呟き尾形の個人的な資料です。

孫子の兵法 13 打草驚蛇

第十三計 打草驚蛇「草を打って蛇を驚かす(くさをうって、へびをおどろかす)」

 スエズ運河というスエズ地峡に位置する、地中海と紅海を結ぶ運河がありました。
 この運河は、なんとも使い勝手のいい運河で、アフリカをぐるりと回らずとも、イスラムやインド、はたまた東洋など、とにかく近道ができる運河でした。
 運河ができた当初は、フランスとエジプトの共同所有とされたのですが、いろいろあって、イギリスに対外債務を抱えたエジプトは持ち分をイギリスに売り渡すことになりました。
 その後、エジプトがスエズ運河の国有化を宣言したことから、イギリス・フランス・イスラエルとエジプトの間にスエズ戦争が起こったのです。
 そして、武力干渉に乗り出したイギリスは、スエズ河口のポートサイドに木製やゴム製の人形を投下し始めました。
 エジプト軍はこれを空挺部隊の降下と判断し、人形に集中砲火を浴びせたそうです。
 これですっかり手の内をさらけ出してしまったエジプト軍に対し、イギリス・フランス両軍は防衛要所を狙って攻撃を加えてこれを粉砕し、その後の降下・上陸作戦を有利に進めることができたのです。

 さて、兵法書では軍隊が進む時、行く手に山林や草叢、険しい山などがある場合は慎重に警戒して進め、とあります。
 これは、敵の姿が見えない時は、なにはともあれ、慎重に索敵を行う事が重要であるということです。
 まぁ、どこに敵がいるか分からないのですから、当たり前といえば当たり前のことですが、これがなかなか難しいものです。
 このような慎重な態度をとるべきなのは、敵の姿が見えないときだけではありません。
 敵の作戦が判らない時は、その策を読み取る事が指揮官の急務になります。
 とはいえ、この策を読みとった!
 と思うときが一番危ないときです。
 このようなリスクを負わず、敵の作戦を読み取る方法こそが、打草驚蛇です。
 考えてわからないなら、実際に草を叩いて、蛇を驚かせればいいのです。
 つまり、おとりをつかって、実際に相手にその作戦をさせてみるのが一番確実です。
 ことわざをアレンジして言うならば、
「石橋を叩いておとりにわたらせる」
 ということが、相手の作戦を見抜く方法だということです。
 つまり、疑わしきは、頭の中だけで疑うだけではなく、実際に、手で触ったり、きちんと見たり、叩くなどして確かめる事だということです。
 慎重と臆病は、見た目はよく似ていますが、慎重であるときは、実際に確かめてみるという行動が伴います。
 一方、臆病は、単純に恐れているだけで、行動にはつながりません。

 行動しなければ成功することなどありえないわけですから、それは兵法として望むものではありません。

 さて、現代日本において、打草驚蛇は、どのような活用法があるでしょうか?
 それは、実際に草を叩いて、蛇を驚かせればいいのです。
 どのように草をたたくかといえば、一言で言えば「ハッタリ」です。
 知らないことも知っているような口を利く。
 その後、「冗談」といって笑い飛ばすのです。
 すると、相手の反応である程度その「ハッタリ」で相手のことが探ることができます。
 図星か隠し事ならムキになったり、笑いが引きつります。
 そうでなければ一緒にわらってくれます。
 なぜなら、人は人に知られたくない事柄にふれると不自然な態度をとるものです。
 この不自然さが蛇だということです。
 つまり「冗談」という棒で、「不自然さ」という蛇を探し当てるわけです。
 

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