最終更新: text_filing 2010年01月20日(水) 21:23:50履歴
127 M☆Gアフター5(おっぱいラーメン) ◆9VH6xuHQDo sage 2010/01/15(金) 00:11:32 ID:JWYrm2jG
「おっぱいラーメンだとっ?!」
「あわわっ、高須っ! 大きいって! 声っ、大きいって!」
高須竜児は大急ぎで石川県の地名みたいな名前の友人。能登久光に口を塞がれる。眼鏡の奥
につぶらに輝くカワウソ眼(かわいくない)がワナワナと震えていた。
「す、すまねえ……で、なんだそのおっ……詳しく聞こうじゃねえか」
2−Cの教室の片隅で密談を交わす思春期ど真ん中の男子二名。能登は改まってコホンと一
息つく。
「学校の近くの国道沿いにあるラーメン屋なんだけど、すっごい行列なんだよっ。何でだろう
ね高須? 何でだと思う高須? 教えてあげるよたかし。それはねっ」
たかしって誰だよ? っというツッコミをゴクリと飲み込み、竜児は能登の次の句をじっと
待つ。狂気に満ちた三白眼が能登の眼鏡に映り込む。
「裏メニューで、ぉっぱぃラーメンってのがあって、半熟卵がプルルンッ! って、ぉっぱぃ
みたいに揺れてるんだけどそれだけじゃなくって……おっぎゃあぁぁ──っ! 想像した
だけで興奮して……来たぁ──っっ!!」
能登は真っ赤になり眼鏡を曇らせる。
「おかしいぞ能登! まだ話の途中じゃねえか! 興奮しないで最後まで話せ。落ち着くんだ
っ。それにおまえ、そんなに騒いだら死ぬぞ!」
竜児が必死に落ち着かせようと背中を擦ってやっていると、背後からアホの気配がプンプン
してくるのだった。
「ちょっとちょっと能登っち&高っちゃ〜んっ、な〜に盛り上がってんの〜混ぜてくれよ〜☆」
そこには常春の友人。春田浩次がヘラヘラ漂っていた。
「あ、春田どこいたんだよ。おまえも誘おうと思ってたんだよっ! なあ春田、おまえおっぱ
……ラーメン好きだよな? ぉっぱぃも好きだろ? 大丈夫だ俺も好きだ。恥ずかしくなん
かない。な? そうだよな? ラーメン。 え?」
能登はグラングラン春田の肩を好き放題に揺さぶる。
「ふえ〜っ!! なになに能登っちっ、おっぱ? ラーメン? どっち?」
「どっちもだよ! こんな寒い日にはラーメンが恋しいだろ? そんでもって、おっぱいも恋
しいだろ? 恋しいはずだっ! よし決定! 今からラーメン食べに行くべしっ!」
すでに能登はおっぱいと言うのに声も潜める事なくノリノリだ。しかし、ちょっと待て。と、
竜児は一旦席を外し、帰りの準備をしている実乃梨に一声をかけ、戻ってきた。
「実乃梨が今日バイトらしいし、俺も付き合ってもいいぞ。ラーメン」
そんな竜児に欧米人並に手のひらを天井に向け首をふる能登。やはりかわいくない。
「高須〜、おまえって、櫛枝氏に尻敷かれて大変だな。おっぱ……ラーメンぐらい好きに食べ
させてもらえないの?」
そんなカワウソ眼鏡の友人の吐いた言葉は、ベリーロールで飛べそうなくらい低い竜児のプ
ライドに引っかかる。
「そんなんじゃねえよ。てか、まだ話の途中だろ? 詳しく教えろよ」
そして能登が説明するに、その店のバイトの娘が巨乳で、例の裏メニューを頼むと、秘技、
六道輪廻! と叫びながらその娘が、たわわなおっぱいをブルンブルンさせて回転してくれる
のだという。……それはスゴイ。たしかに見てみたい。見るだけならセーフだろう。多分。し
