れ出す音が聞こえた。
亜美がシャワーを手に取り、吹き出す温水を自分の手の平で確かめ、調整しているようだった。
あたたかな温度程度になった事を確認すると亜美は
「とりあえず、お湯かけるよ」
「おう」

ゆるい勢いのままシャワーを竜児にかける。ぬくいお湯が体にふれ、竜児は体のそこから息をするようにして嘆息する。

「あは、気持ち良いんだ」
「そうだな。そんな感じだ。ホッとする」

そんな返答に亜美は楽しくなってくる。それだけで幸せな気分に浸れた。
当然の帰結として竜児に触れたくなった。幸せを実感したいのだ。
予定より早めにシャワーを止めると、シャンプーを手に取り、ポンプを一回、手に十分な量をためる。

「んじゃ、次、頭洗ってあげる」
「サンキュー」

ゆっくりと亜美の手の平が竜児の頭部になでるようにして、髪の毛を広げ、くしを通すようにその指が髪をとかす。

「どこか痒いところありませんか?」

おちゃらけた質問に竜児は自分の下半身を見て、親父ギャグを返したくなるが、本当にされてしまっては困る。
正直、頭を洗ってもらうだけなのに発射しそうだった。
二人で風呂場にいて、体を洗ってもらうというシチュエーションだけで鼻の中が熱くなってくる。
亜美の手の平から丁寧さと愛情を感じていた。
自分で頭を洗うときなど、無造作に髪の毛とシャンプーをゴチャゴチャとかき混ぜるだけの作業。よくても頭皮をもむ程度ですます。
それなのに、人にすると言うのは思いやりが介在する。亜美はまるでマッサージをするように、丁寧にしっかりと指を動かしてくれる。
女の子の仕方が男のそれとは違うのか、それとも亜美の自分へのやり方が特別なのかは解らない。
美容室よりしっかりとしてくてるかもしれない。初めて亜美を誘ったデートの時以外利用した事はないが、貧乏が憎い。
それ以前に技術が高い低いの問題ではない。本人に意図がないとしても、その行為をしてもらうというだけで心が震えた。

「十分だよ。痒いところなんかない。そんな頑張らなくていいからな」
「大丈夫。他は?。気になるところとか無い?」

亜美はこまかく聞く。竜児の為だけではない、自分の欲もある。なにか理由をつけて竜児の髪の毛に触っていたかった。
髪の間に指をいつまでも通していたかった。
今はそれだけで満足な気がしていた。けれど、竜児は若干硬い回答で「十分だ」としか言ってくれないので、すぐに終わってしまう。
シャワーで洗い流し、リンスをして、それで終わりだ。
正直、次の事に対する緊張もあったので、先延ばしにしていたかった面もあるというのに。

「じゃあ、次は。か・ら・だ♪、洗ってあげる」

と亜美はそれでも、楽しげに声を掛けた。
亜美は先ほど用意していたスポンジを手に取ると

「まずは背中からね」

自分でもワンクッション入れるために、無難なところからはじめてみる。けれど、これがハマッた。

「高須くんの背中…、おっきいね」
「そうか?。男の中じゃ普通だと思うが」
「そうなの?。他の奴のは知らないからよくわからないけど、けど、大きい。あはは、感動〜!竜児の背中っ!」
「そりゃありがとうな」

竜児も悪い気はしない。ただ亜美がこする手の動きを噛み締めた。ごしごしと動くスポンジ。

「なぁ。川嶋。本当、疲れない程度でいいからな」
「ぜんぜん、それに本番に備えて体力残しながら配分してるよ。今夜は寝かせないからね」
「…やっぱり、なるべく体力使ってくれ」

たわいもない会話をしながら、亜美は竜児の背中を一生懸命に磨いた。
働き者の竜児だ。背筋、肩、腰、スリムな体にしては筋肉もついている。
華奢なモデル体型の亜美より、当然、肩幅も広く、上背もある。女の自分には持ち合わせないものだ。
「男の子なんだよね」
たくましさを感じていた。洗いながら身を寄せてみる。両手をつけて、頬を摺り寄せて、寄りかかる事もできる。
感動が深く沸いてくるのを感じる。
「好きだな…」
と 愛しさがどうしてもこみあげてくる。
亜美は一生懸命力をこめて背中を擦った。一刻も早く次に進み、高須竜児を隅々まで感じたくなった。

「はい、背中おしまい。高須くん、こっち向いて」
「前は自分でするって」
「それじゃ、意味ないよ。いちゃつき洗いにならないじゃん」
「お前、大変じゃないか」
「ううん。元気になる」

そうして、竜児がむき直すのを待つ。顔が見たかった。照れた顔がみれて、喜びと羞恥心がごちゃ混ぜになる。
自分が不思議な表情になってしまう事に気づく。口元が緩んでしまい、でも恥ずかしくなり目をふせてしまう。頬の筋肉がつりそうだ。
ぶちゃいく顔ではないだろうか、顔を見られないように伏せて、洗う作業を再開する。

亜美は竜児の左手を取り、右手でスポンジでゴシゴシ擦り込む。終われば竜児の右手だ。そして胸元に手を寄せる。
厚い胸。男を感じる。少し恥ずかしくなる。

「川嶋?」

名を呼ばれ、手が止まってる事に気づく。誤魔化すために一芝居。

「あれ、手すべっちゃった」

と竜児の股間に手を持っていく。ベットの上で愛するのだ。冗談混じりに早めに接触しておこうと思って、固まった。
予想以上に、熱くて、硬い。そして勃起したそれは大きい。その男にしか存在しないパーツに目を向ける。

達観した余裕のある女の子。モデル歴も長く、実社会を知っていて、裏と表を使い分ける術を知っている早熟の女子高校生。
それは見せかけだけ、本当の自分を知っているだけに防備をしている姿。

実際は性に関して未熟だった。デートも、キスも竜児が初めてと来て、男性器を直視した事などあろうはずもない。
その形は日常の世界には存在しない形状、形、エイリアンかと思ってしまう。
地球外生命や幽霊と不意に対面した思い。平静ではいられない。
亜美が目にしたものは竜児の最大限に勃起しきった男性自身。血管が巡る形状、その肉塊然としたグロテスクな姿を見てしまえば動揺も生ずる。

余裕を浮かべた表情のまま、亜美は固まっていた。竜児を握った手は震えていた。
竜児とて同じだ。亜美に直視されて恥ずかしいことこのうえない。

その振動に竜児は反射的に「んぅ」と声をあげてしまい。咳払いをひとつ。
普段の亜美であれば、そんな竜児の反応を逃すはずもなく、からかいの種にするだろうが、いまだ硬直から解けない。
そんな亜美を竜児はリードしたいと思った。さきほどの照れ隠しでもない。強引なだけの強がりでもなく、喜びを分かちたいと思った。
ただ手を引っ張って、一緒に歩きたいと思った。


「なぁ、川嶋。バスタオル解けよ」
「え?、えぇ!、な、なんで」
「洗いっこだろ。これじゃ、お前だけだ」

と優しく言葉をかける。それに答え亜美も
「そっか…そうだよね。洗いっこだものね」
タオルをゆっくり外す。ハラリと落ちて現れる裸身。
シャワーの熱が残り、ほんのり赤らんではいる肌、二つの大きな膨らみが、彼女が動くたびプルルと揺れる。
艶やかで、白く、それでいて、少しぽっと赤みが差している 興奮してくれてるのかと思うと愛おしさが溢れるようだ。
胸の頂上では張りつめたような先っぽが可愛らしい。
美しいのは胸だけじゃない。キュッとくびれたウエストライン。お腹なんかは手を置いて暖めてあげたくなる。

きれいだな…

向かい合った体勢での洗い合いだ。互いに洗える所は限られている。竜児は亜美と同様、相手の胸に手をむける。

「川嶋…胸、さわるぞ…」
「うん…綺麗にして」

竜児の手が亜美に触れる。中指と人差し指が触れ、少し遅れて薬指。親指と小指とで乳房をつつみ込むように触れる。
胸は一瞬沈み込むと、柔らかな感触を竜児に返し、すぐに反発して、弾力を返す。張りのある肌の感触が心地良い。

「んぅぅ」

亜美が鳴いた。もどかしそうな、切なそうな、それでいて、喜びが含まれた声だった。
慌てて、竜児が手を引っ込める。

「悪い。変な掴み方しちまったか?」
「違う。そうじゃなくて。くすぐたかったのと、嬉しかった。竜児の手が触れてくれてるんだなって」
「間違いなく俺の手だぞ。これは」
「そうだね。普段は器用なのに、こういう事は不器用な竜児の手。まちがいないね」
「うるさい」

逆襲とばかり竜児は乳房に手を伸ばす。やり返すと交差するように亜美の手も伸びる。お互いを愛情深くこすりあう。
亜美はか細い腕で、非力さを賄うように精一杯、竜児の体をこする。腰をうかせて竜児の首を洗った。小さなお尻が可愛く揺れる。

竜児は優しく撫でるように泡で体を包み込ませ、きめ細かな肌を少したりとも傷つかないように、力が入らないようにして亜美を包み込む。
胸を触る時だけは少し力を込め、指を曲げて感触を与え、刺激を与える。亜美が恥ずかしげに反応してくれる事が楽しかった。
調子にのって、乳房の山頂を指の腹でなでる。

「あふぅっ」

薬指と中指で挟み込み、両側からこすり付けと、今までに無い反応。もっとしたくなる。

「ふぁ、あんっ!!」

亜美は恨みがましい眼で睨む。

「川嶋。敏感だな」
「調子に乗らない!」

その言葉が竜児の悪戯心を騒がせた。亜美の乳房を両手で掴み、包み込んだ。マッサージするようにゆっくりと揉む。
亜美の乳房は広げた男の手の平に少し余る程度、その大きさが堪らなかった。両手への反動、弾力が続きを促す。ただ、ただ揉み続ける

「あっ、ふ、ふうんっ!!」

その度に亜美の裸身が縦に踊る。竜児を攻める所の話ではなくなり、自分の中に生まれる快感に振り回される。
それが竜児には楽しかった。自分の手で気持ちよくさせてあげれたという嬉しさだ。
亜美の体を探検して、彼女の感じる箇所。喜ぶ場所を沢山見つけたいと思った。

「川嶋って、胸が性感帯なのか?」
「解らない。そんなの解らない。自分でする時はこんな気持ちよくなかったもの」

両目を真っ赤にして潤ませ、言葉がすっかり上擦っている。間違いなさそうだ。竜児は執拗に亜美の胸を攻める。
手の平を中心に内側に向かって乳房を揉む。横に広げて、内に集めて、その度に亜美の胸はプルルンと揺れ、亜美が切なげに鳴く。

「あんっ!あ、だめぇ、カタチ、ヘンになっちゃう…!止めて」
「こんな柔らかくて、弾力があるんだ。大丈夫だろ。それにが川嶋は気持ちよさそうに見える」
「そ、そんなことない。もう、そこばかりは止めて、き、気持ちよくなんかない」

竜児は亜美の言葉に乳房を揉むのを止めた。
「そうか?。けどな」

手の平は乳房の上に置いたまま、親指で乳首を攻める。つい、亜美にはいつものからかい合いの様にちょっとした意地悪をしてみたくなる。
からかわれ、からかい、ジャレあうようにして二人は気持ちを近づけた。
親指の感触が段々と変わっていく。乳首が少し大きくなった気がした。好奇心があった。亜美の全てを竜児は知りたい。だから確かめてみる。
摘んでみる。思ったとおりだ。先ほどまでには無い硬さを胸の頂点は持っていた。突起を感じる。
こすってみる。指の下で乳首が鳴く。きゅっ、きゅっ、きゅっ…と鳴く。クリっと指を動かすたび、ぎゅっ、ぎゅっ…と答えてくれる。
答えてくれるのは乳首だけでなく…

「はん、ああ、や。ん。そこ、だめ…!!あ、はああ…ん」
竜児の動きに応えて亜美が音楽を奏でる。

「乳首、勃起してるだろ?。、固くなってる」
「だめ、やだっ…!言わないでよ。あたし、乳首って…」
「だから弱いんだろ?」

亜美は降参して、「う、うん、多分」と応える。そして、「正直に言ったから、だから、もう止めてよ」と続ける。
竜児は指の動きを止め、引っ込めると、亜美に軽い口付けをして許しを請う。
亜美は安堵した表情をした。初めて遭遇した刺激に怖かった。けれど、竜児はやはり優しかった。
笑顔をつくり、止めてくれてありがとう、と目で伝えてみる。

しかし、先ほどのキス、竜児は謝罪の先払いのつもりだった。
こんな時の「止めて」なんて女の拒否の言葉など、男にとっては、「もっとしてくれ」と言ってるようにしか聞こえない。
再び二本の指で乳首を挟む。亜美が心底驚いた顔をしたその時、より強い愛撫が開始された。
力を込めて摘み、ひねる。早い動きでこする。亜美が電気でも走ったかのように跳ね、「やぁ」と大きく叫ぶ。

小さな先端に性感が凝縮されているようだ。敏感になっている。亜美はそんな気がした。自分の指ではここまでの快感はなかったのに。
もしかしたら、状況に酔っているだけなのだろうか?、被虐性を自分は持っているのかもしれない。
竜児にはああ言ったが、実は気持ちいい。すごく気持ちいい。
高須竜児のものになるこの夜をどれだけ夢想して、自らを慰めたか、数え切れない。それが今、実現している。

「あひっ、あ、や」

思考が妨げられる。、乳首をこすられる度に反射的に声をあげてしまう。論理的になんか考えられない。
解るのは自分の卑猥でいやらしい鳴き声だ。恥ずかしいのに声が漏れる。

いやらしい女

その認識が自分を高ぶらせる。陰部からトロトロと愛液が分泌されている事が解る。濡れてる。お風呂場でよかった。
竜児には自分がこんないやらしい奴とばれたくない。
きっと、彼はお嬢様っぽい小さくて可愛い子とかスポーツ少女のような健康的な子が理想なのだろう。Hな子だと解ったら軽蔑されるかもしれない。
こんなに愛されているのに、いつも自信がない。

「高須くん。キスしたい」

すがるように亜美が求める。

ちゅ、ちゅっ…ちゅ…ぷは、はぁ、くりゅ、ぢゅむ…れる、れ…こはぁ、ぷぢゅ…

竜児が唇を近づける。亜美が吸い付いていく。そして、勢い良く舌を差し出してくる。
息も絶え絶えであるというのに、亜美は積極的にディープキスを試みてきた。
竜児は拒むことなく、むしろ歓迎するように舌を絡める。唇と唇の間から液体が混ざる音、粘膜が触れ合う音。空気が漏れる音がした。
二人とも酸欠寸前までに唇を離さない。動物のように鼻だけで荒い呼吸をする。

「高須く…ん。す…き…。好きだから…、私が一番、高須くんのこと好き……」
「俺も…川嶋…の…事、好きだ……」

引き込み、絡めてゆく。ざらざらとした舌を重ねあい。互いになめる。
竜児の指はその間も休むことなく亜美の乳首を攻める。その度に亜美の舌が跳ねる、喜びの鳴き声をあげるように激しく動いた。
体をビクンと震わせ、亜美は勝手に動いてしまうままならない舌がもどかしく、それでもお返しをしなければと、
子犬のようにペロペロと竜児の唇、舌、ついには頬や鼻を舐める。竜児の顔をベトベトにするくらい健気に舐めだす。

「は、きゅむゅ、あふっ…好き、んんっ…」
「れる、ちゅ、りゅりゅ…、川嶋…」

体を密着して、一生懸命に亜美は体を寄せる。竜児の手が入る隙間もなくなり、脆い彼女の背中に回すと、抱きしめる。
その行為に酔うような、安堵したような表情を浮かべ、お礼とばかりに竜児を舐め続ける亜美。

べちゃ、ぺちょ、べちゃ、…ちゅ…ちゅ…ちゅむ…

それが数分は続いただろうか。竜児は亜美に「もういいよ」と亜美の舌を甘く噛む。そして自分の舌で愛撫する。亜美もそれを返す。強く擦れ合う。
互いの唾液の味が混ざり合い…糸を引く。 二人分の唾液が混ざる音がする。
キスだけで、さざ波のようなフラッシュバックが脳を襲う。幸福感と興奮が高まっていく。


「もっとキスして…」
「わかった」

竜児は亜美の願いに応える。微笑みかけるよな優しい、軽いキスを繰り返す。

ちゅっ、ちゅっ…ちゅ……ぢゅっ…

亜美は陶酔の溜息を吐き、のぼせてしまったように、頭がぽぉっ…としだす。
そんな亜美を包み込むように、竜児は亜美の体をさらに抱き寄せ、額や耳にキスを降らせると、頭を撫でる。
彼女の青みががった髪がふわっと広がる。その髪の毛に指を入れ、すくように何度も撫でる。

「あは、気持ち良い。優しい気持ちになれる」
「俺もだ。川嶋」
「あたしの髪、好き?」
「ああ、好きだ。女の子って感じがする」
「もしさ、高須くんが見たいっていうなら、フランス人形みたいなウェーブかけてみたり、スポーティなショートにしてもいいよ」

