竹宮ゆゆこスレ保管庫の補完庫 - おくしゅりおいしいでしゅ Ver.インコちゃん
インコちゃん「おっ、おっ、おくしゅりおいしいでしゅwww」
竜児「インコちゃん・・・!?」


「泰子もインコちゃんも同時にこんな事になるなんて?これは……まさか!」
俺も欲しい!
あたかも麻薬に飢えた常習犯が全てを射抜いてやると言わんばかりにギラつかせた目を更に見開いて
竜児は急いで携帯を取り出した。震える指先は目的のアドレスをすぐに探し出せない。
ようやく発信できた相手は路地裏で知り合った麻薬の売人、ではない。
「た、大河、ああ、たたった、大河っ……!」
高須家の一人と一羽が同じ日に異常な寝言を呟いたのだ。毎日高須家に足を運ぶ大河の身にも
同じ事が起こらないなどと誰が言えようか。どうか大河は無事であって欲しいと願いながら、
額に脂汗を浮かべて無機質な呼び出し音を聴くこと不吉な数の13回。携帯を片手に部屋の隅から隅へ。
不安に煽られ出た言動は意味を成さず、どう見ても麻薬に飢えた常習者の姿なのだが本人に
そんなことを気にしている余裕はない。そもそも自宅である。
そして唐突にスピーカーから流れた音は虎の気だるい欠伸だった。
『ふぁあ……くあ。うゅじ……?何なのよこんな夜中に……。』

「大河!無事か?無事なのか?」
『んん?無事も何もピンピンしてるわよぅ。あんったねぇ、明日覚えてなさい。
乙女の眠りを妨げた罪は重いわよ。』
「無事か!よっ良かった!何よりだ!」
『せっかくいい夢を見ていたのにもう……台無し……だ…わ……ふにゅ……』
「そうか、それは悪かった。泰子とインコちゃんが、いや、細かいことは明日話す。ゆっくりと寝てk」
『くぁ……あ〜るぅじが……はらか……ふへ』
「!?」
『りゅうりのおくしゅり』
「……ちょ」
『おいひい』
「ま……っ」
『れしゅー』
「待てええええええっ!お前らの夢の中で俺は一体どんなことになっているんだああああっ!!」
『ペロペロ(ブツッ、ツー、ツー、ツー)』
「━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━」


……非合法な薬も何も無く、スズメが朝の訪れを報せるまで竜児は洞窟のような目を開いたまま
人生の虚構を見つめていた。
「俺は泰子に、大河に、何をした?薬?インコちゃんにも?
 薬……俺の薬?別に俺は薬なんか使ってないぞ?」
泰子の寝顔に目を向ける。
毎日酒浸りの母を気遣ってなるべく胃に優しい料理を作っているつもりだった。
薄味になりがちなため難しいが調理には細心の注意を払って。バランスが悪く
不摂生な食生活を続けてきた大河にもそういった料理が適しているだろう。
インコちゃんの餌も例外ではない。
「でも泰子、昨日は確か胃薬飲んでたもんな。この間は大河も食べ過ぎて胃腸薬を飲んでたし、
 まだ努力が足りねえか。」
連日のアルコール爆撃に被爆した胃袋やパンク寸前まで膨らませられている胃袋が
料理だけでどうなる訳でもないのだが、少しでも負担を減らしたい。
不意に泰子がのっそりと背を起こす。
「薬ぃ〜、竜ちゃんのお薬〜?んふ〜」
妖しげな仕草を伴って容易く竜児に近付く母に我が身が固まった。
「まさかまた……?」
「優しい竜ちゃんがいてくれて〜、竜ちゃんのおいしい手料理が食べられるならこれ以上の薬はないんだよぉ〜」
「え」
言うだけ言ってばったりと倒れた。再び寝息を立てている。
「おくしゅり……おいしいでしゅ……」