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113 :M☆Gアフター ◆9VH6xuHQDo:2009/11/20(金) 00:36:30 ID:7fx7wdwM



「まだ9時半かいな〜……」

 ある晴れた日曜日の午前中。高須家の真ん前にある公園には、これから
竜児とデートをする予定の実乃梨がいた。本当は竜児とは10時に駅前で
待ち合わせをしているのだが、竜児のことを驚かそう&待ちきれずに、実
乃梨はノコノコと、この公園まで参上仕ったのであった。

「ありゃ? 誰だい君は?」

 そこになぜか、実乃梨が今日のデートの為に買ったばかりのジャケット
の裾を、クイクイっと引っ張る、幼い少女がいたのだった。

「ママ……おしっこ」
 しかも緊急事態らしい。
「おおっとぉ!! あたしゃあ、君のママンじゃないぜ!? え? お、
 おしっことな? ど、ど〜しよ!」
 慌てふためく実乃梨。その間にも少女は切羽つまってきているようで、
両目を瞑り、プルプル震えだす。
「あああっ! ヤバい、ヤバそうだね? わかったよリトルガール! 
 おいで! フォロミー!」
 そう言って実乃梨は少女を抱えて、高須家へバタバタ駆け込むのだった。

***

「なあ実乃梨……まさか誘拐してきたんじゃねえよな……」
「ごっめ〜ん竜児くん! なんかそこの公園でなつかれちまってさ」
 拝むように謝る実乃梨。まあいいけどよ、と竜児。そしてトイレから声
が聞こえた。
「ママ〜……でた〜」
 そんな事言ってしまうのだった。
「マ、ママ? あの子ママって言ったよな? どういう事なんだよ?」
「いやいやいやいや、違うのだよ!!わたしも意味わかんねーのよ!」
 真っ赤になって弁解する実乃梨。いきなりのことで不覚にも動揺した竜
児もその意味をだいたい感じとり、冷静になる。
「……子供でも、女の子だし、実乃梨、トイレに行ってあげてくれ」
 ホイサーッと、走ってトイレに向う実乃梨。竜児はなんとなく今日のデ
ートは潰れるんだな……と、覚悟をするのだった。

***

「パパ……おんぶぅ」
「うっ……なんだこの真綿感は……おうっ、ドンとこいっ!」
 竜児と実乃梨は、公園で少女の親を探したが見つからず、諦めて駅前の
交番まで少女を送るのであった。少女は竜児の背中に飛び乗り、無邪気に
キャッキャッと喜ぶ。
「竜児くんもパパって言われてやんの〜。あはははっ。……ん〜。なんか
 羨ましいかも……竜児くん、今度わたしもおんぶしてくれぃ!」
 甘える実乃梨に竜児は少し照れ笑いする。
「べっ、別にいいけどよ。恥ずかしんじゃねえかな、それって」
 やりぃ〜♪ ふんふ〜ん♪ と、実乃梨はハミング。そして想うのだ。
なんかこういうのもいいかも、と。

「あれ? 女の子、おとなしくなったな……」
 しばらく歩くと、女の子は静かになった。どれっ、と実乃梨が女の子の
顔を覗き込むと、竜児の背中に揺られ、女の子は寝てしまったようだ。
「竜児くん、お姫さまは夢の中のようだよ。かわいいのぉ。プニプニ」

 そんな微笑ましい若夫婦のような二人を、ビシッと指差す若者が現れる。


「なっなっなっ! なによそれ! 高須と櫛枝氏! いつの間にガキンチ
 ョ作ったのよ!」
 大騒ぎする能登久光であった。違っ……と言いかける竜児の口に実乃梨
は指先でタッチ。ウインクして、
「いやあ、見つかっちまったな! ミスター能登! 内緒にしてくれたま
 えよ? 約束だぜ!」
 竜児も実乃梨の悪ノリに乗っかる。
「能登、お前も早くガキ作ったらどうだ。イイもんだぞ? たとえば、そ
 うだな……隣にいるヤツなんかとなんかはどうだ?」
 そう竜児に振られた能登の隣で呆然としていた木原麻耶は、みるみるう
ちに真っ赤になり、
「なな、なに言ってんのよ高須くん! もうっ! こ、子供作るって、そ
 れって、それって……キャ──!」
 走り去ってしまった。慌てて能登は踵を返し、
「不潔っ──!!」
 と、清潔好きな竜児に吐き捨てながら、麻耶を追いかける。すると、

キキ──────ッ!
「キャア!」
 タイヤのスキール音と、麻耶の叫び声。曲がり角でバイクの前にへたり
こむ。ふたり乗りしているバイクの後ろから蛮声が。
「急に飛び出してくんな、ボケー!! あっ。ギャル女……」
「大丈夫ですか!? なんだ、木原じゃないか、こんなところで奇遇だな
 あ。はっはっは」