竜児はポカリと亜美の頭を軽く叩く。
「な、なによ。亜美ちゃんの大事なおつむに」
「馬鹿だからだよ。俺はお前の事が好きだ。間違いないさ。お前がしたいっていうなら、どんな髪型でもいい」
「どんなのでもいいって、なんかつまんない」
「なら俺は今の川嶋亜美が気に入ってる。だから、今のままだが一番、嬉しい」
「じゃぁ、優しく洗って」
「おう」

止めていたシャワーを竜児は手に取るとを亜美に浴びせる。時間をかけて丁寧に髪を濡らすとシャンプーを手の平にとり、
撫でるように亜美の髪に広げる。 自分と違って、シャンプーの量はかなり使いそうだ。
それを頭皮をマッサージするようにしながら亜美の頭を洗う。

「竜児。髪あらうのも上手い♪。気持ち良いよ。慣れてるって感じでさ」
「そりゃ、自分の髪は洗うが、今はさっきのお前の真似してるだけだ」
「じゃなくて、他の娘とかにもしてあげてたんでしょ?」
「ば〜か。変な心配するな。そんな事までするかよ」
「だって、なれてる感じするんだもん。嫉妬深い彼女、嫌?」
「嫌ってほどじゃないが、信頼してくれると嬉しい」
「なんか、それ浮気する男の常套句っぽい」
「疑り深いやつだな」
「違うよ。愛情深い娘だもの」

竜児は答えのかわりに亜美の髪の毛をクシャクシャとかき混ぜ、ぽんと撫でて、

「おし、お湯で流すぞ」
「そうだね。体もボディソープでぬるぬるだし」

とシャンプーまみれの亜美が答え、なにか、面白い事を思いついたと、

「そうだ。ヌルヌルついでに、体を洗いきっちゃおうよ」
「どういう事だ」
「お互いの体、スポンジ代わりにして洗うの。抱きあって、擦り合わせて、きっと楽しいよ」


竜児はその様子を想像して、赤面したが、亜美を喜ばせたいと進んで合意する。それに、いろんな性行為に興味もある。彼だって高校男子だ。
竜児が腰を上げ、追いかけるように亜美も立ち上がる。
顔を見合わせ、笑いあい、亜美が身を任せるように、竜児に寄りかかり体を預けた。

竜児は肩を抱き、少し躊躇した後、抱きしめたり、緩めたりしながら、自らの体を亜美にすり合わせる。

「あは、くすぐったい」
「しょうがねぇだろ。勝手、わかんねぇんだ」

「不器用」
「そうだよ。悪いか」
「悪くないよ。不器用の方が私は好き」

亜美は体を上下に揺すって、自分の体の凸と凹をうまく利用して、ソープを泡立たせて、竜児を洗う。
泡を潤滑油にして、体を動かす。きゅっきゅっという音がして、
胸の柔らかさ、皮下脂肪のすぐ下のしまった腹筋の硬さ、絡まってきた太ももの感触、
その感触が現れたり、離れたりしてリズミカルに竜児を襲った。
彼は体全体が鋭敏になって、まるで生殖器になっているような感触が胸を満たしていく。
それは亜美も同様だったようで陶酔したような顔つきで、ただ、その動作を繰り返す。

「はぁ、ふぅ、ん、高須くぅん、痛くない?」
「痛いなんて事はない。なんでだ」

竜児は彼女の額にコツと自分の額をくっつけ、聞き返す。

「高須くんのあれ大丈夫?。なんか動くたびにぶつかって、折っちゃいそうで、怖い」
「あれ、あれってなんだよ」
「え、あ、う〜んと、お、おちんちん」
「お、わ、なんて、いや、大丈夫なように出来てるが、ぶつかって痛かったりするか?」
「それは大丈夫なんだけど、そういうふうに出来てるの?」
「そういうもんだ」
「ふふ、なんか不思議」

そんなおしゃべりを続けながら、二人は体をすりつけ合った。動けば動くほどなめりを増す事が面白く、相手の体温が気持ちよかった。

「川嶋、オレ達、ヌルヌルになってるな」
「ふぅ、ふぅ…うん、すっごい…ヌルヌル…」
「…川嶋の胸、柔らかくって、押し潰ちまって、悪いとは思うんだ。けどおれ、いつまでもこうしていたい。
 あったかかくて、へこむ感じが気持ちよくて、返ってくる弾力が愛おしくて、癖になっちまう、気持ちがいい」
「ありがと…私も」

それから二人は十分以上、抱き合い、笑いあいながら、キスを沢山して、シャワーを浴びせあい、お湯を掛け合った。
後は「川嶋の背中だけだな」と竜児。


「いいよ。さっき、一人でやったし」
「駄目だ。お前に洗ってもらって、お前のはしないって平等じゃねぇ」

と変な気遣いを見せてくれる彼氏に免じて、背中を流させる権利を渡した。
「うん。ふふ、私のためにしてくれようとする気持ち、うれしいな」

とチェアに座りなおす。
「では、亜美ちゃんの背中にふれてよいぞ」

竜児は亜美の背中を流してやりたいという気持ちの他に、もう一つ、してみたい事があった。
鏡だ。
大きな鏡がある。それを利用したかった。ベットルームと浴室を隔てる壁が鏡になっていた。
ベットルームからは透過性の高いガラスだが、浴槽からは鏡になっている仕掛けらしい。
おそらく、竜児が正面から亜美の裸を覗いていた時、亜美はこの鏡で自分の体をチェックしていたのだろう。
壁いっぱいが贅沢な事に鏡だ。使ってみたい。
チェアを鏡の前にむける。

「ちょっと、やだ。なんで鏡の前?」
「こんな大きな鏡、浴槽で利用出来るってなかなかないぞ。どうせなら使ってみたい。部屋代分利用しなきゃMOTTAINAI」
「この貧乏性」

鏡に映る二人の姿、二人分の全身を映し出せるほどの大きな鏡。
背中を流し、せっかくだからと鏡を利用して亜美の正面を竜児は洗いだした。
そのうち、亜美の体全体が赤みがさらに差してきた、強く洗って、肌が悲鳴をあげている訳ではない。
むしろ逆だった。優しく、愛撫するよう体を磨いている。
亜美は最初は、「亜美ちゃんの肌きれいでしょ♪」と軽口を叩いていたものの、
気持ちよさそうに目を細め、言葉数がへり、しまいには、とろけるような表情をして、内腿を震えさせ、
わずかに開いたり、閉じたりと落ち着かなくなり、無口になった。
鏡をとおして 、そんな表情、欲情して赤くなった体、ツンと尖った乳首、わなわなと喜びに震えるふとももを竜児を見つめる。
竜児がからかう時はよく亜美が素顔を見せてくれる。素直な反応はとても可愛い。
そんな表情を見ることが日常から、喜びになっている竜児は、それが癖になっていた。
いたずら心が湧いた。今日は亜美の素顔を、無防備になった亜美の顔を沢山みたい。
そんなチャンスなのが解る。だからサディスティックな遊びをしてしまう。
それが亜美の彼に甘えたいという願望と重なり、彼女のマゾヒスティックな欲望を呼び覚ましているのを男のずるい部分はキャッチしていた。
手を伸ばし亜美に微妙な部分を洗い出す。胸に手が伸びた。

「え。ちょっと、やだ。恥ずかしい」
「恥ずかしい事ないだろう。体を洗ってるだけだ」
「でも、これ、鏡にうつってるし」
「そりゃ風呂入ってるんだ。裸だろ。俺が見てるだけだ。俺に見られるのは嫌なのか?」
「高須くんに見られるのが嫌じゃなくて、自分自身に見られるのが嫌っていうか…」
「自分大好きなお前がいうか、そういうこと?。よくポーズ取るくせに」
「体じゃなくて、顔、こんな表情…」

鏡に目を再び向ける。淫猥な表情を浮かべ、だらしなく目と口を緩ませている亜美の表情が映っていた。
自分がこんな顔をしてるのが嫌だとは言い辛い。
だって、すごく嫌らしいのだから
鏡の中の亜美が現実を突きつけている。
お前はこんなに淫猥でいやらしい女だと。いやらしくよろこんでいると。

言い訳なんてまったく出来ない状況。そんな状況の中、竜児の手が亜美の胸に伸び、優しく揉む。
「あ、はぁん」
亜美の口が酸素を求め、口を開け、目が少し恐れを抱いたように、期待したように光る。


手が強く揉みしだく
「んぅぅ、…やさしくして…よぅ……」
言葉とは裏腹に、のぼせたように目を潤ませる。

手が乳首を軽くつまむ。
「やぁ、やん。しげき、つよく…て、うんん、ふぁ」
体をぶるっと震えさせ、口の端からよだれを一筋こぼす。

竜児のおもうままに、よがり泣く自分の表情が映る鏡を亜美は見ていた。目を離せずにいる。

すごく恥ずかしい女だ。そして、竜児に甘える事をよしとしている川嶋亜美がいる。
どうしようもない位、自分は高須竜児のことを好きでいる。この表情を見られてはその事が隠し様がない。そんな顔が鏡に写っている。
仮面なんて、嘘なんてまったくつけていない。

亜美は震える。目を閉じる事なく、目の前の言葉以上に気持ちを表現してしまっている自分の顔を直視する。
自らの意思で両足を少し開いてみた。
竜児の愛撫、一回、一回に濡れていくヴァギナを見てほしくなった。
あなたがこうさせてのだと、そして、自分でも鏡で、股間を覗いてみる。思った通りだ。

ああ、小さく開いてるだけでも光って見える。トロリとしてる。きっと、高須くんにも見えてる。
毛深い、卑猥で、綺麗じゃないマンコがベタベタになっているのが気づかれてしまう。

「もう、やめてよ。鏡の前、いや、下も全部見えちゃう」
鏡がある事を、下半身が見れる事を強調してみる。言いながら、足をもう少し、もう少しと開いていく。もう45度くらいの角度で開いている。
すごく恥ずかしい。けれど、絶対、目に入ってるはずだ。どれだけ自分が興奮してしまっているか、知られてしまう。

川嶋亜美が高須竜児の前ではいやらしくなってしまうか解ってくれる。今ならいやらしい自分を受け入れてくれる。
がっかりしないで、今の自分を許してほしい。

トロリと、今までより濃い、白い濁りを帯びた愛液がヴァギナから溢れてくる事が自分でも解る。

竜児も興奮していた。亜美の体を目の前の鏡に映す事に。
彼はこのガラスに仕掛けがある事を知っている。ベットルームから見ると透過性が高いガラスにすぎないのだ。

けして、居るはずはないが、もし、ベットルームに誰かいたら…

今の愛の営みを正面から凝視しているかもしれないのだ。

そんな事はありえないのだが、彼らからは外の様子は伺いしれない。100%、人がいないなんて保証はない。
それなのに、亜美は甘えきった表情で竜児の愛撫に答えてくれる。

誰かが目の前にいるかもしれないというのに、あの意地張りの、恥ずかしがり屋がとろけたような表情をしてくれる。

「川嶋、俺、お前の事好きだから。他のやつ、誰一人にも負けない」

亜美の顔を乱暴に自分の方に向け、唇を吸い、見せつけるように大胆に舌を絡ませる。

ぷは、はぁ、くりゅ、ぢゅむ…れる、れ…こはぁ、

息つぎもせず、酸欠のぎりぎりまで、口内を犯し、舌を吸い、やっと口を離す。
お互いの荒い息使いが、浴室に反響し、響き渡る。その呼吸も戻らないまま、息も絶え絶えに亜美は竜児の口を求め返した。
その気持ちは彼だけじゃない事を伝えたかった。

「…あ、あた…しも、あたしもぅ、高須くんの事、すきぃ。だれにもぅ、まけない」

それだけを亜美は告げて、クタっと、首を下げる。自分で達するのが解った。
自分を慰める時の比ではない快感が体を満たす。
なにより充足感と幸福感が違った。いろんな事がどうでもよくなり、同時にすべての事が許せるようにな気分だ。
今の自分は大好きだと思った。

「川嶋、ベット、行かないか?」

竜児の問いかけに、亜美はこくんと頷く。お風呂には入れなかった。けど、それではきりが無い。
この場所にいては蕩けるような快感の中、ぬるま湯でのぼせるように精魂尽きるまで抱き合ってしまう。
それはとても甘い誘惑だった。時間がとまってくれるなら、いつまでもここにいたいと思った。
これからされる事に恐怖もあった。
モデル仲間との話で、初めてのときはバットをねじ込まれるような痛みを覚悟しなくてはいけないと聞いていた。
けれど先に進みたかった。一つになりたかった。
捧げるなら彼だし、彼の初めての女にもなりたかった。なにより、より深く結びつき、誰にも取られないくらいの仲になりたかった。

椅子の端を両手でつかみ、体を起こそうとするが動くことが出来なかった。
力が入らない。それではと、懸命に力をいれようとする。竜児が期待してくれるならベットに行きたい。
竜児の手が彼女の腕をつかんだ。腰を屈め、彼女の手を自分の首の後ろに導く、亜美はきょとんとしてしまう。なにをするんだろう。
竜児は片手を亜美の背中に、もう片方を両膝の裏に腕を伸ばし、立ち上がる要領で抱き上げた。
「きゃ」
亜美が驚きの声をあげている間に、彼女は抱きかかえられていた。彼の顔を見ると、ぶっきらぼうで、それでいて照れた顔をしていた。

亜美が小さくつぶやく。
「……お姫様だっこ」
「悪い、聞き取れなかった。なんか言ったか?」
「ううん、なんにも」

亜美は微笑みが自然と浮かんでくるのを感じた。
初めてのだっこがラブホテルで裸で抱えられるなんて、そんなお姫様は童話にはきっと出てこないだろうけど

「連れてって、王子様」
「お、おう」

亜美は脱衣所に行くまでの間、ずっと竜児の照れた顔を見つめながら、クスクスと笑い続けた。


         ******




亜美は竜児に抱きかかえられて脱衣所まで運ばれると、そこでおろされた。

「あれ、ベット行くんじゃないの?」
「体拭かないと、風邪ひいちまうだろ。俺が拭いてやる」
「いいよ、子供じゃあるまいし」
「だめだ。力入らないんだろ」

竜児のなすがままに、体をふかれる。手をあげろといわれて側部をみせ、背中をみせろと無防備な後姿をさらす。
腿を拭いてもらうため、足を少し開いて、陰部の下に手をいれられる。

風呂場ですでに体を洗われた後とはいえ、一方的に乾いたタオルでさわられるというのとはでは、また感じ方も違う。
羞恥プレイを強要されているようだと亜美は思った。いや、強要ではないとは思うけれど

そして、竜児をみると、邪気がない。なぜか、なんだ、と少しがっかりとしてしまう。

「ねぇ。なんで、そんな平然としてるの」
「ん?。体拭くのに、なんでアタフタする必要があるんだ?」
「ほんと、高須くん、私の事、子供あつかい」
「しょうがねぇだろ。お前、子供っぽいところあるんだから」
ここぞとばかりにやり返してくる。

亜美はそんな遊び言葉に乗らず、心底疑問そうに
「ねぇ、高須くんはなんで私のこと、子供だと思ったの?。自覚はあるけど、外ではそういうの出して無いつもりだけど」
「あれで隠してるつもりだったのかよ。嘘つきのお前でもそういうとこあるのな、脇が甘いんじゃねぇか?」
竜児は脇の下をタオルを入れてこすりつける。

「やぁん、もう、真面目な話してるのに。でも真剣な話、そんなおろそかにしてないと思うんだけどな。ねぇ、具体的にどのあたり?」
「すぐに悪戯心だして、ウズウズとしだして。ちょっかいだすところとかだな」
「ん、ま、高須くんとかタイガーとか見てるとね、突っ込みどころ多すぎだって」
「俺達だけかよ」
「そうだよ。他の人にはそんな事してないでしょ。例えば祐作はつまんないし、だいたい前の会長くらいしかネタねぇし」
「そういや、そうか」
「そう。他にはある?て、やだ、ん、手がいやらしい」
「拭いてるだけだ。他ってたくさんあるぞ。例えば、けっこう我侭言うだろ。ダルいとか、掃除しねぇとか、代わりにやれとか」
「それ、高須くんだけだもの」
「そんな事ないだろ。お前、他の奴に掃除させたり、作業させたりして、楽してるじゃねぇか」
「だから、高須くんには言うんだって。他の男の子なら、亜美ちゃんが何も言わなくても率先してやってくれるか、聞いてくるし」
「俺だって重いものとか持ってやったりしただろ」
「たまにはね。たまに優しい時はあるけどさ。それだけ、だから、高須くんには文句言う」
「て、本当、俺だけにあんな我侭言ってたのかよ」
「だって、亜美ちゃん、みんなのアイドルだもん。みんなの理想でなきゃいけないでしょ」
「……だまされてるな。みんな」
「それに、高須くんならOKかなって」
「なにがOKなんだ?」
呆れたように竜児が返す。
「なんか我侭受け容れてくれそうで、それでいて、甘やかしもしないでいてくれて、て、あ、そういうことか」
亜美はなにかに気づいたように目を開いて、
「解っちゃった。なるほどね。高須くんの前だから、そうしてたのか」
「たく、勘弁してくれよ」
「でも、素の亜美ちゃんを高須くんは好きなんでしょ?」
「…嫌いじゃねぇ」
「ならさ、素の、生まれたままの亜美ちゃん味わってね。これから一晩中」