かし竜児の後ろでマギー耳を装備して盗み聞きしていた誰かさんには気付かなかったのだ……。
***
「さっぶ〜〜〜〜 ぜんっぜん、列動かね〜〜〜〜! ひょ〜〜〜〜!」
「さっき四人ぐらいまとめて出て来たのに……うー、じっとしてるから余計に寒い!」
二月に入り寒さは本番。国道沿いの歩道には行列が曲がり角の向こうまで続いている。陽は
落ち、車のヘッドライトが竜児の獣眼に映り込む。
「今何時なんだ? ……おう!」
ケータイが告げる時はすでに五時、この調子だと夕食が間に合わない。半分は進んだであろ
うが、竜児はまだ数メートル先のラーメン屋の店頭に立て掛けてある看板を、行列が判るよう
に写真をパチリ。昨日の残り、冷蔵庫内のチャーハンを食べるようにメールを打ち、写真とい
っしょに泰子に送信した。『送信しました』のメッセージを確認。フリップを閉じ手袋をはめ、
竜児は火もつかんばかりの勢いで手を擦りあわせた。
「なんか、誘ってごめんな高須。こんなに大変なことになってるとは思わなかったよ、夕食の
買い物とかあるよね? 大丈夫? 間に合う?」
ぷるぷる震えながらの能登の言葉に「いやいや」と竜児は手を振ってみせた。
「たまには俺もおっぱ……行列ラーメン味わってみたいしさ。家には今メールしっ……返信が
来た。『竜ちゃん、テラ了解でヤンす〜☆』……だそうだ」
そかっあ、と腕を組み、能登は暗い空を仰いだ。「ていうか、高須は竜ちゃんって呼ばれて
るんだ……」「キモいだろ」などと言う間にじりじり列は進み、気づかずに立ち止まった二人
の背中を春田が押す。
「はいはいお二人さん、みんな殺気立ってるから順番飛ばされちゃうぞ〜、進んで進んで〜」
と、押されながら、眼鏡を拭きながら能登はしみじみ思うのだ。
「こんなこと言うのも何だけど、みんなおっぱい好きなんだな……」
「まあ……寒いしな。俺は肝心のラーメンに期待してるんだが……おうっ」
並んでいる列を掻き分け、また一人客が出てきた。その客はなにやらブツブツ呟きながら、
「けしからん……いや、実にけしから……むふっ?」
……去っていくのだった。そいつが見えなくなるまで見送った能登のボルテージが上がる。
「見たか聞いたか高須に春田っ! けしからんらしいぞ、おっぱいラーメン! 熱すぎる!」
上気する能登から立ち昇る熱に、ほんのり暖かくなる竜児。そして春田は、もう一人の眼
鏡の友人を思い出す。
「北村も誘ったらよかったんじゃないかな〜。ら〜めん」
「大先生はおっぱい興味ないみたいだし。ほらだって……ないじゃん、タイガー……」
「おうっ、能登! っぶねえよ!……滅多なこと言うもんじゃねえぞ。マジ危ねえって」
能登のデンジャラスな発言に慌てて竜児が注意するのだが、
「何が危ないのよ。竜児」
「どわあっ! た、大河じゃねえか! おうっ……川嶋に、木原も……」
なんの前触れもなく登場した要注意人物大河に焦りまくる竜児。だが能登が今生きている
ということはどうやら話の内容は聞かれてなかったようだ。大河の隣にいた美少女仮面が竜
児と春田の間にさりげなく割り込む。
「あっらー、並んでてくれたの〜っ? 三人とも。ありがとっ!」
さらに不気味な色のマフラーを捲いたクソ寒い中、真っ白な太もも晒している少女も割り
込んでくる。
「行列見た時はやべーって思ったけどラッキー! なになにみんななんでここにいるの?