 朝っぱらからバイクで爆走中の、大河と北村であった。そして何もなか
ったかのように、尻もちを着いている麻耶に、
「じゃあな! 気をつけろよ!」
 と、北村はバイクでそそくさと走り去ってしまうのだった。現場に残さ
れた麻耶は、グスッと、鼻をすすり、ついにはワンワン泣きだした。
「能登くん、木原さんのこと、ヨロシクね」
そう言い残し、竜児と実乃梨は交番へと急ぐのであった。

***

「あれ? もしかして独身じゃん。人んちの真ん前で何してんのかな……」
 北村のバイクから降りた大河は、マンションの前にある公園でウロウロ
しているゆりを見つける。とてもワナワナ涙目で、焦っているように見え
る。すると北村はヘルメットを脱ぎ、
「恋ヶ窪先生じゃないか、なんか困っているみたいだな。なあ逢坂。
 俺、ちょっと話かけてくるぞ」
 北村は、バイクを降り、ゆりの元へ走っていった。

「あっ、北村くん! 小さな女の子見なかったかしら? そう、ちょうど
 あの子くらいって……あら逢坂さん……」
「小さくて悪かったわね……もしかしてケンカ売ってんのかしら?」
 急激に攻撃的になるリトルダイナマイト。ゆりは、生命の危機を感じ、
全力で、否定する。
「ち、違います! 間違えました! もっと小さな女の子です! そうね、
 身長80センチくらいかしら……もうやだ、わたしったら、目が駄目ね?
 目……はっ! ……これって老化? 老……老い……老い……うぐっ!」

 自分が吐いた言葉に絶句。勝手に落ち込むゆりであった……

***

「……パパァ……まんま〜。」
「おうっ! なんだいきなり。腹減ったのか? どうしよう実乃梨!」
「腹が減っては、バトルは出来ねえってね! お嬢ちゃん何食べたい?」
「ママ。ママのオッパイ」
「おっ……オッパイとな? あ、あはは……残念ながら、わたしの乳
 からはミルク一滴も出ないぜよ……って竜児くんどこ見てんのさっ!」
「おうっ!いや、その……本当に出ねえのか?」
「無理無理無理!出たら、びっくらしちまうよ! 搾っても出ねーよ!」
 実乃梨の大声に、女の子は泣き出してしまう。
「うわわわ! 今度は泣いちゃった! ど、どうしよっ……ほら見て〜、
 お姉ちゃんのチカラこぶだよ〜、面白いね〜」
 バニくる実乃梨は、己の二の腕をさらけだし、迫力のカッチンカッチ
ンの筋肉美を披露する。
「いや、それは面白くないだろ。仕方ねえな。粉ミルクでも買うか……」

そして二人は、ドラッグストアを見つけ、入店する。

「あっら〜お二人さん。粉ミルクなんてどうすんの〜? あやし〜」
 レジの前にリップクリームを買う亜美がいた。ふぅん?と、思わしげ
なそぶり。
「あーみん、おっはよー! この子が迷子になっちまってさ〜、交番ま
 で送っていく行く途中で、どうやらお腹が空いちゃったみたいなんだ」
 すると亜美は、少し呆れたような顔つきになり、竜児の背中に歩み寄る。
「迷子ねえ……やだ、まだちっちゃいじゃん。でも、オムツはいてない
 から2、3歳くらい? さすがにもうミルクなんか飲まないんじゃね?」
 つるっつるの玉のような肌の亜美も、さすがに幼女にはかなわない。興
味深そうに女の子のつや肌に触れる。女の子が笑い、亜美も笑顔になる。
「そ、そうか?しかしこの子のリクエストなんだが」
 亜美は肩をすくめ、大きな瞳を閉じた。
「あっ〜そ。さすがのわたしも育児したことねーし。わかんねーけどさ。
 ん〜なんかこの子可愛いいけど、どっかで見……まっいっか。じゃね」
 見送る竜児と実乃梨。亜美はたまに大人びたことを言ってくる。本当は
年上なんじゃないかと思うほどである。どうでもいいことなんだが。
「どうする実乃梨。ポットあるけど、ここのお湯熱いし。仕方ねえけど、
 一旦うちに戻らねえか?」
「時間あるし、いいんでないかい?よし!戻ろっ!」
 竜児の提案に同意する実乃梨。しかしそれは、もう少しこの夫婦ごっこ
をやっていたかったからなのであろう。