竜児が体を拭き終わるのをまって、二人は手のひらを重ね繋ぎ浴室を出る。
全裸で手を繋いで、室内を歩く。
その非日常性だけで、二人は胸を高鳴らせ、血流を熱くした。
そのまままっすぐにベットに向かう。これから今までの日常を越えた恋人の営みに進むのだ。



ベットに亜美が潜りこむ間に竜児は備え付けのコンドームに手を伸ばす。
コンドームの外袋を指先でちぎり、ベトベトとしたそれを気にしながら引きずり出す。
中心の膨らみを人差し指と中指でつまんで、亀頭にあてがうとそっと合わせる。
一つしかないのだ、失敗は許されない。
几帳面にぎりぎり根本まで包んで準備完了、ここまではOK。問題はこれからだ。
期待感と緊張、ちょっとした罪悪感で腹の中が渦巻いている。それでもペニスはぴりぴりと竜児をけしかけていた。

「用意出来た?」
「男は簡単だけど、お前大丈夫か」
「…大丈夫」

心なしか亜美は固めの声。一つになる事が目の前となり緊張している様子。
近づいてくる竜児をそっと盗み見る。ある一点、彼の股間に目がいく。彼女を貫くであろうそれを。
ピンク色のコンドームに包まれたペニスは艶めかしく濡れて見え、とても凶暴に見える。
意識すればするほど目が離せない。

ガールズトークで聞く噂話、仕事場で聞く生臭いそれの話を思い出す。特に今、頭を一杯にしているのは初めてのときの話だ。
どれだけ苦しく、痛かったかを競り合うようにみな、話をする。とても痛かった。いや私の方がもっと大変だった。
まるで、痛みが大きい方が偉いような比べ合いだ。した事が無い亜美はそんなに痛いのかと想像するばかり。正直、怖い。
けれど、皆だれもがが誇らしげに話しをする。結局のところの自慢話。くだらないと思いつつ、憧れもした。

そして、自分をこれからつら抜くのが高須竜児であれば、きっと、自分の思い出も誇らしくなるに違いない。
その瞬間がもうすぐなのだ。怖いけれど恐くない。
心臓が今にも胸から飛び出そうなほど早く強く鳴っている。

竜児も同じだ。早く亜美の女の子を奪いたい。期待で彼の男の子は雄雄しく上を向き、勃起している。
同時に恐れもある。上手く出来るか自信が無い。
さきほど浴室で見た女性の膣口はあまりにも小さすぎた。とてもスルリとなど入る気がしない。

いそいそとベットにもぐりこむと亜美の背中に手を入れ、軽くキスをしながら上体を起こしてもらう。
そして、自分の下半身を彼女の足と足の間に割って入れる。
露骨に自分の下半身を凝視するのも恥ずかしいので、だいたいの見込みだ。
それが悪かったのかペニスが最初に触れたのは彼女のおなかだ。亜美が「うぅん」と竜児の性器の接触に身を震わせる。
竜児は急いで修正開始。腰の高さを少しずつ変え、調整していく。
腰をひょこひょこと動かす姿があまりにも滑稽な気がする。そんな自覚で頭が一杯だ。
「かっこ悪くねぇか、俺」
焦り、戸惑い、テンパる。自分が馬鹿みたいに小さく思えてくる。酸素はどこだろうか、頭の中がくらくらする。
亜美の華奢な腰と竜児の男の武骨な、同年代の男よりスマートなつくりだが、亜美にくらべるとやはり無骨な竜児の下半身。
作りがまったく違う。それを重なるだけでも難しく手間取る。うまく合わせる事が出来ない。
上手くいかないのは自分が下手なだけだと思えてしまい。余計、焦りが増す。

手を使ってなんとかしようと右手を伸ばす。手をペニスに添え、角度を合わせる。
方向を合わせて、裂け目めがけて押し込もうとする。が膣口にぶつかり、角度が変わる。うまく入らない。

シーツを剥がして直接確認しようとするがよくわからない。腰と腰が密着しすぎて確認出来ない。
腰を離し、視覚で確認しようとするとせっかくあわせた角度が狂う。
やっと位置が合い、彼女の入口に近づいたと思っても、裂け目が狭くうまく入らない。
入れようとしても、ねじり込もうしてる間にズルリと抜ける。
その度に亜美は痛みのうめきをかみ殺した。つつく度に亜美は目をつぶって耐えていた。
頭の中では恐怖で一杯なのに肩すかしの連続で精神的なダメージは相当のものだった。



十分ほどそんな行為が続いただろうか。竜児は今度こそはと強引に押し込もうとした。しかし、同じように失敗し跳ね返るペニス。
先ほどより力ずくで押し込もうとした結果、大陰唇をつよく弾き、亜美はついに苦痛のうめきを漏らした。

「わりぃ、うまく入れられない。なんか情けないな…」
「悪くないよ。しょうがないって。高須くんもあたしも初めてだもの」
「すまん」
「だから、あやまらない」

亜美の激励に失いかけた気力を奮い起こし、竜児は再び、腰を押しつける。亜美の期待に応えたいとよけいに力が入る。
亀頭が再び膣口を引っ掛ける。亜美の中に潜り込もうとして強引に押し込まれる。ぴったりと閉じた膣口がめりめりと悲鳴をあげる。

「う、うぅん。くぅ」
亜美が呻いた。強い、引き裂かれる様な苦痛に反射的に腰を逃がしてしまう。すらすように上にずらしてしまう。亀頭が陰唇を擦り上げるようにして外れた。
亜美が「くぅ」と小さな呻きをあげた。

「すまん。強引に押し付けちまった。しかも、またすべって」
「ううん、私が、私が逃げちゃったのがいけないんだもの。別に嫌なわけじゃないんだよ。して欲しいんだ。本当に」
「痛いのか?。川嶋」
「大丈夫。ゆっくりでいいよ、その方が私達らしいんもの」

そして、竜児と亜美はなんども一つになろうと試みるが、初めての行為はスムーズに進む事が出来なかった。
亜美は失敗の度に小さな声を漏らすが、それでも微笑みを絶やさず、竜児を求めた。
竜児は彼女に応えようと、気を張り、何度も試みるが、それが彼の動きを硬くし、気持ちを焦らせた。
竜児は次第に無口になり、息すら押し殺す。比例して、瞳は揺れていた。

「川嶋。大変だろ。俺…」
「大変じゃないよ。それより竜児の方が大変そう、けど、がんばって」

竜児も頑張ろうとした。そう思えば思うほど上手くいかなくなる悪循環。自身の中で湧き上がる罪悪感と言う圧。
その圧力が彼の口を開かせた。ため息と一緒に出たその圧は彼に弱気の言葉を吐かせようとする。

「川嶋、やっぱり今日は……」

その後に続いたであろう諦めの言葉は亜美のキスにより阻止された。

「弱気な竜児、すごくかわいい。なんか、あたし、Sっ気が沸いてきちゃった。私から攻めちゃお」
あえて、亜美は攻め手に回り消沈した竜児に話しかける。

「いや、しかし…」
「私がしたいんだもの。お、ね、が、い♪」

竜児が硬直している間に亜美は上体を起こして抱きつく。彼が自分を思いやってくれていることを感じている。辛そうにしてくれるのもその表れ。
出来る事なら同じくらいのものを返してあげたい。愛してあげたい。
亜美は間髪入れず抱きついたまま体を半回転、彼をベットに押し付けて、馬乗りとなる。

「な、なにしやがる」
「こうするの」


亜美の右手はいつのまにか、彼の股間に移動していた。
そして、やさしく握り込む。
自信を失いかけ、硬さを失いかけたそれを亜美の手のひらの温かみが包む。

「うぅ」
「男の子って、こうやって、自分を慰めるんでしょ」

彼女の手の平が筒状となり、竜児のペニスを握ると、上下に動き始めた。

「やめてくれ」
「なんか、言った?。聞こえな〜い♪」

楽しそうに亜美は応えると、その右手の動きを早くしていく。
竜児の荒い息、段々と硬さを取り戻すペニス。つられるように亜美も息づかいを早くする。竜児を興奮させているという行為自体が彼女を高ぶらせた。
そのうち、少しづつ竜児の呻き方が変わっていく。震えるような、それでいて甘みを含んだ声だった。
声まで震え始めた竜児に、亜美は愛撫の手を止めて微笑みかけた。

竜児は見上げる、その顔はものたりなさを、瞳の憂いは快楽に不安を抱く心を表現していた。
その顔をみて、亜美はよりいっそう優しげな笑みすると

ちゅっ…

亜美は竜児の瞳を見ながら軽いキスをした。
普段なら、それはキスの雨を開始する合図で、その後、唇を食むキス。舌で唇をなめながらのキス。舌を絡ませる深いキスを何度もしあう。
竜児は顔を近づけるが、彼女はそれをしない。竜児は訳がわからなかった。唇がせつなく、もどかしい。

「川嶋……」
思わず竜児は彼女の名を呼ぶ。

亜美も彼の気持ちを感じていた。彼女の名を呼ぶ声にせつなそうに乞う響きがあった。
自分を求めてくれてるという事が解る。。
ゾクッとして亜美の体の奥からねっとりとした何かが体の外に出たがっているのが解った。
愛液が股間を濡らす。そして、唾液が分泌される。いつもなら、キスをして、唾液を交換しあって、お互いの味を確かめあう。
だから、唇を重ね合わせれば唾液が出る。
まるでパブロフの犬だ。馬鹿チワワと呼ばれた女は自らを笑ってみる。私の体、変わってきてる…、いやらしい。
そして、それはきっと、彼氏も同じ。

「竜児、唾液飲みたい?」

焦らすように竜児を誘う。目の前の喉が鳴った。それは答えだ。彼は欲しがっている。
ゆっくりと顔を近づけてみる。準備万端なようだ。彼の口が大きく開いた。

「キスするよな口じゃないよ。高須くん」

まるで親鳥に餌をねだるひな鳥のようだった。だから、亜美は母鳥のように口移しで愛情を送る。
性的興奮で量をました唾液を竜児にゆっくりと流し込む。ながしこみながら舌を伸ばす。舌で彼の口内をかき混ぜる。

くちゃくちゃ

音がした。竜児の唾液と混ざり、粘度をましたそれが音を立てる。私も飲ませて欲しいと亜美は思ったが今は我慢だ。
彼が飲み込むその表情を見つめたい。それに今は喉を乾かす時だ。あとで元気になった彼に潤してもらえばいい。


淫猥な口付けを終え、顔を離す。離しながらも竜児の顔からけして目をそらさない。
喉をならして飲み干すその姿を一瞬も見逃したりしない。自分の表情が見られている事を自覚しているだろう彼の羞恥を煽るためだ。
せつなげにしかめる眉も、鼻だけで呼吸する姿も、唇の中で押し殺すあえぎもすべて私のものだ。この表情を見る権利、誰にも譲らない。
亜美の股間で愛液が溢れ、爆ぜた。

ぴゅっぴゅっ

まるで、男性が射精するように、ラブジュースが吹き出す。亜美は興奮している。竜児が自分に発情してくれている事にこの上ない喜びを感じていた。
そっと手の中の竜児のペニスを握り直す。

亜美の味に竜児はペニスをガチガチにさせて、待ちきれないように震えていた。
その震えを安心させるようにそっと包み込む。
やっぱり、熱くて、硬い。一回、二回と指を筒状にした手でペニスを擦ってみる。もう焦らすのは終わりだ。

「うっ」

竜児の喉の奥が切なげに唸る。

可愛い。そして今は自分のペースだ。大丈夫だよ高須くん。私は少しだけ先を歩いてあげる。導いてあげる。
亜美は余裕をもって笑うと、竜児の羞恥心で一杯になった欲情した瞳をまっすぐに見ながら、悪魔のように誘惑する。

「高須くん…フェラチオしてあげる。」

不敵な微笑を浮かべつつ、竜児を後ろに下がらせる。ニヤリとして顔を作りながら筒状の右手でコンドームを抜き取る。
束縛から解放されたきかん棒は元気をましたかのようにそそり立つ。

「お口だからゴムの必要ないよね。生身の竜児で亜美ちゃんのフェラ味わって」

竜児が無言で頷く、亜美は「足広げて、おちんちん舐めやすいようにして」とあえて卑語を口にだして、竜児自らの意思で足を開かせる。
竜児は顔を赤くしながら、両脚をおずおずと広げる。ペニスは劣情のままに隆起している。

亜美はペニスを静かに撫で、擦り、竜児を見つめ「やらし」とさげすむように囁く。、
竜児の前で座りなおすと、ひざまづき、背を曲げ、隠す事なくお尻を突き出し、奉仕をするような姿勢をとるとペニスを少しの間、見た。
一瞬、金縛る体。意思の力でねじ伏せる。
髪を掻き揚げると、愛しい人の唇に愛をささげる様にやさしいキスをする。
竜児のペニスはそれだけで、ピクンと跳ね、達しそうになる。

「駄目♪。我慢してくれたら、もっと気持ちよくしてあげるから」
「わ、わかった」

顔を起こし上目遣いで亜美は制止をかける。竜児は尻を締めるようにして、高ぶりを抑える努力をする。
亜美のペースになられるとまずいとかかっこ悪いとか思う余裕などない。耐える事で精一杯だ。
竜児が一杯になっている事を彼の表情だけで悟ると亜美は口角を上げ、

「じゃあ、まずは本格的に手でいじってあげる」


亜美はそそり立つ男性器を右手で幹を握り、こしゅ、こしゅと連続して摩擦を与える。竜児が小さな嗚咽を漏らす。

「固くって、おっきいね。男の人のって、みんなこんな大きくて、変な形してるの?」
「お、男同士で形とかじっくり見比べたりはしないから、わかんねーよ。大きさは普通だと思いたい」
「そうなんだ。大きい人はもっとすごいって事?」

竜児のうなりが止まったようにな気がして、顔を見上げる。そこには、すこし拗ねたような少年の顔があった。
亜美は気持ちが軽くなって

「まぁ、別に他の人がどうでもいいかな。そんなに見ることもないだろうし」

あえて口に出して、誠意をこめてより優しく、愛情をもってペニスを握る。当面はあのうめき声を何度も聞くのが目的だ。とても嬉しい。
ストロークに変化をつけ、ゆっくりと手の平を上下運動したかと思えば、強く握って、しゅっしゅっ と早めに摩擦を与える。
かと思えば親指、人差し指、中指の三本だけで摘むようにして擦り、微弱な刺激を与えたりもする。
竜児の汗の匂いが強くなった。彼女の刺激に発汗して、身を硬くしてくれてることに満足感を得る。
より刺激的な事をしたら、どういう反応を見せてくれるのだろう。そして、自分はどこまで満たされるのか、予想も出来ない。
そんなドキドキとした期待とハラハラとした怖さを胸のうちに隠して、竜児の顔を見てみる。
彼はうかつに刺激を受けたりすれば、たちどころに射精してしまうのではないかという怖さと戦っていた。
からっぼになるまで精液を放ちつづけてしまうのでないだろうかと思えている。達するのが恐ろしい。

「…川嶋、ヤバイ…。オレ、手だけでどうにかなっちまう…」
「うわ、高須くんの早漏」
「それでも構わない。情けないが早漏だ。すまない。いったん休憩させてくれ」
「だ〜め。だって、あは、私、高須くんの今の声気に入っちゃた。そんな声出すんだね。かーわい♪。もっと泣かせたくなるな」
「て、ふ、や、やめろって…。」

耳まで真っ赤になり、竜児はとうとう恥じ入るようにうつむいた。情けない顔を見られたくなかったからだ。
そんな竜児に情け容赦なく追撃を亜美は行う。俯いた耳元に口を寄せ意地悪をささやいた。
主導権掌握を確信したその表情は人の悪そうなことこの上ない。

「あーあ、高須くんイッちゃうんだ。手だけでイキそうになるなんて恥ずかしい。こんなんで亜美ちゃんをリードしようなんて百年はやい」
「な、この性悪女、く、くそ、駄目だ。俺、限界で」
「いいよ。いいんだって、私がリードしてあげるから、高須くんは悶えて、気持ちよくなって」

竜児の嘆願を否定して亜美は続ける。 ゆっくり、しかしストロークは長く、幹をしごき、時折握り込むように揉んだ。
力を込めて握るたび、熱い興奮の血が幹いっぱいに巡るのがわかる。
摩るたびに、硬さと力強さを感じる。
お風呂で見たときとは見違えるほど、大きさを変えた彼の先端は、ツヤツヤとした赤紫色で血流を溜め込んでいた。
怖さを抑えて、手の平で触ってみる。ほどよい弾力で感触が返ってくる。

