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【定義】

道元禅師によって示された、修行僧が仏道を学ぶ際の用心(心の用い方=こころえ)が、全十則で示されている。

【内容】

全体は全十則で構成され、それぞれ以下のような題名と内容をしている(原漢文・各則の数字はない)。厳密に文献を引用して書かれたものでもなく、全体として詩想豊かな文言によった随筆であり、道元禅師が中国から伝えた正伝の仏法が坐禅(只管打坐)に依っていることを示している。

第一則 菩提心を発すべき事
無常を観じて道心菩提心)を起こすことを説いた。

第二則 正法を見聞して必ず修習すべき事
仏法とは正法を伝える一語を求めて、自ら廻心して得るものであること。

第三則 仏道は必ず行に依りて証入すべき事
廻心するのは、必ず行によってさとりに入るべきであること。

第四則 有所得心を用って仏法を修すべからざる事
修行とは、名利心や果報を得たいと願う心をもって行ってはならないこと。

第五則 参禅学道は正師を求むべき事
以上のような修行には必ず仏道を正しく会得した「正師」に巡り会い、その言葉を学ぶべきであること。

第六則 参禅に知るべき事
当時の末法の世に、悟りを得ることを諦める者がいることを戒め、悟りを得るために修行に励むことを主張した。

第七則 仏法を修行して出離を欣求する人は須く参禅すべき事
当時、仏法を学ぶこととは、経典によって、学問的に学ぶことであった。それに対し、実際に師匠について、その生き方に仏法を求めるべきだと説く。

第八則 禅僧行履の事
禅僧の行いとは、何にもとらわれることがないものである。したがって、学ぶ者はいつも不安になる。それを「参学の人、且く半途にして始めて得たり、全途にして辞することなかれ」とされた。

第九則 道に向かって修行すべき事
道に向かうということは、それは自分と離れたところに道があると考えてしまうが、そうではないことを「自己本道中に在る」とされて示された。

第十則 直下承当の事
修行には「参師聞法」と「功夫坐禅」があることを示し、従来の身と心をもって悟りを得ることを、直下(直ちに)に承当(受け取る)すると示された。

【主な異本】

・現在『学道用心集』として見ることができるのは、寛文13年(1673)に刊行された「寛文本」と呼ばれるもの。

・さらに、この「寛文本」よりも古いものとして、奥書に「住持永平兼宝慶比丘曇希立版開版奉行比丘瑞雄維那書字比丘一書記」(「一書記」は後の永平寺7世以一のこと)とある、永平寺6世曇希によって開版されたものがある。これは延文2年(1357)に刊行されたため、「延文本」と呼ばれるものであるが、現在「延文本」と呼ばれるものは、後に、この版木を用いて刊行したもの。従って、「古刊本」と呼ばれるようになった。

・江戸時代の面山瑞方師が寛延2年(1749)に上来の刊本を校正し刊行したものが『較正・永平初祖学道用心集』であり、「寛延本」と呼ばれる。

・書写された異本として寛元3年(1245)2月8日に孤雲と署名した懐弉禅師が大仏寺で書写し、更にこの写本を弘長3年(1263)年12月3日に義奨(義準だと推定)が興聖寺で書写したという写本が静岡県焼津市旭伝院に所蔵され、昭和37年(1962)に横井覚道先生(元駒大助教授・故人)が影印した『学道用心十則』が存する。

【撰述時期】

『学道用心集』の本文中に「天福二甲午三月九日書」と「天福甲午清明日」(「清明日」とは、春分の翌日から十五日後)という2ヵ所の記載があり、1234年(禅師三十五歳)の春、遅くとも3月中には書かれたものである。

【撰述意図】

本著に関しては特に撰述由来などの記述もなく、従って、内容や周囲の状況から推測するしかない。ちょうどこの頃は、京都深草に観音導利院(後の興聖寺)を開創した頃である。さらには、既に『弁道話』は撰述され、『正法眼蔵』「現成公案」巻を法語として俗弟子楊光秀に与えた天福元年(1233・禅師三十四歳)の翌年でもあり、おそらく自分の元に来た学人(修行者のこと)に、学道(仏道を学ぶこと)の用心を示したものであろうといわれている。

【その後の流布・伝播】

永平寺6世曇希によって延文2年(1357)に開版されたため、比較的早い時期からの流布が考えられるが、現在この「延文本」自体は散逸しており、見ることができない。さらに、後の宗門の伝承にも『学道用心集』について論じたものがない。おそらく、瑩山禅師の弟子あたりまでには知られていただろうが、既に当時の宗門の修行体系に即していなかったことも考えられ、あまり重要視されなかったのだろう。

江戸時代に入り、幕府による学問奨励が各宗派に勧められたが、特に開祖の見解は重要視された。そこで、面山師が江戸期に開版し、その後明治時代に入り道元禅師の研究がなされるようになると、次第に「全集」等に所収され、広まった。

【解説書等】

江戸時代に入って『学道用心集』が世に広まったが、それに従い様々な註釈書が書かれ、提唱が行われた。その内最も重宝されたのが面山の『永平初祖学道用心集聞解』である。

現在入手できるものは多数あるが、篠原壽雄氏の『学道用心集 道元 学習と修行のこころえ』(大東出版社・1990年・2800円)が一番手頃。さらに、古いものを含めて解説書等が『講座・道元掘戞複隠坑牽闇・春秋社・道元の著作、第四章所収)に挙げられている。参照のこと。

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映画『禅ZEN』



道元禅師の映画『禅ZEN』が、2009年1月10日から公開されています。公式ホームページは上記画像をクリック!!上映場所などをご確認下さい。DVDも好評発売中。【DVD『禅 ZEN』】からどうぞ。

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