***

「死のうかしら……」
 公園のベンチでうなだれるゆり(31)。そこに、息を弾ませながら、
早足で近づく北村の姿があった。
「先生! 公園の周辺の住民に聞き込みしましたが、残念ながら有効証言
 は得られませんでした……しかし、先生がちょっと目を放した隙にいな
 くなるなんて……まさか営利誘拐、もしくは変質者か……」
 最悪のケースを思い浮かべて
「ああっ〜! わたしが悪いんですぅ〜っ!!独身(31)の分際で、子
 供連れて公園デビューなんかしようとするから〜」
 天を仰ぎ、神の許しを請うゆりに、北村はシンプルな疑問をぶつける。
「そこなんですけど、恋ヶ窪先生はなんでお子さん連れだったんですか?」
 目は勿論、鼻からも体液が零れ落ちているゆり、つい北村は目を反らす。
「グスン……話すと長くなるんですけど……早い話、知り合い……みたいな
 人が、旅行……みたいのに行くから、1日だけ預かったんです……はあ、
 でも安請け合いなんかするんじゃなかったわ……」
 曖昧な内容だったが、状況は北村には十分理解はできた。そうか……、
大事にはしたくないが、ここはやはり警察に……と考えた所で思い出す。

「そういえば先生。逢坂はどこにいるんですか?」
「あそこ……」
 頼りなくゆりが指差すその先、公園の芝生広場に、立てばほとんど身長
の変わらぬ女子高生とハスキー犬ががっぷり組み合っていた。そして、そ
の広場の奥には、飼い主と思われるおばさんとその仲間たちが、固唾を飲
んで戦況を見守っている。非常に、シュールな光景だ。飼い主のおばさん
は、
「大丈夫なのかしら、あの小柄なお嬢さん……チーコちゃんの顔はあんなに
 可愛いらしいけど、仲間内では横綱チーコって呼ばれてるぐらい……」
 もちろんチーコちゃんと対峙する女子高生とは大河なのであって、ほぼ
互角の戦いを演じているチーコちゃんは、筋骨隆々、猛犬注意、北風をも
のともしない、むっちむちの被毛も頼もしい巨大なハスキー犬だった。
「こなくそおおおおぉぉっ!」
「グルルルルゥゥゥゥッ!!」
 パワーは均衡、ほとんど互角。チーコの後脚がプルプル震え、大河のス
ニーカーがジリジリと下がる。
「ああっ、とても見てはおられん! 逢坂っ! 今いくぞ!」 
 と、北村が飛び出し、大河の変わりにチーコちゃんにズボンを噛まれ、
ズリ下げられ、おパンツご開帳っ! となりそうになったその時だった。

「あら美少年」
 飼い主のおばさんが、公園に入って来た男子を見てポッ、と赤面。周囲
の飼い主軍団はヒソヒソと「やっぱ目ぇおかしいわ」「奥さん、猛禽マニ
アだから」とかなんとか。

「あ! みのりんだ! オマケも一緒だわ。みっのり〜ん!」
「うおお、大河ー! どーしたー、服が犬の足跡だらけじゃないかーっ!」
「オマケってずいぶんなご挨拶だな、大河よ」
「オマケよりオバケの方が良かった? あれ、竜児。誰おんぶしてんの?
 あんたまさか、背中から女の子生えてきたの?」
「今までで一番ひでえ勘違いだな。違う違う。迷子なんだ、この……」

「萌香ちゃあああぁぁあ──────っんん」
 独身はそう叫ぶと、独、独、独、独、独!っと、チーコと北村とそのパ
ンツを吹っ飛ばしながら、竜児たちに猛進してきたのであった。

***

「ほんっっとうに、ごめんなさいね〜〜、高須くんっ、櫛枝さん」
 独身は高須家の居間で正座をしていた。問題ないっすと竜児は答え、台
所を借りてミルクを作っている実乃梨も同じように答えた。
「あのね。まだ先の話になると思うんですけどね、先生ね……けっ、けお
 っ……結婚……し、すりゅ……かも、しれないんですっ」
 世話になったのもあり、ゆりは本当のことを語る。左手の薬指も見せる。
しかし、
「は? 誰がですか? 俺と実乃梨はまだ……」
「さりげなくノロケないでください。違います。わたしです。恋ケ窪ゆりです」
 ええええ!っと竜児は驚き、抱っこしている萌香を落としそうになる。
そこへ哺乳ビンを振りながら実乃梨が居間に戻って来た。
「っへ〜! ゆりちゃん先生おめでとうございます! じゃあ、萌香ちゃん
 は結婚相手の連れ子〜ってこと、なんですよね? は〜い、萌香た〜ん」
 竜児がだっこしている萌香にそっと乳首をくわえさる。萌香はあせって、
ミルクと一緒に空気を飲み込んでしまい、ケホケホ咽せてしまった。慌てて
背中を擦る竜児に、心配そうに覗き込む実乃梨。そして萌香は再びミルクを
飲み出し、竜児と実乃梨は笑顔になる。ゆりは、数秒、そんなふたりに見と
れてしまった。

