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「NOET あるページ」


174 ◆TNwhNl8TZY New! 2009/11/08(日) 01:13:17 ID:/mRIQTVa

11月--日
曇っているせいか、今朝は特に冷え込んでいる。
外なんかで待っている身としては厳しい季節になってきた。
予報では、午後からは雨も降るらしい。
朝から憂鬱だ。
傘なんてかさばるもんを持って歩くのも億劫でならない。

普段通りの時間に高須が家から出てきた。
タイガーも出てくる。
毎朝の事ながら、階段を下りきるところでタイガーがこけた。
傍から見ているとすぐ分かるが、放り投げられた猫のようにしっかり受身を取っている。
しかし高須にはそう見えないよう工夫でもしてこけているのか、高須は本気で心配している模様。

『立てるか、大河?』

『うん・・・痛っ・・・』

『おい、大丈夫なのかよ』

『平気よ、転んだだけなんだから・・・ただ、ちょっと歩きづらいから、手ぇ貸してもらってもいい?』

といったようなやり取りの後、手を繋いで歩き出した。
顔に似合わずお人好しなのは十分知ってるが、それにしたってこう毎朝繰り返しているのだから、
高須も疑うなり何なりしてもよさそうなものだと思うのだが。
ひょっとしたら認知症の気でもあるのかもしれない。
でなけりゃ、どういう風に毎朝毎朝転んでは手を繋ぎたがるタイガーを見ているんだろう。

しばらく歩くと通学路上で櫛枝と出くわした。
高須を発見した櫛枝が駆け足で寄ってくるものの、間にタイガーが立ち塞がる。
腕を広げていたため、おそらく抱きつくつもりだったのだろう。
阻止したタイガーとされた櫛枝は抱き合いながら挨拶を交わしていた。
表向き至って普通に、にこやかに。
お互いの背骨をへし折ろうとするように力んだ体がブルブル震えているが、高須の前ではおくびにも出していない。
女のこういった面に戦慄すら覚える。

学校に着く寸前、タイガーが一人で先を歩き出した。
いつものように高須の下駄箱の中身をチェックしに行ったようだ。
たまにラブな手紙が入っている事がある。
そういう場合、タイガーは勝手にその手紙を持ち去っていくので、高須はそれを目にするどころか存在すら知らない。
どういった想いを綴っていたのかは定かではないが、多分それと一緒にいついつのどこに来てほしい等がしたためられていたと推測できる。
手紙の存在自体知らない高須が指定された場所に来れないのも、ましてや相手の事を知る由もないのもムリはないが、
フラれたと思って傷付く誰かがいる事をタイガーはちゃんと考えているのだろうか。

高須達が下駄箱に着くと、上履きに履き替えたタイガーが待ち構えていた。
どうやら今朝は手紙が入っていたらしい、高須とおててを繋いでいた時とは打って変わってすこぶる機嫌が悪い。
ダベりながら歩いていたせいでタイガーとぶつかってしまった一年共が餌食にされた。
高須が叱りつけるが、タイガーは素知らぬ顔で歩き出した。
櫛枝はタイガーが何をしていたのか知っているのか、なんとも言えない顔で後輩に頭を下げている高須を宥めている。

教室ではこれと言って目立った部分なし。
高須はただ周囲と挨拶をしていただけだった。
他には恒例のように高須にじゃれつこうとする亜美ちゃんとタイガーの言い争いが勃発しただけだった。
朝っぱらからの口汚い罵り合いを聞くと何故だか今日一日が始まった気さえしてくる。もう嫌だ。早く終われ。

HRは先日の無断退勤でさすがにお咎めをもらったらしい。
ゆりちゃんが割りと大人しく出席を取っていた。
高須の名前を呼ぶ時だけ微妙に声色が違った気もしないでもないが、タイガーを無視するなんていうほどに露骨でもなかったから正直判断に困る。

1限から4限の間はこれといって目立った部分なし。
時たま床にわざと落とした消しゴムを高須に取らせようとした誰かがいたが、
わざわざ立ち上がったタイガーがそれを拾い上げて、開け放した窓の外へとぶん投げたくらいしかなかった。

