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427 :M☆Gアフター9(七夕はポニーテールの日) ◆9VH6xuHQDo:2010/07/06(火) 23:26:31 ID:PYasP7Vg



「おい起きろ実乃梨。もうとっくに下校時間だぞ?」
「ふええっ? はぅっ、りゅぶじぐんっ……! ありゃ? 今何時?」

 月は七月。日付は七日。所謂七夕の放課後。
 ここは少し斜めに傾いた午後日差しが降り注ぐ、文系クラスの教室。そこへ国立選抜クラスの高須竜児は、待ち合わせの時間に来ない恋人の櫛枝実乃梨を教室まで迎えに来たのだった。

「四時半だ……。校門で待ってたんだが、なかなか来ねえから教室まで来ちまった。
 そしたらお前が机で寝てた」
 と溜息まじりに呟く竜児の視線は、飛び起きた恋人、実乃梨の口元にテラテラと
ひかる分泌液に目を奪われていた。
「うおおっ、私ってば爆睡しちまってたわ……すまねえ! ソッコーで支度するぜよ!」
 威嚇する猫のように実乃梨は髪の毛を逆立て、バタバタと机の中の荷物をカバン
に突っ込み、慌てて筆記具を床に落としてしまう。そして竜児は、

「……なあ実乃梨。お前最近、少し疲れてるんじゃねえのか? なんだったら七夕祭り行
 くの止めとくか?」
 シャーペンやら消しゴムやら拾いながら、そんな実乃梨に気遣うのだった。が、
「ノー! ノーだよ竜児くん! 平気平気、ちょっくら油断してただけなのだよ!
 出店のスイーツ達が、俺たちに喰われるのを刻一刻と待ってるしね? あはは、
 行くっぺや!」
 静止状態からいきなり全開状態で動きだした実乃梨は、竜児からシャーペンを、
パシッ! と受け取ると、そのままチッチッっと左右に振った。
 それを見た竜児は苦笑し、実乃梨の少し乱れた制服を整えてやる。
「シャツの裾が出ちまってるぞ……そっか。ならいいけどよ。あんまり無理すんな
 よな? ほら。出来たぞ。じゃあ急ごうぜ。北村とか大河達は先に行くって言っ
 てた。」

 そう言って肩に触れた竜児の指は、そのまま自然に実乃梨の指に絡まり、二人は
笑顔を並べ、小走りに廊下を進んでいった。

***

「あ〜っ! 実乃梨ちゃんと高須く〜ん! アレレ〜? もしかしてこれからぁ。
 二人揃ってデートなのかな〜? 相変わらず、ウフフ? よねえ〜?」

 当初、竜児と実乃梨が待ち合わせしていた校門の前を過ぎようとしていたその時、
一緒に行く予定だった大河と北村の姿はもちろん無い代わりに、竜児たちに声を掛
けて来たのは、カリスマモデルの川嶋亜美を筆頭に、木原麻耶、香椎奈々子の大橋
高校の誇る、美少女三年生トリオが顔を揃えていた。
 実乃梨は竜児と繋いでいた手をハラリと離し、彼女ら三人に両手を振って、さら
に愛想も大げさに振り撒いた。

「わーおー! あーみん先生! 麻耶ちゃんと奈々子ちゃんもおっつ〜っ!」
 実乃梨に続いて竜児も軽く手を掲げ、実乃梨ほどではないが、彼女らに愛想を振
り撒いてみた。ニッコリ。
 それがどう彼女らの眼に映ってしまったのか……久しぶりに顔を合わせた三人の
表情が、一瞬怯むのに気づいてしまった竜児。しかしその精神的ダメージをなんと
か乗り越えてみた。
「おう川嶋! 今から俺たち大橋神社の七夕祭に行くんだ。よかったらお前らも行
 かねえか? 北村と大河も先に行ってって、どわっぁ!」
 突然竜児は背中を押され、前につんのめりそうになる。しかし竜児はなんとか踏
みとどまり、叩いた主に振り返った。すると、