「あは」

亜美は 撫でるようにして、亀頭をさする。面白くなってくる。空いた左手は、もう一つの興味深いところへ。

きゅっ…ぎゅっ…

右手が亀頭を愛撫し、左手は陰嚢を愛撫する。指の中でころころ移動させ、形を確かめるようにひとつずつそっと包み込む。
指先でつまんで刺激すると、竜児はつらそうにうめいた。


「はぁ、く、川嶋っ…そこ!」
「高須くんの新鮮な命…ここにたっぷりつまってるんだよね?」
「くぅ、そ、そういう言い方やめろって。それにそうだと思うなら大事に扱えって」
「もちろん。だから大事にしてるんだって。これからがんばってくれるようにモミモミしてあげてるの」

ペニスへの愛撫は背筋がゾクゾクするほどに心地よく、愛撫されるそれは根本からもっともっとと勃起するように跳ねるのだが…
睾丸への愛撫はいささか刺激が強すぎる。竜児はつらそうに顔をしかめて頭を振る。
情けない顔を見られている、という羞恥心も作用し、声がわずかに上擦り始める。
亜美は最後に、幼子の頭をかいぐりするほどの優しさでころころっとふぐりを揺さぶって左手から解放した。
苛めを終えた左手は竜児の腰に当てられ、すり、すり、と腰骨の辺りを撫でる。

「じゃ、お口で食べさせて、高須くんのおちんちん」
「やめてくれ。もう十分だ。頼むから助けてくれ」

そんな命乞いじみた拒否の言葉を無視して亜美は彼のペニスを右手で握り直し、少し傾ける。亀頭を目の前にして、臭いを嗅ぐ。

「高須くん、すごくエッチな臭いするよ。それにテカテカになってる。もう、なんだか沢山出ちゃってる」

竜児を上目遣いで攻める。

「もういい。本当に限界だ。俺、このままじゃ全部でちまう」
「いいよ。気持ちよくなったら出しても。亜美ちゃんに欲情して、セックスする前から我慢出来なくなって、情けないくらい射精しちゃっても」

竜児が何か言い返そうとするが、ぶるっと体を震えて、言葉を飲み込む。
口を閉じて、少しでも体の外につながるものを閉じないと大変な事になってしまいそうだった。射精を封じようとする。
けれど、すぐに口が開く。
「や、やめてくれ」
竜児がおもわず悲鳴をあげる。亜美の舌がぺろりと亀頭を愛撫した事に反応してしまう。
さきほどの唇とも、指の感触とも違う。柔らかくて、ざらついた感触。ぬめっと湿った舌が、亀頭のカウパーを舐め取った。

「味見しちゃった。竜児のおちんちん、すこし苦いみたい」
ぴゅっと亜美だけに音が聞こえた。竜児が射精した訳ではない、竜児は眉をまげて、耐えていた。無言で歯を食いしばる。

「苦いけど美味しかった。私、この味、癖になるかも」
亜美はこれからもするからねと予約を入れた。自分の一言、一言に誘われて、また、亜美の下半身が、ぴゅっ と音を立てた。
愛液が早とちりをしたかのように、彼女の陰部をぬらし、勢いがすぎて、ベットをよごす。

「これからが本番なんだからね。出しちゃまだ駄目だよ」

自分では出すなと言いながら亜美のヴァギナからは愛液が吐き出ていた。ぴゅっぴゅっと先ほどから少量ながら連続で吐き出している。
我慢できずに体が反応しているのは自分だった。自分がHな事をしているという認識と竜児の表情だけで既に軽くイッていた。
けれど仮面を被る。悟られないように亜美は先を急ぐ。自分が果てるまでに竜児をいかせれば一息つける。

小さな口を出来る限り大きく開き、パクリと口にいれる。あったかい空気が亀頭を包む、亜美の口の中はとてもあたたかかった。
暖かな空気が竜児の感覚を包み、寒気が走るほどの鋭い刺激が竜児の背骨を走る。
気持ちよすぎて、今までに無い感覚に脳みそがかき回され、気持ちが悪いほど感覚が混乱した。
竜児は荒い息をして、酸素を求めた。そんな彼を不思議そうに亜美は見つめ、今、起きている事を報告した。

「たべひゃった」

口に含みながら拙く言葉を発する。言葉を発するたびに舌がゆれ、竜児のペニスに触れる。息がかかる。
暖かい口の中でペニスにベロチューで愛し、同時に唇の摩擦で幹に刺激を与える。



「あう、ふぅ、うぅ…、う」

竜児の声は、もう言葉にならない。あえぎを続け、悲鳴をあげる。そんな耐えている様子が亜美には愛しい。
もっと気持ちよくなって欲しい。あえいで欲しい。あの顔をもっと苦しそうにさせたい。
かかとを浮かせると膝立ちとなる。上からペニスを咥えるようにして、より激しく舌で愛撫を続ける。頭をふって唇で何度も愛撫する。
その度に竜児が苦しそうな声をあげる。それが彼女の体を熱くさせた。亜美はもっと卑猥な事をしたくなった。
もっと自分がいやらしいことをする所を竜児に見てもらいたいと思った。

咥えていたペニスをゆっくりと口から出す、ネトリとして唾液で濡れている一物は糸を引いて亜美の唇から現れた。
亜美は竜児の様子を見るために再び上を向く、
そこには苦しみから解放されてような、それでいて、なにか名残惜しいような顔をした竜児がいた。
そして、竜児は口淫が終了したと思い、

「川嶋、ありがとう。その、すごく気持ちよかった」

彼女に感謝の言葉を伝える。ご飯をお預けされた犬みたいな顔をしながら。
亜美はその表情に秘裂がワナと震えたのが解った。彼女の一番柔らかいところで彼のペニスを抱きしめてあげたいと本能が言っていた。
けれどまだ我慢。それはおくびにも出さず無言で

ちろり。

と赤い舌を出して、無表情で竜児を見上げた。それを予告として、

ちろっ…ちゅるっ…ぺろり…

指で彼のイチモツをもつと、アイスキャンディーを舐めるように、舌先でペロペロと先ほどとは別格な速さで舐めだす。
不意打ちをうけた竜児は

「くうっ!」

とうめき声をあげる。お預けを命じられている子犬の顔ではもうない。
苦しそうだ。息苦しそうだ。けれど、大きく開いた口の中で揺らめく舌ははしゃいでいる犬を思わせるほど踊っていた。
同調するように亜美が舌の動きを早める。

…ピチャピチャ……

音がする。亜美が舐める音だ。カウパーが引き出されるように染み出る。

…チュル…チュルチュ…

亜美がすする音が重なりだす。亜美の唾液と竜児の先走り水が混ざり、彼のペニスがベトベトとなっていた。
その亀頭に亜美が口先をつけ、啜った。

「馬鹿、川嶋、やめろ」
「大丈夫。だって美味しいもの。竜児の味」

亜美は一旦、口を離し、そう告げた後、再び、啜る事を再開する。



…チュル…チュルチュ…

彼女の顔を乱暴に離す訳にもいかず竜児はうなる。表面を吸われる事自体は先ほどより直接的な刺激は少ない。
それでも達しそうだ。
気持ちを一生懸命、舐めてくれた気がした。だからよけいカウパーが分泌される。
献身的な、川嶋亜美のその行為は彼の精神を刺激する。物理的なものよりも激しく彼を高めた。

「ああ、川嶋…、俺、ぁくぁ…」
「ふふぅん、綺麗になった。もう少しするね」

亜美は微笑みかけると、今度は舌をなるべく出して、ザラザラとした舌の面で舐めあげる。
次は横から幹だ。横笛を吹くように舐めあげる。そこをベトベトにしてから、最後は上から下に全体を柔らかい舌でこする。

「か、川嶋、やりすぎだ」
「だって、この子だけ、舐めてあげないのかわいそう。ここも私の大事な竜児」

袋の端を口に含みチロリとなめる。はむはむと甘噛をくりかえす。上気にした竜児の声がその度にする。
気持ち良さそうだ。このまま順調にいけば後、数十秒で達してしまうかもしれない。

「俺もう、いっちまう」

ピタリと亜美の動作が止み、口内から袋が開放される。

「え、もう少しで」
竜児の小さな声。ここまで来ての寸止めではさすがに酷な扱いだった。だが、亜美は焦らしている訳ではない。最初から
「ちゃんとしたフェラチオでいかせてあげる」
事に決めていたのだから、再び竜児の亀頭を口に含み直す。口内のそれを子犬がするように一生懸命舐め上げてくる。
角度を変えて斜めから、下から上から、ペニスを舐めあげる。
同時に頭部を前後に動かし、唇と手の平で幹に摩擦という刺激を与え続ける。

…チュブ、チュブ……、ニュム、ニュル…

唇をすべる時に唾液の音、空気が漏れる音がする。
今、口で男の子の性器を舐めている。食べ物を口にいれる場所で高須くんのおちんちんを含んでいる。
大きな音を出している。すごい、飢えた淫乱女みたい。いや、淫乱なのだ。

亜美は自分の乳首を空いた手でつまんでみる。竜児が見つけた亜美の性感帯。
自分が今、唇で竜児にしてるように指でしごいてみる。

「あふぅ、あはぁ」

竜児にしゃぶりつきながら、亜美は喘ぐ。自然と頭の動きが早くなった。乳首がすごく気持ちよかった。
これが自分の指でなく、竜児の指、いや、彼の口ならどんなにいいだろう。
けど、そんな事、口に出せない。だからその代わり、自分がされたいように彼を攻めたてる。

亜美の勢いがます程、舌が竜児の亀頭にキスをする程、竜児の腰がガクガクとゆれ、ペニス自体がピクピクと別な生き物のように嘶く。



もう防ぐ事など出来ないクライマックスが直前なのが二人には解った。
竜児は手をわなわなと動かし、右手は腰に当て、少しでも射精を遅らせようと自分をさする。左手は置き場所もなく、亜美の頭に置かれた。
置かれた手が彼女の髪の毛を優しく撫でた。いたわる様に、愛情をわけるように。

そんな態度に亜美は顔を起こす。竜児はまだ余裕があるのかと?
顔をゆがめていた。正直、かっこよくない。目つきもひどい。それなのに左手は優しい愛撫を続けてくれる。
亜美は頭を下げ、ストロークに力を尽くす事にした。
彼に気持ちよくなって欲しいという一心でペニスを唇で愛撫する。
竜児が荒い息の間で嗚咽を漏らし続ける。
それはいつまで続いただろうか。二人とも時間間隔がわからなくなっていた。
その後、すぐの出来事だったかもしれない。何時間も舐め続けられた後の事かもしれない。
竜児の頭の中に奇妙な感覚が押し寄せてきて、限界を超えた。

「川嶋。駄目だ。出る。口離してくれ」

竜児が悲鳴をあげる。亜美はそんな言葉を無視した。頭全体の動きをより早くして、刺激を与え続ける。
喉まで届けとばかりに深く咥える。苦しいことは苦しい。生理的に吐き出しそうになるぎりぎりまで使って、彼を絶頂まで押し立てる。

「川嶋っ!すまない。俺、俺もう、川嶋あっ…!!」

ペニスが脈動し、亀頭が一瞬膨張すると彼の精液を吐き出した。

びゅるるるる

「くっ…」
「!!」

最初の精液がほとばしる。腰の奥から彼の全てを引っ張り出すような勢いで、彼の外に発射された。
竜児は止めようとした。頭が空っぽになるような絶頂の中、いつまでもこの快感に浸りたいと思う本能で一杯になる。
けれど、その片隅で亜美の事を考える。亜美の喉に直撃しただろうと思った。苦しいに違いない、だから止めようと思った。

びゅうっ!びゅっ!びゅっ!

「くぁ、止まっ…!!」

止まれと思えば思うほど、射精は続く、長い一射目に続き、単発の二射目、三射目が止める間もなく続く。
ゾクゾクとした快感の中で、亜美を犯し続ける罪悪感にさいなまれ、射精が止まらないならと亜美の口から引き抜こうとする。
けれど亜美は拒否した。口を離そうとしない。彼女を押しのける訳にもいかず、尻をすぼめ、指先にギュと力を入れ、射精を止めようとする。

「くっ…うぅ…うくっ…」

その間も亜美の喉は鳴り続けた。

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…

「ふぅ…ふぅ…っ…」

射精が終わり、脈動がペニスを揺らす。ゆっくりと竜児は亜美を傷つけないようにペニスを引き抜いていく。
竜児は夏休み中、亜美が居候してから先、ずっと自己処理を我慢していた。
高校生という大生産期にも関わらず、黄ばんで粘り気の強くなった精液を溜め込んでいた。
その精液が亜美の口一杯に満ちていた。


竜児から開放された亜美の口が空気を求め、ケホケホと咳き込み、両手の平に彼の精液を吐き出してしまう。
半分以上は彼の射精時に亜美が飲み干していた。それでも手の上はネトリとしたゲル状に近い液体が満ちる。
強い臭いが部屋を満たした。

「川嶋、すまない」

竜児は急いでボックスティッシュを手に取り、亜美に渡そうとする。亜美は無言で首を振る。
口を開くと精液が溢れてしまうからだ。そして、ペタリと座り込むと、ゴクリと喉を鳴らし、数回に分けて嚥下していく。

「馬鹿、変なもの飲むな」

亜美は最後に大きく、喉を鳴らして、口の中のすべてを飲み込んだ後、生臭い竜児自身の味に
きゅっと目を閉じ、身震いをして、

「そんな事ないよ。だって竜児のだもの」

呆けたような表情でうわ言のように亜美は呟く、竜児の臭いに、味に亜美の意識は犯されていた。
頭の中がぼうっとして…なにも考えられなくなるほどに気持ちいい。
ヴァギナがパカパカと開いては閉じる。開くたびに体の底から愛液を運び、閉じる際に潮を吹いた。
頭はぼっとーしていた、下半身は軽くではあったがまたイっていた。

そして、手の平に吐き出された精液を口元に運ぶ

「川嶋、いいって、そんな事しなくても」
「だって、MOTTAINAIでしょ」

これで決まりだ。確かに今までしてきたどの自慰より、その時に想像したシチュよりすごい。そして、きっと高須竜児も喜んでくれる。

ご、くん…。ごくん…。ご、くん…。

ヴァギナ全体に打ち震えるような喜びを感じつつ、精液を喉に送る。
自分が現在行っている卑猥な行為。それが竜児の為だという事を感じ、乳首とクリトリスに痺れが走る。
舌にまとわりつくネバネバと胃の中の違和感ですら快感に感じる。
そして、竜児に愛の言葉を告げる。これで、自分がどれだけ彼を愛してるか伝わるはずだ。

「お薬おいしいでしゅ」

時は止まる。









「ん?」

そして動き出す。

「え、え、だから…お薬……おいしいで…しゅ?……」
「なんだそりゃ?」



亜美からも自分の言葉をきっかけに竜児が急速にさめていく様子が見て取れた。急激なあせりが湧き上がる。
ちょ、なんでよ、だって、あそこには決め台詞ぽくかかれてたのに

「え、だって、これって、男の子、みんな好きなんでしょ?」
「そんな事あるわけないだろ。そんな誤爆みたいな台詞」
「うそ、だって、書いてあったよ。ネットの掲示板」
「は?、なんだって」

亜美は返答をせず、オロオロと言葉を濁す。さっきまでの余裕が嘘だったように動揺を見せた。
仮面がはがれ、予定が狂い、次の行動プランが無くなってしまう。
闇の衣が剥ぎ取られ、キョドる亜美が正体を現した。

「どこで調べたんだよ。そんなアングラネタ」
「でも…、けど、書いてあったんだもん」
「なあ川嶋、フェラとかの仕方とかも、もしかして」
「う、…うん。ネットで調べた」

竜児は笑い出し、亜美は拗ねたように怒りだす。共通なのは目に涙を浮かべている事だけ。

「な、なによ。馬鹿にして」
「じゃあ、あのテクニックとか読んだ知識だけで勉強して、あのベテラン然とした態度は演技ってことかよ」
「……悪い?」

竜児はそこで亜美を見つなおして
「いや、悪かない。逆だ。安心した。お前がどこかで実地で教えてもらったんじゃないかってドキドキしてた」
「ば、馬鹿。そ、そんな事ある訳ないじゃん。キスだって高須くんが初めてだったんだから」
「そうだったな」

竜児は笑いながら、亜美の長い髪に左手をスッと入れ、頭を撫でながら、口淫が終わったばかりの唇にキスを一つ。

「それなら、俺もがんばらないとな」
「きゃっ」

少しばかり強引に右手を亜美の背中に回し、抱くようにして体勢を入れ替える。
亜美をベットに寝かせる。

「可愛い声だ。驚いたのか?、川嶋」
「お、驚いてなんか無い。高須くんが乱暴だから」
「ああ、乱暴にしちまう事にする」

竜児は無造作に右手を伸ばして亜美の乳房に手を置く。そこには遠慮などなかった。下手でもリードする事に決めた。
乳房を揉みながら、のしかかるようにして唇を吸う。左手と下半身で自重を支え、自由になった右手と口で亜美を攻めた。