昼休み
授業が終わってすぐに亜美ちゃん、木原、奈々子様が高須を昼食に誘った。
今日は亜美ちゃんまで弁当を持ってきたから、せっかくだし一緒に食べようとのこと。
何がせっかくなのかよく分からないが、相変わらず亜美ちゃんの仕草やらなんやらは反則的に可愛らしいし、
木原も一生懸命高須を口説いている。
当然の如く、高須が返事をする前にタイガーが拒否る。

『高須くん、こんなのほっといて亜美ちゃん達と一緒に食べよ?』

『・・・私に一人でご飯食べろだなんて、まさか言わないわよね、竜児』

と、決断を迫られた高須は普通に皆で食べればいいんじゃないかと言っていたが、すげなく却下された。
リアルに殺意が沸いたのは俺と春田だけだろうか。

そこへ、以前高須と弁当の交換を約束していた1年の女子が唐突に高須を訪ねて教室内へと入ってきた。
あれから随分経ったというのに、いじらしくも高須からの連絡を待ち続けていたそうだ。
しかし待てど暮らせど高須からあの娘に連絡が行く事はなく、ガマンできずに自分から出向いたしだいらしい。
途中からしゃくり上げていたが、堪えきれなくなったのか、泣き出してしまった彼女に高須が本気で申し訳ないと謝っている。
高須が言うには、なんでも気が付いたらアドレス帳から彼女のメアドが削除されていたらしい。
そのせいで連絡の取りようがなかった、と。
個人的には悪意ある誰かの仕業な気がしてならない。
あの娘はあの娘で嫌われてしまったのかと思ってずっと不安だったと、事情を聞いてそうじゃないと安心したのか、
余計にボロボロ涙をこぼしている。
そんな後輩にそこかしこから同情の目が向けられていた。
わんわん泣き続けるあの娘に、高須もどうしていいか分からない感じだ。

『なにしてんのよバカ犬ううううううううううう!』

そう叫ぶと、タイガーが高須と、高須にひしっとしがみついたあの娘を無理やりに引っぺがした。
あの娘は抱きつき癖でもあるのか? 前も、その前も高須に抱きついていたし。
それとも天然でやっているのか。
自分のした事の意味がいまいちよく分かっていない様子から察するに、そういうのは疎いのかもしれないとは思うが、
実際のところはどうなのだろう。

『ほぉらぁ、今の内今の内〜』

危うく目を離すところだった。
亜美ちゃんが混乱に乗じて高須の手を引いて教室の外へと出て行く。
どんな時でも我関せずの精神と、隙を逃さずに出し抜こうとする抜け目のなさはさすがだ。
さっきまでの可愛らしさが霞んで見える。
だけどすぐさまタイガーに見つかった。
走り出した亜美ちゃんに引っ張られていく高須を、虎というよりかチーターみたいな速さで追いかけていくタイガーだったが、
廊下を曲がったところで反対側から歩いて来た北村にぶつかる。
つい先日も櫛枝と亜美ちゃんに踏んづけられてた北村が今日はタイガー一人に吹っ飛ばされて頭から壁に衝突してるのが
ヤバそうで可哀想だとは思う。
が、それよりも尻餅をつくタイガーを見た亜美ちゃんが高笑いをしていたのがなんかスゲェ様になっていた。
それもすぐに止んだ。

『にゃはははは〜にーゃにがそんにゃにおもしろいのかにゃ〜?』

と言い切る前には、亜美ちゃんはどこからか現れた櫛枝に逆水平チョップをかまされ、咽こんでる間に雁字搦めにされていた。
一体どっから出やがった。謎だ。

『ズッケーんだもんなー、大河もあーみんも私に隠れてさー。
 特にあーみんなんて、今度はなにしようとしてたのかなー、高須くん連れてなにしようとしてたのかなー。
 ・・・こういうのがあるから、だからヤなんだよねぇ、ミーティングって』