奈々子がここでバイトしてるの知ってんの?」
三人の女子に割り込まれた行列の後ろで待ってた人々をフーッ! と威嚇している大河は
ほっといて、竜児はフリーズ。それは寒いからではない。
「いや……偶然だ……まさか、その例のバイトの娘って……」
いくら鈍い竜児でも流石に気付いた。きっと、ラーメン屋の巨乳娘はほかならぬ同級生、
香椎奈々子であろう……この状況で例の裏メニューなど注文出来るほど、男子三人は大人で
はない。だから……という訳ではないのだが、
「や、やっぱり俺、時間ないから帰るな! みんなっ、よいラーメンを!」
と、逃げた。
***
「いらっしゃいま……おおっ竜児くん! ラーメンは?」
竜児は駆け足で実乃梨のバイト先のファミレスに走ってきた。贖罪のつもりかなんとなく実
乃梨に逢いたかったのだ。
「やめた。なんかな……おまえの顔見たくてな……」
息をきらした竜児に実乃梨は腕を組み、観察するように様子を見る。
「ほんと〜?……あやしいなあ、浮気でもしたんじゃねーの?」
大きな瞳を半分窄め、実乃梨は竜児を問い詰める。半分になっても実乃梨の眼力は竜児の心
を全裸にするのに充分だった。北風と太陽の太陽のように。
「し、してねえよ! しないし、したくもねえ!」
白旗を振るように手を振る竜児に実乃梨は首を振る。
「どうだか……でももう私バイト上がっちゃうよ? 雪降るから店長がもう帰れって。竜児く
んどうすんのさ? 注文する?」
曇った窓に目をやると、チラホラ白いものが舞っていた。
「おうっ雪かよ! 寒いはずだな……もうバイト上がるんなら少し付き合えよ。注文するから」
あいよーっと返事をし、いつもの禁煙席へ竜児を案内する実乃梨。誰もいない店内。ウェイ
トレス姿のまま、実乃梨は竜児の対面に座る。
「竜児くん、で、なに注文すんの?……おっぱい?」
「おおうっ! ……何故それを……き、聞いてくれ、俺は何も知らない見てない聞いてない!」
飛ぶんじゃないかと思えるくらい手をばたつかせて弁解する竜児に実乃梨はやっと笑顔になる。
「わかってるって。さっき大河からメール着たもんよ。せっかくだから奈々子ちゃんの秘技、ノ
ーブラボイン打ち見て来たらよかったのに。スゴイらしいよ。てかスゴイ。動画あるけど見る?」
実乃梨はエプロンのポケットからケータイを取り出し竜児にちらつかせる。……ノーブラなわけ
ねえだろ……と思いつつも、誤解されるような行動をしてしまった自分に大反省する竜児なのだ。
「見ねえよ……俺はラーメン食いたかっただけだ。まあ、信じてくれなんて言わねえけど……」
そんな竜児に実乃梨はキスでもするくらい顔をググッと寄せる。竜児の鼻息が跳ね返ってきた。
「信じるよ。私の彼氏だからね。ちゃんと分かってる。意地悪してゴメンなさい……で、注文は?」
よく出来た彼女に竜児の心が満たされる。改めて惚れ直すのだ。そして竜児なりにその想いを
実乃梨に伝える。
「……おっぱい。お持ち帰りで」
「少々お待ちください」
実乃梨は更衣室へ向った。
おしまい
130 ◆9VH6xuHQDo sage 2010/01/15(金) 00:13:47 ID:JWYrm2jG
以上になります。お読み頂いた方有り難うございます。
また、まとめの管理人様、更新ご苦労様です。いつも有り難うございます。
他の方のお邪魔にならなければ今週こそ最終回を投下させて頂きたく存じます。
失礼いたします。
126 ◆9VH6xuHQDo sage 2010/01/15(金) 00:10:25 ID:JWYrm2jG
失礼いたします。
したらば板のみのりんスレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/7953/1252335454/
用に考えていた小ネタなので、エロなしですが、どうぞお気軽にお読み頂けたらと存じます。
今週末十七日に最終回を投下しようと存じております、みの☆ゴンのアフターものです。
タイトルの5は五作目という意味で、午後五時ではないです。宜しくお願い申し上げます。
題名 * M☆Gアフター5(おっぱいラーメン)
時期 * 二年生の二月。
設定 * 竜×実付き合って八ヶ月。エロなし。
物量 * 三レスになります。
注意 * みの☆ゴン未読ですと不快かもしれません。
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