「ういっすーっ、高っちゃ〜ん! ひっさしぶり〜! ウヒョ? なになに亜美
 タン以下、みなさんもお揃いで、どったの〜? フヒヒ」
 奇遇にもそこには、相変わらず暑苦しいロン毛がトレードマークの春田浩次と、
同じく黒縁眼鏡が特徴的な能登久光の二人組がいた。
 つまりはいみじくも、二年生だった時分の同級生が七人集合するのであった。

「おう春田と能登! 二人ともクラス変わってからご無沙汰だよな? 丁度いい。
 今、川嶋たちに七夕祭行かねえかって、誘ってたところだ。もし時間あんならお
 前達も寄ってかねえか?」
 すると能登が、眼鏡の下の粒らな瞳を泳がせるのだが、そしてそれは相変わらず
かわいくないのであったが。
「そ、そうなの高須っ! そうなの? ……きき、ききききき木原はどうすんのよ?
 行くの? 行かないの? 行ってしまうの?」
 能登の泳ぎまくって溺死してしまいそうな瞳は、真っ直ぐに木原向けられていた。
その視線を浴びる木原は、見る見るうちに、淡いピンク色に染めていく。

「ちょっ……な、なによ能登! 人の名前勝手に長くしないでくれる? てか、あ
 んたはどうなのよ? 行きたいの? 行かないの? そうでもないの? まず自
 分の意見をハッキリさせなさいよねっ!」

 なんともいえない、締まりのない空気が辺りに漂い、能登と木原以外の面々は呆
れたように口を開けたままになるのだが、この沈黙に救いの手を差し伸べるのは、
胸の大きな天使だった。
「ふふ。まあまあ麻耶っ。落ち着こうよ。これもなんかの縁じゃないかな? ねえ?
 亜美ちゃん。私のお買い物は今日じゃなくてもいいから、これからみんなで七夕
 祭に行きましょ?」
 すると亜美は大きな瞳をまーるく見開く。そんな顔も悔しいくらいに可憐だ。
「ええ、なんで? いいの? でも奈々子はそれでいいわけ? あの駅ビルで売っ
 てるポーチって、限定モンなんだよ? それにこいつらとツルむと、絶対なんか
 ある……うっ……わ、分かったわよ。行くわよ! でもちょっと待ってくれる?
 あたしブログ更新しないと」
 そう言って亜美はおもむろにカバンからケータイを取り出すと、慣れた手つきで、
画面に細い指を這わせる。

「なんだ川嶋。お前ブログなんかやってんのか?」
 ここにいる全員が亜美の背後に回り込み、ケータイの画面を覗き込む。その一群
の中で、一番遠くから眺めていた竜児は、なんとなく亜美に問うてみた。
「うん。雑誌の企画でね。読者向けにお仕事の一環。こまめに更新する決まりなの
 よ。夏休みいっぱいまでの期間限定だけどね?」
 すると、竜児の直前に立って、目の前でつむじを晒す実乃梨が、ケータイをいじ
る亜美の肩を背後からグイッと掴んだ。

「へーえー? あーみんもブログやってんだ? どこで? どうしたらそのブログ
 閲覧できんのさ?」
 耳元で囁かれ、くすぐったそうに首を傾げる亜美は、ケータイの画面を見つめた
まま実乃梨に答えた。
「ん? なあに実乃梨ちゃん興味あんの? 雑誌のサイトにリンク張ってあっから、
 そこから飛べるんだけど……てかもしかして実乃梨ちゃんもブログやってんの?」

