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【定義】

大本山總持寺5世・通幻寂霊禅師によって、加賀国能美郡安宅村(現在の石川県小松市)に建立された寺院。山号は太原山。なお、通幻派系の寺院として、派下の僧侶による輪住制も布かれたようだが、16世紀には廃絶し現在は廃寺

【内容】

通幻禅師が初めて總持寺に晋住(1368年)する前には、聖興寺が開かれていたという。なお、『曹洞宗全書』「語録一」巻所収の『通幻禅師語録』には、同寺の「門前橋供養」が、康暦改元年己巳八月二十八日(1379年。干支は「己未」の誤り)に行われたことを伝えている。また、通幻禅師の喪儀の様子を伝える『通幻寂霊禅師喪記?』(『続曹洞宗全書』「清規」巻所収)を見ると、永澤寺に続いて遺物が寄せられたことを伝え、重きをなしていたことが分かる。

なお、後に同寺に入った普済善救禅師(1347〜1408)は、たびたび聖興寺の住持として化を振るったようだが、「聖興寺語録」から幾つかのことが分かる。
師、幻祖の付嘱を受けて、聖興に主す。明徳初年に在り。然るに、幻祖、数十年の先に於いて、聖興を剏して韜晦の地と為すと雖も、別に深山古寺を称するは、丹の永澤なり。聖興を挙げて、師に付す。意、茲に在り。師、亦た恒に旧隠を以て名となすは、幻祖の意に副うなり。故に入院の首めに開堂せざるは、此の由なり。 『普済禅師語録』巻上

ここから、普済禅師が通幻禅師存命中の明徳元年(1390)に聖興寺に入ったことが分かる。また、通幻禅師は聖興寺のことを「韜晦の地」としていたようだが、弟子に付属したことも分かる。そして、韜晦の地であるが故に、同寺に入った際には開堂をしないという。これは、同語録・下巻に収録されている普済禅師の『行記』(小師浄智等編)を見ると理解可能で、当初、通幻禅師は自身の隠居寺として聖興寺を考えていたようなのだが、結果的に永澤寺の方がより山間にあって、場所も良いことを理由に、そちらに移り、それ以降は聖興寺を「旧隠」と呼んだという。つまりは、隠居寺という性格があるために、開堂しないということになろう。

また、以下の記述もある。
聖興の三仏点眼〈釈迦・薬師・弥勒〉。笔を以て六点して云く、過現未来の三世に仏、正眼を豁開す。一毫端、直饒い百億分身し去るとも、若じ那裏間に安居せず。 同上

上記内容から、普済禅師の頃に、聖興寺には三世如来(釈迦・薬師・弥勒)が安置されたことが分かる。順番から、過去・釈迦、現在・薬師、未来・弥勒なのであろう。また、他にも土地神や祖師像も安置された様子が理解出来るため、普済禅師が入るまで、それほど熱心に伽藍建築等がされていなかったことを意味していると出来ようか。それから、通幻禅師開山の後は一時、法弟の太山如元が住持していたようである。
聖興第二世太山和尚〈太山乃ち通幻和尚の法弟なり。幻祖、聖興を開闢し、太山継いで住するも、早寂して、寺、復た幻祖に帰す。師に付して主とするは、蓋し其の後に在すなり〉三十三年忌に、拈香して云く…… 同上

上記内容から、もしこの三十三回忌供養が普済禅師最初の聖興寺住持時代の明徳元〜4年(1390〜93、本寺に続いて總持寺に晋住)の間に行われたものだと仮定すると、生没年不詳の太山如元禅師の没年は1358〜61年の間であったことになる。しかし、その年代では余りに早すぎるため、普済禅師の後の聖興寺住持時代(?〜応永12年・1405)にこの三十三回忌供養が行われたと見ると、太山禅師の没年は1373年(応安6)辺りが下限となり、ありえる年代となる。また、太山禅師遷化後に、一度通幻禅師にこの寺が戻ったことを考えると、先に挙げた「門前橋供養」を通幻禅師が行った理由も理解出来る。

なお、普済禅師は更に「賀州太原山聖興寺十境〈別に二首を附す〉」(同語録・下巻)を詠頌しているが、その項目からも聖興寺の様子が理解出来る(引用に際して、便宜的に数字を付す)。

1、三神廟〈寺西に八幡・白山・住吉を祀る〉
2、飯湧峰〈寺東の廚庫の後〉
3、瑞雲丘〈寺東の南隅〉
4、活人渓〈寺東の旧刑人法場〉
5、竜吟松〈寺西〉
6、官路端〈寺西〉
7、明月江〈寺北〉
8、霊亀島〈寺西の北隅に観音堂・賀茂社有り〉
9、石蓮塚〈寺南の古昔に人の一石一字に蓮経を写して此に痙するが故に名づく〉
10、白鷺洲〈寺西〉
総、総詠
附1、楊柳原〈寺北〉
附2、住吉島〈寺の坤位、側に尼寺有り〉

既に神仏習合の影響を受けている様子や、同寺建立前にも『法華経』信仰を持っていた人が居住していた様子などを知ることが出来よう。

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