「やぁ、息出来ない」
「嘘つきのことなんか信用できねぇ」

竜児は意地悪く亜美の攻め続ける。時には撫でるように肌全体に刺激を与え、時には強く胸を揉みしだく。
唇を薄く吸うようにぬくもりを伝え、舌をなぶるようにして愛情を伝える。

「ふぁ、ふあぁ…」
「大丈夫そうだぞ。それに気持ち良さそうだ」
「だって、しょうがないじゃん。こんなエッチな事されてるんだもん」
「そりゃ、俺達エッチしてるんだ。当たり前だろ」
「エッチ…してるんだよね。私達……」


亜美の両腕はいつのまにか竜児の背中にまわされていた。竜児は彼女を安心させるように身を寄せた。
二人はベットの上で抱きしめ合う。裸で、皮膚で、互いの体温を確かめ合う。
相手へ気持ちが伝わって欲しいと、胸を合わせ、鼓動を伝える。亜美も落ち着きを取り戻して、

「胸揉んでくれるのも気持ちいいけど、抱き合うだけでも気持ちいいいね」
「ああ、あったかい」
「ホッとする」
「柔らかい」
「意外とがっちりしてる」
「そうか?」
「男の子って感じ」
「川嶋も女の子って感じだ」
「当たり前でしょ」

竜児はキスで応える。女である事は知っている。どれだけいい女であるかなんて身に染みるほど理解できているつもりだ。
そうではなく、嬉しいのは、腕の中にいるのが自分だけの可愛い女の子だという実感だ。
二回ついばむようなバードキスをし、ノックを終えた後、開いたドアから舌を差し込む。
ゆっくりと舌を絡ませ、意地悪く、亜美から舐め返すように動きを止め、彼女からの行動を求める。
誘う事で亜美はいつも大胆に絡ませ返す。大事なものの前では臆病になる彼女。けれど求められれば、倍にでもして愛情を返してくる。
要求に答え、ざらりとした舌が伸びてくる。舌が吸われる。体が浮き上がるような感覚。お返しと唾液を吸う。

じゅるじゅる

卑猥な音は亜美の耳にも届いていた。その音は「抱かれてるんだ」と彼女の心に響く。
攻められる事を期待している自分がいる事がよく解る。
憎まれ口も叩く、からかいもする。意地悪は反射的だ。けれど、脆いところもさらせば、弱音を吐いていたいとも思う。
こいつの前だと。
わかって欲しいと思って、空振りに終わる事も多いが、時々は解ってくれて、たまに優しい。
それが解ってるから乱暴でも構わない。求めて欲しい。
顔を離した竜児に亜美は

「いいよ」
「なら、続ける」
「うん」

亜美の乳房の頂点に竜児は口を寄せる。亜美は黙ってそれを見つめる。怖いような、嬉しいような気分が沸いてくる。
傷口に近づく消毒薬を含んだガーゼを見つめるような心境。強く染みる事は解っている。
ラムの実のような赤く膨らんだそれが竜児の口に含まれた時、電流が走るような刺激を受け、ビクッと体が跳ねる。

「やだ、なにこれ」
「どうした?。気持ち悪かったか、こんな事して」
「そうじゃないけど」
「けど?」
「わかんない!」

もっとして欲しい。鋭く、甘き刺激。心構えをしていた以上の甘さに亜美は当惑する。
舐められると乳首はもちろん、背筋と後頭部に寒気のような、優しい手で撫でられるようなそんな感触が走る。
浴室でされたより余計に感じる。
背と頭は一瞬でそれは消えてしまうのだが、胸は違った。うずくような、くすぐったいような感触が残りつづける。
最初の刺激を薄めたような残滓だ。それがいつまでも残る。
もどかしい。薄めた味をより濃くもどし、味わいたい。けど、おねだりなど口には出来ない。
亜美は視線にこめて、竜児を見つめ返す。



目があった。恥ずかしさのあまり、亜美は急いで視線を外す。
しかし、その仕草だけで、竜児は解った。舌を伸ばす。
丹念に、丁寧に舌を平らにして乳首を舐めつけていく、その度に亜美は身をくねらせ、足の指を折り曲げて快感に耐える。
それでお互いの気持ち通じた。唇を合わせ、肌を合わせる。同様に乳首を嬲る。

「うぅぅん、ふぁ、ん」

亜美は唇を噛み締め、声を抑え、甘美を噛み締める。その姿が竜児を動きを駆り立てる。
口の中に包みこむ、暖かさに包まれた乳首を、吸った。「チュっ」と鳴る。

「はん」

亜美は震える。舐められる度に息がもれる。息を吸う暇もない。股間がむずむずする。
膝頭を近づけて、太ももを擦り合わせ、ヴァギナをむずがるのを抑える。
背筋を弓なりにそらせ快感に耐える。耐えながら、もっと舐めて欲しいと乳首を彼の口に押し当てる。

「やぁぁぁああ」
竜児が甘く乳首を噛んだ。
亜美が声をあげる。そして嬲るように舐められ続ける。くりかえし、くりかえし、噛まれ、舐められる。強い刺激と柔らかい感触のくりかえし。
亜美の中で引いては返す波のように快感が繰り返される。

ちろっ、ちろっ、ちろっ…ぴちゃ、ぺちゃ…

「ああ、んぅ、ふぁ、好き。高須くん、本当に、本当に好きなの。くぅぅん」

そんな濡れた音と、亜美の嬌声だけが部屋を満たした。亜美はいつのまにか竜児の頭をかし抱いていた。
離れないように抱きしめていた。

はむっ、はむっ…ちゅちゅっ、ちゅむ

「んっ、んんっ。やだ。やぁ、んっ、んんっ、ぷあ。あああ」

亜美がより強くももを擦り寄せる。ぬるま湯につかり続けるような快感の中に彼女はいる。頭の中は完全にのぼせていた。
そんな中で女の本能がさわさわと脈動していた。いとしの男を求める声を亜美にささやく。
初めての感覚におぼれている彼女はその声の意味を理解出来ていなかったが、秘裂の奥がせつなさで溢れてきた事に戸惑いを感じる。
「しゅぷ。しゅぷ」と液体が体の奥からあふれ出してくる。
だが、竜児に噛まれるたびに

「きゃふ」

刺激に身をくねらせ、その思いを忘れる。頭を占めるのは今、与えられた快感。沸いてくる自分の男への愛しさだ。
それだけでメモリを完全に使い切り、ハングアップ寸前だった。

「キ…ス……」
「ん」
「し…て……、し……て下さ…い。キス…て、お願い」
「あ、ああ」

竜児も呆けた意思で、熱に浮かされた亜美へ蕩けるような接吻をする。
乳房を求め続けた、唾液で濡れた舌を使った糸を引くような口付け。亜美は鼻で息つぎをしながらその乱暴な舌使いに身を預ける。


亜美の瞳から蕩けたように、陶酔の海に身を沈めた事を確認した後、彼は彼の陶酔に戻ろうとした。
引き寄せられるように乳房に竜児の唇は向かう。勃起した乳首を舌先で執拗に苛む。
舌先でつつき、舌裏を使って先端をこすりし、舌の腹で舐め上げた。
亜美に快楽の波を送り込む。

「ふぁん、や、そんなとこ、ばっか…り」

強く乳首を押し倒すように圧力を与える。乳首は舌から逃げるように倒れるが、すぐに反動で戻ってくる。逃げられない。
その逃げ場所を失った乳首に歯を与える。亜美が声をあげる。いたわるように優しく舐める。亜美が気持ち良さそうに吐息を立てる。
その繰り返しが楽しくって竜児はいつまでも際限無く続ける。
子供がおもちゃ遊びをするように、弄繰り回す。亜美の乳首、そして乳輪は彼の唾液でベトベトに汚れていた。

「はぁ…はぁ…ああ、駄目になる…もう…駄目になりそう…、やめてよぅ」
「駄目になっちゃってもいいだろ。お前が耐え続けるのって、こういう時でも、俺、なんかいやだ」
「…だ、だからって……あぅ…こわいの…。こんなの…知らない…、だから…んぅ…やっ…言ってるのに」

亜美は自分の言葉に震えた。自虐的な言葉が心を抉る。
犯されている自分を自覚する。きっと、この後、彼に処女膜を突き破られてしまう。
そう思うと、胸が一杯になる怖さと幸福感、期待感で一杯になる。

ちゅぷっ…ちゅ、ちゅう…ちゅ、ちゅっちゅっ…

けれど、胸への執拗な愛撫は続く。きゅっと唇をすぼめて乳輪すら吸い取られるのではないかと言うくらい吸引されている。
まるで、母乳を求める赤ん坊みたいだと亜美は思った。
自分でもびっくりするくらい乳首が大きくなっている。本当に母乳が出てくるのではないかとさえ思える。
そして母乳が出るようになった乳首は勃起したまま、元に戻らなくなってしまうのではないかという非現実的な恐怖心が湧き上がる。
それでは女優の川嶋亜美は続けられなくなる。
高須竜児の彼女でしかいられなくなる。
彼女の全てが竜児のものになってしまうのではないかという妄想が湧き上がる。

「んっ、んんっ!はぁ、…もっともっと吸って…いいよ、高須くんなら…母乳出るようにして…」
「本当、出ちまうような気になるな…はむっ…ちゅちゅっ、ちゅむ…ぷぁ」
「多分、出る。はん、出ちゃう気がする。ふぁ…だからもっと吸って…あかちゃんみたいにぃ…」

竜児は口を離すのも惜しいと、しゃぶりながら返答をする。一言、一言のたびに舌がゆれ、亜美の乳首を辱めた。
鼻先を乳房の柔らかな肉に埋め、必死に乳首を求め、両の手はミルクを搾り出すように、彼女の胸を揉みしだく。
下方から内側になんどもなんども寄せあげる。
そんな竜児の頭を撫でながら、快感に震えて身をくねらす亜美。安堵感と母性本能と性欲がまぜこぜになった感覚に震えた。
理性が飛び、馬鹿になってしまうのではないと言うほどに彼が愛しかった。

「はむっ、はむっ…ちゅちゅっ、ちゅむ…ぷぁ」
そんな乳房を食む音が部屋にあふれ、亜美の懇願する声が共鳴する。

「高須くん、もっと吸って…。あかちゃんみたいに…」

もう少しだ。亜美はもう少しで母乳が出るような感触があった。


口内では唾の分泌がとまらず、下半身ではヴァギナから愛液が滴る。ならば胸からミルクが出てもなんら不思議は無い気がしたのだ。
竜児に飲んでもらいたいと思った。初めての性行為。どういった事が正しいかなんて解らない。だから本能が求めるまま快楽をさぐる。
きっと飲んでもらえるなら途方も無い充実感が沸きあがる気がする。 竜児の髪を撫でながら、それでいて、時折、快感に泣き叫ぶ。

ちゅぱ、ちゅぱっ…ちゅぱっ…ちゅるゅ…ちゅるるる…

「高須くん……おっぱいばっかり…ん…はふ、いいよ。素敵…」

竜児は夢中になりながら乳房を搾るようにして手の平を開け閉めして、刺激を与え続ける。
彼の一動作、一掴みが亜美の息を熱くさせ、身震いを呼び起こす。
自分自身が彼女に快楽を与える事が出来る事の感動と実感にいとおしさを募らせ、その度に唇を寄せ、舌を貪る。
亜美はキスとキスの合間に息をし、ぽおっ…とした様子でうわごとのように愛の言葉を捧げ、竜児を見つめる。
声は艶を増し、体温は上がり、乳首は硬さを増していく、すっかり意識もとろけ、とろんとした目つきとなっていた。

「川嶋、俺…、お前のこと大切にする」
「あたしも…、やぁ、はん、あたしも高須くんが一番大事」

竜児は興奮と欲望と愛情とで混ぜこぜになった気持ちのまま。息を荒くつき乳房を揉んだ、言葉をつむぐ。
ぎゅと縦に握ると指の隙間から逃げ出しかねないほどに柔らかく、けれど、指をはじくような弾力と指が
くっついて離れなくなるのではという肌の張りの両立。
少しでも手を離すことが出来ないほどの魅力に溢れていた。

くにゅくにゅ と胸が揺れるたび
「んぅ、ふぅ、はぁぁん……やぁ、……だめ、気持ちいい」

亜美の嬌声が響く。
いつのまにか、亜美の胸は腫れてしまったのではないというほどに赤くなっていた。それは彼女の愛撫に対する興奮の度合いをしめすもので
血流の赤さだった。体中が汗にまみれ、部屋に亜美の臭いを満たしていた。
それが竜児の鼻腔に刺激を与え、征服欲を勢い良くけしかける。

「川嶋、もっと、気持ちよくなって欲しい」
「やぁ、駄目。もう…。胸だけで、あたし…、馬…鹿になる、きゃふ」

胸の頂点たる乳首が摘まれ亜美が悲鳴のようなあえぎ声を挙げ、身を跳ねるように揺らした。
竜児に乳首を持たれたまま、身を震えさせると、深く体をベットに沈め、両手で顔を隠し、ただ息をするだけ。
亜美は恍惚に身を漂わせてた。

そして無意識のまま、自分の腿と腿をすり合わせる。
秘部がむずむずとしたから、彼女の性が好きな男の遺伝子を求めて喘いでいたから、自分の足でそれを無意識のまま慰める。
もう当たり前になった仕草。

ちゅぶ、じゅり、ちゅぶ

濡れた部位が擦るような音がした。かなり大きな音だった。愛液で満ちていた。

「川嶋、なんか音しないか…」
「や……」


腿を濡らすほど、音が鳴るほど愛液が分泌されていた。亜美は竜児の指摘でそれに気づく。
羞恥心が煽られ、目をつぶり、指を握り、興奮した息使いを続ける。
だから竜児が好奇心のまま、亜美の下半身に顔を近づけた事に気づかない。
気づいたのは
さわさわとした腿を撫でられる、陰部に接触された感触を感じた後だ。

「胸はもう駄目なんだろ。なら別ところをする」
「そんな意味じゃない。や、駄目!」亜美が叫ぶ
と同時に両足で竜児を挟む。生半可な力ではない、力の限りという程の強さで万力のようにがっちりと決める。
足だけではなく、腰に密着させ、締め付ける。
竜児は頭蓋骨がミシミシとなっているような音を聞く。

「ちょ、川嶋。な、なんだってんだ」
「だって、変なところ高須くんが見るから、先言ったじゃん、毛、ぼん、ぼん、ぼんで、ちょっと、人より多くって」
「だからって、こんな事…、おぅ、苦…、しな…くても…」
「とにかく見たら駄目。目あけちゃ駄目だって」
「て、言っても、その毛に俺の顔を押し付けてる訳なんだが」
「きゃぁ」

亜美は逆効果になっている事に気づき、足の戒めを解く。
そこを逃さず竜児は彼女の足を押さえ、再びの絞め技を防ぐ。
両手で強引に開かれたその中心で柔肉が光っていた。
愛液でうるおった陰部はたっぷりのシロップを掛けられたようにぐちゃぐちゃだ。それが竜児の欲望を高めた。
彼は自らの意志で豊かな陰毛の中に顔を埋める。

「ちょっと待って。だから、やなの、見られたくないの」
「もうさっき見た」
「なら、もういいでしょ」
「けど、ちゃんと見てない」
「だから、しっかりなんか見られたくないの。格好悪い。変だから」
「変じゃないって。さっき言ったろ。そんな事でお前を嫌いになる事なんかないって」

竜児は自分の言葉を証明するように陰部に舌を当てた。それが亜美の羞恥心を煽る。

「で、でも今みたいに手入れしてないのが普通だと思われるの、困る。いつもはもっとキレイになってて、ちゃんと可愛らしくて…」
「解ってるよ。外面のモデル面もお前だし、化粧顔もキレイだとは思う。けど性悪のガキっぽいのもお前だろ、今だって本当の川嶋だ」
「だからって、そんなところみて、それが本当のあたしって言われても…」
「それに見たやついるだろ。俺以外に手入れしてないそこ」
「え、いないって、そんな人。怒るよ?」
「大河が海行った時見たろ」
「え、あ、うん。て、タイガーだよ、例外だって」
「俺が知らないってのも我慢ならない」

竜児は亜美のヴァギナにくちづける。亜美に嬌声をあげさせ会話を中断させる。
クンニリングスなんて、彼は当然したことなどない。ので彼女の唇にする時と同じように好きだという気持ちを込めて唇を重ねる。


濡れた大陰唇をついばむようにキスを散らし、小陰唇を舌でなぞる。その度に亜美が揺れる。裂け目がひくりと振動し、膣口が水分を増す。
外気に触れない隠すべき秘部の内側はちょっとした刺激だけで大仰に大脳に驚きを伝える。亜美は頭の中がぐちゃぐちゃになるのを感じた。
強い刺激と、高須竜児が自分のそんなところにキスをしているという状況、子犬がミルクを飲むように一生懸命舌を伸ばしてくれている。
鼻の頭が熱くなり、後頭部はしびれる。陰部はより一層、愛液を分泌している。よろこんでると思われるかもしれない。
そんな不安がよぎる。淫猥な女だと思われてしまう。気持ちいい事がきっとばれてしまっている。