『な、なんのこと、亜美ちゃん知ら・・・ちょ、マジギブギブ! 絞まる、ホントこれ絞まってるから!
 本気で喉いてぇからやめてぇぇぇ・・・きゅう・・・・・・・・・』

『おおそうだ、なんならあーみんも参加してみる? うちの部のミーティング。こんくらいじゃビクともしなくなるから』

ミーティングに出ただけで無酸素状態を克服できるのは世間の常識に当てはめたらぶっちゃけアウトじゃないのか、いろいろ。
あと亜美ちゃんもアウトってないか。

なお、その時高須は櫛枝を探しにやって来たと思わしきソフト部マネージャーと親しげに話をしていた。
以前似たような事があったが、その時とは櫛枝とマネージャーの立場が丸っきり逆だ。
マネージャーも、その時の事を手痛い教訓としているのか、あまり長話はせずに引き下がった。
別れ際に何か手渡していたが何なのだろう。メアドか? ていうか櫛枝を探しに来たんじゃないのか?
真っ青な顔をした亜美ちゃんを尚も締め上げる櫛枝に目もくれずに去っていっちまったが。

入れ違いに今度は通りがかった生徒会役員の女子が高須に寄っていく。
何か礼を言っているみたいだが、距離が離れすぎてる上に間にタイガー達がいるせいで近寄れず、会話が聞き取れない。
(どうも床に散らばった書類を拾った後、拾った書類を生徒会室まで運んでやったなんていうマンガみたいな事があったらしい。
 別の通りがかり数人を捕まえて探りを入れた春田の話を総合するとそうなった。
 ありえない、少なくともここ数ヶ月の話ではないはずだ。俺も春田も高須がそんな場面に遭遇した覚えはない。
 それとも、まさか見落としがあったのか? いつだ)

特に何もせずに彼女もすぐそこから去るが、また入れ違いに誰かが高須に近寄っていった。
教室で泣き出したあの一年の女子だ。高須を追いかけてきたようだ。
また抱きついた。

その後はいつまで経っても自分を助け起こしに来ないで、他の女とくっちゃべってるどころかまたも抱き合っている高須にキレた
タイガーが泣き喚きながら暴れ回ったため、収集がつくまで残りの昼休み全部を使ったことを明記しておく。腹減った。

5限の体育は最初男女別での予定だったが、急遽男女混合でのバスケに変更。
チーム分けは適当に決めていいとのことだったので、てっきり高須のいるチームに女子が集中すると思われたが、逆に高須がハブられる結果に。
というか、タイガー達はキレイに散り散りなってチームを作ると、勝手に優勝したチームの景品にしてしまった。
高須を。
何だかこういうのをテレビでよく見る気がする。
動物の世界における雄同士による雌の取り合いみたいな。
性別が逆だろ。高須はどこのお姫様だ。

決勝戦へと着々とコマを進めたのは、やはりタイガーと櫛枝の肉体派。
真っ当に試合をしていた櫛枝の方に破れた木原と奈々子様のチームはまだいい。
タイガーに当たった方は手当たり次第に砲弾を彷彿とさせる勢いのボールを投げつけられ、軒並み失神させられた。
亜美ちゃんなんか鼻血まで出すくらい良い当たりを顔面にモロだった。
それバスケじゃなくて完全にドッヂじゃん。

最終的に体育館中を使ったバスケと言うドッヂ大会は同点のまま、ここでシュートが決まればタイガーのチームが勝ちという所で5限が終了、
お流れという運びになった。
肩で大きく息を吐いて、良い感じに流した汗を拭ったタイガーと櫛枝がガシッと腕を組んだ。
仲良いな、あいつら。
握手なのに握力測定みたいに力込めるくらいだもんな。
女ってよくわかんねぇ。
ちなみに高須は終始何も知らないように北村と春田と俺とでボール遊びをしていた。
暢気すぎる。もうちょっと身の危険を感じろ。今に取って食われるぞ。
それと関係ないが、黒間は近頃引き篭もりがちになってしまったらしく、今日は見ていない。
体格だけは立派だったが、見かけに反して内面は繊細だったのかもしれない。

6限と帰り際のHRはこれと言って目立った部分なし。
ただし、最後の最後に高須に居残りを言い放った直後、ゆりちゃんは忽然と姿を消した。
タイガーと櫛枝と亜美ちゃんも消えていた。
2分くらいでタイガー達は戻ってきたが、結局ゆりちゃんが戻ってくる事はなかった。
明日になれば何事もなかったように顔を出すだろう。
いつもそうだ。
明日もそうであってくれ。

