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【定義】

雨安居の略称で、特に雨の多い3ヶ月間、インドの僧侶は説教などに出歩くことをせず、叢林に留まって修行に専念することを指す。安は安穏・安定を意味し、居は住む・止まるを意味するため、安居という言葉は、安らかな状態にあるということになり、当に叢林修行を行う修行者の心持ち、修行者そのものを指す。
道元禅師の『正法眼蔵』の巻名の一。95巻本では79巻、75巻本では72巻。寛元元年(1243)6月13日に、越前大仏寺にて示された。

【内容】

^袖錣箸いΩ斥佞蓮▲汽鵐好リット語のヴァルーシカの漢訳であるが、原意は雨期ということであった。したがって、本来であれば雨安居ということなのだが、中国で元々この単語を用いていたことと、雨期の感覚がなかったことから、単に「安居」とだけいうようになった。

また、インドに於ける雨安居の期間(5〜9月)については、中国や日本では季節的に夏に当たるため、夏安居と呼ばれるようにもなった。また、西域では気候風土の関係から、冬にも安居を行うようになったことから、時期をずらした冬安居も行われている(道元禅師冬安居を否定、また『瑩山清規』にも見えず)。

安居はその開始日の違いから、前安居・中安居・後安居と分けられ、それぞれ4月16日、4月17日〜5月15日、5月16日から始める場合に分かれる。ただ、昨今の日本曹洞宗では、前安居を4月15日〜7月15日、または10月15日〜1月15日の場合、中安居はその1か月遅れ、後安居は更にその1か月遅れというように、実施期間については柔軟性を持たせている。これは、開催場所に於ける季節の違い、或いは修行僧の集まれる期間の違いなどが反映されたと考えられている。

なお、現在では安居のことを九旬安居とも称するが、3か月=90日間を原則として行われている。
おほよそ仏祖の屋裏人、さだめて坐夏安居三月つとむべし。 『正法眼蔵』「安居」巻

安居が行われる理由としては、インドの雨期3か月は多く発生する草木や小虫などを殺傷しないようにするためであり、この期間は一箇所に集まるのである。そして夏安居(結制)が始まることを結夏といい、終わることを解夏という。安居の制によって僧侶は戒臘にしたがった位階を定め、一夏を入衆、五夏以上を闍黎、十夏以上を和尚と称する。
第十五、五夏以上、即ち闍梨位、十夏已上、是、和尚位、切に須らく之を知るべし。即ち是れ、甘露白法なり。 『対大己五夏闍黎法

道元禅師が大仏寺にて記された『正法眼蔵』の巻名の一であり、おそらく本格的な叢林にしようとされた大仏寺にあって、その安居の制を確立するために書かれたと推定される。そして、冒頭に師である如浄禅師の「結夏小参」を引用しながら、安居とは仏祖そのものであると示される。
仏祖眼睛・頂[寧+頁]を拈来して、九夏の日月とせり、安居一枚、すなはち仏仏祖祖と喚作せるものなり。安居の頭尾、これ仏祖なり、このほかさらに寸土なし、大地なし。

さて、この巻は大仏寺に安居の制を確立しようとして書かれたものだと推定したが、その理由として、まず安居90日という事象そのものへの哲学的考察が行われていることと、さらに安居の制自体の伝統を、仏典・祖録に遡及しながら確立していることが挙げられる。また、同巻の中盤以降は、安居の制を行うにあたり、『禅苑清規』や道元禅師が現地にて見聞してきたことを元にしながら、様々な行持作法・書式などが事細かに示されている。なお、巻の最後には安居こそが仏祖現成の事実であることを示し、修行僧達に安居を励行するように諭されるのである。
しかあればすなはち、世尊一処安居、文殊三処安居なりといへども、いまだ不安居あらず。もし不安居は、仏及菩薩にあらず。仏祖の児孫なるもの、安居せざるはなし、安居せんは、仏祖の児孫としるべし。安居するは、仏祖の身心なり、仏祖の眼睛なり、仏祖の命根なり。安居せざらんは、仏祖の児孫にあらず、仏祖にあらざるなり。

【補足】

道元禅師語録である『永平広録』による限り、以下のような「結夏解夏」に関する上堂小参が確認される。

●結夏上堂
巻1-44:仁治2年(1241)
巻1-118:寛元元年(1243)
巻2-127:寛元3年(1245)
巻2-158:寛元4年(1246)
巻3-238:宝治元年(1247)
巻3-257:宝治2年(1248)
巻4-322:建長元年(1249)

●解夏上堂
巻1-102:仁治3年(1242)
巻2-130:寛元3年(1245)
巻2-183:寛元4年(1246)
巻3-248:宝治元年(1247)
巻4-341:建長元年(1249)
巻6-442:建長3年(1251)
巻7-514:建長4年(1252)

●結夏小参
巻7-3,6,8,11,15,19(年代不詳)

●解夏小参
巻7-1,7,12,16,20(年代不詳)

以上を見れば分かるように、道元禅師はその折々に行われるべき安居に関する説法を綿密に行っていることが明らかになる。さらに、その内容を精査すれば、道元禅師の安居観は、『正法眼蔵』「安居」巻のみならず、『永平広録』も合わせて学ぶ必要があるということになる。

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