「やだ、やめてよ。変態みたい」
「みんなやってる」
「なんで知ってるのよ」
「俺もいろいろ調べた」

目の前ではうずききったヴァギナが短い周期で収縮を繰り返している。彼には、もっと、もっととキスをねだっている唇の動きに見えた。
応えてやりたい。竜児は亜美に求める。

「俺、お前の事、好きなんだ。隠して欲しくないんだ。全部、俺に見せてくれ」

そう言われてしまえば、亜美に拒否など出来るはずもない。
高須竜児は彼女の良いところも悪いところも愛してくれる。愛して欲しい。

亜美の右脚は竜児により押さえられ、膝の裏を左手でつかんでグイと前に押し出される。が、亜美は抵抗を示さない。
左脚も同じようにされるが、同様だ。亜美は抗うことなくM字開脚状態にされてしまう。

「…川嶋、もう隠さなくてもいいだろ?。キスしにくい」
「…」
「…いくぞ」

亜美にそう断ると竜児は再び顔を近づけ、じっくりと視線を送る。
繰り返し噴き上げた愛液でべちょべちょの女性器。ほわ、とほのかに湯気が舞うよう、濡れ開いた女性器が目と鼻の先にある。

んくっ…。

思わず竜児はつばを飲み込む。妄想の中で何度も夢見た亜美への入り口を目の当たりし、息を、生唾を飲んだ。
眩しいほど鮮やかな桃色をした柔肉は内側から盛り上がり、M字開脚のためにクニュ…と艶めかしく開いている。
失禁を重ねたかのように潤っている柔肉の合わせ目には小さくとがったるクリトリスも確認できた。
換気するように開いた柔肉の奥にはフェロモンのたっぷり詰まった膣口が呼吸するようにヒュクヒュクしている。
たしかに驚くほどに径が小さい。ペニスを受け容れたことがないそれは硬く、快感に少しは弛緩したといえ、
まだ硬く挿入もむずかしいかもしれない。
だから、優しく緊張をほどかないといけない。

ここからもキスの応用だ。深いキスをする要領で、濡れた裂け目の内に舌を沈めた。桃肉を押し分けるようにして舌を進ませ、
舌同士を絡ませるように膣口内を舐め上げる。初めての快感が彼女を襲う。

「た、高須くん。やっぱりもうやめて、なんか怖い」

抗議を無視して竜児が恥丘に手を伸ばす。中心で割れている亜美の裂け目に指を下ろした。指が濡れる。
十分すぎる量の愛液が溢れていた、陰毛も濡れそぼっている。



「びちょびちょだ」と思わず感想をもらす竜児。
「だって、だって、しょうがないじゃない。勝手に出てくるんだから」
「俺はうれしい」

亜美のそんな反応に喜びを感じる竜児だが、亜美は自分の様を嫌悪するように膝と膝を擦り合わせ、足を閉じようとする。
けれど竜児の左腕がそれをゆるさない。亜美を開脚させたままにする。亜美の恥じらいが竜児には楽しかった。
裂け目にそって空いた右手の指で前後に動かす。中指の腹でこするようにゆっくりと。「ねちゃ」という音が増しているように感じた。
彼女は息をするのが精一杯といった様子で口をぱくぱくと開き、閉じる。
時折、喉の奥から苦しそうで、それでいて快感をうったえるような声を出す。

「…あんまりいじらないで…あたし、あ、やだっ…もう、やだ…」

亜美がこらえ切れないように、哀願する。けれど、竜児はそんな亜美を美しいと思った。だから

「川嶋のイクところが見てみたい」

今でさえ超一流の家具のような美しさなのだ。スタイリッシュで誇り高い。
その頂点はどれだけのものなのだろうか。誇りが喜びでほどける様はきっと、つぼみが花弁を開くように美しいだろう。
彼女の誇りも外聞も剥ぎ取りたい。竜児は愛撫を止めない。

「やだ…恥ずかしくて死んじゃう…見られたく、ない…」
「どうしても見たい。川嶋、気持ちよくなってくれないか」
「そんなこと言っ…たって…だめ、そこは。そこは…ぜったい駄目」
「川嶋、好きだ」

竜児はそう言って、指を抜くと、その指でヴァギナを開く。そして唇を寄せてキスをした。亜美が痙攣するように体をそらせる。
唇に欲情で蕩けた媚肉の熱は予想以上に情熱的で、強いキスをしてしまう。唇を吸うように、秘裂を吸う。愛液が口に入ってくる。
強い味のしなりだが、竜児は美味しいと感じる。
乾いた体が水を極上の甘みととらえるように体が自然と求めている。強く吸い続け、止める事も出来ない。

「ずずずぅ」と音が鳴る。
亜美は「やぁあぁぁぁぁ」と絶望的で喜びを秘めた悲鳴をあげる。

吸い込む音が長い時間している。竜児は止めることなどできなかった。そして亜美の顔を見上げる。どんな表情をしているのかと。
亜美と目があった。亜美は竜児がヴァギナにキスしている姿をずっと見つめていた。だから目があった。
亜美も自身がどれだけ、卑猥な事をされているか知りたかった。
高須竜児と性交をしているという事実を確認していたかった。
自然と体液が分泌され、口からよだれがたれてしまうが、それを拭く間もおしかった。
自分が喜んでる顔をしている事もわかっていたが表情を作る余裕もなかった。
口でなんと言っても、弁解など出来ないだろう。そこまでして
「犯されている自分を」見つめていたかった。

その自分を竜児が見ていた。欲望まみれなところを。ヴァギナが収縮する。

「…キスやめて…イッちゃいそう…クリトリスだけは吸わないで」

竜児は亜美のリクエストに答える事にした。



薄い皮につつまれた紅玉の頭に口をつける。つんと起立したクリトリス。それを口付け、含み、舌での愛撫を開始する。

はぐ、ぶぢゅ、ぢゅっ、れるっ、れるっ…ちゅ、ぴちゅ…るりゅっ…

「だめ、怖い。本当、怖くて、どこかいっちゃいそうで」
「なら、いけばいいだろ。怖くない。俺がいつも一緒にいる」
「でも、だめなの。お願い、やめて、許して」
「駄目だ。フェラの時、お前、やめてくれなかったろ」

竜児はあえて音立てて陰部のすべてを愛撫する。亜美の足を押しとどめていた左手も離し、陰唇を愛撫する事に参加させる。
愛液を潤滑油にして指で擦る。こすりながらクンニを続け、ヴァギナへのキスを続けた。

「本当ゆるして、駄目になっちゃうから。だから…」
「悪い川嶋、俺、お前にしてやりたい」
「だめだめだめだめっ!やだ、きそうっ…!!」

竜児はその高ぶりに合わせ、親指と中指でクリトリスを包む包皮を剥く。
皮から首を出したくて仕方なさそうなその尖りは苦しそうに見えたのだ。早くだしてあげたい。痛いほど気持ちが分かる。
つるりとした摩擦の刺激をうける女の陰茎。それだけで果てるのには十分だったかもしれない。
それに加え、竜児は丸裸になったクリトリスにキスをした。そして舌を使った。それはとてもやさしい舐め方で、
「くぅ、く…くくぅん…っ!!はぁっ、うううっ…ああああ!!」

亜美は背を弓なりにそらし、果てる。
荒ぶった呼吸はいつまでも落ち着きを取り戻すことができないまま、それでいて、体は指一本動かせないというように横たわった。


         ******


川嶋亜美はベットに横たわっていた。力がどこにも入っていないように弛緩している。
竜児は数分たっても身動きをしない彼女をさすがに心配になり、声を掛けた。

「大丈夫か?、川嶋」
「……」
「怒ってるのか、無理やりしちまって」
「……」
「おーい、川嶋さん。ばかちー?」
「……」
「えーと、あ、亜美?」
返事が無い。どうやらただのしか…


がばっと起き上がり
「なわけないでしょ。大丈夫なんかじゃない!」
「お、おう」
「怖かった。本当、怖かったんだから」

今にも泣き出しそうな顔をして、亜美は抗議を行う。


「すまん。少し調子にのった」
「全然、少しじゃない。調子のりすぎ。何回も何回も、やめてって、ゆるしてって言ったのに」
「う、わ、わりぃ。とまらなかった」
「反省…してる?」
竜児は黙ってしまう。

「してないの?」
「お前に気持ちよくなってもらいたいって気持ちは反省してない。けど、怖がらせた事は後悔してる」
「なら、あやまって」
「ごめん。川嶋」
「ゆるさない。あみじゃないから」
「ごめん、亜美」

亜美は嘘泣きをやめた。
「なら許してあげてもいい。その代わり、次のステップ。本当のSEXの時、やめてって言っても、痛いって言っても最後まで続けて。
 そうしてくれたら許してあげる」
「あー、えーと、がんばる」

「そうだ」次のステップという言葉に竜児は急速に我に返る。
ゴムが無い。部屋に置いてあったゴムはさきほど外してしまった。このホテルに置いてあったゴムは一つきりだった。
一度外したものを上手く付け直せる手際など竜児にはない。それに危険性を増す。再利用など検討の余地も無い。

「どうする」自分に問いかける。
初めて使うラブホテル。使い勝手がわからない。電話で従業員にコンドームを持ってくるよう頼むなど竜児には思いつかない。
今から薬局に買いに行くか。しかし、今は深夜だ。大橋で深夜営業の薬局など存在しない。
けれど大橋といえどもコンビニはある。ならそこで、竜児の脳みそがフル回転で思考をする。
駄目だ。この近くにコンビニはあるのかまったく知らない。
ホテル街など、彼が来たのは初めての事。ましてや、ここに来たのはタクシーを利用してだ。
車内では亜美を意識しすぎて彼女を見る事も出来ず道すがら窓の外をみていたが、風景などまったく頭に入ってこなかった。
途中にあっただろうか?、今から走り回って探すしかないのか?

そして、亜美を見る。

彼が外に出る間、彼女を一人でここに残すのか?。もちろん、コンドームを一緒に買い行こうなど、今のタイミングで誘うのは論外だ。

「どうしたの?、高須くん」

不自然さを感じ取り亜美が話しかけてくる。
まだ、少し拗ねて、それでいて、緊張した様子が感じ取れる。そんな彼女に
「無いから買いにいってくる」という事を告げなければならないとしたら、雰囲気をぶち壊してしまうかもしれない。
亜美が無言で見詰めてくる。その視線が罪悪感をよびさまして、つらくなる。
いつまでも黙っている訳にはいかない。それこそ重い雰囲気を作ってしまう。竜児はおずおずと

「コンドームなんだが…」


「ん?、ゴム?。それがどうしたの」
「いや、さっき使ったから無くなっちまった…」
と情けなさそうな顔で答える。呆れたかなと亜美を見返す。
きょとんとしていた。

「なに、そんな事?、私、持ってるよ」
「家にはあるんだ。勘違いするなよ。隙あらばお前とやりたいとかいつも思ってた訳じゃないんだからな。男の責任っていうか、いや、万が一、億が一だが、そういう機会があったとした時に備えてだ。そんな時、用意してないとか、
そんな無責任に出来るわけないだろ。ゴム無しは絶対に駄目なんだ。そういう事態にいざなって責任は取らないって事じゃ絶対にないからな。むしろ喜ぶぞ、俺は。けどそれは男の義務なんだ。生なんて女の子に負担にもなるし、
俺は負担なんて思わないけどな。前言ったようにお前に嫁に来て貰いたいとも思ってる。暖かい家庭も欲しい。出来たら男の子と女の子の二人は欲しい。実は大家族の方が楽しいとは思うんだ。もっとも二人以上欲しいけど、
ちゃんと育てるとなると多すぎだと困るだろ。収入がしっかりして、きっちりしたライフプランを立てないと。保育園だろ。小学校、中学校、高校。大学は子供の意思にまかせる。けど、やっぱり行かせたい。公立じゃなく私立もありだ。
教育はしっかりしてる方がいいしな。そうなると高校からは塾も考えないといけないだろ。下手すると中学からだろうし、これからの子供も大変だよな。ところで子供手当てってその時もあるのかな。ありがたいとは思うけど日本の財政
大丈夫だろうか。俺達の子供が成人した後の日本の経済状況って心配だろ。そうするとやっぱりしっかりした教育が必要だろうし。そう言っても三人目が出来たらその子だって大事にするぞ。どの子も可愛いと思う。
たとえそのせいで貧乏になっても俺は頑張る。だがお前には苦労させたくない。だから将来設計も大事だ。お金は大事だ。お前は自分が稼ぐから大丈夫だとか言いそうだが、それは男の責任とかもあるし。お前が好きで女優とかモデル
やるのは結構だし、応援する。それと食い扶持を稼いでもらうのは違う。古いとかそんなのじゃなくて、ヒモって感じ、嫌なんだ。もっとこう、て、なんて言った?」
竜児は早口でまくし立てながら、やっと我に返る。

「わたしだって、いつもHな事、考えてた訳じゃないんだよ」
「いや、だから、何を持ってるって」
「…コンドーム、一箱」
「へ、いや、だって、お前、いつ買ったんだ?」
「ちょっと前に買った」
「大橋高校からはタクシーで来たし、お前を連れ出してからコンビニなんて寄ってないし、
 て、なんだ、ちょっと待ってくれ、お前の家出る時、もしかして、それ、探してたのか?」
「ち、違う! 。バックに入れたままだったの。高須くんち、居候させてもらう事になった次の日に買いに行って、そのままで」
「て、お前、そのバック、いつも持ち歩いてるやつだろ」
「い、言っとくけど、いつもそんな事考えてた訳じゃないんだよ。
 ただ、ただ、そういう雰囲気になった時、もしなかったら、高須くん、絶対、やめにするだろうし。避妊は絶対条件だろうし」
「……」
「……軽蔑した?」

竜児は笑って
「すげーと思った。改めて惚れ直した。さすが川嶋だ」
「べ、別に…」
「すまないな、フォローさせちまって」
「…別にさ、高須くんが馬鹿するのはいつものことだし」
つんけんとした亜美を竜児は抱きしめた。「そして少しまっていろ」と言って、もぞもぞとコンドームをつけだす。

アンニュイな時間が流れる。亜美はその様子をシーツに身をくるんで待っていた。
それは彼女自身が貫かれる猶予時間だ。期待と恐れ、恐怖と快感への甘い痺れ、矛盾した感情が胸を満たす。
臆病な彼女、当初より、それは怖さの方が大きかった。そして、それが秒読みの段階となれば大きくそちらに傾く。
体の奥がキュっとなった気がした。


竜児がベットに近づくにつれ、早鐘のように胸がなる、脈動がわかる。
彼がベットにもぐりこんできて、亜美にキスをして

「今度こそ、うまくやるからな」

と思いやりを感じられる言葉だが、余計、これからの事を想像してしまいヴァギナが緊張で苦しくなる。

「来て」

先に進む事で強固な繋がりが出来るだろうと考えている。その喜びは処女を散らすときの痛みを取り払ってくれると期待している。
ヴァージンを失う痛み、周りから散々聞いた怖い話も耐えられると思える。
覚悟を決めて、痛みに耐えるため体を引き締める。
竜児がベットに入ってくる。目で見る事は出来ないが、下半身が接触するまでもう少しだろう。痛みに備えようとする。


彼の先端が、彼女の窪みに触れる。異物が彼女に侵入したがっていることが解る。
コンドームを付けるのを待つ間から彼女のヴァギナは先ほどから泉のように溢れていた愛液の分泌を止めていた。
臆病者の彼女。

竜児のそれが押し付けられ、グニグニと動く
膣口は生理的な反応として未知の存在を拒絶するように警戒を強める。が、それもこじ開けられる。
押し付けるように竜児の腰が前に動き、傷口を指で裂き、広げるように押し込まれる。
今度こそはと、それでも、苦痛に耐える亜美だが…

「「あ」」

二人が同時に声をあげる。さきほどのようにペニスが外れる。狭い膣口に拒絶された。

「わ、悪ぃ。もう一回させてくれ」
「う、うん」

何度も繰り返すが上手く行かない。
竜児は焦りを強くし、亜美も自分の責任を感じて、より一層、体を硬くする。

「すまん。不手際ばっかりだな」
「ごめん、高須くん、それ、たぶん私のせい」
「なんでだ。そうじゃねぇ、俺が」
「言いづらいんだけど、なんか、さっきからあそこがキュってなって
 なんか入り口が閉まっちゃうような感じになって
「やっぱり先のやつ、アソコにキスとか、下手で気持ち悪かったか」
「気持ちは……よかった」
「なら、なんで」
「よかった。馬鹿になっちゃうと思ったくらい。自分じゃないと思うくらい気持ちよかった。
 けどその後怖くなったの。いい事があった分、これからもっと怖い事があるんじゃないかって」

竜児は亜美の頭を撫でて、
「お前に無理させたくない。今日はやめとこうか」
「駄目、最後までしてくれる約束」
「けど、俺、上手くできないぞ。正直、やり方もよく解らない。たぶん乱暴だ。怯えさせちまう」
「今日する。なんかすれ違うみたいでやなの。今日、高須くんとしたい」
「けど、痛くさせちまう、今の俺じゃリードなんか出来ない」
「…いい。痛いのは我慢出来る。けど、今日出来ない事は我慢出来ない」

