第58回TREEセミナー

10月4日 (木曜日) 17:00 〜
場所:場所:東邦大学理学部5号館2階5209教室(東邦大学理学部へのアクセス

過去の競争実験の結果から繁殖干渉をあぶりだす

岸 茂樹 Kishi Shigeki
(東京大学大学院 農学生命科学研究科 生態環境調査室 特任研究員)
  要旨
 種間にはたらく性的な相互作用のうち、メスの適応度を低下させるものを繁殖干渉という。
繁殖干渉の現象自体は古くから報告されてきたけれども、生態学的に著しい効果をもつことはあまり注目されてこなかった。
繁殖干渉は近縁種間に生じやすく、またメスの適応度減少は相手種のオスの頻度に依存するため繁殖干渉は正の頻度依存性をもつ。
つまり少数派ほど不利になるため、急速な種の絶滅を起こしやすい。
 一方、教科書を開くと種間競争における近縁種の共存と絶滅は資源競争によって説明されている。
これまで著名な生態学者たちが実験生物を用いて膨大な室内競争実験を行い、そのほとんどで種の絶滅を観察してきた。
しかし本当にそれらは資源競争によって絶滅したのだろうか。
私はこれまでの競争実験において見られたそれらの種の絶滅が、資源競争ではなく繁殖干渉によって引き起こされたのではないかと考えた。
そこでマメゾウムシを用いて実験を行ったところ、繁殖干渉が種の絶滅を引き起こすことがわかった。
次に、過去の競争実験の結果を解析したところ、マメゾウムシ、ショウジョウバエ、コクヌストモドキのすべての結果に正の頻度依存性を確認できた。
講演では他に得られているいくつかの結果についても紹介する。
最後に、室内競争実験のこれらの結果をもとに、野外の生物の資源利用様式や分布域について考察する。


ポスター:第58回ポスター

尚、セミナー終了後に1時間ほど、懇親会もございますので、そちらにも是非ご参加ください

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