放課後
予報通り、ポツリポツリと午後から降りだした雨が、今はもう本降りになっていた。
傘を忘れた生徒がチラホラおり、中にはカバンを雨避けに早足で帰っていく奴もいる。
高須も傘を忘れてしまったらしい、タイガーと並んで立ち往生していた。
タイガーが自分を棚に上げて傘を忘れた高須を責めている。
これはこれでタイガーなりのコミュニケーションというか愛情表現なのかもしれないが、高須はどう受け取っているんだ。
不愉快すぎるというわけでもないから、別段何も言わないのか。
いくら推測しようが答えは高須しか知らないのだが、なんとなく気にかかる。
しばし様子を見ていると


『そんな所でどうしたの、高須くん。傘、忘れちゃったの?』

『おぅ、帰るまでは大丈夫だと思ったんだけどな・・・香椎もか?』

『ううん、あたしはほら、ちゃんと持ってきてるから』

『しっかりしてるんだな』

『そんなこと・・・あ、そうだ。高須くん、よければこれ使ってく?』

『いや・・・香椎はどうすんだよ。それ借りてっちまったら香椎が帰れねぇだろ』

『それもそうね・・・なら、相合傘でもしてみようかしら・・・なんて、冗談だからそんなに睨まないでよ、タイガー』

『・・・フンッ』

『じゃあ、はい、高須くん。二人じゃ狭いだろうけど、ないよりはいいでしょ』

『お、おい・・・けどこれ』

『あたしはいいの、教室に折りたたみのがあるし。それに高須くん、こないだだって風邪引いてたでしょ。
 体冷やしちゃったらまた・・・そうなったら大変じゃない、いろいろと・・・ね?』

『ちょっと、いろいろってそれどういう意味よ』

『よせよ、大河・・・いいのか香椎、これ、ホントに借りてっても』

『ええ、気にしないで』

『・・・悪いな、今度なにか』

『いいのよ、ほんと、気にしないでいいから。でも・・・悪い、じゃなくって、ありがとうって言った方がいいわよ、そこ。
 迷惑ってほどじゃないし、あたしも気分いいかな、その方が』

『ああ、わる・・・ありがとな、香椎』

『はい、よくできました・・・ふふ・・・それじゃあね、高須くん、タイガーも。あたし麻耶待ってるから、バイバイ』

『おぅ、この傘キチンと洗って返すから』

そう言うと、高須はタイガーと帰っていった。
見送る奈々子様は、複雑な表情で高須を、高須の隣を歩くタイガーを交互に見送っていた。

この後は俺も春田も雨でビショビショに濡れて帰ったんで、今日のとこはこの辺で勘弁してください。

                    ※ ※ ※

11月--日
今日、亜美ちゃんが高須くんとお昼を食べようって持ちかけてきた。
珍しいって言ったらあれだけど、自分で作ってきたみたい。
あの亜美ちゃんが。
びっくり。
それだけ本気だったのかもしれない。
一人だけ手作りのお弁当じゃない麻耶がちょっぴりへこんでたけど、まぁ、一緒にっていうのはやっぱり魅力的だったのかしら。
亜美ちゃんの次に強引に高須くんを誘ってた。

いろいろあって、結局は再三出し抜こうとした結果、高須くんもタイガーも亜美ちゃんも、お昼は食べられなかったみたいだけど。
・・・残念、だったかな、ちょっとだけ。
突然だったから全然普通のお弁当だったけど、それでも。
一緒にお弁当って、あたしにもすごく魅力的に映ってたから。

いっか。
チャンスは、また作ればいいんだから。

だから

あの傘は、できればずっと持っててもらいたいな。

                              〜おわり〜



174 ◆TNwhNl8TZY sage New! 2009/11/08(日) 01:12:17 ID:/mRIQTVa
本当にこの間投下した後に気付いた。

「NOET」
「NOET 2ページ目」
「NOET 3ページ目」

スペルミスってるよこれ。
NOETじゃなくてNOTEのつもりが、「NOET」を投下した際、投下宣言で何をどうトチ狂ったのかTとEの順番を逆にしていたという。
3回ともタイトルコピペしてたから本当に、全っ然、これっぽっちも気が付かなかった。
まぁタイトルくらい別にどうでもいいやとも思ったけど、3回も同じ話をやっておいて、しかも〜ページ目とか書いといて、
羞恥心に堪えきれなくなったので遅まきながら訂正と言い訳がてら小ネタを・・・ああもう訂正とかどうでもいいや。

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