竜児は今度は自分の頭をかく、最後までしたかったが亜美に苦しい思いもさせたくない。
亜美はうまく行かない事に焦りを覚えているようだが、今日にこだわる必要などない。二人にはこれから先があるのだから、
ゆっくり話していけばいいと思う。

「なぁ、川嶋。ごっこじゃ駄目か?」
「ごっこ?」
「入れるんじゃなく。お前の表面を俺ので擦るんだ。入れないけど同じように俺が動く。
 SEXと同じように出来るし、キスも余裕もってやれる。
 本物じゃない、安っぽいまがい物みたいな事だって、おまえは言うかもしれない。
 けど、負担も少ないし、練習にもなる。きっと好きだって気持ちも分かち合える」

駄目元で聞いてみる。雰囲気などなにもない、ロマンスの欠片もない提案だ。拒絶されてもしかたはない。


「エッチの練習?」
「ああ」

我ながら、無粋なアイディアだとは思う。初めての夜。上手く行かないからといって、ここで練習を持ちかける。
ちゃんと準備しておけと思われても仕方が無い。そんな彼氏に百年の恋も冷めてしまうかもしれない。
しかしこれでも前向きな提案のつもりだ。馬鹿にした返答はされるだろうが…

「いいよ」
「な、なんて言った」
「だから、いいよ。なんか、そんなニセモノSEXなのに必死で腰動かす童貞少年、高須竜児を想像しちゃったらおかしくなっちゃた」
「そういう言い方もないだろう」
「私の高須くんが可愛いって褒めてあげてるんじゃん。素直に喜んでよ」
「喜べねぇよ、俺だって男だ」

「あのね。ニセモノって本物じゃないし、嘘はきっと間違ってる事なんだろうけど。それでもね。その奥の気持ちまではまがい物じゃないと思うんだ。
 嘘をつく理由は常にある。だから、嘘全部が嘘な事なんて事は絶対にないんだ」
「禅問答みたいな話だな」
「嘘ってさ、本当のことじゃなくても、言えるよね」
「そりゃ、嘘だから言えるだろ」
「でも、本当は違う。嘘をつく為には、嘘じゃない理由がいるの。相手にどう思って欲しいとか、どうなりたいとか。気持ちはきっと本物」
「どうしたんだ突然?」
「高須くんはさ、嘘のSEXごっこがしたいって理由、聞いたら、練習だって言うから」
「そうだよ。悪かったな」
「そうだね。すごくかっこ悪いなって」
「それは……自覚はある」
「格好悪いって私に思われてもいいって言う位プライドも無い高須くん。でも、上手く出来ない原因は実はあたし」
「違うだろ。なんで、そういつもお前は」
「ふふ、そうだね。原因、わたしはあたしだと思ってたけど、高須くんは二人の問題で、二人で練習しようと言ってくれた。
 自分が格好悪いと思われるかもしれないのに、そう言ってくれて、でも私が抱え込むのも許してくれない」
「当たり前だ。お前に独り占めなんかさせるか」 

「そうだよね。二人で、これからも、ゆっくり、話していくんだよね」
「お、おう」
「ごめんね」

亜美は妖艶にゆっくりと足を開く、長い足を広げ、膝を曲げて、自らM字の形に足を開く。
羞恥を浮かべた赤い顔でそれでも竜児を彼女の芯に誘う。
「解った。だから、来て」

竜児は彼女の腰の間にゆっくりと体を押し込む。膝を立てた両脚をゆるやかに開いてもらってその間に割り込み、肌を合わせる。自然と一息、肺の中から空気がもれる。
すると亜美も同時に吐息がもれ、顔を見合わせる。そして思わず笑いあう。
勃起していたペニスがさらに起立を増し、押し当てるようにして亜美に濃い目の下腹部に押しつける。
先ほどまでのようにピンポイントを狙って押しこむようにはせず、密着するように、当てるようにその身を亜美の肌に合わせる。
あてがわれた亜美も、それ自体が性感を刺激するような事はなかったが、快さを感じた。
その熱を帯びた竜児の肌より、一層、温度をましてその体温、時折、脈動する血脈を感じ、彼自身の興奮と欲情を感じられた気がした。
竜児の気持ちが、思い込みかもしれないが、彼の中から染み渡ってくる気がして、それが嬉しかった。
心の、気持ちのひだをペニスで撫でられている気がした。
それはとてもやさしく、とても、やらしかった。



竜児も亜美のヴァージンを奪う事、痛みを与えないようにすること、うまくやること、その義務感から解放され、
愛情だけで彼女のヴァギナに触れる事が出来た。
ただ、愛しかった。

そして裸の胸を合わせる。

はぁ、はぁ、はぁ…という、息づかいを感じる。相手がどれだけ、自分を大切に思ってくれているかを感じた。
ドキ、ドキ、ドキ…とした、心臓の鼓動を感じる。自分がどれだけ、相手を必要としているか実感していた。

早鐘のような鼓動。すっかりあがった息。
汗の匂い。愛液の匂い。上擦った、漏れるあえぎ声。
卑猥で、純真な感情が起伏する。

「…高須くん、乱暴でもいいよ。好きなように動いて。あたし、その方がうれしい…」
「ああ、好きにさせてもらう」

竜児は力をかけないように左手をベットについて、自重をなるべく自分で支えるようにして、右手は安心させるように亜美の指にからめ、手を握る。
ゆっくりと力が必要以上に入らないように、腰を前後する。
ペニスが強く当たって痛みを与えないように、彼女のクリトリスの上をわずかに擦る程度を意識して摩擦を繰り返す。

「いいのに、好きにしても」
「だから、好きにしてる」

ぶっきらぼうに竜児は告げると、右手を離し、壊れものをあつかうように尻から背中にかけて撫でる。

「んぅ…、それ、素敵…」

先ほどとは違った、緩やかな、軽やかな刺激の中にいる亜美はぬくもりの中で快感に漂うような気持ちになる。

竜児の興奮が増すにつれ、彼の動きも大胆になってくる。
スライドが大きくなり、怒張したままのペニスが亜美のへその上に押しつけられ、形に添ってへこませ、すべる。
それは亜美からも見えて…

「それ、すごくやらしい。動物みたい」
「わりぃ。気持ち悪いか?」
「気持ち悪くなんかないよ。やらしいけど、可愛いし」

白いおなかをペニスが走り、形のいいおへそに先端が引っかかって、また戻る。

「ふふ、ちょぅと触らせて」
「お、おう、ちょっと待て」

竜児は再び亜美のお腹にペニスを走らせそこで止める。亜美は両手の平で包み込むように亀頭をつつみ、撫でてみた。

「うん。やっぱり、可愛い」
「かわいい、かわいいって、ナニをそう言われるのって、ちょっと複雑なんだが」
「だって、小さくてかわいいもの、こうしてみると」
「それ、男にとっては侮辱だぞ。それに見たことねぇだろ、他のなんか」
「比べてあげようか?」
「俺の小さくてもいいから、他の男のはみるな」



竜児は強引に腰を下げて、亀頭を手から逃がすと今度はつかまらないようにグラインドを小さく小刻みにした。
亜美のヴァギナ、特にクリトリスに絡みつけるような振動を何度も繰り返す。

「やだ、んぅ…、急に、あふぁ…、駄目…だっ…て…」
「お仕置きだ」

クリトリスの頭とペニスの頭がこすれ合う。竿と豆の小さな突起が押し付けあう。
クリトリスは竜児のペニスが濡れるカウパーでぐちゃぐちゃになり、
ズリュゥズリュという、音がいつしか鳴り響く。聴覚というのはsexの時も重要で興奮と感覚を鋭敏にしていく

「あ、んぅ、あふ、あ、あん、はぁ、高須くん、いい、気持ちいい」
「う、ああ、俺もだ、う、俺も気持ち良い」

いつしかヴァギナをなぞるペニスもその滑りをよくする。
再び愛液が分泌を開始していた。こちらもクチャクチャとした音を立てる。
お尻の穴にすら水気を感じる。そこまで垂れてきている。竜児のカウパーと亜美の愛液が混ざったラブジュース。
クリトリスの快感が誤認させているのか陰唇への摩擦から感じる感触も甘く感じられるように亜美にはなっていった。

「高須くん、なんか、幸せ。ごっこ遊びでもいい。離さないで」
「離すわけないだろ」

ペニスを走らせる行為、腰へ響くような痺れ、そして亜美の柔らかさとその嬌声。
すべてが魅力的で、竜児はどれ一つとして失いたくないと思った。それどころではなく独占したい。こんな事を他の誰にもさせたくない。
こんなに自分が狭量であるのかと驚くほどに、それに比例してクリトリスとヴァギナを擦るペニスの動きは加速していく。

クチャクチャと粘り気が増した音が下半身からしてくる。唾液を混ぜ合わせたような音、深い口付けに似た音だった。
そうだ、口付けがしたい。二人は同時に感じた。

「はあ、はあ…高須くん…キスしたい、キスしよう」
「川嶋…俺もだ…」

ちゅぱ、ちゅぱ…ぷ、ちゅっ。

濡れた唇を重ね、舌を重ねた。

「ん、川嶋ぁ…」
「ちゅ、ちゅ…ぷぁ、高須、くぅん…」

興奮の汗が混ざり、愛撫に酔いしれながら互いの名前を呼び合う。
上擦った呼吸、そして鼻息はさらに深く、弾みをつけてゆく。
…頬を満たす熱量が増す。その頬をキスをしながら、こすり合う。擦り合わせるのは下半身も同じ。
キスを求めながらもやめることもなくクリトリスとペニスを密着し、合わせ、ヴァギナの上を走らせる。
竜児は懸命に腰を振り、亜美もいつのまにか押し付け、腰を揺らす。
…感じるままに吐息を漏らし、声をあげ、唾液を交換しあう。亜美の手は竜児の背に回され、肌につめを立てられた。

「んっ…む…ちゅ、ちゅっ…川嶋…」
「はぁ、はぁっ…んっ…ねぇ名前、呼んで…」
「亜美…。好きだ…」
「うんっ…竜児、あたしも好き…大好きだよ…」



亜美が下、竜児が上になって口づけを繰り返す。時には一休み。唇を離して名前を呼び合う。
目が合い、自然と笑いあって、下半身は休むことなく愛撫を重ねあう。
性器の直接の刺激がそれを与えてくれる相手への愛情を加速させ、互いの名前を呼びたくなる。
そのやさしい響きがハートをクンニされるように、フェラされるように気持ち良かった。それがクリトリスとペニスの隆起を強くする。
とがったそれは互いの摩擦をより効果的に快感に変える。
愛情のスパイラルが続いていく。加速度的に快感が増していく。そのスパイラルはヴァギナにも届き、少しづつ開いていく。

「ふぁ、ふぁっ…あ、高須、くん…っ!」
「…亜美、俺…」
「もっと、深く…して……」

竜児の腰のグラインドが深くなる。表面を擦るだけではなく、えぐるように、塗りつけるように。
淫らなひとときだった。ついばむようなキスと抉るような男根の動き。時折、絡ませる足と指と舌。
竜児の唇と手は交互に亜美を攻め立てる。指先で舌先で、唇で吐息で。
苛め抜かれた乳首は痛々しいほどに尖り、吸い付かれるとブルりと身を揺らし、唾液でぬらりと光る。
その度に亜美は小さな悲鳴を挙げ、竜児に媚びた声を囁いた。

胸にキスをして、耳を食み、唇を奪った。体中は汗ばみ、体は熱されていく。
犬畜生のように体を交わらせ、溶け合っていく。
部屋中に淫靡な臭いが満ち、お互いのフェロモンで陶酔した気分に犯される。いまや相手の汗の味さえ、甘く感じた。

「…オレ、したくて仕方があに…ちゅ…んんっ…乱暴にしちまう」
「すきなように、あたしにして」

ちゅる…たむ…ちゅ、ちゅ…じゅるっ…ちゅ、ちゅっ…

ただひたすらに唾液を交換しあう二人。顔に吐息をかけながら、ペロペロと舌をなめあい、チュと唇を押し付けあう。
足を互いに絡ませ、おなかを擦り合わせる。体中がベトベトだ。

「舌…とろけちゃうみたい。たべちゃいたい」
「吸ってくれ」

亜美は、はしたなくも音を立てて彼の舌を吸う。一緒に吸い込んだ唾液を喉を鳴らしながら嚥下する。
そして満足したような笑顔を浮かべ、長く舌を出し、竜児を待つ。次は彼の番だ。
亜美の舌を唇全体で摩擦を与えながら咥え、舌先から根元まで何度も刺激を与える。
それを四回繰り返し、また、舌を舐めあう。
過激になる唇に対し、下の唇である陰唇が不公平の抗議をするため口を開いていく。

「…高須くん。あのさ、もう一度、もう一度、私のなかに高須くんのおちんちん、入れようとしてみて、
 あのさ、あのね、今なら、大丈夫だと思う」
「けど、川嶋」

竜児の理性は亜美を配慮しようとする。が、すぐに雄の心が食って掛かる。愛するメスに自分の遺伝子を注ぎ込みたいと吠え立ててた。

「大丈夫、本当、ひとつになりたいの。無理はしないから。駄目だったら、また練習する。だから…」
「…ああ、俺もお前の中に入りたい」



ゆっくりと亜美の膣口にペニスをもっていく、またもやすべった。
しかし、一度でやめたりしない。もう一度繰り返す。亜美がやはり苦痛めいたうめきをする。
今度は亜美にいたわりの言葉を返さない。自分の我欲もある。亜美を貫きたかった。言葉を与えるより、行動で亜美に応えたい。
体を押しつけ合っていたため、やはり下半身に目がいかないので見当をつけるしかない。
けれど焦りは少ない。慌てる必要はない。うめきはしても亜美は嬉しそうにしてくれている。
竜児の目は亜美の瞳、嬉しそうに輝く目の光を見つめていた。なぜ、下半身を見る必要などあるのだろうか?
そこに信頼もあれば、愛もある。怯えもあったが、自分が亜美を悲しませるはずなど無いのだからそれは杞憂だと言い切れる。
うまくいかない瞬間でさえ二人でいるなら、楽しめばいい。
初めては一回しかない。けれど何度だって体を合わせる機会はある。二人で同じ道をいき、同じ思いをもっているのだから。
大変な初めてを楽しめばいいと思えた。

亜美の股下からペニスを押しつけ、滑らせるように上にスライドしていく。
うまく挿入出来なくても彼女のクリトリスと自分のペニスを絡ませて楽しめば良いという位の軽い気持ちで腰を動かす。
クリトリスを擦るたび、彼女は甘く唇をゆがめ、快感の吐息を吐かせてくれる。
挿入するに越した事はないが、ようは快感を分け合いたいだけなのだ。亜美が喜んでくれればそれでいい。

亀頭が膣口に引っ掛かった。そして今までのことが嘘のようにヌルリと先端がヴァギナの少し奥まで吸い込まれた。
ある程度いくと膣の中は狭くなり、動きが止まる。竜児がゆっくりと動いてた事もあり、その形で止まった。力を入れすぎて滑りもしなかった。
あとは角度を調整して、押し込めば彼女の中に潜り込めるかもしれない。

「川嶋…」
「うん…」

腰を立てて、押し込んでみる。メリメリと肉を分けて押し入る感覚。強い抵抗があるがそのまま押し込む。
亜美が苦痛で顔をゆがめるが、それでも続ける。
痛い思いはなるべく少なくしてあげたいと思って何度も失敗している。だから、今回は一度で済ます。
我慢してもらいながら、ペニスを押し込む。彼女の、処女というものに、今、傷をつけて、打ち破る。
彼女を傷つけるならそれは自分でありたい。他の誰にもさせたくない。だから苦しそうな顔をしても続ける。

「ふぁ、ふぁっ…あ、高須、くん…っ!」
「…ゆっくり…川嶋のなかに、入れる」

亜美は空気を求め、口をパクパクとひらき、痛みに耐える。耐えられる。
これは待ち焦がれた痛みなのだ。
それに竜児の目が強く、思いやりのこもった瞳で彼女をみてくれている。それだけで報われる気がした。

「ふぁ、ふぁあっ…んあっ、高須くん…、もう、入り…きった?」
「今、半分くらい…だ」
「え…ううん…やぅあ…そんな…、おっきい…」
「だから…言ったろ、俺、小さくないって」
「な…んぅ…根の持…って」

竜児が軽口を言うのは今に耐えるため。その熱い体温、締め付けるような、絡みつくような感触。なにより彼女の秘裂に侵入しているという興奮。
奥に行けばいくほど、狭く、熱く、愛おしい。精を解き放てるのならすぐにでも解放したい。
コンドームをしているとはいえ、彼女の中に自分の精子を放ち、染み込ませたいと男の本能が騒ぎ立てる。