「……な、なんかあなたたち、普通に夫婦っぽいんだけど……あ、あの櫛枝
 さん?さっきの話ですけど……そうなんです。萌香ちゃんのお母さんが色
 々あって……落ち着いたら、私、萌香ちゃんのお父さんと結婚するんです」
 いつの間にか、ゆりは正座していた脚をくずし、座布団にお尻をペトリ。
いわゆるアヒル座りになっていた。
「んんっ、ぷしゅん……ママ〜」
 と、呼ばれた実乃梨は、少し名残惜しそうな顔つきになるが、すぐにニッ
コリと表情を戻す。
「へ〜い、萌香っぺ。最初にも言ったけど、あたしゃあ、君のママンじゃな
 いんだぜ〜。本当のママは……はい先生っ。萌香ちゃん、お返しします」
 ゆりは萌香を受け取り、萌香もどうやらゆりを受け入れているようだ。ゆ
りも、「ママ〜」と呼びかけられ、もう溶けるように微笑むしかない。人見
知りしない萌香は、どうやら誰にでもパパママ呼んでしまうようだ。だっこ
しているゆりは萌香に、おっぱいをブニュブニュ押され、弄ばれている。「
むにゅむにゅ〜」萌香は楽しそうだ。そしてふと、竜児と実乃梨に振り向き、

「ねえ、パパ、ママ。もうチュ〜ちないのぉ?」

「おうっ! まさかあの時! 寝てなかったのか? 萌香ちゃん!」
 おんぶしていた時に、なんとなく気分が盛り上がってしまい、軽く交わし
たキスをどうやら見られていたようだ……
「ねぇ〜。もっかい、チュ〜みちてぇ……」
 ゆりは、気まずそうに、上目遣いで、
「あの……子供に仲が良い所を見せるのは良いことらしいのです。先生、目
 を瞑ってますから」
 目を瞑り、手で顔を隠す。だから早くしろというのだろうか。

「なんかすっげーやりにくいんですけど」
「……俺的には、構わねえけど、実乃梨?」
 竜児は手を重ねて、ゆっくり実乃梨の唇を奪う。

 チュッ

 それは、やさしく、爽やかなキスであった。

***

 この時のキスを、キッチリ目を瞑っていたゆりは見ていなかったらしい。
萌香は、そのつぶらな瞳でバッチリ見て喜んでいたハズなのだが、覚えて
いない……と、いう事を竜児と実乃梨は数年後に聞いたのだった。

 数年後。つまりそれは、二人の結婚式の時なのである。
 花嫁の実乃梨と、花婿の竜児は、あの時のキスと変わらない、爽やかな
キスを今度はみんなの前で、神様の前で披露したのだった。教会に集まっ
てくれたみんなは、それぞれが自分の言葉で祝福、ひやかしてくれた。

 そんな中、

「おめでとう!」
 と、一番声が大きかったのは、綺麗に成長した萌香なのである。



 おしまい




118 : ◆9VH6xuHQDo:2009/11/20(金) 00:46:22 ID:7fx7wdwM

以上になります。
お読み頂いた方、ありがとうございます。
因みに、某スレにて、投下させて頂いているSSのラストに使おう
と思っている内容が、この板のあるレスと内容が酷似しているもの
がありまして、驚きました。
事前にその内容のフラグも立てておりまして、決して盗用した訳
ではございません上、もしご覧になる機会がございました時は、
御容赦、ご理解下さりますようお願い申し上げます。
しばらく投下はできませんが、また覗きにきます。
失礼いたします。


112 : ◆9VH6xuHQDo:2009/11/20(金) 00:35:07 ID:7fx7wdwM
初めまして。失礼いたします。

一介のみのりん派なのですが、恥ずかしながらこの板の存在を
昨日知りまして、足跡がわりにお邪魔させて頂いた次第です。
お口に合うか、わかりかねますが、ご挨拶がわりにひとつ、
稚文を投下させて頂こうと存じます。

ただ内容的に、私が某スレに投下させて頂いているSSの内容に準じ
ており、違和感があるかもしれませんが、どうぞお気軽にお読み頂
けたらと存じます。宜しくお願い申し上げます。

題名 * M☆Gアフター
時期 * 三年生の11月下旬位。
設定 * 竜×実付き合って一年半。原作と異なるカプ有。
物量 * 5レスになります。

【とらドラ!】櫛枝実乃梨SSスレ【まったり妄想】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/7953/12...

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