 その直後、実乃梨はカンシャク玉のように飛び跳ね、竜児の鼻先にヘッドバット。
ダメージを受けた竜児は思わず身体をくねらすが、実乃梨は気づかないまま動揺し
まくる。
「はううっ! いやいやいやいやあーみん! そそそそんな訳ねーべさ! ななな
 な〜に言ってんぞなもし!」
 明らかにあやしいそんな実乃梨の反応に、香椎がアゴに手をやり、呟いた。
「あれ櫛枝そうなの? やだ私、この前見つけた書き込み。てっきり櫛枝のだと思
 ってたのに……」
 ライフゲージが復活した竜児が涙目で見上げると、そこにはガクガクワナワナ、
肩を揺らす顔色蒼白の実乃梨がいた。
「なん……だと……! 奈々子ちゃん! それってどこの掲示板? もしかしてな
 んとかチャンネルとか、したら……ばっ! いやいやなんでもねえっす!」
 そんな背後での喧騒に構わずケータイを打ち続けていた亜美は、ふと指を止め、
実乃梨に振り返り、
「掲示板なの? 実乃梨ちゃん、ブログなんじゃじゃねーの?」
 実乃梨に不思議そうな顔を向ける亜美。すると実乃梨はバツの悪そうな表情に一転、
「いやぁ……あはは」
 やはり竜児の目前に晒すキレイなつむじが乗っかる髪の毛を、ぽりぽり掻きはじ
めたのだった。
 いつの間に少し距離をとっていた香椎は、何故だか目を細め、柔らかく微笑んだ。
「うふふ。ゴメン櫛枝。きっと私の勘違いね? それよりさ、タイガー待たせたら
 悪いし、早くお祭りに行きましょ? ほら春田くんもぼやっとしてないで行くよ?」
 突然香椎にウインクされ、びっくりした春田だったのだが、すぐに溶けるように
してだらしない表情を晒す。竜児は依然として動揺している実乃梨に気付き、ゆっく
りと実乃梨のつむじに触れた。
「行くか。実乃梨」
 頭に手を乗せた途端、実乃梨は落ち着きを取り戻したようで、竜児にいつもの輝く
笑顔を見せてくれた。
「おーよ! 竜児くんと一緒なら、この櫛枝、いずこへもお供しましょうぞ!」
 なんの気なく実乃梨の発したその言葉に、能登の微妙な視線が刺さる。
「アーチチ! ねえ高須! 俺たちお邪魔じゃないのかな? なんかさっ!」
すると間髪を入れず、春田がナイスフォロー。ヘンな手付きのオマケ付き。
「能登っち〜、高っちゃんがきびだんご奢ってくれるっていうし! おりぇたちは黙
 ってどこまでもお供しよ〜ぜ〜ん☆」
「言ってねえよ! てか邪魔じゃねえって! みんなで一緒に行こうぜ?」
 そう言って竜児は能登と春田の間に割り込んで強引に三人で肩を組んだ。「キャー
ン! 高っちゃんに誘拐される〜!」「春田、高須にそんなこと言ったら笑えないよ!
ねえ、高須!」と、昔のペースに男子軍団が戻ると、亜美がケータイの電源を落とし、

「っと……更新終了! あれ? みんな行かねえの? 暗くなったらヤダし早く行こ?」
「よっしゃーっ! 元2ーC仲良し軍団! 張り切っていこー!」
 そうして七人は男子と女子で群れをなし、騒がしくも仲良く、七夕祭りの行なわれ
ている大橋神社へと向かっていった。

***

続くかも


430 : ◆9VH6xuHQDo:2010/07/06(火) 23:31:07 ID:PYasP7Vg
以上になります。お読み頂いた方有り難うございます。
続きを書くにしても先に連載を終わらせてからと考え
ております。長文の感覚もなんとなく戻ったので、エロ
パロの続きを完結後、こっちに戻って来ます。
失礼致します。

426 : ◆9VH6xuHQDo:2010/07/06(火) 23:24:50 ID:PYasP7Vg

 実乃梨の母です。意味分りませんが最近そうなんです。
 ちょっと最近、娘の宣伝活動しておりまして、まったく執筆活動できなかったんで
す。さらに長文を書く感覚も鈍っているのに気付きまして、みの☆ゴンアフター8の
後編と、大きなクリの木の下で! の最終回に、昨夜手をつけようとしたのですが、
筆が進みませんでした。
 なのでリハビリついでに新作です。しかも途中です。後編ないかもですが、宜しく
お願いします。あくまでもリハビリなので……。

 題名 * M☆Gアフター9(七夕はポニーテールの日)
 時期 * 三年生の七月七日。付き合って一年
 物量 * 三レス

【とらドラ!】櫛枝実乃梨SSスレ【まったり妄想】
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