むぎ、みゅぎ…にゅむ、ぬむっ…ぬるっ…

亜美の花筒をコンドームに覆われたペニスが少しずつ押し広げて満たしてゆく。
なにものの侵入も許したことのない奥の奥へ男根が入って行く。


痛覚神経がうめくのとは反対にヴァギナが歓迎するように絡みつき、締め上げ、精子の搾取を開始する。愛液が分泌し、潤滑を少しでもよくしようとした。
もちろん痛みはある。耐えられるか耐えられないかのギリギリで痛みがずっと続いていた。襞が力ずくで破られ、竜児のペニスの形に裂けていく。
皮膚を鈍器で何度も何度も突き破られるような痛みだ。傷口を抉られ、出来た傷口をさらに抉り続けられるような痛みだ。
だが、それが一つになっている事の証だと思えば彼女は耐えられた。
みっちり襞の密生した膣内は汗と愛液でヌルヌルとし、出血とでまざりあい、滑りを良くする。その滑りがペニスの動きを助け、挿入を助ける。

「も…もう…入った?」
「まだだ。まだだ。川嶋」

ただ、出来ることなら痛みの限度を知りたいと亜美は思った。次々に強い痛みが来るのは怖い。どこまで痛みがあるのか知りたかった。いつまでも痛いのはやだ。
出来ることなら、痛みの枠、ペニスが最長で入った状態まで行きつきたかった。
数秒ごとに亜美は竜児に確認する。竜児は否定する。彼は意識的に挿入をゆっくりとしていた。
彼女を労わる気持ちは当然ある。自分が爆発しないようにする事に力を入れていたからでもある。
それ以上に彼女が確認する声が聞きたかった。とてもかわいらしいと思った。

ぬむ、ぬぷっ…ぬ、むっ…。

ペニスの挿入が続く。その全長近くを…狭い、先ほどまで処女でいたヴァギナの中に埋没させてた。
張りつめた先端が亜美の行き止まりを探り当てる。腰を突きだしてみてもそれ以上の進行は不可能だった。
彼女の膣内のすべてを竜児が奪った。

「…入った…これで全部だ。川嶋…」
「これ全部が高須くん?」
「ああ全部、川嶋の中にある。お前の体温感じてる」
「解る…、高須くんの形と鼓動と暖かさ」

そこで二人は今を確かめるように互いの背中に腕をまわし、抱き合う。
そして、亜美は竜児の頬に自分の頬がよせ甘える。一つになれた喜びををあふれさせ、彼に解ってほしいと表現する。
自然、鼻や唇がふれあい、二人はそのまま唇を合わせて、舌を絡ませた。そのあと、見つめあい、互いの興奮の度合いを確認しあう。

互いに結合したことで生まれた感動を味わっていた。想像以上に気持ちが高揚して、涙が出た。
その中で竜児は亜美の先を求めたくて仕方がなかった。

「川嶋、動いていいか」
「私、なんか嬉しい…。いいよ。動いて…」
「俺もおまえが欲しい…乱暴かもしれないが…」
「いいよ。大丈夫だから、来て」

亜美が欲情と愛情が混ぜこぜになった目で竜児を呼ぶ。
竜児は彼女の横で両肘をつき、ゆっくりと腰を引いてペニスを戻しては押し込む。密着は亜美まかせ、
彼女が抱きしめてくるに任せ、腰の律動に集中する。
狭く、きつく締め付ける膣の間を挿入し、引き抜く、亜美の中で動く事に夢中になり、徐々に加速する体。

ぬ、む、るっるる、ぬちゅ…みぎゅ、みきゃ、みゅぎゃ…

先ほどまでの処女。当然、道は狭く抵抗は強い。竜児は力を入れ腰を動かす。力が入れば入るほど亜美が処女を散らした傷口への痛みも強くなる。
特に亀頭が入る時、抜け出る時の痛みはきつい。けれど、その度にご褒美もある。加速する動きが時折とまる。そして、目の前に思いやるような視線を感じる。
髪をなでるため、頭に寄せられる竜児の掌が気持ちいい。情熱を秘めた唇が詫びと感謝を伝えながら自分に
唇や首、額、耳に降り注ぐのが切なくなるくらい胸が熱くなる。愛撫とキス、結合に酔いしれる。

「はぁ、ちゅちゅっ…はむっ…ふぅ…亜美、大丈夫か?」
「ちゅぷ、ちゅむっ…ん、んっ…ぷぁ、いいよぉ…すごい、高須くんが優しいのがあらためて解る。やらしくて優しいセックスぅ…」

自分を心配してくれる竜児。それでも、欲望を自分にはぶつける、気つかいの竜児。
自分の体に快楽を求める少年の姿に愛しさと独占欲が膨らむ。
今の世界は自分と竜児しかいなくて、その唯一の、男の関心はすべて私のものだ。それが心の快感を増幅する。

「高須くん…もっと強く…もっと早くっ!」
「いいのか?」
「いいよ。いいから、だからもっと、気持ちよくなって」

正常位で一心不乱に竜児は攻め立てる。亜美の痛みを噛み殺すうめきと、竜児が快楽ゆえにもらすあえぎ声が部屋に満ちる。

「ああ、川嶋…、はぁ、はぁ、はぁ」
「あ、ああ、高須くん。高須くん、高須くん」

二人はお互いを確かめ合うように、少しでも近づきたいがため下半身の粘膜を擦り合わせる。いつしか竜児は頂点に近づく。

「川嶋、俺、悪ぃ、もう、限界だ」
「いいよ。イって、お願い、あたしでイって」
「もうすぐ…駄目だ。だから…おまえにも」

竜児の右ひじが離れ、支えを失って、亜美を体ごとベットに押しつける。
ふわりとしたベットに埋もれ亜美は竜児との密着をわずかに離した。
その隙間に彼の手のひらが入ってきた。
乳房に手が伸びる。敏感になった乳房を揉まれる。

「うぅうん。はふん。あっ、あっ!、やめて、あたしはいいから」
「だ、だめだ。俺だけなんて、俺がいやだ」
「でも、あたし、胸、あふ、ひゃ、弱いから!」

竜児が乳首をつまむと、口をよせ、ぱくりと口に含む。ディープキスのように舌を絡ませ、ころがす。

「あっ、あっ!あんっ、ん、んん…、やだ。また、すごくなってる、ぅうゅ」
「川嶋、は、はやく、達してくれ」
「やだ、やだ、やだ、やだ」

駄々っ子のように亜美は体を揺らして抵抗する。気分だけで、竜児に貫かれているというシチュエーションだけで気持ちは高まっていた。
それに純粋な快楽が加わった。下半身は男に貫かれ、痛めつけられている。上半身は乳首で快楽を与えられる。錯綜した気分が彼女の感度をあげていく。
気持ちよくはなりたいが、竜児より先には達したくない。初めてのsexでは、彼をどうしてもよろこばせたかった。
それなのに、あろうことか胸を弄られている事で体が感覚を学習しているのか膣内でも鈍いが甘い感覚が芽吹いてきている。
気持ちいい。けど、イキたくはない。彼がイクまでは駄目だ。



その思いは彼も同じだった。ペニスへの狭い膣がもたらす刺激。亜美と初めてを遂げれた達成感が射精寸前まで彼を持っていっていた。
そんな竜児は次の手段をとる。左肘を浮かせて、その手が亜美にクリトリスに伸びる。
密着を弱めて、腰と腰の間に隙間を作ると、左手を滑り込ませる。
初めてのsexでは、彼女をどうしてもよろこばせたかった。先に射精するわけにはもういかない。

「ひゃん」
「川嶋、は、はやく、イってくれ、俺、もう」

器用な竜児の指は的確にクリトリスの薄い皮を剥き、人差し指、中指でつまみ、男の子のオナニーのようにこすり、摩擦を与える。
その上で綺麗な豆の頭を親指の腹でこすり上げる。

「ふぁ、ふぁ、うぁっ!!体の芯が引っ張られて、や、深…ふかいよぉ…!は、激しくって…こんなぁ…!!」
「か、川嶋、お前の膣、しめつけが強くなって、ぐにぐに動いて、俺 、腰の裏が引っ張られる、しびれて…」

二人は体を揺らして、快感に耐えながら、少しでも相手に快楽を注入しようと腰を振りあい、指を動かす。
竜児の腰はおよび腰になり、達したくないと理性が言いながら、本能がその動きをとめず、
亜美は背中をそらせて快感に耐えながら、クリトリスを竜児の指先に押し付けていた。

「や、いい、気持ちいい。初めてなのに、やらしいよ。やだよ、どっかいっちゃう」
「あ、うぅ、駄目だ。力が入らなくなって、か、川嶋、イってくれ」
「や、やだ。た、高須くんが先、先に!」

意識はもはや霞がかかっている。理性はどっかへ置き忘れてしまっている。
ただ快楽にもだえる野生の本能と生来の意地っ張り、そして、お互いへの思いやりに突き動かされていた。
相手に達してもらいたいの一心で奉仕し、相手が先に達するまではと我慢をする。
それが常道を超えた快楽をため込んでいく。溜め込んだ悦楽はダムが崩壊した時、洪水となるだろう。
それに気づかずに淫らによだれをたらしながら亜美は痛みを抑えて自ら腰を動かし、竜児は指を操る。

互いに限界だった。だから果てる前に

竜児は両手、下半身を使っていた為、唯一、自由になる部位をつかって最後の一手を
亜美も逆襲の為に自分が一番効果的であるという攻撃を、自分が一番、感じてしまうことを
しようとした

「川嶋、俺、お前の事、好きだ。絶対、大事にする」
「高須くん、高須くん。あたし、竜児と一緒にいる」

二人は互いに顔をよせ、舌を差し出した。情熱的なキスをした。
その瞬間、白い光のようなもので頭が一杯になる。浮き上がるような上昇感。下半身がどこかに持っていかれてしまうような脱力感の波が押し寄せる。
そして、指一本動かせない状態となり、体を重ねあった。


*****


少しして、やっと指が動かせるようになると、相手の指を探した。そして絡ませる。それはどちらかが先か解らない。


ただ互いがそれをしてほしかった事を感じていた。
指を絡ませていると、力の戻りが速くなってくるような気がしてくる。だから繋いだり離したりして指だけで抱き合った。
そんな事を何度も繰り返しているうちに話す気力が戻ってきた。

「川嶋、わりぃ、とりあえず抜かせてくれ」
「え、うそ、まだ繋がったままだ。え、やばくない」
「お、もしかして、漏れちまってって事あるのか」
「……高須くんがたくさん出してたら」

竜児は下半身を注意深く引きながら弾く、幸い、精子溜まりから溢れる事なく、破れてもおらず大事なかった。

「安心しろ。大丈夫だ」
「別にあたしはどっちでもいいんだけどな。高須くん、子供きらい?」

竜児はコンドームの根元を結び、捨てる準備をしていたが、亜美に向き直る。亜美はベットにぺたりと座り込み布団を柔らかく身にまとい竜児を見つめていた、

「たぶん、嫌いじゃないと思う。というか暖かい家庭ってのは持ってみたい。
 けど、それは自立してじゃないといけないし、お前だって、まだ駄目だろ」
「もう、固いよね」
「いいんだよ。そういうとこは」
「そうだね。こういうところはかたくてもいいかな」

亜美は竜児の股間に手を伸ばして、ペニスをもにゅもにゅと揉んでみた。
コンドームを抜いた時点では弛緩していたそれだが…

「うわ、すこし触っただけでまた硬くなっちゃた。……竜児のすけべ」

竜児はむむと唸って、

「しょうがないだろ。まだ、さっきの感覚、残ってるんだ」
「そんなに亜美ちゃん、よかったんだ?」
「…………」

亜美が顔を寄せ、竜児はそっぽをむくが、それをゆるさず亜美の瞳が追ってくる

「よかった?」
「……すごかった」


その観念したような言葉に亜美はニコリと笑う。そして掛け布団をぱさと落として
「じゃぁ、もう一回してもいいよ。ヤリヤリでしょ」

竜児は彼女の頭のポンと手を置いて
「大丈夫だよ。ありがとうな。けど、初めてはキツイだろ。痛いんだろうし」
「そんな事言って、さては竜児が体力ないだけじゃない?。亜美ちゃんもっとやりたいのに」
「て、悪ぃ。そうなのか。やべ、俺、変に勘繰っちまったか?」

亜美は舌を出して

「半分、嘘。もっとしたいのは本当だけど、今日は他にしたいことあるんだ」

「なんだ、言ってみろよ」
「怒んない?」
「怒んねって。言えよ」
「ひっついて一緒に寝たい。なんつってさ。嘘、お泊りなのに一回だけじゃMOTTAINAIだよね」

そんな亜美に答えず、竜児はベットに戻ると、右手を横に伸ばして、横になり

「腕枕って言うんだろ、これ。来いよ」
「うん♪」

そして、二人は少しの間、睦言を楽しみ、いつのまにかまどろみに中に目を閉じていた。
昨日の日中が大騒ぎだっただけに、早起きの竜児さえ眠りこけ、気がついた時には退出時間ぎりぎりだった。
二人は大慌てでホテルを後にした。



竜児の前を亜美はひょこひょこと内股気味に道を歩く。
竜児は感覚のなくなった右手をゆっくりと回しながら歩く。
午前中のホテル街、朝の光を浴びながら、まったり歩く。こんなアンニュイな時間がこそばゆく、二人には嬉しかった。

「川嶋、大丈夫か?、歩きにくそうだが」
「あんまり大丈夫じゃない。なんか、まだ挟まってるみたい。竜児の自称、大きい奴が」

と亜美が振り返り応える。

「だから、女の子がはしたないだろ」
「もう、はしたないとか言ってる仲でもないでしょ。スケベな竜児くん♪、あんなネチッこい攻め方するやつが何を今更」

竜児がむむと再び唸るのを任せて、亜美は楽しそうに攻め立てる。

「じんじんするんだもん。中もだけど、内腿とか、亜美ちゃんの可愛い胸の先っぽとか、誰のせいかな?」

さらに攻め立てるというか、少し甘えた声を出してみた。
「だから、軟膏とか塗った方がいいのかなっと思って?。竜児塗ってくれる?、明日からお仕事だけど、今日はoffだしさ」



そういう事ならと竜児も応える。ちょっとエッチい気持ちとか、期待もある。
「どこか行こうかと思ってたが、それなら家戻るか。途中で飯の材料でも買って」
「二人で遅めの朝飯作って?」
「ああ、そんな感じでまったりするのでもいいか?」
「いいよ。ならスーパー行かない?。あと薬局、軟膏の買い置きないでしょ。この前、タイガーが転んだ時、使い切ったし」
「そうだな、お、おう。やべ、ポイントカード持ってきてないぞ。先に家戻ってから買い物せにゃならんか」
「本当、おばさん体質。セコ。いいよ、それでさ。きまり、まったりコースって事で」

亜美がため息をついてみる仕草も楽しそうに、応えてみせる。

「お前とゆっくりするのも十日ぶりだな」
「あーあー、明日からドラマなんだもんな。なんか楽しみだったのに、急に面倒くさくなってきた」
「駄目だって、安奈さんに怒られちまう。て、明日からそんなに忙しいのか?」
「まあね。でも完全拘束じゃないよ。予算そんなないみたいだから、私を一日、拘束するギャラも出てないみたいだし、
 だから時間つくれば毎日会えるから」
「まぁ、ちょいちょいな」

亜美はそこで顔を赤くして、強く出る。

「ちょいちょいじゃなくて、竜児も時間つくるの。亜美ちゃんのエッチの練習つきあうんだからね。
 なんか、あと少しでコツつかめそうなんだよね」
とこの際と亜美は強く出る。心配の種は彼女はつきない。そっと本音が口から出ていた。
「高須くん、そういうところ微妙にたんぱくそうで、せっかく一線越えたのに逆戻りしそうで不安なんだから」
そんなつぶやきを竜児は聞かなかった事にする。
亜美がどう思っていようが、彼だって、立派な男子高校生なのだ。

だから、ラブホテルでもらってきた一か月以内、八回ご休憩利用で、一回無料の常連用ポイントカードがポケットに入っている事は内緒だ。
なんとかしてホテル代を貯めるためにバイトも始めなければ、泰子を説得しようと心に決める。

「はまらないといいが、俺、凝り性なところあるからな」 

我ながら少し自信がないなと竜児もそっと呟いた。 


To be Ever After







以上で投下終了です。お粗末様でした。


72 Jp+V6Mm ◆jkvTlOgB.E sage 2011/02/13(日) 20:49:15 ID:ZV+X8iet

こんばんは。遅くなりました。以下SS投下させて頂きます。
概要は以下です。よろしくお願いします。

題名 : Happy ever after 追伸
方向性 :ちわドラ。 内容はエロだけ

とらドラ!P 亜美ルート100点End後の話。今回は後編
SS,Happy ever afterの後日談です。一応、>>36 から前編がのっています。
一応本投下だけでもよめると思います。

前半の内容
 ホテルに行って、お風呂にはいって、体を洗いました。


主な登場キャラ:竜児、亜美
後半の長さ :34レスぐらい

前提:
竜児と亜美は恋人同士。

※1 エロにはいるのは 4レス目からです。 
※2 前半より、変態度あがっています。読んでくださる方はいろいろご勘弁下さい。

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